働き方の多様化や地方創生の推進により、近年急速に注目度が高まっている「デュアルライフ」。昔ながらの「別荘」とは異なり、一般的な家庭でも挑戦できる移住形式だ。
この記事でデュアルライフの概要やメリット&デメリット、具体的な始め方からおすすめの自治体までまとめて見ていこう。
次世代の移住形式「デュアルライフ」とは?
デュアルライフとは、2つの異なる地域に生活拠点を持つライフスタイルのことだ。「二拠点生活」や「二拠点居住」とも呼ばれ、次世代の移住形式として注目されている。
デュアルライフの最大の特徴は、移住でありながら現在の生活拠点を放棄しないことにある。
これまでの生活を捨てる必要がなく、それでいて新しい地域の魅力も堪能できるため、移住開始までの心理的なハードルが低い。「人生を2倍楽しめる移住形式」なんて呼ばれ方もする。
2021年3月には地方創生の一環として「全国二地域居住等促進協議会」が設置されるなど、現在の日本では、国を挙げてデュアルライフが推進されている。働き方の多様化もあり、かつてないほどにデュアルライフを始めやすい状況だ。
2021年時点で「1,127万人(推計)」が実践中
実際に、2021年9月のマイボイスコム株式会社の調査(回答者数:10,140名)によれば、複数拠点生活(デュアルライフ)の実施者の割合は、すでに全体の約9%に達していた。
総務省の人口推計によれば、2022年4月時点での国内総人口は1億2,519万人。仮に、9%の割合をそのまま当てはめると、およそ「1,127万人」がすでにデュアルライフを実行している推計となる。
極一部のお金持ちのみが実践できた「別荘」と異なり、デュアルライフは誰でも手が届きやすい。この記事で、デュアルライフのメリット&デメリットや体験談、具体的な始め方を見ていこう。
デュアルライフを始める前に。メリット&デメリットを確認
まずは、デュアルライフのメリット&デメリットからだ。移住においてメリット&デメリットを正しく理解することは、実行後の満足度を大きく左右する。
デュアルライフのメリット
デュアルライフのメリットには、以下の3点が挙げられる。
- 2つの地域の魅力を満喫できる
- 挑戦までのハードルが低い
- 心機一転、新たな生活をスタートできる
それぞれ順番に見ていこう。
2つの地域の魅力を満喫できる
デュアルライフならではの嬉しいメリットとなるのが、2つの地域の魅力を満喫できること。この記事を読む方の多くが、もっとも楽しみにしているポイントではないだろうか?
現在の生活拠点が都会にあるとすれば、田舎に拠点を持つことでレジャーを楽しめる。
「雪国に拠点を持ち冬にはスキーを楽しむ」
「温暖な海沿いで夏にマリンスポーツを満喫する」
など、自分の夢と現在の生活を両立した日々を送れるだろう。もちろん、今の居住地域が田舎なら、憧れの都会に生活拠点を持つのもアリ。
デュアルライフは、通常は1箇所でしか満喫できないその地域ならではの魅力を、2つも堪能できる贅沢な移住形式だ。
挑戦までのハードルが低い
デュアルライフのメリットを語るうえで欠かせないのが、数あるほかの移住形式に比べて、挑戦までのハードルが低いこと。
移住は人生の一大事。現在の生活拠点を手放し、新たな人生を歩むとなれば、誰でも不安を感じて当たり前だ。
しかしデュアルライフであれば、いざというときには元の生活に戻りやすく、より気軽な気持ちで挑戦しやすい。
また、家族の同意を得やすいのも嬉しいポイントだ。
自分は完全に移住をし、家族は元の生活を続けつつ長期休暇に遊びに来るなど、デュアルライフならそれぞれが自分の願うライフスタイルを叶えられる。
心機一転、新たな生活をスタートできる
デュアルライフは手軽な移住形式。にもかかわらず、心機一転して新たなスタートを切れるのは、通常の移住と同様だ。
移住後は何もかもが新鮮で、ワクワクしながら日々を進められる。
その土地ならではの新しい趣味も見つかるだろう。現状に閉塞感のある方も、週末や長期休暇にデュアルライフを始めることで、現在の生活まで好転するかもしれない。
「平日は拠点Aで働き、週末は拠点Bで楽しむ!」とライフスタイルを構築すれば、オンとオフの切り替えも簡単になる。
メリハリのある生活ができ、人生を最大限楽しむことにつながるだろう。
デュアルライフのデメリット
メリットの多いデュアルライフだが、残念ながらデメリットも存在する。それは、「金銭面」と「時間&労力面」だ。
