島への移住を検討している方は、自然豊かな環境やのびのびとした暮らしを想像しているのではないだろうか。島へ移住するためには、良い面だけでなく注意しておくべきポイントにもしっかり目を向ける必要がある。
今回は、島への移住を成功させるために必要なポイントと、移住におすすめしたい支援制度が充実した島を紹介する。
島へ移住するメリット
リモートワークが定着してきている今、都心に近い場所で暮らすことはないと考え始めている方もいるだろう。なかには、離島に移住を検討している方もいるのではないか。
島への移住は、どのようなメリットがあるのだろうか。
自然と触れ合いながら暮らせる
島への移住の魅力の一つに、大自然に囲まれた環境での暮らしがある。海や山に囲まれた島暮らしは、時間もゆったり流れるような感覚だ。
都会で暮らしていると、なぜか時間に追われているような感覚に襲われることがある。島で暮らしていると、自然と心が穏やかになりリラックスして過ごすことができる。
アウトドアが趣味の方は、川や山でのキャンプやバーベキューなどを楽しめたり、マリンスポーツが趣味の方は、思う存分サーフィンなどを楽しむことができたりするのも島暮らしならではだ。
地域の中で子育てできる
離島は、都会とは異なり地域の人達との繋がりを感じて暮らすことができる。パートナーの仕事が忙しく、子育てのサポートが得られない方でも、島では地域のサポートを得ながら子育てができる。
人口が少ない島は、島全体で子どもを育てる意識があるため、孤立した子育てではなく常にまわりに助けてもらえるのは心強い。
子育て経験者や近隣の住民の方に子育ての悩みを相談したり、困った時に助け合ったりしながら子育てできるのは安心ではないだろうか。
地元の新鮮な食材が豊富にある
島では、漁業や農業などの一次産業が盛んである。島内では、採れたての野菜や海産物が安価で手に入る。
都会では手に入らないような新鮮な食材が手に入ること、島で育った美味しい食材が食べられるのは島暮らしの魅力と言える。
島へ移住するデメリット
その土地で暮らすためには、良い面だけでなく注意しなければならない点にも目を向けなければいけない。
マイカーがないと不便
離島の多くは、公共交通機関が発達していないため、マイカーがないと不便だ。バスはあっても本数が少ないなど、都心部と比較すると交通手段の不便さが目立つ。
移住後の移動手段はマイカーになるため、車を持っていないと生活に支障をきたすことがある。島への移住を考えているなら、車の免許があることと運転が苦手でないことが必須と言えそうだ。
住民同士の距離が近い
近隣同士の繋がりが強い島では、島民全体で子育てをするような意識が強いなど助かる面がある一方で、時には息苦しさを感じてしまうことがあるかもしれない。
住民同士の距離が近いのは良い面と悪い面があり、人と距離を置いて付き合いたいと考えている方には苦痛に感じることがあるだろう。
都会では近隣の人達と関わることがなかった方でも、都心部とは違ってさまざまな面で地域同士の助け合いが必要になる。その点をしっかり考えておいた方が良いだろう。
仕事や学校の選択肢が少ない
島で暮らしていくためには、仕事や子供の仕事について考えなければならない。仕事については、一次産業に関する仕事は多いものの、その他の業種については選択肢が少ない傾向がある。自身のキャリアを活かせる仕事に就けるか、移住の前によく調べておくことが必要だ。
また、島内の学校や塾、習い事の数も都心部と比較すると少ない。子供がやりたいことや望む教育が受けられるかを考える必要がある。
島へ移住を実現するためにやっておきたいポイント
島への移住を満足するものにするためには、移住前にやっておくことがある。移住してから後悔しないためにも、このポイントをしっかり確認しておこう。
移住先の情報を集める
まず、島への移住を考え始めたら、なぜ島へ移住したいのか目的を明確にする必要がある。移住の目的がしっかりしていれば、必要な資金づくりや使える支援制度がスムーズに探せる。
そして、島への移住を考え始めたら、実際にどこに移住するかを決めなければならない。いくつかの島を候補に挙げ、その島についての情報収集を始めよう。
移住に関するサポートや支援制度・補助金について調べる
次に、実際に移住するためにはどれくらいの費用がかかるのかを計算し、移住を実現させるためにできることを考える。引っ越し費用や移住後に必要な資金・生活費など、しっかりシミュレーションしておくことが重要だ。
自治体によっては、移住に関するサポートを手厚く行っているところがある。移住に関する不安や心配事の相談、移住後の住まいや仕事探しをどこまでサポートしてくれるのかを確認しよう。
