「いつか沖縄に移住して海を見ながら暮らしたい」「離島で穏やかな毎日を過ごしたい」そんな願いを抱えている方は多いだろう。沖縄の離島への移住には、「美ら海(ちゅらうみ)」を満喫できるなどの嬉しい魅力がある反面、知っておかなければいけない欠点も存在する。後悔しないために、この記事で沖縄離島移住のメリット&デメリットや失敗しない計画の立て方、具体的におすすめな島まで見ていこう。
沖縄の離島は過ごしやすい?移住のメリット!


都会からの移住を考えるうえで、沖縄の離島での暮らしに憧れる方は多い。
「自然豊かな環境で、牧歌的で穏やかな日々を過ごしたい…」という願いは、現代人の大多数に共通するものだろう。
沖縄の離島への移住であれば、その願いが叶う可能性は十分にある。まずはあらためて、沖縄の離島への移住で期待できるメリットから見ていこう。
美ら海に囲まれて大自然と一緒に暮らせる
沖縄の離島移住のメリットといえば、なんと言っても大自然とともに暮らせることだろう。
周囲を「美ら海(ちゅらうみ)」に囲まれた沖縄の離島は、リゾート目的でも愛されている国内有数の贅沢スポット。
島の外側を眺めれば、そこには一面に広がる白い砂浜と青い海が。島の内側を振り返れば、穏やかに揺れるサトウキビ畑が。
そんな映画のなかでしかお目にかかれない情景も、沖縄離島への移住なら毎日堪能できる。
釣りにサーフィンにダイビングにと、都会時代とは異なる趣味もたくさん見つかるだろう。今とはまったく別の、新しい人生を歩んでいくことも夢ではない。
冬でも気温10度以上?温暖で過ごしやすい気候
沖縄は1月や2月といった真冬でも、平均気温10度以上が当たり前な温暖な地域。過ごしやすい暖かさを期待して、沖縄離島への移住を検討している方も多いだろう。
実際、沖縄の年間平均気温は驚きの22.7度。例年10月ごろまでは、羽織るものを持たない夏仕様の服装で過ごす方も多い。
台風や大雨などの気を付けたいポイントこそあるものの、寒さが苦手な方にとって、沖縄の離島ほど素敵な国内移住先はほかにないだろう。
憧れの「島暮らし」でモチベーションも◎
憧れの島暮らしを実現でき、高いモチベーションや満足感が生まれる点も、沖縄離島への移住のメリットだ。
移住では希望を胸いっぱいに抱えている一方で、どこかに不安な気持ちもあるもの。慣れ親しんだ土地を離れ、新たな生活を始めるのだから心配して当然だ。
しかし沖縄の離島への移住であれば、「夢見ていた離島暮らしを今実現できている!」と引越し後に実感しやすい。
移住直後の不安感が軽減されるのはもちろんのこと、「次はこんなことをしてみよう!」と新たなアイデアを生む活力も湧く。移住前に描いていたイメージに近い、楽しい日々を過ごせるだろう。
補助金や定住支援制度があることも
沖縄本島と比べた離島移住のメリットとなるのが、補助金や定住支援制度の存在だ。
沖縄は国内でも屈指の人気エリア。何もせずとも人が集まってくるため、移住支援制度が乏しく、実は他県と比べて移住までのハードルが高い。
しかし、沖縄のなかでも離島なら、人口減少の対策として積極的に移住者を受け入れている市町村もある。経済的に有利な形で移住を実現できることも少なくない。


