近年、注目を集める「二拠点生活」というライフスタイル。この記事では、二拠点生活でもらえる補助金や費用面のあれこれを中心に、始め方やおすすめの自治体もあわせてご紹介します。
二拠点生活にかかる費用


二拠点生活を始める際に気になるのは、なんといっても費用面ではないでしょうか。
まずは、初期費用やランニングコストについて確認していきましょう。
初期費用
二拠点生活で必要な初期費用には次のようなものがあります。
- 敷金礼金または住宅購入費用
- 家具家電の購入費用
一般的に、賃貸物件を契約する場合の初期費用は、家賃の約5~6ヶ月分が相場。
そのため、例えば家賃60,000円のアパートを借りるなら、初期費用として30万円~36万円程度を見込んでおく必要があります。
住宅を購入する場合は、土地や建物の売買代金のほか、登記費用・住宅ローン借入費用などの諸費用もかかるため、賃貸物件よりもまとまった出費が発生すると考えておきましょう。
ランニングコスト
二拠点生活にかかるランニングコストとしては、
- 家賃
- 固定資産税(住宅購入の場合)
- 水道光熱費
- 通信費
- 日用品費
- 火災保険料
- 交通費
などが挙げられます。
まず、賃貸物件であれば家賃や管理費、住宅購入の場合は固定資産税がかかります。さらに、生活費として水道光熱費や通信費、日用品費、火災保険料などの支払いも必要に。
交通費は移動距離や移動手段、拠点間を行き来する頻度などによっても異なるので、候補地ごとにしっかりシミュレーションしておくのがよいでしょう。
お金のかかる二拠点生活。補助金・支援制度を活用しよう


何かとお金がかかる二拠点生活。
成功させるためには、国や自治体の移住支援制度・補助金をうまく活用することがポイントになってきます。
国が実施する「地方創生移住支援事業」
国が地方創生の一環として行っているのが、地方創生移住支援事業。移住者に支援金を支給する地方自治体に対して、国がその取り組みをサポートする制度です。
支給額は、単身移住の場合は最大60万円。世帯で移住する場合は最大100万円で、さらに、18歳未満の世帯員を帯同して移住する場合は、18歳未満の者一人につき最大100万円が加算されていきます。
対象者は、東京23区内に在住または東京圏から23区へ通勤している人。さらに、移住後にその地域で就業もしくはテレワークを行うなどの要件を満たす必要があります。
ただし、支援金を受け取るには地方自治体への転入、つまり住民票の移動が必須となる場合がほとんど。また、自治体によっては事業を実施していない場合もあるので、要件の詳細も含めて国のホームページで確認しておきましょう。


自治体による補助金・支援制度の具体例
都道府県や市町村でも、移住や二拠点生活のためのさまざまな支援制度を用意しています。
ここでは例として、
- 空き家バンク
- 住宅購入支援
- 移住体験施設
- リモートワーク支援
の取り組みをご紹介。
空き家バンク
空き家バンクとは、空き家を売りたい(貸したい)人と、空き家を買いたい(借りたい)人を仲介するサービスのこと。
格安で住める空き家を簡単に探せるのがメリットで、地方なら庭付きの広い一軒家を月4万円台で借りられることも。
さらに、自治体によっては、空き家バンクで購入した物件の改修費用を一部補助してくれる場合もあるため、初期費用を抑えたい人はあわせてチェックしてみてください。




住宅購入支援
二拠点生活に伴って住民票を地方に移すなら、自治体による住宅購入支援制度を利用できる場合があります。
例えば、宮城県石巻市では、新しく家を建てる、もしくは購入する移住者に対し、最大170万円を交付する制度が実施されていました(※2025年度の実施は未定)。
支援内容や要件は自治体によって異なるため、移住を希望する自治体のホームページを確認してください。
移住体験施設
地域でのリアルな暮らしを体験できる、移住体験施設を用意している自治体も増えてきています。
お得な料金でお試し移住できるのがメリットで、自治体によっては、移住コンシェルジュによるガイドツアーなどの特典がついている場合も。
その地域の魅力も不便なところも全て肌で感じることができるため、移住先を決める際には、こうした施設・制度を活用することを強くおすすめします。




