都心で長く働いている方のなかには、地元へ帰ってUターン転職を考えている方もいるのではないだろうか。環境を変えたり、家族と近い場所で暮らしたりできるのは良い点だが、Uターンに伴う転職には不安を感じることが多いはず。この記事では、Uターン転職のメリット・デメリットや成功させるポイント、仕事探しの方法まで詳しく解説する。
Uターン転職を希望する理由
Uターン転職を考える際に、実際にどのような理由でUターンすることが多いのか気になる方が多いのではないだろうか。
主な理由を理解することは、自身がUターン転職をすべきか、向いているかなどを判断するときに役立つ。ここでは主な理由を3つ紹介する。
生活や趣味を両立するため
「自分らしい生活をしたい」、「仕事と趣味を両立したい」といった、ワークライフバランスに関する理由が増えているそう。
都心部でいつのまにか働き詰めになっていたり、趣味になかなか時間を確保できなかったりするといった状況を変えるために、Uターン転職を選択する場合があるようだ。
介護や育児など家庭の事情があるため
親の介護や子育てを考えて、Uターン転職を考えるケースが多いようだ。身近に介護できる人がいなければ、移住の意思がなくても地元に帰る必要が出てくる。
「都会での子育てに不安を感じる」など、子どものために移住を考えることも多い。自然豊かな環境で育てたい、のびのびと子育てをしたいなど、さまざまな理由からUターン転職を選択する家庭もある。
現在の職場から環境を変えたいから
現在勤めている職場に不満があり、ひとつのきっかけとしてUターン転職を考える場合もある。慣れ親しんだ地元に帰り職場を変えることによって、心機一転を図ることができる。
【年代別】Uターン転職を考える前に知っておきたい地方の仕事事情
地方によって仕事事情はさまざまだが、年齢による事情も知っておきたい。
年代によって、ビジネスシーンでの需要や評価の傾向が異なり、いざ転職しようとしたときに行き詰まる可能性もある。地方における20代、30代、40代の仕事事情を把握していこう。
20代
20代は地元でも若い働き手であり、比較的転職を進めやすい。年齢によっては第二新卒の枠で転職活動を行うことも可能だ。
ただし、他の年代に比べてスキルや経験が劣ることもある。実務経験やスキルを求められる場合には、経験ある年代に負けてしまうこともあるだろう。
30代
30代は中堅に当たる世代であり、新たな職場で即戦力になれる場合がある。スキルや資格を持っていたり、マネジメント経験があったりすると、より転職で有利になるだろう。
とは言え、ライバルも社会で経験を積んでいるため、スキルや経験があまりないと苦戦しやすい。
40代
40代は、マネジメント経験や即戦力となるスキルを求められる傾向が強い。地方によっては若手に含まれることもあるが、基本的にはベテランであり、すぐに活躍できる人材であるかを注視される。
Uターン転職のメリット
Uターン転職をすることによって、以下のようなメリットを期待できる。
- 生活や職場の環境を変えられる
- ワークライフバランスを実現しやすい
- 地元で仕事や生活に取り組める
メリットをチェックして、自分の希望を叶えられるかを考えてみよう。
生活や職場の環境を変えられる
地元を離れて働いている場合、Uターン転職によって環境を変えられる。都会の人混みに疲れたり、便利な分窮屈さを感じたりしているなら、心機一転できるだろう。
生まれ育った地元とは言え、変わっている部分もあり、慣れていることと新しいことの両方があって、新鮮な気持ちで生活できるはずだ。
また、現在の職場に悩みや不満を抱えているなら、職場を変えられるのもメリット。携わる仕事や人間関係が変わることによって、新たな気持ちで仕事に取り組めるのではないだろうか。
渋滞に巻き込まれにくい、通勤ラッシュが少ないなど、仕事に関わるストレスも地方なら回避しやすくなる。
ワークライフバランスを実現しやすい
