埼玉県は生活に困らない施設が充実していて、多くの人で賑わう繁華街や、少し足を伸ばせば自然が豊かなエリアもあり魅力的な県だ。首都圏へのアクセスもしやすく、二拠点生活を考える人にもおすすめ。
そんな埼玉県の基本情報から移住支援制度(補助金)、さらに移住先に選びたい自治体(市町村)をいくつか紹介する。
移住する前に知っておきたい埼玉県の基本情報
移住する前には、その土地の地理や気候、産業などを知っておくと良いだろう。
地理
埼玉県は関東地方の内陸にあり、東西南北で1都6県と隣接している。総面積は約3,800㎡。県内には利根川・荒川・江戸川など大きな川が流れているのが特徴だ。
県全体の水辺が占める割合は全国6位、河川の面積に限定すると全国2位となっている。
埼玉県は南部、北部、秩父地方の3つに分かれる。南部は東京のベッドタウンと言われる。県庁所在地のあるさいたま市、川越市や川口市、所沢市は南部に含まれる。
北部には熊谷市や深谷市、久喜市や鴻巣市などがあり、秩父地方は自然が多く残るエリアだ。
人口
埼玉県の総人口は7,336,778 人で、世帯数は3,240,419 世帯だ。
参考:02人口|彩の国 埼玉県
気候
埼玉県は太平洋気候に属していて、夏は高温で雷がよく発生する。真夏は40℃以上を記録する地域もあり暑さは厳しい。
冬は空気が乾燥していて季節風が吹くのが特徴だ。県内でも秩父地方は他の地域と違う気候で気温が低め。冬季は特に夜の冷え込みが厳しい。
産業
埼玉県の産業は出荷ベースでは、輸送用機械や化学工業、食料品が多い。
スポーツや実用車を含む特殊車、革製ケース、鉛筆芯、35ミリカメラなどの出荷額が全国第1位だ。
埼玉県は他にも以下のような地場産業がある。
- 繊維用品
- 機械、金属
- 皮革、窯業
- 木材、木製品
- 食料品
埼玉県が移住におすすめな5つの理由
埼玉県を移住先に選びたい5つの理由を紹介する。
東京圏へのアクセスがよく通勤に便利
埼玉県への移住を検討する理由の一つに、「東京までのアクセスが良い」ことがある。県内の主要駅である大宮駅は、以下の通り東京までの路線が走っている。
- JR(京浜東北線、東北本線、埼京線、湘南新宿ライン、上野東京ライン)
- JR新幹線(東北・北陸・上越)
また、私鉄の西武池袋線や新宿線、東武東上線、地下鉄の一部が東京に乗り入れている地域もあり、住む場所を選べば埼玉県に住みながら東京圏への通勤も可能だ。
少し足を伸ばすと自然豊かなエリアがある
埼玉県の秩父地方は豊かな自然が残るエリア。埼玉県の中心部からは車で2時間程度で秩父地方に着く。公共交通機関でも約1時間半でアクセス可能だ。
秩父地方では山と川の風景を楽しめるほか、温泉地もある。また、自然を活かしたラフティングなどのアクティビティもできる。
移住エリアの選択肢が多い
埼玉県はニュータウンと呼ばれるエリアや繁華街が近くにあるところ、歴史と文化を感じられるところなど、住むエリアによってさまざまな特色を持っている。
移住を希望する側として、移住エリアの選択肢が幅広いことはメリットになるだろう。
自治体の街づくりが評価されている
埼玉県は各自治体が積極的に街づくりに携わっていることが評価されている。
商業施設の招致、自然災害への準備、子育て世帯への支援や治安向上や維持など、住民が暮らしやすさを感じられるような支援や開発などを行っている。
商業施設が充実している
埼玉県で人気の街には商業施設が充実している。
- ララガーデン春日部、イオンモール春日部
- アリオ川口
- グランエミオ所沢
- イトーヨーカドー三郷店
これは一例であって、他にも越谷市のイオンレイクタウンやCOCOON CITY(コクーンシティ)さいたま新都心、ららぽーと新三郷など、大型ショッピングモールがあり、住むエリアによっては買い物には困らないのが魅力だ。
埼玉県の移住支援制度(補助金)
ここからは、埼玉県の移住支援制度について見ていこう。
移住希望者全員に向けた支援制度
まずは埼玉県が移住希望者全員に向けた住宅支援金の制度だ。
支援金の支給対象となるのは、東京23区に在住か通勤していて、県内対象地域9市町村に移住している単身の人または世帯人員。
単身の場合は60万円、二人以上の世帯の場合は100万円※が補助される。
また、対象地域の中小企業に就職、または起業した人、移住前に勤務している業務をテレワークで継続する人も対象になる。
※2023年度4月より1世帯につき最大100万円の支給に加え、18歳未満の子どもに対する支援金がひとりあたり最大30万円から100万円に加算される予定
住まいの支援
県による新築住宅支援制度は既に終了しているので注意しよう。ただし、各市町村では引き続き助成等の制度が行われている。詳しくは各自治体のホームページで確認をしてほしい。