リモートワーク支援
二拠点目でリモートワークを行う予定なら、リモートワーク支援制度があるかどうかもしっかりチェックしておきましょう。
例えば、長野県佐久市では、市内へ移住してリモートワーク等をしながら必要に応じて東京圏へ通勤する人を対象に、移動にかかる交通費を最大2万円(月額)補助してくれる制度を実施しています。
リモートワーク支援の有無は自治体によってまちまちなので、ホームページなどで確認してください。




二拠点生活をする前に知っておきたいこと


二拠点生活を始める際には、
- どんな物件を選べば良いのか
- 住民票はどちらの拠点に置けば良いのか
- どんな仕事が二拠点生活向きなのか
といった点も気になるところ。ひとつずつ順番に見ていきましょう。
物件選び
二拠点目の物件選びの選択肢としては、
- 家を購入する
- 賃貸住宅を借りる
- シェアハウスに入居する
- ホテルを利用する
などが挙げられます。
家を購入する場合は、ある程度まとまったお金が必要になりますが、地方であれば空き家を格安で買えたり、条件次第では自治体の住宅取得支援制度を利用できたりすることも。
もっと気軽に二拠点生活を始めたい場合は、アパートやシェアハウスという選択肢のほかに、ホテル生活も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
近年では定額でホテルに泊まり放題のサブスクリプションサービスも登場しています。調べてみると、新しい発見があるかもしれません。


住民票はどこに置く?
二拠点生活をする場合、住民票は滞在期間が長い方の拠点に置くのが◎。
住民票がないと、予防接種などの自治体が実施する福祉サービスを受けられなかったり、選挙で投票できなかったりするので注意が必要です。
一方で、先にも紹介した通り「地方創生移住支援事業」で補助金を受けるためには、住民票の移動が必要になる場合がほとんど。この点についても考慮するのをお忘れなく!
デュアラーにおすすめの仕事
職種によって人それぞれワークスタイルは異なりますが、基本的にリモートワークが可能な仕事は二拠点生活向きと言えます。
具体的には、テレワークメインの会社員やパソコン1台で仕事ができるフリーランスのWebデザイナー・ITエンジニアなどが例として挙げられます。
とはいえ、出社が必要な仕事であっても、休日や長期休暇を利用して二拠点生活を始めることは不可能ではありません。
まずは、自分のワークスタイルに合わせて、無理のない範囲で二拠点生活をスタートさせてみてはいかがでしょうか。
二拠点生活を成功に導く4つのステップ


いざ二拠点生活を始めようと思っても、何から手をつければ良いのか分からない人も多いはず。
二拠点生活の準備は、次の4つのステップで進めていくのがおすすめです。
二拠点生活の目的や滞在頻度を明確にしよう
まずは、二拠点生活の目的をはっきりさせましょう。
- 週末は自然豊かな田舎で、家族でのんびり過ごす
- 冬の間はスキーを毎日楽しみたいから、雪国に拠点を持つ
など、自分が実現したいライフスタイルを明確にすることが、二拠点生活への第一歩。
目的をはっきりさせたら、滞在頻度や移動可能距離などを考慮しつつ、二拠点目の候補地を選びます。
家族の理解を得る
家族で二拠点生活をする場合は、パートナーや子どもの理解を得ておくことも重要。
特に、経済面での負担や移動にかかる労力については、家族でよく話し合い、全員が納得したうえで二拠点生活を始めるのがベスト。
また、二拠点目の滞在期間が数週間〜数ヶ月に及ぶのであれば、子どもの学校についての対策もマストです。
例えば、自治体の「区域外就学制度」を利用すると、本来の就学指定校とは別に、二拠点目の地域の学校にも通える場合があります。
子どもの意思も尊重したうえで、一度自治体に相談してみましょう。
参考:3.就学すべき学校の指定の変更や区域外就学について|文部科学省