都会で仕事に追われているなら、Uターン転職はリズムを変えるきっかけになる。趣味や育児などの時間を確保できる職場を選べば、仕事と生活を両立できるようになるだろう。
地方への移住であれば、身近に自然が多くある。自然に触れながら、家族や友人と過ごす時間は、都会にはなかった安らぎや幸福感を得られるだろう。
地元で仕事や生活に取り組める
生まれ育った地元で、新たなスタートを切れるのはUターン転職のメリットだ。慣れ親しんだ環境や古くからの人間関係は、新しい仕事に取り組んだり、生活を営んだりするうえで、力になるポイントと言える。
都会で培った知識やスキル、経験を地元に還元するのも、ひとつの醍醐味だ。地元の産業を支えたり、地域を盛り上げたりするために活動することは、日々のやりがいになるだろう。
Uターン転職で気をつけたいデメリット
Uターン転職で気をつけたいのは、以下のようなデメリットだ。
- 都心部より仕事が少ないこともある
- 仕事の条件が下がる場合がある
- 家族の理解が必要
デメリットもしっかり検討し、Uターン転職してから困ることがないようにしよう。
都心部より仕事が少ないこともある
産業が集中している都心部に比べて、地方は仕事が少ない場合がある。Uターンを検討する際に、条件に合う仕事がなかなか見つからないことも考えられる。
そのため、Uターンしてから仕事を探すという順序だと、一時的に仕事がない状態になるかもしれない。
安心してUターン後の仕事や生活を始めるには、仕事探しには時間をかけることが大切だ。地方の仕事事情や求人情報をリサーチし、じっくり自分に合う仕事を見つけよう。
仕事の条件が下がる場合がある
求人数だけではなく、仕事の条件が下がる場合も考えられる。都心部の方が収入が高くなる傾向にあるため、地方移住では収入ダウンはある程度覚悟しなくてはならない。
収入面以外にも、労働時間や福利厚生など待遇の質が落ちることもある。「地元だからゆとりを持って働ける」というイメージがあるかもしれないが、働き方や待遇は良くも悪くも会社次第。
職場によっては、残業や休日出勤が増えることもあるため、職場選びは慎重に行う必要がある。
家族の理解が必要
配偶者や子どもがいる場合には、Uターン転職を十分に検討しなくてはならない。
自分が環境を変えたくても、配偶者や子どもがそうではなかったり、移住によるストレスがかかったりすることがある。
Uターン転職をしたい理由を明確に伝え、良いことや悪いこと、必要な準備・資金など、細かい部分も擦り合わせることが必要だ。
Uターン転職で失敗しないためのポイント
Uターン転職で失敗しないためには、しっかりとした準備が必要だ。
勢いで決めてしまったり自分だけで判断したりすると、自分自身はもちろん、家族にも迷惑をかけてしまうだろう。以下のポイントを押さえて、Uターン転職をしっかり検討しよう。
- 家族としっかり話し合う
- 現状や転職したい理由を改めて考える
- 移住先の情報収集をしっかり行う
家族としっかり話し合う
家族がいる方は、何よりもしっかり話し合う時間が必要になる。自分の気持ちだけでUターン転職を決めてしまうと、配偶者や子どもに大きな負担がかかってしまう。
自分にとってはUターンでも、配偶者や子どもにとっては新しい土地での生活になることもあるだろう。家族全員が納得した上でUターンできれば、新たな生活や仕事を楽しめるはずだ。
現状や転職したい理由を改めて考える
「Uターン転職が良いらしい」「移住がブームになっている」など、漠然とした理由で移住するのはおすすめしない。
環境を変えられるのは大きなメリットだが、現在の職場や生活の方が自分に合っていることもある。
現在仕事や生活に満足していること、不満を感じていることなどをリストアップし、現状と転職したい理由をじっくり考えよう。
不満があまりないなら、今すぐにUターン転職をする必要はないだろう。はっきりした理由が見つかったら、転職に向けて準備を始めよう。