現実は厳しい?沖縄離島移住のデメリット


大自然の豊かさを満喫できたり、夢の島暮らしを実現できたりと、沖縄離島移住のメリットは多い。しかし、やはり離島暮らしには島ならではのデメリットが付きものだ。
現実を見据えつつ沖縄離島移住を叶えるために、ここでは特に知っておくべき6つのデメリットを確認していこう。
飛行機や船が欠航すると身動きが取れない
現実的な脅威として覚悟しておきたいのが、沖縄の離島では飛行機や船が欠航すると、島から出る手段が失われること。
沖縄は暖かく過ごしやすいものの、毎年台風が直撃する地域でもある。この時期には飛行機や船が動かないことも多く、否応がなく離島の中でのみ暮らす形になる。
大量の食料品を買い込んでおくといった対策はもちろんのこと、日頃から近隣住民と積極的に関わりを持つことが大切だ。いざというときには助け合う精神が求められる。
通販で余分な送料がかかる
季節を問わず気を付けておきたいのが、離島は通販の利用時に余分な送料がかかる点だ。
多くの通販やオークションサイトでは、送料無料の商品であっても「※ただし沖縄や離島は除く」のような注意書きがしてある。
離島に運ぶためには、飛行機やフェリーの燃料など、余分な輸送費が必要となるためだ。
都会と比べて沖縄の離島は家賃が安いため(半額以下も珍しくない)、移住で固定費は大きく下げられる。しかし、日々の出費が増えることは覚悟しておこう。
仕事先が見つかりにくい
現在の仕事をテレワークで継続できない場合、離島では仕事先を見つけるのも一苦労だ。
島ごとに状況は異なるものの、沖縄の離島には人口が数百人しかいない秘境もある。このような島では求人も当然少なく、新たに生業を探すことは困難だ。
また、沖縄は離島を含む県土全体の最低時給が820円(2022年6月時点)と、国内でもっとも賃金が低いエリアでもある。
移住後の収入については、あらかじめ必ず計算しておきたい。


学校・病院・スーパーなどが少ない離島も
沖縄の離島では、島の規模によっては学校・病院・スーパーなど当たり前の施設が少ない。通学の不便さから、まだ15歳の子どもが本島へ移住し、寮暮らしをするケースもあるほどだ。
なかには「医療施設は島内の診療所1件のみ」なんて島もある。病気がちな方や子育て中の方は、移住希望先の離島の施設状況について、念入りに確認しておきたい。
世間があまりにも狭い
お互いに距離感の近い、近隣住民との密接な交流は島暮らしの魅力のひとつだ。しかし、その世間の狭さについては、移住前にあらためて覚悟しておきたい。
- 「○○さんが新しい車を買ったらしい」
- 「○○さんの息子が××の娘とお見合いしたそうな」
- 「今週は○○さんのところへ都会から友人が泊まりに来ているらしい」
このように、離島では誰かの行動があっという間に噂になる。
密接な人付き合いは非常時に助け合えるメリットでもあるが、わずらわしく感じてしまうときもあるだろう。
島から出なければできないことが多い
移住後も、離島の中で生活を完結させることは難しい点も覚えておこう。
例えば役所の手続きだったり、本格的な買い出しだったり、はたまた髪を切るためだったり。島の状況にもよるが、沖縄本島に出なければできないことは想像以上に多い。
完全な島での自給自足を目指している方の場合、「思っていたのとは違ったかも…」となってしまうかもしれない。
沖縄の離島移住をする前に…計画しておきたい5つのこと


さまざまなメリットがある一方で、見逃せないデメリットもある沖縄の離島への移住。憧れだけで移住に挑戦してしまっては、悔いの残る結果になってしまうかもしれない。
そこで上述のデメリットを踏まえたうえで、後悔しない計画の立て方を見ていこう。
子育てのため?老後の穏やかな暮らし?離島移住の目的を明確に
まず行うべきは、沖縄の離島に移住する目的の明確化だ。
- 「大自然に囲まれた場所でのびのびと子育てをしたい」
- 「老後に夫婦二人で海を見ながら穏やかな暮らしをしたい」
- 「都会とは異なる、島ならではの人間関係に触れながら暮らしたい」
移住の目的は何でも大丈夫。重要なのは「なぜ移住したいのか?」はっきりと言葉にすることだ。
目的が明確に定まっていると「夢見た暮らしが今叶っている!」と、移住後の満足度も高くなりやすい。
いつの日か本土に帰りたくなってしまったときも、あらためて離島の魅力に目を向けられるだろう。
仕事や収入をどうするのか決めておこう
続いて、仕事や収入面についても検討しておこう。上述の通り、離島は求人そのものが少なく、自分が希望する内容や待遇の仕事は見つかりにくい。
もっともおすすめなのは、現在の仕事をテレワークで継続できるよう会社に願い出ることだ。仕事内容や収入面が大きく変動しなければ、純粋に離島暮らしに慣れることへ注力できる。
難しい場合は、必ず移住前に離島の自治体担当者に相談して、移住後の仕事のメドを立てよう。都会と異なり「行けば何とかなるだろう」は通用しない世界だ。


