コロナ禍で急速に広まったテレワーク・リモートワークによって、ライフスタイルが多様化の様相を見せている。ここでは、データをもとにワークスタイルの現状やそれにともなう人々の意識の変化について紹介。新たな働き方が、地方に拠点を持つ暮らしを後押ししてくれることは間違いない。

テレワークが暮らしを見つめ直すきっかけに

新型コロナウイルスの影響により、いま、働き方・暮らし方が大きく変わろうとしている。

2020年4月、政府による緊急事態宣言の発令により、外出自粛が要請され、多くの人が在宅勤務を余儀なくされた。内閣府が5月下旬から6月上旬にかけて行った調査によると、全国の就業者の34・6%がテレワークを経験、とくに東京23区は55・5%、東京圏は48・9%、大阪圏・名古屋圏は32・9%と、都市部でのテレワーク実施状況は高いものとなった(図1)。緊急事態宣言解除後も、多くの企業がテレワークを継続しており、テレワーク・リモートワークはひとつの働き方として確立されつつある。

働き方の変革にともない、人々の生活に対する意識も変化している。前述の調査によると、「仕事と生活のどちらを重視したいか」という問いに対して、テレワーク経験者の6割以上が「生活を重視するように変化」と回答(図2)。在宅時間が増えたことによって、自身の生活を見つめ直し、よりよい生活・自分らしいライフスタイルを追求したいと考える人が増えているようだ。

〔図1〕地域別 テレワーク実施状況

※東京圏…東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県、名古屋圏…愛知県・三重県・岐阜県、大阪圏…大阪府・京都府・兵庫県・奈良県、地方圏…三大都市圏以外の北海道と36県

〔図2〕今回の感染症拡大前に比べて、ご自身の「仕事と生活のどちらを重視したいか」という意識に変化はありましたか?

出典:「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」(内閣府) https://www5.cao.go.jp/keizai2/manzoku/pdf/shiryo2.pdf

働き方の多様化で広がる地方暮らしの選択肢

都市部に住む人々の地方暮らしへの関心も高まっている。ここからは、ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を運営する株式会社トラストバンクが、東京都内に住む20代以上の男女に実施した「地方暮らしに関するアンケート」の結果をもとに、その内容をひも解いていきたい。

まず、地方暮らしに関心があると答えた割合は、全体の半数以上と、かなりの人が地方に目を向けていることがわかる(図3)。検討する理由としては「新型コロナや災害など都市部の有事のリスクが心配だから」など、危機感から移住を考える人ももちろんいるが、もっとも多くを占めたのは「自然豊かな環境で暮らしたいから」(図4)。きっかけはコロナ禍であったとしても、実際に移住を検討するとなると、生活環境の向上に重きを置く人が多いということだろう。

地方暮らしで望む働き方に関する問いでは、「現在と同じ会社で働きたい」が22・7%となった(図5)。この答えから見えてくるものこそ、テレワーク・リモートワークの普及による新たな働き方の潮流だ。これまでは、移住するならいまの職を離れ、移住先で新しい仕事を探さなければならないというケースも多かった。それがゆえに移住を思いとどまる人もおり、仕事が移住の実現をはばむ要因のひとつになっていたことは間違いない。だが、テレワーク・リモートワークが定着すれば、現在の仕事を継続したまま地方で暮らすことが可能となる。移住のハードルがぐっと下がったのだ。

もうひとつ注目したいのが、地方とのかかわり方。かつては、移住=定住というのが一般的であったが、近年、その考えも変化している。「あなたの望む地方暮らしのスタイルは何ですか」の問いに対し、もっとも多く回答を得たのは「都市部と地方圏のどちらにも生活拠点をもつ二地域居住」で42・4%(図6)。都市か地方か、どちらか一方を選ぶのではなく、その両方を取り入れる。そんなライフスタイルが実現できるのも、働き方の多様化があってこそだ。

〔図6〕あなたの望む地方暮らしの
スタイルは何ですか?
〔図5〕あなたが地方暮らしで望む
働き方は何ですか?
〔図3〕あなたは地方暮らしに
関心がありますか?
〔図4〕あなたが地方暮らしを検討する理由は何ですか?
出典:株式会社トラストバンク「地方暮らしに関するアンケート」(トラストバンク調査)https://www.trustbank.co.jp/news/press340/

住まいを持たなくても地方に拠点は作れる

前述の地方暮らしのスタイルに関する回答(図6)には、ワーケーションを望む声も2割以上あった。ワーケーションとは、休暇を兼ねて地方圏を訪れ、余暇の合間に仕事をするワークスタイルのこと。7月、政府がワーケーションの推進に取り組むことが発表され、その認知度が急上昇。すでにワーケーションを制度として取り入れている企業もあり、今後の働き方のトレンドとして注目を集めている。

住まいを持たなくても、地方に拠点を持つ方法はいくつもある。通常の旅よりも長期滞在となる場合が多いワーケーションや、昨今登場しているサブスクリプション型住居サービスなどもそのひとつだ。日常的に暮らす場所ではなくても、何度も足を運べば、いずれ地域とのつながりが生まれ、自分にとってかけがえのない〝もうひとつの拠点〟となってゆく。

働き方の多様化によって進む、暮らしの多様化。どこでどんなライフスタイルを送りたいか。この機会に一考してみてはいかがだろうか。


Keyword 1:サブスクリプション型住居サービス

一定期間、定額で各地の物件に住めるサービス。家具や家電が備え付けられている場合が多く、コワーキングスペースを併設するものもある。このサービスを利用し、特定の家を持たずに全国を移動しながら暮らすことを「アドレスホッピング」という。

Keyword 2:ワーケーション

「Work(仕事)」と「Vacation(休暇)」を組み合わせた造語。集中力の向上による生産性のアップや、長期休暇がとりやすく家族やパートナーとの時間を確保できるという点で、ワークライフバランスの実現にも効果があると考えられている。

Keyword 3:テレワーク・リモートワーク

情報通信技術(ICT=Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方。在宅勤務や、出先で行うモバイルワーク、レンタルオフィスやサテライトオフィス勤務などに分けられる(日本テレワーク協会より)。