移住先の情報収集をしっかり行う
移住先の情報収集は、念には念を入れて行おう。「〇〇が人気」「〇〇に移住者急増中」など、人気や話題に流されてはいけない。
実際に移住してみて「仕事が見つからない」、「人付き合いが上手くいかない」、「自然があまりなかった」など、十分に調べなかったことでイメージとギャップが生まれることがある。
情報収集には、今も地元で生活している家族や友人などに話を聞いたり、ポータルサイトで調べたりするのがおすすめだ。地元だからといって下準備を怠らず、今の地元の現状をしっかりリサーチしよう。
Uターン転職に向けて仕事を探す方法
Uターン転職に向けて仕事を探す方法は、以下の6つ。
- 転職サイト
- 転職エージェント
- ハローワーク
- 起業・フリーランス
- リモートワーク
- 地域おこし協力隊
自分に合う方法を見つけて、転職に向けて動き出そう。
転職サイト
転職サイトは、Uターン転職だけではなく、あらゆる転職のシーンに役立つサービスだ。転職先となる地元の求人情報を探し、新しい職場探しを進めよう。
全国的に有名な転職サイトも便利だが、地方への移住ならそのエリアに特化した転職サイトがおすすめ。地方にある求人を見つけられる可能性が高く、仕事探しをスムーズに進められるだろう。
転職エージェント
転職エージェントに登録すると、自分の希望や経験に合う求人を紹介してもらえる。仕事探し以外にも、履歴書の作成や面接準備など入社までサポートを受けられるのが特徴だ。
自分で一から転職活動を行うのが不安なら、転職エージェントを利用すると良い。転職サイトと同じく、転職するエリアに特化したサービスだと、なお効果的だ。
ハローワーク
ハローワークは、国が運営している公的なサービスである。企業が掲載する費用は無料であり、さまざまな求人情報が集まりやすいのが特徴。
地元の求人情報も多くあるため、Uターン転職に伴う仕事探しにもぴったりだ。掲載情報は最低限なことも多いので、自分自身でも気になる企業をリサーチしよう。
起業・フリーランスも選択肢のひとつ
都心部での経験を生かして、起業したり、フリーランスとして独立したりする選択肢もある。地元にニーズがある企業であれば、前職よりも収入が上がり、地域にも貢献できるだろう。
フリーランスになった場合、企業に勤める必要がなくなり、在宅で働くことができる。インターネットを活用した仕事が多いため、全国の仕事を引き受けられるのがメリットだ。
ただし、いきなり独立するのはリスクが高い。必要なスキル・資格を身につけたり、実績を副業で積んだりするなど、土台を作っておくと安心だ。
リモートワークで現職を続ける
現職を続けたい場合は、Uターン転職をきっかけにリモートワークに移行する方法もある。フルリモートを許可している企業であれば、場所に関わらず、現在の仕事を続けられる。
収入を維持できること、慣れた仕事を続けられることで、地元での生活にもゆとりが生まれるのではないだろうか。
地域おこし協力隊に応募する
地域おこし協力隊とは、地域で活動しながら活動費を得られる仕事である。
各自治体で募集を行っており、約1~3年の任期の間、町おこしや広報など地域に関わる活動に取り組むことができる。
活動内容や待遇は条件によって異なるため、地元に募集があれば、詳細をしっかり確認しよう。
Uターン転職で新しい生活や職場環境を手に入れよう
Uターン転職は、「環境を変えたい」、「介護や子育てのために地元に帰りたい」、「職場を見直したい」といった理由で考えるケースが多い。
実際、生活や職場が変わるとともに、自然豊かな環境での生活や子育て、ワークライフバランスの実現など多くのメリットがある。
一方で働き方は職場次第であること、条件が悪くなることもあること、家族の理解が必要なことなどには気をつけなければならない。
自分に合った方法で仕事探しを行い、Uターン転職で気持ちを新たにして、地元での生活や仕事を存分に楽しもう。