利用頻度が高い一般的な施設はある?日常生活の問題を再確認
目的と収入面の確認ができたなら、いよいよ自治体公式ページやマップから、住んでみたい離島を探すフェーズだ。
島選びでは、スーパーや病院など一般的な施設の充実度合いが重要となる。「移住後の日常生活について、大きな困難はないだろうか?」と念入りに確認しよう。
子育て世帯であれば、学校の有無も大きなポイントとなるだろう。まずは、自分たち家族の生活に必須の施設を書き出すところから始めてほしい。
短期滞在や移住体験ツアーを活用しよう
ある程度自分の移住に向いた離島を絞り込めたら、その島で短期滞在や移住体験ツアーを開催していないか調べてみよう。
移住では、やはり現地に足を踏み入れて初めて理解できることもある。特に離島のような特別な環境への移住では、現地確認は後悔しないための重要な手がかりだ。
家探しには自治体の公式ページが利用できることも
体験にも参加し、変わらず移住してみたいと思えたのなら、後は物件探しを進めるのみ。空き家バンクのような自治体公式ページ内の支援策を活用し、安く住みやすい住居を見つけよう。
注意点として、沖縄の離島の移住では、必ず自治体担当者に相談しながら引越しを進めよう。島の規模にもよるものの、都会のように独自に家を見つけて突然引っ越すと、周りの方にびっくりされてしまうかもしれない。
【沖縄離島編】移住支援の充実したおすすめの自治体(市町村)8選!


最後に、沖縄の有人離島37つの中から、おすすめの島を8つ紹介する。いずれも現在、移住取組を行っている、移住者を温かく迎え入れてくれる島だ。
自分の理想にぴったりの島はどこか、住んだ姿まで想像しながら選んでみてほしい。
石垣市(いしがきし)
まず紹介するのは、日本最南端の自然文化都市である石垣市。沖縄本島からおよそ南に400km進んだ先に位置する、どちらを向いてもエメラルドブルーの海が見渡せる美しい島。
総人口が48,951人と大きめの離島で、病院・スーパー・学校など生活に必要な施設が充実している。特に保育機関は49施設もあるほどだ。
「小さな子どもがいるけれど、沖縄の離島で暮らしてみたい…」という願いも叶うだろう。
石垣市は移住者向けに渡航費助成を行っており、島外の保育士免許を持つ方を対象に、最大50万円の支援を行っている。
一般社団法人「ゆんたくガーデン」との提携により、島外からでも島の情報を集めやすい点も魅力だ。