さらに、移住に関する支援制度はどのようなものがあるのか、自分たちがそれを利用できるかチェックしておくと良いだろう。
移住体験で実際に暮らしてみる
インターネットや本などで移住先の情報を集めても、実際に理想通りなのか自分に向いているのかは住んでみなければ分からない。そこで、おすすめなのが島暮らしを体験できる移住体験だ。
移住を促進するために、自治体によっては移住体験住宅を貸し出して、その土地での暮らしを体験してもらう取り組みを行っているところがある。期間は自治体によって異なるが、島の暮らしを肌で感じることで、移住後の生活がどのようなものになるか想像できるだろう。
移住先で仕事を探す
移住先の島で暮らすためには仕事をしなければならない。現在、リモートワークで出社せずに仕事をしている方なら、転職せずに移住ができるだろう。
もしも、今の仕事を辞めて島で仕事を探すつもりなら、移住前に島ではどのような仕事があるのかをリサーチしておかなければならない。自分のスキルが活かせる仕事があるか、これまでの仕事と全く違った職種を選ぶのかなど、移住前に決めておこう。
そのうえで、島では仕事探しのサポートがあるかについても確認しておくと安心だ。
移住支援制度が充実している島
離島といっても、島によってさまざまな特色がある。移住するなら、移住に関する支援制度が充実している島を選びたい。
ここでは、島への移住に関する支援制度やサポートが充実している島を紹介する。
【北海道】利尻島
出典:りしぷら RISHIRI PLUS|利尻島
北海道の北部に位置する利尻島には、利尻富士町と利尻町の2つの自治体がある。日本百名山の一番に数えられる利尻山をはじめ、豊富な海産物や珍しい高山植物など自然の恵みを感じながら生活ができるのが利尻島だ。
島内を移動する際は、路線バスやタクシー、レンタカーが便利である。車で約1時間~1時間半ほどで1周できる小さな島だが、空港もあるため交通の便は良い。
利尻富士町の移住支援制度・サポート
利尻富士町では、移住希望者に対する支援制度がいくつかある。特に、子育てに関する支援が充実しており、「出産祝い金」や「子育て安心支援金」など、子育て世帯に嬉しい制度がある。
また、利尻島の漁業を支えるため、漁業の担い手に「漁業担い手支援事業」として、小型免許取得や漁業研修に関する必要経費の一部を支給している。さらに、無料で参加できる「漁師道!」があるので、漁師を目指して移住する方はぜひチェックしてみて欲しい。
利尻町の移住支援制度・サポート
利尻町では、移住・定住の相談などを請け負う支援センター「ツギノバ」を開設。コワーキングスペースやカフェラウンジなどを併設し、移住者と島内に暮らす人々の交流の場となっている。さらに、サイトから移住後の住まい探しに役立つ空き家情報などが確認できる。
また、漁業に関する相談窓口のある利尻町特定有人国境離島雇用促進センターを設置し、利尻町で漁師として働きたいなどの相談を受け付けている。
【新潟県】佐渡島
出典:佐渡島に住もう|新潟県佐渡市ホームページ
新潟県の日本海沖に浮かぶ佐渡島は、東京都23区よりも大きな面積の島だ。島の北側には大佐渡山脈、中央には穀倉地帯の平野、南側には小佐渡山地がある。
トキなどの渡り鳥が羽を休める島としても知られており、島内では四季折々の花々や植物、果樹などが楽しめる。
島内にはコンビニやホームセンター、ドラッグストアなども多く、ファーストフード店や洋服店などもあるため、買い物には不自由しない。さらに、携帯電話大手3社が問題なく利用でき、都内のほとんどが光回線が利用できる。
佐渡市の支援制度・サポート
佐渡島では、島への移住・定住を検討中の方が利用できる佐渡UIターンサポートセンターを設置。移住に関する不安や心配事などの相談や、移住後の生活に関するサポートを行っている。
佐渡島での暮らしが体験できる定住体験住宅「さど暮らし体験住宅」は、家電・家具付きでWi-Fi環境も整っていて、ペットも一緒に暮らせる物件もある。
仕事に関する支援である移住・就業支援金や、県外から佐渡市へ転入する満40歳未満の方が利用できる若者定住引越費用補助金、佐渡市が紹介する空き家をリフォームする場合に使える空き家改修費等補助事業補助金など、さまざまな支援やサポートがある。
【兵庫県】淡路島
出典:あわじ暮らし総合相談窓口
「淡路市」「洲本市(すもとし)」「南あわじ市」の3市からなる淡路島は、東京23区と同じくらいの大きさの島だ。
四国と本州の間にある瀬戸内海に浮かぶ島で、本土にも四国にも橋で繋がっているため、車で行き来ができる。そのため、移住後は暮らしは淡路島で仕事は本州でということも可能。
スーパーや学校、病院などの生活に必要な施設も充実しているため、子育て世代の移住でも人気がある。年間を通して温暖な気候で、海や山に囲まれた自然豊かな環境が魅力だ。
