沖縄に移住しようと考えてはいるものの、仕事面で不安がある方が多いだろう。給与水準や求人数、勢いのある産業など、仕事事情を知っておくと移住を検討しやすくなる。この記事では、沖縄県の仕事事情に加えて、主な働き方や仕事探しの方法を解説する。
沖縄県の仕事事情
まず最初に沖縄県の最低賃金から平均収入、求人数やどのような産業が盛んであるかなどの基本的な仕事事情を見ていこう。
最低賃金
都道府県それぞれで、仕事事情には違いがある。
現在住んでいる地域と比較するためにも、地域特有の仕事事情は把握しておきたい。沖縄県の仕事事情について、最低賃金、平均収入、求人数などを紹介する。
厚生労働省の発表では、令和4年度の沖縄県の最低賃金は、全国加重平均額961円に対して853円である。
平均値と108円離れているだけではなく、高知県などと並んで全国で最も最低賃金が低い県となっている。
職種やキャリアなどによるものの、県外から移住した場合には、収入は下がりやすいと言えるだろう。より良い条件の仕事に就くためには、仕事探しに時間をかけることが大切だ。
参考元:地域別最低賃金の全国一覧 令和3年度地域別最低賃金改定状況|厚生労働省
平均収入・給与水準
厚生労働省では、例年賃金に関するデータとして、賃金構造基本統計調査の結果を公表している。都道府県別の調査結果によると、令和3年時点の沖縄県の平均収入は250.8万円であった。
全国平均は307.4万円、最も高いのが東京都の364.2万円であり、沖縄県は大きく差をつけられているのが現状だ。
全国的には、下位から順に大分県、青森県、秋田県、岩手県に次いで、沖縄県が位置している。高収入を求める方にはあまり向かず、お金よりもライフスタイルを重視したい方に向いているだろう。
最低賃金と同様に、給与水準も低い傾向があるため、仕事探しには十分に時間をかけたい。
あくまで平均であるため、希望に合った求人を見つけることができれば、収入面の課題をクリアできるだろう。
参考元:令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況 都道府県別|厚生労働省
求人数
沖縄県では、月ごとに完全失業率や有効求人倍率など雇用状況に関するデータをHPで公開している。
求人の状況を示す情報として、令和4年6月時点の有効求人倍率は全国1.27倍に対して0.99倍、新規求人倍率は全国2.24倍に対して1.83倍だった。
求人倍率は、ひとりあたりの求人数を表しているため、1より上回ると求人が複数ある、1を下回ると求人が少ないと言える。
そのため、沖縄県の求人数は有効求人倍率で見ると、比較的少ないとわかるだろう。新規求人倍率こそ1を上回っているものの、全国的には低い水準だ。
このデータから、移住とともに必ず仕事が見つかるとは限らないということを想定する必要がある。
仕事を見つけてから移住するのが安全な方法であり、移住してから仕事を探すのは得策ではないだろう。
参考元:令和4年6月の雇用状況|沖縄県
盛んな産業
沖縄といえば、海やサトウキビ畑のイメージがあるが、漁業や農業など第一次産業の割合は全体の1%ほどといわれている。
建設業や製造業など第二次産業が約12%を占め、残りの約85%は観光やサービスなど第三次産業が占めているのが特徴。
就漁や就農も可能ではあるが、選択肢のほとんどは第三次産業となるだろう。観光業が盛んな県であるため、観光業をターゲットにしたお店やサービスの提供も考えてみよう。
参考元:産業のうちわけ|沖縄県
沖縄移住での仕事の仕方
沖縄に移住した場合、主な仕事の仕方は以下の3つである。
- 現地の企業に就職する
- 勤めている会社でリモートワークをする
- 沖縄で起業する
希望する働き方やキャリア、自身のスキルなどを振り返りながら、自分に合ったワークスタイルを考えてみよう。
現地の企業に就職する
移住をきっかけに勤めている会社を退職し、沖縄県の企業に就職する方法がある。
移住前の地域や収入によっては所得が下がる可能性はあるが、会社に所属することでリスクは少ないと。
移住してから就職活動を始める方法もあるが、生活コストを考えると、就職を決めてから移住することをおすすめしたい。
自治体によっては、就職活動にともなう移動費などを援助してくれる場合もあるため、制度を有効に活用することも大切だ。
勤めている会社でリモートワークをする
勤めている会社でリモートワークを選択できる場合は、一度職場に相談してみよう。Web関係など、場所に縛られない業種であれば、移住とともにリモートワークに移行できる可能性が高い。
