沖縄のなかでも特に有名な移住先である石垣島。海や森林と共に生きる、開放感のある離島暮らしが叶う魅力的な移住先です。
しかし、人気の移住先ゆえに、憧れだけを抱えて移住を行い失敗してしまう方も少なくありません。
この記事で石垣島移住のメリット&デメリット、失敗や後悔しないための計画の立て方、利用したいおすすめの支援制度(補助金)をチェックしていきましょう。
沖縄県石垣島の基本情報
日本最南端の自然文化都市として知られる、沖縄県石垣島。「沖縄の離島といえば石垣島!」という方も多い、人気の移住先です。
石垣島は2000年代の宅地分譲開発を契機に、多数の移住者を受け入れてきました。最近でも、2024年5月には186人、同6月には186人が県外から石垣島に移住しています。
移住関連の情報を一括して取り扱うポータルサイトもあるなど、離島のなかでは移住を実現しやすい島です。まずは、石垣島の基本情報から確認していきましょう。
地理
石垣島は本島からはるか南西、北緯24度20分・東経124度9分に位置する離島です。
面積は229.15㎢と、東京23区(627.53㎢)の1/3ほどしかありませんが、沖縄県内では3番目に大きな島で八重垣諸島の中心として栄えています。
石垣島への移動手段は飛行機が基本です。
羽田空港からはおよそ3時間10分、関西国際空港からはおよそ2時間25分で到着します。移動時間は意外に短く、実は想像よりも大都市へのアクセスは悪くありません。
人口
石垣島の人口は、2024年6月の時点で49,831人、世帯数は26,524世帯です。2010年4月の人口は48,258人であったため、離島ながら人口は増加傾向にあります。
気になる人口密度は「49,831÷229.15≒217.46(人/㎢)」。この数値は東京(6,386.13人/㎢)の1/20以下です。
石垣島では都会ではあり得ないほど、のびのびと開放感のある暮らしが実現できます。
気候
石垣島の年平均気温は24.3度(2020年概況)で、1年を通じて寒暖差が少なく、真冬でも10度を下回ることは滅多にない暖かな地域です。
台風への警戒などは必要であるものの、マリンスポーツやレジャーを楽しめる期間が長く、例年、11月までは海で泳いでいる方もたくさんいるほどです。
産業
石垣島の産業は観光業で栄えています。
2023年の観光客は1,180,124人で、前年度2022年の観光客数908,728人を大幅に上回りました。2023年の旅行者の年間の消費推計額も978.3億円と、島の経済を支える一大事業です。
観光以外では、焼物や織物に代表される伝統工芸品の生産や、温暖な気候を活かした畜産・農業分野に力を入れています。
もちろん、恵まれた海洋資源を取り扱う水産業も人々の生活に根付いています。
石垣島への移住者数が増加したわけとは
1947年に誕生した石垣市は、その後1964年に旧大浜町と合併し、人口4万人を超えたまちとなりました。そして、2023年7月には人口5万人を突破しました。(2024年6月現在では、49,831人)
石垣市は、人口5万人達成した記念の式典を2023年7月14日に行い、5万人目の市民へ市民認定証と記念品として地元の牛肉などを贈呈。
また、7年ぶりに「山羊まつり」を開催し、世界ギネス記録に挑戦した「石垣島大BBQまつり」が行われるなど、大いに盛り上がりました。
そして、石垣市の人口が増えた要因のひとつに、2023年3月に陸上自衛隊石垣駐屯地が開設されたことが挙げられます。石垣駐屯地には、九州や八重山警備隊、駐屯地業務や会計を担う部隊も合わせて、全体で570人が配置されました。
隊員と、その家族が石垣市に移住してきたことが人口増加の理由と考えられます。
それだけでなく、多くの人が石垣島へ移住してきたのも、人口増加の一因です。
自治体が積極的に移住者を迎え入れたのをきっかけに、石垣島への移住が全国的に注目されるようになっていったのも移住者が増えた理由といえるでしょう。
2024年6月末の時点で、県外から石垣市へ転入してきた人数は131名です。移住者が石垣島をなぜ選ぶのか、そのメリットについては後ほど改めてご紹介します。
参考元:石垣市の人口が5万人を突破 移住者増に加え陸自駐屯地の開設も要因に|琉球新報デジタル
参考元:陸自の石垣駐屯地きょう開設 570人配置、ミサイルも配備へ 住民説明会は開設後に 沖縄|琉球新報デジタル
参考元:石垣島で山羊まつり 人口5万人突破記念(沖縄テレビ)2024/4/29|YouTube
石垣島移住のメリット|人気の理由は?