交通費や二拠点の維持費など金銭面の負担は大きい
デュアルライフの大きな障害となるのが、金銭面だ。二拠点を維持するとなれば、家財道具も二拠点分を揃え、固定費も両方の拠点分を支払わなければいけない。
また、拠点同士が遠く離れている場合、電車代やガソリン代など移動にまつわる費用もかかる。特に週末ごとなど高頻度の移動を考えている方は、侮れない出費となるため要注意だ。
とは言え、昔ながらの「別荘」と異なり、デュアルライフでは2つ目の拠点に必ずしも豪邸を用意せずとも良い。地方なら広々とした一軒家が、家賃5万円ほどで貸し出されていることもよくある。
生活にメリハリが出て、仕事にも好影響が生まれることを考えると、許容できる範囲の出費といえるケースも多いだろう。
移動にまつわる時間的&身体的負担もかかる
デュアルライフにおける二拠点間の移動では、金銭のみならず時間的&身体的負担も軽視できない。
たとえば、拠点間の移動に4時間かかるとして、毎週移動しようとすればそれだけで週に往復8時間が費やされる。
貴重な時間が失われるのはもちろん、身体的にもダメージが大きく、移動後に思い切り楽しむためのバイタリティが残っていないかもしれない。
愛車で高速道路を走れば1時間半ほどで到着できるなど、2つ目の拠点はできるだけアクセスの良い地域を選びたい。
具体的に、デュアルライフをするのにおすすめの自治体は後ほど紹介する。
実際に試してみてどう?デュアルライフの体験談
移住を成功させるためには、実際に挑戦した先駆者の声に耳を傾けることも大切だ。デュアルライフの始め方の前に、体験談を見ていこう。
都会の利便性と雪国の魅力を堪能
冬の3ヶ月は新潟の越後湯沢、残りの季節は千葉県松戸市と、都会と雪国でデュアルライフを実践しているのが池辺政人さんだ。
池沢さんはスキーやマリンスポーツなどレジャーが大好きな方で、20代の半ばにはすでに多拠点で生活をしたいと考えていたそう。
そして32歳で、パソコン1台あればどこでも仕事のできる制作会社を起業し、2019年からはついに夢のデュアルライフを実践している。
後述する「区域外就学制度」の活用により、子どもも一緒に家族全員でデュアルライフを実現。YouTube チャンネル「とうちゃんはテンネンパーマ」を開設し、デュアルライフの模様を紹介するなど、人生を満喫中だ。
アクセスの良い地域でのデュアルライフを実現
ウェブマガジン「ココロココ」の編集長を務める奈良織恵さんは、東京の住まいとは別に、隣県である千葉県南房総市に二拠点目を購入された方だ。
ココロココは、“地方と都市をつなぐ・つたえる”をコンセプトとしたメディア。仕事で移住者の声を耳にするうちに、自分でも試してみたい気持ちが湧いてきたのだそう。
平日は都内で忙しく働き、週末は南房総市で庭の野菜を収穫するなど穏やかに暮らす、とメリハリのある生活をされている。将来的には、二拠点目を民泊としても開放することを考えているなど、夢は広がり続けている。
大好きなスキーをいつでも楽しめる環境に
作曲家にIT会社の経営者に大学の教員にと、マルチタスクを絵に描いたような方が高柳寛樹さん。高柳さんはこよなくスキーを愛する方で、東京に加えて長野県白馬村に二拠点目を構えたそう。
自身の手がける多種多様なビジネスを通じて、多くの人を白馬村に呼び込み、地域発展にも貢献中。町内会などとの交流はしていないそうだが、それでも多くの方から地元の人間として受け入れられている。
高柳さんいわく、「相談とか調査なんて飛ばしてやってしまうぐらいの思い切りのよさが必要だと思いますね。あれこれ考えるのはその後でもできますから」とのこと。失敗しても撤退しやすいデュアルライフの特性を考えると、この言葉はまさに金言といえるだろう。
地元岐阜と都会東京での暮らしを両立
出典:二地域居住の実践例① <岐阜↔東京>|国土交通省
都会東京と地元の岐阜との暮らしに成功したのが高田桃子さんだ。
現在、高田さんは岐阜県に本社を構えるデザイン会社「(株)リトルクリエイティブセンター」に勤務しており、同社が運営する東京のアンテナショップとの間を1週間ごとに行き来。
地元岐阜の魅力を、東京から全国に発信しようと活躍されている。
高田さんは東京での暮らしについては賃貸を借りるのではなく、ホテルに住まわれている。このような家ではなく宿泊施設を二拠点目とする移住も、デュアルライフの一種だ。