淡路市の支援制度・サポート
淡路市での移住を検討しているなら、淡路市暮らし体験住宅で島での暮らしを体験することをおすすめする。また、体験住宅は移住に向けての準備期間にも利用できる。
島くらし淡路では、淡路島への移住を検討している方を対象に、淡路島を体感できるイベントや交流会の開催や移住に関する不安や心配の相談に乗っている。また、先輩移住者からの体験話が聞けるのは参考になるだろう。
さらに、淡路市に転入し、正社員として就職した方へ家賃の一部を補助するUターン等促進家賃補助(補助にあたっての条件あり)など、市内へ移住して働く人への支援もあるので、確認してみると良いだろう。
洲本市の支援制度・サポート
洲本市では、洲本市で住宅を購入、賃貸する移住世帯や新婚世帯を対象に、新生活に必要な費用の一部を助成するすもと新生活スタートアップ支援事業など、住まいに関する支援制度が充実している。
また、洲本市で家を探している方に向けた洲本市空き家バンクがあるので、住まいを探している方におすすめだ。
南あわじ市の支援制度・サポート
南あわじ市で利用できる支援制度は、市の人口増加を図るために市内に定住する意思を持ち住宅を取得した場合、取得費用の一部を補助する南あわじ市マイホーム取得事業補助金などだ。
淡路島外から市内へ移住(UJIターン)する世帯に、お試し住宅に代わる民間賃貸住宅を利用する初期費用の一部を補助する移住支援補助金・移住奨励金など、さまざまな支援制度がある。
【香川県】小豆島
出典:小豆島へ移住してみませんか
香川県にある小豆島は、オリーブやしょうゆなどの農産物で知られている離島。映画の舞台になったこともあり、おしゃれな街並みが楽しめる。1日2回だけ見ることができる砂の道や、エンジェルロードなど若者に人気のスポットでSNSなどで注目されている。
島内には、コンビニやスーパーがあり、バスも走っているので生活に不自由は感じないだろう。
小豆島町の支援制度・サポート
小豆島では、移住・定住の促進や地域の活性化を図るため、対象者に小豆島町移住促進家賃等補助金を支給している。また、移住を希望する方には、小豆島町移住体験施設を設置しているので利用してみて欲しい。
【長崎県】五島列島
出典:五島やけんよか|五島市移住定住促進サイト
五島列島とは、九州地方の西部に浮かぶ島々で大小152の島々で構成されている。その中で一番面積が大きいのは、福江島だ。福江島には、五島つばき空港や福江港ターミナルがある。また、学校やスーパーなど生活に必要な施設が揃っているので移住者におすすめのエリアだ。
五島列島には手つかずの自然が多く残っており、海に囲まれた生活を希望している方にはおすすめの移住先。マグロやサバなどや、霜降り牛である五島牛、温暖な気候で作られた農産物など、新鮮な食材が豊富にあるのは嬉しい。
五島市の支援制度・サポート
五島市移住定住促進サイト「五島やけんよか」では、さまざまな支援制度を紹介している。
移住を検討している方に短期滞在住宅を提供し、実際に五島市の暮らしを体験してもらっている。また、雇用機会拡充事業(創業・事業拡大支援)や、子育て世帯引っ越し補助などさまざまな支援でサポートしている。
【沖縄県】石垣島
出典:石垣市移住定住支援ポータルサイト
石垣島は、沖縄本島の南西に位置する離島。真冬でも気温10度を下回ることが滅多にない温暖な気候が魅力の島だ。美しい海や生活に事欠かない環境などで、近年移住者が増えている島としても知られている。
病院や学校、スーパーなどが揃っているので不便さはさほど感じないだろう。石垣島は、各地域に根付く伝統行事など、地元の人達との交流も盛んな島だ。
石垣島の支援制度・サポート
石垣島は、ここ数年移住者が増えていることから、他の離島と比べると家賃が高いことで知られている。そこで、少しでも安い所を探したい方におすすめなのが空き家バンクだ。
島で保育士として働く人を応援する離島保育士確保総合対策事業や、2023年4月より給付対象年齢が18歳まで拡大されたこども医療費助成制度など、仕事や子育てに関する支援制度もあるので、チェックしておくことをおすすめする。
島への移住は事前のリサーチが大事
憧れの離島での暮らしが、実際に住んでみたら想像と違った。などということがないように、移住するためにはしっかりリサーチしておくことが重要だ。
島での暮らしを実際に感じることができる移住体験を利用するなどして、移住後に後悔しないようにしよう。
また、移住に関する支援制度やサポートなどを調べて、相談窓口がある自治体には不安なことや心配事を相談して悩みを解決して移住すると失敗しない移住が実現できるだろう。