二拠点生活をする場所を決める
二拠点目の候補地の中から、実際の生活拠点にする場所を絞り込んでいきます。
移住ポータルサイトなどで各自治体の情報をチェックしつつ、移住体験ツアーやお試し移住にもできるだけチャレンジしてみましょう。
その地域の雰囲気やリアルな暮らしを知ることで、二拠点生活後のギャップも生まれにくくなります。
二拠点目の物件を探す
二拠点目の場所が決まったら、あとは物件を探すだけ!
物件選びには、家を購入する・賃貸住宅を契約するなどさまざまな選択肢がありますが、どのような物件を選ぶかで初期費用が大きく異なる点は注意したいところ。
空き家バンクなども活用しながら、理想の暮らしを実現できる住まいを探してみましょう。
物件選びに迷ってしまう場合や、利用できる支援制度について詳しく知りたい場合は、各自治体の担当者に相談すると◎。
二拠点生活におすすめの自治体3選


ここからは、二拠点生活におすすめの自治体を紹介します。
都内からアクセスしやすい地域や、支援制度が充実している地域を厳選したので、ぜひ参考にしてください。
【静岡県】静岡市(しずおかし)
出典:静岡生活 いいねぇ。
東京から新幹線で約1時間の好立地にある静岡市は、海・山・川の3拍子が揃った自然に恵まれた町です。
少し足を伸ばせば大自然にすぐアクセスできるので、サーフィンやトレッキングなどの趣味を満喫したい人にもぴったり。
また、桜えびやしらす、新鮮なお刺身など、駿河湾の海の幸を存分に堪能できるのも大きな魅力。
移住希望者向けのお試し住宅や、市内のコワーキングスペースを利用できるお試しテレワークなどもあるので、二拠点目を持ったときの生活をシミュレーションすることができます。
さらに、移住に伴う就業や住まいに関する補助金のほか、新婚世帯向けの「結婚新生活スマイル補助金」など、金銭的な支援制度も充実。気になる方は、詳細をチェックしてみてください。


【栃木県】栃木市(とちぎし)
出典:とちぎで暮らそ|栃木市
車でも鉄道でも東京から約1時間でアクセスできる栃木市は、移住支援が充実している自治体のひとつ。
市内には、1泊2,000円、1ヶ月なら30,000円で利用できる移住体験施設があります。
一つは、安政3年に建てられた見世蔵と土蔵を活用した「IJUテラス 蔵人館」。カフェが併設されているため、地元の方々との交流を楽しむことができます。
もう一つは、栃木市中心部の県庁掘沿いに佇む一軒家「蔵の街やどかりの家」。昭和25年に建てられ、畳とお風呂を新調した以外は、ほとんどが当時のまま。古民家暮らしに憧れている人にはぴったりのお試し住宅です。
東京圏から栃木市に移住してテレワーク等をする人を対象にした補助金制度もあるので、ぜひ最新情報を確認してみてください。


【福島県】福島市(ふくしまし)
出典:ふくがましまし ふくしまし。
福島市は二拠点生活に適したほど良い田舎で、ここ数年で移住者の数がぐっと増えている人気の町。東京からは、新幹線で約1時間半ほどで行くことができます。
そんな福島市では令和4年度から、新たに「プレ移住サポート事業」を実施しています。
民泊施設に滞在しながら、スーパーで食材を買って調理したり、小学校や保育所を見学したりといったリアルな移住体験ができる。
これは、地元のスーパーで食材を購入して調理、就業体験や施設でのテレワーク、小学校や保育所の見学、先輩移住者との面談…など、何かしらの移住体験を行う際に、滞在する民泊やゲストハウスなどの利用料を補助する支援制度です(※2泊から)。
ひとりあたり最大で1泊3,000円の宿泊補助を受けられるので、二拠点目に福島市を検討するなら、利用しない手はありません。




補助金を使えば二拠点生活も夢じゃない!理想の暮らしを叶えよう


二拠点それぞれのまちの魅力を満喫できたり、自然豊かな環境で子育てできたりと、多くのメリットがある二拠点生活。
成功させるためには、自治体の補助金や移住支援制度などもうまく活用していくのが大切です。
二拠点生活を通して、自分らしい理想のライフスタイルを実現しましょう。