ご主人だけデュアルライフに挑戦したご家庭も
出典:移住者体験談|楽園信州
家族全員が揃って動くのではなく、ご主人だけがデュアルライフに挑戦したご家庭もある。
小野さん一家は東京で暮らしを続けるなかで、ある日、妻・美樹子さんが田舎への移住を希望。北アルプスの雄大な景観を眺められる長野県安曇野市に移住したいと考えた。しかし、夫は都会でのやりがいのある仕事を続けたい。
そこで、美樹子さんと子どもは安曇野市に移住し、夫のみが平日は都会で働き休日に安曇野市を訪れるデュアルライフを実践。
美紀子さんと子どもは自然を満喫でき、夫はオンオフの切り替えが容易になったと喜ぶなど、家族全員にとって幸せな移住を実現されている。
失敗しない!デュアルライフの始め方
では、いよいよ具体的なデュアルライフの始め方を見ていこう。今回は、失敗しないために押さえておきたい実現までのステップを解説する。
デュアルライフの目的を明確にする
何よりも最初に行うべきは、デュアルライフの目的をハッキリとさせることだ。
挑戦しやすいデュアルライフとは言え、移住には相応の負担がかかるもの。「何となく田舎でも暮らしてみたいような…」という曖昧な目的では、完遂は難しい。
・ウインタースポーツが大好きだから、冬にはいつでもスキーを楽しめる場所に拠点を持つ
・子どもを自然に触れさせつつ子育てをしたいから、田舎に拠点を持つ
・釣り好きで週末に1日中釣りをしたいから、海や川沿いに拠点を持つ
といったように、何を楽しみに二拠点目を持つのか明確にしよう。そうすれば、「憧れていた生活を実現できている!」と、デュアルライフ実践後の満足度も自ずと高くなる。
仕事や子どもの学校について考える
仕事や子どもの学校など、生活の基盤について考えることもデュアルライフでは大切だ。週末や長期休暇だけ二拠点目に済むのであれば良いが、そうでないなら対策が必要となる。
仕事については、近頃はテレワークも普及している。完全リモートで働ける会社も増えており、現在の仕事を継続できるケースも多いだろう。もちろん、あらかじめ二拠点目での仕事を見つけておくこともおすすめだ。
学校については、「区域外就学制度」と呼ばれる制度がある。教育委員会との協議次第で、学区にとらわれず別の市町村の学校に通える制度だ。
もともとはいじめ問題などに活躍する制度であったが、最近ではデュアルライフにあたっての活用も認められつつある。二拠点目の自治体に相談してみるのも良いだろう。
移動の負担も考慮しつつ大まかなエリアを決める
上述の通り、デュアルライフでは拠点間の移動負担は大きなデメリットとなる。
理想の住環境を見つけるのは前提だが、金銭・時間・労力とどのコストから見ても移動負担は少なければ少ないほど良い。
毎週末に移動したいのか、長期休暇のみなどたまに移動したいのかによっても、考慮すべき移動負担は変わってくる。「おおよそこのくらいであれば許容範囲だ」という費用と時間のラインを決めよう。
車で2時間、新幹線で2時間、飛行機で1時間など、自分の理想とする移動のイメージが決まった後は、大まかに二拠点目を持ちたいエリアを見つけよう。日本地図に丸を付けていくのもおすすめだ。
短期移住や体験ツアーなどに挑戦する
大まかなエリアが決まった後は、Webページなどで個別の自治体をチェックしていく。このとき、できる限り短期移住や体験ツアーに参加しよう。
移住では憧れだけを抱えて挑戦した結果、「こんなはずでは…」と後悔してしまう例も多い。短期移住や体験ツアーで実際にその場所の雰囲気を感じることで、理想とのギャップを確認できる。
場合によっては、その土地にすでに移住した方とお話をできる機会もあるだろう。先行移住者の生の声は、得がたい情報源となり得るため、ぜひ積極的に質問してみよう。
自治体担当者と相談しながら物件を見つける
体験ツアーなどを通じて、二拠点目を持ちたい地域を見つけられたなら、後は住居を探すのみ。自治体担当者にデュアルライフをしたい旨を伝え、住居探しのアドバイスをもらおう。
空き家バンクを使って古民家を買うのか、通常の賃貸を借りるのか、自分の希望を具体的に決めておくことが大切だ。希望が明確に定まっていれば、活用できる移住支援制度を教えてもらえることもある。
実際に住居を契約できたなら、いよいよデュアルライフを始めるときだ。人生を2倍楽しむために、両方の地域の魅力を満喫していこう。
デュアルライフにおすすめの自治体10選!