続いて、石垣島移住にどのようなメリットがあるのか、なぜこれほどまでに移住者が多いのか、人気の理由は以下の通りです。
- 川平湾(かびらわん)などの美しい自然を堪能できる
- 寒暖差が少なく過ごしやすい気候
- 観光関連の求人が充実!離島ながら仕事が見つかりやすい
- 消費支出が全国平均以下!各種費用や生活費を抑えられることも
- 病院や学校もあり離島のなかでは利便性◎
川平湾(かびらわん)などの美しい自然を堪能できる
石垣島移住の最大の魅力は、やはり美しい自然風景を堪能できることです。
石垣島は周囲を美ら海(ちゅらうみ:ほかに比類するものがないほどに美しい海、を意味する沖縄の方言)に囲まれた、自然豊かなエリア。辺りを見回せば水平線が広がり、夜には満天の星を満喫できます。
北西部には日本百景に選出された川平湾(かびらわん)もあるなど、絶景スポットも多くあります。映画の中に出てくるような情景も、身近に感じられるのが石垣島の魅力です。
寒暖差が少なく過ごしやすい気候
上述の通り、石垣島の年間平均気温は24.3度でなおかつ年間の寒暖差も少ないという特徴があります。台風への備えこそ必須ですが、それでも1年を通じて過ごしやすいエリアです。
もっとも寒くなる1~2月でも気温は10~15度と、東京の4月ごろに相当します。寒さが苦手な方にとって、これ以上の国内移住先はほとんど見当たらないのではないでしょうか。
観光関連の求人が充実!離島ながら仕事が見つかりやすい
一般的に離島移住のハードルとなりやすいのが、仕事探し。求人の限られる離島では移住後の生業を探すのも一苦労というのが現状です。
しかし石垣島では、観光業関連の求人が非常に充実しています。新規就業希望者向けの窓口であるハローワーク八重山を通じて、移住前から仕事を見つけやすいのがメリットです。
病院や学校もあり離島のなかでは利便性◎
石垣島には総合病院が3施設、外科や内科など各科が23施設もあります。小学校も19校、中学も9校あるなど、離島のなかでは抜群の利便性を誇るエリアです。
離島暮らしでは、毎日通学で船へ乗って移動しなければいけないことも多いもの。しかし石垣島であれば、日常生活は島内だけで完結できるでしょう。
消費支出が全国平均以下!各種費用や生活費を抑えられることも
恩恵を実感しやすい石垣島移住のメリットとして、消費支出(食費や光熱水費、娯楽費などまで含めた支出)が全国平均以下である点も挙げられます。
2022年発行の石垣島のパンフレットによれば、石垣市の月間消費支出の平均は178,072円、全国平均は283,027円(2017年時点)です。1ヶ月あたり10万円以上も支出が少ないことが分かります。
もちろん実際の出費には個人差があり、自分が希望する生活スタイルにも左右されます。しかし、倹約しながら過ごしやすい場所であることも事実です。
子育てサポートが充実!母子(父子)家庭にもおすすめ
石垣島は子育て関連のサポートが充実した自治体でもあります。
子育てにまつわる相談・交流ができる石垣市子どもセンターや、後述する子どもの医療費を助成してくれる制度で子育て世帯をサポートします。
また、ひとり親家庭の保育施設利用料の助成や父子家庭向けの貸し付け制度も充実しています。シングルマザー(ファザー)の移住先にもぴったりです。
石垣島移住のデメリット|「闇」「後悔」「失敗」といわれる理由は?