子育ての支援
埼玉県の子育て支援制度の一つに、「パパ・ママ応援ショップ」がある。これは、
- 18歳に達して次の3月31日を迎えるまでの子ども
- 妊娠中の人がいる家庭
に配布している優待カードを協賛店に提示すると割引サービスなどが受けられる制度だ。優待カードにはスマートフォンアプリ版もある。
埼玉県の子育て支援には、子育て短期支援事業という制度がある。
- 保護者が入院や通院をしている
- 保護者が出張や冠婚葬祭への参加が必要になった
などという理由で一時的に子育てができない場合、児童養護施設でショートステイまたは夜間養護をしてもらえる事業だ。
子育て短期支援事業を実施していない市町村もあるため、詳しくは各自治体に確認しよう。
また、県内の自治体は独自の子育て支援を行っている場合もある。
就職の支援
埼玉県では、対象の9市町村に移住して就職する人を対象に求人の紹介および移住支援金の助成を行っている。
対象地域
秩父市・飯能市・本庄市・ときがわ町・横瀬町・皆野町・小鹿野町・東秩父村・神川町
埼玉県が公式ホームページを立ち上げており、求人紹介を行っている。もしも希望に合う募集がない場合はスカウト登録もできる。
埼玉県内のおすすめ移住エリア(自治体)7選
ここからは埼玉県内の中でも移住におすすめの自治体を7つ紹介していこう。
日高市(ひだかし)
出典:ひだか暮らし
埼玉県の南西部にある日高市(ひだかし)には、人口約57,000人が暮らしている。
市内には東京(池袋)までの路線が乗り入れていて、急行に乗れば約1時間で到着するアクセスの良さも特徴だ。
日高市の西側は秩父山地が連なる丘陵地。ハイキングコースが整備されていてハイキングする人が絶えない。
東側は武蔵野の面影が残る街並みがある。日高市の観光スポットとして有名なのが巾着田というエリアだ。秋になると真っ赤なヒガンバナが一斉に咲き花の名所として知られている。
日高市は市内の保育施設の待機児童が0人。家庭環境の変化や、共働き世帯の増加で保育施設を利用する人の需要に対応するため、保育施設の充実に努めている。
また、医療施設の充実も注目したいところ。高度先進医療を提供する埼玉医科大学国際医療センターがある。人口10万人当たりの病床数・医師数・看護師数は県内トップクラスだ。
日高市の移住支援制度は、以下の通り。
【住まい】
- 地震防災・耐震診断・耐震改修
- 相続した空き家の譲渡所得の特別控除
- マイホーム借上げ制度
- 子育てファミリーウエルカム事業補助金
- 空き家、空き地バンク
- 子育て世帯移住促進家賃補助金
- 子育て世帯Uターン定住支援金
【就業】
- 創業支援事業および支援補助金
- 新規就農支援
- テレワーク活用移住者支援金
【その他】
- 移住検討者のレンタカー支援金
- 移住者のペーパードライバー講習支援金
日高市ではZoomによるオンライン移住相談も行っている。
飯能市(はんのうし)
出典:移住定住・住まい・空き家・リフォーム|飯能市
人口約78,000人が住む飯能市(はんのうし)は、埼玉県南西部に位置している。飯能市は東・西・北側は埼玉県の市町に隣接し、南側は東京都青梅市と奥多摩町に接している。
飯能市の地形は山・丘陵・台地の3つに分けられる。台地部分には市街地が発達していて、山地と丘陵地は自然に触れられる場所がある。
飯能市は昭和40年代から宅地化の進展、高校や大学などの建設、工場の立地などが進み、首都圏の近郊住宅都市として発展した。
飯能市は東京都心から約50km圏内にある。西武池袋線の始発駅で、ゆっくり座って通勤ができ、池袋へは最短約40分でアクセス可能だ。
飯能市では“農のある暮らし”「飯能住まい」制度を進めている。これは飯能市に移住する人で農業に関するプログラムを体験し、農ある暮らしを生活の中で実感できる制度だ。
豊かな自然のある飯能市には、「Meets!×住まいるプロジェクト」という子育て支援がある。
これは、妊娠中から始まり子育て中も切れ目のないサポートを受けられる子育て支援で、子どもが安心して自然と触れ合いながら、成長できる町を目指している。
飯能市の移住支援を一部紹介する。
【住まい】
- 飯能市住宅リフォーム事業補助制度
- 多世代同居・近居住宅取得事業補助制度
- 西川材使用住宅等建築補助金
- 住宅用省エネ等設置補助制度
【就業】
- 就業支援
- 起業支援
- 就農相談
【子育て】
- 0歳児おむつ無償化事業
- 子ども医療費制度
- 高等学校等通学費補助金
飯能市はまちづくり推進課・ふるさと回帰支援センター・移住相談会などで移住希望者の相談にのっている。
秩父市(ちちぶし)
出典:暮らす、秩父