リモートワークに慣れる必要はあるものの、業種や人間関係などは大きく変わらないので、無理なく移住先での仕事をスタートできる。
沖縄で起業する
沖縄県で起業するのも選択肢のひとつだ。観光業が盛んなため、マリンアクティビティに関するショップやインストラクターなどは需要を期待できる。ただそれだけ参入する人も多く、しっかり稼ぐには競争に勝たなくてはいけない。
沖縄は、創業時の補助金を得やすい傾向があるため、思い切って新しいビジネスを始めるのもおすすめ。
スタートアップ企業の支援や起業相談を行っている「Lagoon Koza」などのサービスを活用すると良いだろう。
事業によってはシーズンに影響されるため、シーズンオフのときにどう稼ぐかも考えておきたい。
また、移住とともに独立するのも良いだろう。スキルや実績、資金などが必要になるが、場所に捉われずに、フリーランスとして働く方法もある。
個人の能力によって報酬が変わり、県外から仕事を受けられるので、沖縄県の収入面の課題を解決できる可能性がある。
沖縄移住に向けて仕事を探す方法
相性が良い働き方を見つけたら、さっそく仕事探しを始めよう。移住してから就職活動を始めるよりも、仕事が決まってから移住する方が安心だ。
ここでは、仕事探しの方法を6つ解説する。
- 転職サイトを利用する
- 転職エージェントを活用する
- 会社にリモートワークが可能か相談する
- ハローワークを利用する
- 自治体の移住支援サイトをチェックする
- 気になる企業に直接応募する
転職サイトを利用する
転職サイト・求人サイトは、さまざまな業種の求人情報が掲載されている。多くの求人から自分に合ったものを選び、サイトから応募できるのが特徴だ。
特定の業種に絞ったサイト、エリアを限定したサイトもある。希望する職種がある場合は業種特化サイトが便利。
沖縄県で仕事を探すなら、沖縄の求人を多く掲載しているサイトを利用すると良いだろう。
転職エージェントを活用する
転職エージェントでは、条件に合った求人の紹介を受けられるだけではなく、応募や条件交渉なども代行してもらえる。
忙しい方でも転職活動を進めやすく、書類の添削や面接対策などによって選考の対策も可能。
転職サイトと同じく得意な業種やエリアがあるため、希望の職種や沖縄県に強い転職エージェントをおすすめする。
会社にリモートワークが可能か相談する
現職を続けたい場合は、会社にリモートワークが可能かを相談しよう。業種によってはテレワークが浸透していることも多く、働き方の多様化を認める形で許可されることもあるだろう。
店舗勤務など出社が必要な業種でも、沖縄県に支店やグループ店があれば異動を希望する方法もある。まずは上司や担当者に相談し、希望を叶えられるかを確認しよう。
ハローワークを利用する
ハローワークでは、HPで求人を検索することができる。エリアを沖縄県に限定すれば、移住先で募集している求人を見つけられる。
求人サイトとは違い、ハローワークへの求人掲載は無料。そのため、求人サイトにはなかった現地の会社の求人も見つけられる可能性がある。
転職サイトや求人サイトで希望に合う求人を見つけられなかったら、ハローワークをチェックしてみよう。
自治体の移住支援サイトをチェックする
自治体によっては、移住を促進するために、移住支援サイトで求人を紹介している場合がある。ポータルサイトや移住情報ページなどで求人を検索できることが多い。
移住したい市町村が決まっている場合は、移住支援サイトの有無を確認し、求人情報を探してみよう。
気になる企業に直接応募する
移住先に気になる企業がある場合は、直接応募するのも方法のひとつだ。人材を募集している企業は、問い合わせ用の電話番号や申し込みフォームをHPに用意していることが多い。
転職サイトや求人サイトを利用することが一般的であるため、直接の応募によって熱意が伝わるかもしれない。現地の企業をリサーチして、応募を検討してみよう。
沖縄移住に備えて仕事探しを始めよう
沖縄県は、全国的に最低賃金や給与水準が低い。移住に収入アップを求める方にはあまり向かず、希望に合った条件で働くためには仕事探しに力を入れる必要がある。
安心して沖縄生活を始めるなら、仕事が決まってからの移住がおすすめ。転職サイトや転職エージェントを活用したり、現職でリモートワークへの移行を相談したりするなどが主な方法だ。
沖縄ならではの事業を始めたり、スキルを生かして独立したりすることもできる。仕事周りの準備をしっかり行い、憧れの沖縄移住を成功させよう。