伊是名村(いぜなそん)
出典:移住定住等支援制度|伊是名村 おきなわ島ぐらし
沖縄本島の北側にある離島が、伊是名村。琉球国王を輩出したこともあるという由緒正しい島で、中国では「葉壁山」と呼ばれるほど、緑豊かな田園風景が広がっている。
伊是名村の魅力として、有名な沖縄の毒蛇「ハブ」がいない点が挙げられる。これまでヘビを目にする機会のなかった、都会育ちの方も安心して暮らせるだろう。
伊是名村は、UターンはもちろんIターン者向けにも古民家を改修した定住住宅を提供している。島暮らしと一緒に、憧れの古民家暮らしまで叶えられる夢のある島だ。
粟国村(あぐにそん)
出典:移住定住等支援制度|粟国村 おきなわ島ぐらし
「1日36時間の島」をうたうユニークな離島が、粟国村。那覇から北西にフェリーで2時間ほど進んだ場所にある、穏やかな島だ。
総人口が705人と非常に小さな島で、住んでいるのはお年寄りが多い。沖縄では珍しい観光地化が進んでいない島であるため、1日36時間のキャッチコピーがしっくりくる、のどかな日々を堪能できるだろう。
移住相談員を設置しているほか、全国的にも珍しい単身者用の定住者支援住宅の準備も進めている。思い切って、世俗から離れた環境に飛び込んでみてはどうだろうか?
久米島町(くめじまちょう)
自然と利便性がほど良く両立した、「暮らすにちょうど良い島」を探しているのなら、久米島町がおすすめだ。那覇から西に飛行機で飛び、30分で到着する距離に位置している。
保育園から高校までの学校があり、スーパー・コンビニ・電気屋などもあり、病院も1施設のみながら24時間緊急外来に対応している、と必須施設が揃っている島だ。離島暮らしのデメリットがほど良く軽減されている。
移住にまつわる相談は、移住定住相談員「島ぐらしコンシェルジュ」が丁寧に対応してくれる。島内にどのような求人があるのかも、こちらのページで公開中。
多良間村(たらまそん)
有名な宮古島と石垣島の中間辺りに位置するのが、多良間村。
沖縄本島から南西に突き進んだ場所にある、農業の盛んな島だ。特にサトウキビから生成する黒糖は、多良間村のみで沖縄全体の生産量の4割を担っているほど。
多良間村の周囲の海は、数ある沖縄離島のなかでも特に美しく「多良間ブルー」と称されている。ダイビングも盛んで、マリンスポーツを堪能したい方の移住先にもぴったりだ。
定住者一世帯につき20万円が支給されたり、住宅の新築や購入に関連して最大120万円を受け取れたりと、奨励金も充実。
まずは自治体担当者に、現在利用できる支援制度について尋ねてみてはいかがだろうか?
与那国町(よなぐにちょう)
日本最西端に位置し、別名「国境の島」とも呼ばれ愛されているのが与那国町。沖縄本島よりも台湾に近く、西側の海岸からはその姿が望遠鏡なしでも確認できるほど。
与那国町は、その地理と歴史から、沖縄のなかでもさらに特有の文化が継承された地でもある。特に「与那国織」と呼ばれる、琉球王府への献納品として誕生したともいわれる独特の織物は有名だ。
与那国織の一種である「与那国花織」については、移住者向けに伝統継承研修も用意されている。移住を機に、一生ものの技術を身につけてみてはいかがだろう?
宮古島市(みやこじまし)
数ある沖縄離島のなかでも、特に栄えているのが宮古島市だ。総人口は51,693人、多良間村や与那国町同様に、沖縄本島の南西に位置する。
総合病院が4施設もあるなど、離島でありながら本土の田舎の村に負けないほど施設が充実している。「離島暮らしは実現したいが、本当に島で楽しく暮らしていけるか不安…」という方の、ファーストステップにもぴったりだ。
島の周辺には400種類以上のサンゴが見られる、海好きにはたまらないエリアでもある。まずは自治体担当者に、移住にまつわる疑問をまとめて相談してみよう。


伊江村(いえそん)
最後に紹介するのは、緑と花々と青い海のコントラストを堪能できる島、伊江村。沖縄本島とほど近く、フェリーでわずか30分。那覇など都市にも出かけやすい島だ。
移住者向けに26棟もの民間アパートの情報を提供しており、積極的に人口を増やそうと活動中。伊江村移住コーディネーターが気になるポイントを教えてくれるなど、移住施策を推進している島だ。
伊江島ぐらしmovieとして、公式ページで先行移住者の2分間インタビューも公開中。まずはこちらのリンクを確認して、実際に移住した後のイメージを湧かせてみてほしい。
沖縄移住で夢の離島暮らしを叶えよう!入念な準備が成功の秘訣


この記事では沖縄離島への移住について、メリット&デメリット、失敗しないために意識しておきたいこと、実際におすすめの島を紹介した。
離島には大自然や穏やかな暮らしなどの魅力がある一方で、島暮らしだからこその無視できないデメリットも存在する。
後悔しないためには、記事の内容を参考に、現実を見据えた上で準備を進めよう。
なお、今回は沖縄の離島について紹介したが、沖縄本島も移住先として魅力の多いエリアだ。興味がある方は、以下の記事も参考にしてみると良い。