秩父市(ちちぶし)には約59,600人が住む埼玉県北西部にある街。面積は埼玉県内で最も広い。秩父市の中心地は盆地にある。北西には農村が、南西部には山林が広がる。
秩父市内には2路線が乗り入れていて、東京都内へのアクセスもしやすい。池袋へは特急電車を使って最短で約1時間10分で到着する。市内からは高速道路も走っている。
秩父市には前の住まいから完全に移住してきた人、前の住まいと秩父市との二拠点住まいをしている人、Uターンした人などさまざま。
秩父で憧れのセカンドライフを過ごしたい人向けの事業もあり、シニア世代の移住も叶う。
秩父市の移住支援制度は
【住まい】
- 空き家リフォーム等工事費助成金
- 住宅リフォーム等工事費助成金
- 空き家バンク
【就業】
- 若者移住者(IJUターン)就職奨励金
【その他】
- 軽自動車購入費助成金
などがある。
さいたま市(さいたまし)
出典:さいたま市に住もう
県庁所在地があるさいたま市は、新幹線・JR各線・私鉄が乗り入れる。平成15年には全国で13番目の政令指定都市となった。
さいたま市の人口は約127,0000人。日本で9番目に人口が多い都市だ。商業施設も充実していて、住民からは生活に困らないとの声が挙がる。
都内へのアクセスの良さからさいたま市に住みながら東京に通勤する人も多い。
買い物や娯楽が楽しめる施設が多いさいたま市だが、都会すぎずほどよく発展しているため暮らしやすい。
2021年度の住民基本台帳の人口移動報告では、埼玉県への転入者数は増えている傾向にある。特にさいたま市は転入超過数が全国一位になるなど、若い子育て世代の流入が目立っている。
さいたま市では教育に力を入れていて独自の取り組みがある。英語教育「グローバルスタディ」は国に先駆けて実施。文部科学省が調査した英語教育実施状況の結果では、国の目標を大きく上回った。
さいたま市の移住支援には、
- さいたま市勤労者支援資金融資(住宅・教育資金・冠婚葬祭)
- 耐震シェルター等助成制度
- 浸水住宅改良資金融資制度
など住宅に関するユニークな支援が多い。
戸田市(とだし)
出典:戸田市に住もう!|戸田市情報ポータルサイト
荒川を境に東京都と隣接する戸田市(とだし)。水と緑が豊かなエリアだ。
JR 埼京線が乗り入れていて、新宿や渋谷方面にも容易にアクセスできるほか、赤羽駅で東京上野ラインに乗り換えて東京や神奈川方面にも行ける。
戸田市は埼玉県の中でも平均年齢が低く、若い子育て世代が多く住む。市内には子どもが遊べる公園も多い。
戸田市では子育て支援に力を入れていて、以下のような支援をしている。
- 子育てサロンの運営
- 中学生までの医療費助成
- 産前産後支援ヘルパー
戸田市は埼玉で子育て支援が充実した市町村に住みたい人は検討してほしい街だ。
小川町(おがわまち)
都心から約1時間で到着する小川町(おがわまち)は、有機農業の草分けでもある町だ。埼玉県の中心部に位置していて、約30,500人が暮らしている。
町内には多くの有機農家があり、直売所はもちろん、スーパーでも有機野菜を手に入れられる。秩父山系から流れる良質の水を使い作る地酒も有名で、町内には造り酒屋が3軒ある。
小川町の待機児童数は0人。3人の子どもからは保育料が無料になっていて、子育て家庭が安心して暮らせる制度が整う。町内には小児科が6ヶ所あり、出産できる産婦人科が入る病院もある。
小川町の移住支援は
- 結婚新生活支援事業補助金
- 空き家活用促進事業補助金
- 起業相談
- 農業相談
などがある。
東松山市(ひがしまつやまし)
出典:埼玉県東松山市移住定住サイト
埼玉県の真ん中にある東松山市(ひがしまつやまし)は、緑が豊かなエリアでありながら、都心まで電車に乗って1時間で行ける便利さもある。
人口は約90,400人で、首都圏のベッドタウンとしても発展している。
東松山市には豊かな自然を活かしたアクティビティスポットもあり、休日は子連れ客で賑わう。
東松山市は手厚い子育て支援でも注目されている。市内には幼稚園から大学まで揃っているため、子どもの教育を市内で完結させることも可能だ。
また、子どもの医療費助成や、第3子以降の保育園無料化、東松山市リフレッシュチケットなど、保護者の育児負担を軽減させる制度も整う。
東松山市には他にも以下のような移住支援がある。
- 空き家バンク
- 移住促進空き家利活用補助金交付制度
- 東松山市既存住宅太陽光発電設備設置奨励金
- 住宅耐震診断・改修補助金交付制度
埼玉移住は都会暮らしと田舎暮らしを両方楽しめる
都心に近い利点と、足を伸ばせば自然を楽しめる埼玉県は、移住はもちろん二拠点住まいとしてもおすすめの県だ。
今の仕事環境を変えずに移住を叶えたい人、子育て支援が充実しているエリアに住みたい人など、さまざまなニーズにも応えられる埼玉県への移住を検討してみるのはいかがだろうか。