四国に位置する徳島県は、阿波おどりで全国的に有名だ。もちろん、徳島県の魅力はそれだけではない。この記事では、移住先としてのメリットも大きい徳島県について、移住に関する支援金・補助金などとあわせて紹介する。
自治体別(市町)別の支援制度もピックアップしているので、ぜひ移住先選定の際の検討材料にしてみてほしい。
移住する前に知っておきたい徳島県の基本情報


地理
徳島県は、四国東部の県である。県全体の75%を森林・山野が占めており、平地は少ない。
県の北側が香川県、西側が愛媛県、南西側が高知県とそれぞれ接しているほか、北東部の大鳴門橋を通じて兵庫県とのアクセスが良く、陸路で本州への移動も可能だ。
また、和歌山県とはフェリーを使えば2時間ほどで往来が可能である。県の東側は紀伊水道、南東側は太平洋にそれぞれ面している。
人口
県人口は約70.2万人である。うち、35%強の約24.9万人が、県庁所在地である徳島市に住んでいる。
(いずれも人口は2023年1月時点のもの)
参考:徳島県|ウィキペディア
気候
徳島県の気候は、県中央を貫く四国山地の北側と南側に大別される。県北部は一般的な瀬戸内気候であり、1年中を通して比較的温暖少雨である。
一方県南部は太平洋側気候であり、夏は雨が多く冬は雨が少ないという特徴がある。また、台風が上陸・通過することが多い。
県全体を通して温暖な気候のため、雪はほとんど降らない。
産業
農業では、一大品種である鳴門金時(サツマイモ)、レタス、ニンジンなどの園芸作物や、スダチなどのフルーツ栽培が行われている。
また、阿波畜産3ブランドとして、阿波牛・阿波ポーク・阿波尾鶏が指定されており、いずれも高い品質を誇っている。
水産業においては、鳴門のタイやワカメ、吉野川の清流で育まれるアユなどが盛んである。
森林地帯を活かした林業も盛んだったが、現在では高齢化・後継者不足などの問題が生じている地域も少なくない。
紀伊水道に面した地域は徳島工業地区に指定されており、医薬品、LED、リチウムイオン電池などの大型工場がある。
徳島県への移住おすすめポイント


次のような条件に魅力を感じるなら、徳島県への移住がおすすめだ。
自然を楽しめる
山野と海、どちらにもアクセスの良い徳島県は、アウトドア派な人にぴったりの環境である。釣りを目的にして徳島県への移住を決めた人もいるほどである。
自然が多く空気がきれいな地域が多いため、のびのびとした生活が送りやすい。
優しい人が多い
徳島県の県民性は、「質素倹約で真面目、打ち解ければ人懐っこい」と表現される。
商都大阪に近いこともあり商人気質、割り切った損得勘定で動くことも多いといわれるが、仲良くなれればかなり砕けた関係性にもなりやすいともいわれている。
また、近所同士で助け合うなどの東京ではあまり得られない習慣が色濃く残っている場合もある。
一方的に助けてもらうばかりでなく、ギブアンドテイクの関係性をうまく構築すれば、より生活が楽しく、豊かになるだろう。
豊かな食文化
豊かな自然から得られる食の豊かさも、徳島県の魅力のひとつだ。農業、漁業ともに盛んであるため、山の幸、海の幸両方を、比較的安価に楽しむことができる。
また伝統的な郷土料理のほか、特徴のある3種類のスープが楽しめる徳島ラーメンも、ご当地ラーメンとして人気がある。
徳島県へ移住する際に注意したい点


徳島県に移住するのであれば、次のような点にはあらかじめ留意しておきたい。
車社会なので自家用車は必須
徳島県は、鉄道をはじめとする公共交通機関が、東京圏に比べて制限されている。運行本数が限られているため、他の市町村・県への移動は自家用車がないと大変だ。
また、スーパーなどの買い物に行く場合でも、基本的には自家用車での移動を考えておく必要がある。
台風への備えは必須
徳島県は、台風が多い地域だ。また、土地の特性上、山が多く平野部が狭いため、大雨による床上浸水被害などを受けるリスクがある。
台風への備えは必須と言える。
就職先は豊富とは言い難い
ノープランのまま徳島県で新規就労するというのは、ややハードルが高い。仕事の募集は多いとは言えず、最低賃金も全国31位(時給855円)である。
徳島県で募集している職をあらかじめ見つけておく、もしくは徳島県で起業するなど、徳島県で働く具体的なビジョンを持ったうえでの移住を検討したい。
徳島県の移住ポータルサイト「住んでみんで徳島で!」が便利
出典:住んでみんで徳島で!
徳島県への移住を検討したいときにおすすめのサイトが、「住んでみんで徳島で!」である。このサイトは、徳島県が公式に運営しているため、情報の安全性・確実性が非常に高い。
徳島県の基礎情報について包括的にまとめられているほか、暮らしのイメージ、住宅のイメージ、仕事のイメージなど、実際に徳島に移住した人へのインタビュー記事などが掲載されている。
移住者にとって気になるさまざまな内容を扱っているため、徳島県移住を目指す人にとっては必見のサイトである。
移住支援金は東京近郊からの場合のみ