自然豊かで気温も過ごしやすく、消費支出が少ないなどメリットの多い石垣島。おすすめの移住先だが、一方で「石垣島移住は闇」「後悔した」「失敗した」という声も少なくありません。
移住で後悔しないためには、あらかじめその地域の欠点も見つめておく必要があります。石垣島移住にあたっては、以下の5点を理解しておきましょう。
- 都会のならではの娯楽や利便性はない
- 補助金や支援制度は少ない
- 移住希望者が多く家賃は高め
- 移住者と地元住民のトラブルが増えている
- 虫や動物と共存して生きる覚悟が必要
都会のならではの娯楽や利便性はない
あらためて覚悟しておきたいのが、石垣島には都会の娯楽や利便性は存在しないことです。
10分も歩けばコンビニが複数見つかったり、5分に1本電車が来たりといった都会の生活はそこにはありません。消費支出の少なさは、お金を使う娯楽が少ないことも背景にあるのでしょう。
もちろん、マリンスポーツなどの石垣島ならではの娯楽はたくさんありますが、石垣島へ移住する前に、自分が理想とする暮らしの形をもう一度考えてみましょう。
人気の移住先ゆえに補助金や支援制度は少ない
石垣島は国内全体を通してみても人気の移住先です。そのため、移住者の確保に積極的なほかの自治体と比べて、補助金や支援制度は充実していません。
例えば、最大100万円などの高額な援助を受けられる「移住支援金」や「起業支援金」も石垣島は対象外です。金銭面だけで考えるなら、ほかの移住先の方が向いていると言えるでしょう。
移住希望者が多く家賃は高め
石垣島の移住希望者の多さは、家賃の高さにも影響しています。島内の家賃相場は4万円~6.5万円ほどで、これは離島としては高額です。
また、魅力的な物件は早い者勝ちで決まってしまうため、家探しそのものに苦労することもあります。
石垣市には、空き家バンク制度がありますが、登録されている物件は少ないのが現状です。
「家賃1万円の古民家を見つけて暮らしたい」といった夢を持っている方には、ほかの田舎の方が向いているでしょう。
移住者と地元住民のトラブルが増えている
石垣島への移住前には、移住者と地元住民のトラブルについても知っておきたい。
ここ20年ほどの石垣島は、移住者の増加やリゾート開発により大きく環境が変化した。
観光地として栄えて島内にも活気が生まれる一方で、昔ながらの穏やかな暮らしが壊されたと不満を持つ地元住民も多い。移住者と地元住民の間で、何度も衝突が起こっている。
今では外から来る人そのものに警戒感のある地元住民もいる。自分から積極的に溶け込もうとする気持ちを持たなければ、地域の一員となるのは難しい。
虫や動物と共存して生きる覚悟が必要
意外と見落としがちな石垣島移住のデメリットが、虫や動物の多さです。
自然に囲まれた石垣島は、人間だけでなく虫や動物にとっても楽園。本土では見たことのないほど大きな虫や動物も多く、最初は驚くでしょう。
もちろん「気がついたら慣れていた」という方もたくさんいます。個人差も大きいため、長期旅行で石垣島を訪れるなど、実際に自分の目で確かめておきましょう。
石垣島移住者と地元住民のトラブルが増えているって本当?
石垣島は、2000年代に積極的に移住者を受け入れてきましたが、移住者が増えたことによりトラブルが増えてきたのは事実です。
古くからの街並みを守りたい地元住民としきたりを知らない移住者
石垣島には、古くからの農村集落が残る白保という地域があります。サンゴや星空、フクギと石垣に囲まれた赤瓦の古民家が並ぶ地域で、八重山らしさを感じることができる場所です。
地域の人たちは、2006年に公民館総会で村づくりの指針「白保村ゆらてぃく憲章」を制定しました。村づくり七か条を定め、街並みの保存や文化継承、自然保護のために「海と緑と心をはぐくむ、おおらかな白保」を目標に、住民らが村づくりに取り組んでいます。
石垣島へ移住してきた人たちは、公民館や住民の取り組みや地域のしきたりについて知らず、移住後にトラブルが起きることがありました。
こうしたトラブルを防ぐため、沖縄県石垣市白保の住民らでつくる白保村ゆらてぃく憲章推進委員会は、白保公民館監修で「白保村」公式ホームページを開設しました。
このホームページでは、古くから継承されてきた村のルールを共有しています。そして、白保村で暮らす人たちが、古くから住民同士で助け合って村独自の伝統文化を守ってきた旨が記載されています。ホームページからは、地域住民が白保村に対して強い誇りを持ち愛していることが伝わってきます。
石垣島には近年、県外からの移住者が増えてきましたが、白保村は伝統文化を大切にして静かな農村生活という環境を変えずに守り続けたいと考えています。
そのため、白保村に暮らす人は地域の活動や公民館活動に積極的に参加し、村の風習や文化を理解し、村づくりに協力してほしい。公式サイトの中でこう訴えています。
このように、島の人たちは移住者をおおらかに受け入れながら、自分たちの村を大切に守ろうと努力しています。
石垣島へ移住を検討している人は、地元の人たちが地域を愛し守りたいと思っている気持ちを尊重し、地域のルールを理解して守っていかなければなりません。
地元民は移住者増を喜べない?