最後に、デュアルライフにおすすめしたい10の自治体を紹介する。
都内からのアクセスが良かったり、デュアルライフの支援制度があったりと、いずれも二拠点目にもってこいの地域だ。
「今の生活拠点に加えて、ここにもうひとつ拠点があるとどうなるだろう?」と、デュアルライフ開始後のイメージを想像しながら吟味してみて欲しい。
【石川県】小松市(こまつし)
出典:こまつデュアルライフ支援制度|小松市
まず紹介するのは、デュアルライフの支援に力を入れていることで有名な自治体、石川県小松市。弥生時代から「碧玉」を用いたモノづくりを行っていたという、石の文化が充実した穏やかな土地だ。
小松市はこまつデュアルライフ支援制度を用意しており、お試し移住や市内でのテレワーク等に挑戦する方に対して、月額1万円(同居人の人数が増えるごとに5,000円増加)などの資金補助を行っている。
移住者の数も年々増加しており、デュアルライフを受け入れてもらいやすい環境が整っている。飛行機で東京羽田から1時間と、移動を短時間で済ませやすい点も嬉しい。
【千葉県】南房総市(みなみぼうそうし)
出典:支援・補助金について|南房総市
「ココロココ」の編集長を務める奈良織恵さんの体験談でも紹介した、千葉県南房総市。東京から車で約100分とアクセスが良好で、気軽にデュアルライフに挑戦できる街だ。
南房総市は「富山」「三芳」「千倉」など7つの地域に分かれているが、いずれも自然豊かなほど良い田舎だ。田畑に囲まれたいから三芳、海の見える場所に住みたいから千倉と、エリアを考えるだけでワクワクしてくる。
住宅取得奨励金交付制度を用意していたり、中学3年生までの子ども医療費が無料だったりと、南房総市は移住支援の充実した自治体でもある。
まずは自治体の担当者に相談してみてはいかがだろうか?
【徳島県】阿波市(あわし)
出典:移住促進|阿波市
400年の歴史を持つ「阿波おどり」の名でも有名な、徳島県阿波市。徳島県の中央に位置する市で、肥沃な大地と温暖な気候を併せ持つ、県内有数の農業地帯だ。東京からは飛行機と車の利用で、約2時間半で到着する。
阿波市はデュアルスクールと呼ばれる、都会と地方の学校両方を行き来できるシステムを推進している自治体だ。区域外就学制度の運用により、住民票を移動させずとも阿波市で教育を受けられる。
もちろん、出席日数も両学校の就学期間を合算してもらえるため、進学にも支障はない。デュアルライフにあたって、子どもの教育に不安があるときにも解決策となってくれるだろう。
【神奈川県】三浦市(みうらし)
出典:みうら暮らし~三浦市移住ポータルサイト~|三浦市
青い海と白い砂浜でマリンスポーツを楽しみ、マグロや大根に代表されるたっぷりの名産品を味わえるのが、神奈川県三浦市だ。相模湾と金田湾に囲まれており、東と西どちらに進んでも海に突き当たる。
三浦市は釣りのメッカとしても有名。ゴチ(メジナ)やクロダイ(チヌ)など人気の魚もたくさん釣れるため、贅沢な休日を満喫できる。もちろん、釣りだけでなく実際に海に入り泳ぐのも良い。
三浦市はトライアルステイも積極的に実施しており、移住前には土地の雰囲気を自分の目で見て確認できる。憧れの海の見える地域に拠点を持ち、デュアルライフを始めてみては?