徳島県に移住するにあたって、気になるのが移住支援金である。支援金額は、単身の場合60万円、2人以上の世帯の場合100万円※であるが、対象者に限定条件がある。
それは「東京23区内に住んでいた、または東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県から東京23区内に通勤していた人のみが対象」という点である。
この住所・勤務地に対する条件は非常に大きいので、あらかじめ理解しておく必要があるだろう。
他にも細かい制限要件があるため、移住前に、自分が対象者になっているかどうか、確認しておこう。
※2023年度4月より1世帯につき最大100万円の支給に加え、18歳未満の子どもに対する支援金がひとりあたり最大30万円から100万円に加算される予定


徳島の魅力を感じるために移住体験施設を利用しよう!


徳島県への移住が自分に向いているか確認するためにおすすめなのが、移住体験施設の利用である。
移住体験施設では、一軒家などをショートステイ形式で借りて、そこで数日過ごしてみることができる。
料金は割安なので、積極的に活用したい。
【阿波市】土成の家
出典:しあわせ暮らし
土成の家は、阿波市土成町にある移住体験施設である。最短1日から最長31日まで、1泊1,500円で6LDKの家が借りられる。
通常はシェアハウス形式だが、現在は1組ごとの利用となっている(2023年1月現在)。
【三好市】お試し暮らし住宅
出典:一般社団法人三好みらい創造推進協議会
市外からの移住を検討している人を対象に貸し出しを行っている移住体験施設である。趣や定員の異なる4棟から、希望の家を借りることができる。
原則として利用は1ヶ月単位であるため、三好市での生活をしっかりと味わい、移住を検討することができる。
【美馬市】移住お試し住宅
出典:美馬市移住おためし住宅|美馬に夢ひらく
美馬市の移住お試し住宅は、1日640円で最短1日から最長30日まで借りられる住宅である。
寝具、タオル等の備え付けはないが、美馬市に移住を検討している人なら、1ヶ月2万円以下でお試し移住ができる非常にお得なプランだ。
【海陽町】いもちの家
出典:移住交流施設いもちの家|NPOあったかいよう
いもちの家は、海陽町に短期・長期での移住体験ができる施設だ。最短2泊、最長3ヶ月の移住体験ができるため、より本格的な移住の検討が可能である。


徳島県|移住におすすめの自治体(市町)4選!


徳島県では、前述のとおり東京圏からの移住者に移住支援金が出る。それ以外の支援金・補助金などについては、各市町村で違いがある。
こうした支援の内容と住みやすさから、移住先としておすすめの市・町を4つ選んで紹介する。
石井町(いしいちょう)
出典:石井町移住定住情報サイト
徳島県でも特に住みやすいといわれているのが石井町である。県庁所在地の徳島市のベッドタウンとして栄えており、大型ショッピング施設などもある。
石井町では、就農支援・創業支援などが手厚く行われている。町の商工会議所や役場と連携し、初期の不安定な経営を金銭面・情報面からサポートしてもらえる。
また、ひとり親家庭等入学支度金制度として小中学校への入学時に3万円の補助があるほか、幼児教育・保育料の無償化など、子育て支援も手厚いのがうれしい。
鳴門市(なるとし)
出典:NRUTO 3RD
鳴門市は徳島県の北部に位置し、香川県や淡路島経由で本州へのアクセスが良い。人口規模も徳島県内第3位であり、地方都市としての機能も備わっている
鳴門市で特に大きなメリットとなるのは、中学生までの医療費減免、産後のケア事業など、育児・出産に関する手厚さである。
最大10泊までのお試し移住もあるので、ぜひ活用したい。
三好市(みよしし)
三好市は徳島県西部、四国のほぼ中央に位置する、自然豊かな市である。
三好市で特筆すべき点は、高校生・高専生・大学生に対する奨学金の無利子貸与、幼稚園・小学生・中学生への給食費無償など、教育に対する手厚い支援である。
乳児家庭保育支援金が乳幼児1人につき月額3万円支給されるなど、子育てに関してもフォローが厚い。
阿南市(あなんし)
出典:阿南市
阿南市は、徳島市に次いで人口が県内第2位の、県南東部に位置する市である。街が海に近いため、釣りなどの趣味がある場合には特におすすめしたい。
阿南市が指定する居住誘導地区で住居を新築、もしくは中古で購入する場合、基本支援額30万円に追加する形で、加算補助20万円が得られる。
また、阿南市民は18歳未満の医療費自己負担分が無料となるなど、子育て世帯に対する支援策が厚い点も大きなメリットだ。
徳島移住で理想の生活を手に入れよう


徳島県は、自然の魅力にあふれており、こうした生活にメリットを感じる人にとってはおすすめの移住先である。
また、移住支援策も全体的に子育て世帯・創業支援への配慮が手厚いものが多いので、のびのびと育児・創業する環境が整っていると言えるだろう。
ただし、移住支援金は東京23区に居住、ないし通勤していた場合にしか受け取れないなど、制限がある点には注意したい。
さまざまな角度から検討し、徳島県への移住を実りあるものにしてほしい。