2011年に約65万人だった石垣島への観光客ですが、2019年には2倍以上になっています。それに伴い、島には飲食店やホテルなどが急増しました。
新しくできた飲食店やホテルにより新しい雇用が生まれましたが、そこで働くのは地元の人ではなく、県外から来た移住者がほとんどです。
地元には、島をリゾート化することに反対する人たちがいます。島の自然をそのままにしておきたいと考える人たちにとっては、移住者が増えてホテルや飲食店が増えることは喜ばしいことではないのでしょう。
また、観光地として飲食店が増えるなか、治安が悪くなったと感じる人も多いようです。関東や関西から移住してきた人たちが店を始め、人が増えていくにつれ、家賃や物価が驚くほど上がりました。
そのことに対して、「島が食い物にされた」と感じる地元民も少なくないと言います。島を愛するからこそ、移住してきた人たちが島を変えてしまったと感じてしまうのかもしれません。
石垣島移住を成功させるための5つのポイント
メリットもデメリットも存在する石垣島移住。後悔しないために必要なものは、現実を見据えた準備です。
具体的な計画の立て方としては、以下の流れを意識することが求められます。
- 移住の目的の明確化
- 大まかなエリア決め
- 移住後の仕事の確保
- 現地訪問
- 物件探し
それぞれ順番に見ていきましょう。
老後や定年?若者の心機一転?移住の目的を明確にする
まず行うべきは、移住の目的の明確化です。
- 「定年後や老後に、海の見える場所で穏やかな日々を送りたい」
- 「人と人との距離感の近い離島で、安心して子育てをしたい」
- 「都会から離れ、心機一転新たなスタートを切りたい」
- 「マリンスポーツを生活の一部にしながら暮らしていきたい!」
移住の目的は人それぞれで、どのようなことでも大丈夫です。ただし、目的ははっきりと言葉にしておきましょう。
目的が明確になると自分の譲れないポイントも理解できて、この後のステップがうまく進みやすくなります。また、将来ホームシックになってしまったときにも、今ある暮らしの良い面を再確認できるはずです。
「老後を暖かい土地でのんびり暮らしたい」そんな夢を叶えるには石垣島はぴったりの島ですが、気になるのは自治体が掲げる高齢者向けの支援制度ではないでしょうか。
石垣市では、高齢者や高齢者を介護する家族をサポートするサービスが充実してます。利用できるサービスはこちらからご確認ください。
島内のどの辺りのエリアに住むか大まかに決める
目的の明確化の後は、島内での希望の移住エリアを大まかに決めていきましょう。石垣島は大きく4つエリアに分かれており、その特徴は以下の通りです。
【石垣島のエリアごとの特徴】
- 南部:開発が進みもっとも栄えたエリア。病院や大型商業施設なども多数。
- 東部:島内中心部から車で15~20分と好立地。サンゴの海や赤瓦屋根の家屋など伝統を感じるエリア。
- 西部:川平湾で有名な景観の良いエリア。お試し移住者も多く馴染みやすい。
- 北部:もっとも自然豊かなエリア。人の手が入っていない環境もあり、いわゆる「離島暮らし」を楽しめる。
上記を参考に、まずはどのエリアが自分に合っているか考えてみてはいかがでしょうか。特徴を理解しておくことで、現実と理想にギャップが生まれる可能性を下げられます。
リモートワークの継続?新規就業?移住後の仕事も決めておく
大まかなエリア決めの次は、移住後の仕事について検討しておきましょう。
上述の通り、石垣島は観光業の求人が豊富で仕事は見つかりやすいのですが、島内は賃金が安く家賃は高いため、生活費を稼ぐのに苦戦する方も多いのが実情です。
可能であれば、転職をせずテレワークで現在の仕事を続けられると◎。島内にはチャレンジ石垣島のような、テレワーク支援施設(ワーケーション支援施設)もあります。
体験ツアーやお試し移住を探して現地を訪れよう
仕事探しと並行して、実際に石垣島を訪れておきましょう。体験ツアーやお試し移住施設の利用がおすすめですが、開催されていない場合は長期旅行で滞在するのも良いでしょう。
移住では、実際にその土地に足を踏み入れなければわからないことが必ずあります。
透き通った海の美しさに心を打たれたり、都会の利便性や娯楽が恋しくなったり、ポジティブ・ネガティブどちらにも気付きがあるでしょう。
物件探しは根気が必要!小まめにサイトをチェックする
実際に現地を訪れ、それでも移住を進めたいと思えたら、いよいよ物件探しです。
移住者に人気の石垣島では、良い物件の空きがあまりありません。八重山地区宅地建物取引業者会などの物件情報サイトを小まめに確認し、気になる物件はすぐに問い合わせましょう。
また、石垣島の自治体担当者に移住希望の旨を相談してみるのもひとつの方法です。多くの移住者を見てきたからこその、得がたいアドバイスを授けてくれるはずです。
石垣島移住で利用したいおすすめ支援制度5つ!