【長野県】佐久市(さくし)
出典:二地域居住推進の取り組みについて|長野県佐久市
リモートワークにより、現在の仕事を継続しながらデュアルライフを開始したい方にぴったりなのが、長野県佐久市だ。群馬との県境にある市で、四方を雄大な山々に囲まれた、山の魅力を堪能できる街。
長野県佐久市は佐久市リモートワーク実践者スタートアップ支援金を用意しており、佐久市との二拠点生活を始めつつリモートワークをすると、5万円の補助金を受け取れる。
さらに、通勤や顧客との商談で新幹線に乗る機会があるのなら、新幹線乗車券等購入費支援金として月額2万5千円を最大3年間まで受け取れる。経済面をカバーしつつ、デュアルライフを実践できるだろう。
【福岡県】糸島市(いとしまし)
出典:糸島に移住を考えている人へ|糸島生活
寛大で人情に厚い方が多いイメージも強い九州に二拠点目を持ちたいなら、福岡県糸島市がぴったりだ。
糸島市は福岡空港や博多駅、県内有数の繁華街などへのアクセスが良好な土地。福岡空港と東京羽田空港はおおよそ1時間45分ほどで行き来できるため、距離からは想像もできないほど移動しやすい。
「白糸の滝」や「姉子の浜」のような観光スポットもあるほか、エリアによって海も山もどちらのレジャースポーツでも楽しめる。少し足を伸ばして博多グルメを満喫する、なんていうのも良いだろう。
【山梨県】甲府市(こうふし)
出典:山梨県の取組・支援策|やまなし未来創造インフォメーションサイト
新宿から特急列車で90分と抜群のアクセスを誇るのが、山梨県の県庁所在地である甲府市。国内ワインの王様「甲府ワイン」を楽しんだことのある方も多いのでは。
ブドウが美味しく育つことからもわかるように、穏やかな自然を満喫できる農業地帯だ。桃や柿などのほかの果樹もたくさん育てられており、果物好きにはたまらない。
山梨県サテライトオフィス等お試し体験事業費補助金により、法人を誘致しようと動いているなど、移住者を積極的に迎え入れている自治体でもある。
まずは「デュアルライフに興味が…」と相談してみてはいかがだろうか?
【埼玉県】秩父市(ちちぶし)
出典:お試し居住|暮らす、秩父
「やはり何日か実際に住んでみてから決めたい」そんな願いを叶えられるのが、埼玉県の南西に位置する秩父市だ。豊かな山林に囲まれた盆地で、四季折々の気候の変化を満喫できる土地。
秩父市ではお試し居住用の住居を用意しており、3~7日間に渡って生活できる。しかも、所定の面談(オンラインも可)を経る必要こそあるものの、利用料は無料だ。
実際のところ自分や家族に田舎暮らしは合っているのかと、しっかりと確かめたうえで、新しいライフスタイルに挑戦できるだろう。
【栃木県】栃木市(とちぎし)
出典:とちぎで暮らそ 栃木市移住・定住支援情報|栃木市
都心から車でも電車でも1時間と、圧倒的なアクセスの良さを誇るのが栃木県栃木市。全国二地域居住等促進協議会の公式ページで、先進事例として挙げられているほど、デュアルライフに積極的に取り組んでいる市だ。
栃木市は「”ある”が嬉しい緩やか栃木」をキャッチコピーに掲げ、自然や歴史、文化に安心して暮らせる住環境まで、何もかもが“ある”町づくりを進めている。
空き家を活用した移住者(デュアルライフ希望者含む)の受け入れを推進しており、最長1ヶ月も3万円で宿泊できる移住体験施設もある。距離の面でも制度の面でもデュアルライフ開始までの現実的なハードルが低く、おすすめだ。
【沖縄県】久米島町(くめじまちょう)
出典:久米島町 | おきなわ島ぐらし
最後に紹介するのは、言わずと知れた人気移住先である沖縄県。そのなかでも西側の離島である久米島町だ。東京→那覇まで2~3時間+そこから30分の飛行機で到着する、美ら海に囲まれたエリア。
琉球一美しいともいわれる久米島は、人口7,607人(2021年11月末現在)の小さな島。マリンスポーツはもちろんのこと、海ぶどうや紅イモ、車海老といったご当地食材も豊富で、夢のリゾート生活を楽しめる。
月に1回などのお楽しみとして訪れれば、日々のストレスもすべて吹き飛びそう。デュアルライフの実現にあたっては、久米島島ぐらしコンシェルジュへの相談が可能だ。
デュアルライフでひとつの場所にとらわれない生き方を!
この記事では、デュアルライフとは何か、そのメリット&デメリット、体験談と失敗しない始め方、おすすめの自治体まで紹介した。
上述の通り、デュアルライフは通常の移住より挑戦のハードルが低いにもかかわらず、心機一転新たな生活をスタートできるのは同様だ。区域外就学制度を使えば、子どもの学校問題も解決する。
また、家族の中で誰かひとりがデュアルライフをしたり、特定のシーズンのみ移住したりと、自分たちの理想に合わせて調節するのも良いだろう。まずは、気になった自治体に問い合わせをしてみて欲しい。