出典:石垣市移住定住支援ポータルサイト
最後に、石垣島移住で活用できるおすすめ支援制度を紹介します。ただし上述の通り、石垣島は人気の移住先ゆえに支援は少なめです。
代表的な移住支援制度は以下の5つ。自分が利用できるものはあるか確認してみてください。
- 石垣市空き家バンク制度
- 離島保育士確保総合対策事業
- 島外看護師等誘致支援事業
- こども医療助成制度
- 離島住民カード
石垣市空き家バンク制度
住まい探しに役立つのが、石垣市空き家バンク制度です。
空き家バンクとは、空いている物件を貸したい(あるいは売りたい)所有者と、その物件に住みたい方をマッチングしてくれる自治体のサービスのこと。
石垣市で空き家バンクを利用したい場合は、現在石垣市に住んでいないまたは市外から転居してきて3年経過していない、さらに今後3年以上住むことが見込まれることが条件です。
また、石垣市で暮らすにあたり、自然環境や伝統文化などに対する理解を深めて、地域の人たちと協調して生活できることも条件の中に含まれています。
石垣市の空き家バンクに登録された物件を改修する際、「石垣市空き家バンク補助金交付要綱」に基づき、市が改修費用の一部(上限額50万円)を負担してくれます。補助を受けるためには、補助金交付年度から3年間、移住促進のために活用することが条件です。
空き家バンクは、一般の賃貸サイトよりも、条件の良い物件が見つかりやすいことで知られています。しかし、先述したように石垣島で住まいを探すのは難しくなっており、それは空き家バンクも同様です。
良い条件の空き家は、すぐに購入者(借主)が見つかってしまうため、こまめに確認することをおすすめします。空き家バンクの情報の閲覧は登録なしで行えるため、まずは一度チェックしてみてください。
離島保育士確保総合対策事業
石垣島で保育士として働くなら、離島保育士確保総合対策事業が役立ちます。
石垣島内の保育士数を増やすため、県外からの移動や生活準備にかかる費用を最大50万円補助してくれる支援制度です。金銭的に有利な形で移住を実現できるでしょう。
支給には60歳未満であることなど一定の要件があります。自治体公式ページや交付要綱を確認してみてください。
島外看護師等誘致支援事業
石垣市では、医療提供体制の維持や確保、および充実ならびに健康や介護、子育て支援などの行政の各分野の充実を図ることを目的に、島外から転居する看護師や保健師に対して、就労にかかる移住費用を補助する事業を実施しています。
補助対象になるのは、市外在住の看護師または保健師で対象施設で2年以上継続して勤務可能である場合(竹富町・与那国町在住の方を除く)です。
補助金は、県外からの場合は50万円、市外からの場合は40万円が支給されます。
対象施設や申請方法などについては、こちらをご確認ください。
こども医療助成制度
ファミリーでの移住者に嬉しい支援となるのが、こども医療助成制度です。
石垣島では18歳までの子どもの医療費(外来も入院も)がかかりません。対象の健康保険証の提示により、原則病院窓口での料金支払いなしで治療を受けられます。(2023年4月より石垣市こども医療費助成制度の給付対象年齢が18歳まで拡大されました)
全国的に見ても、入院も外来も医療費がかからないのは珍しいのではないでしょうか。事前に制度を理解しておくことで、家計の負担を大きく下げられるでしょう。
このほかにも、石垣市では子どもや子育てをする人たちをさまざまな方法で支援しています。
沖縄県離島住民割引運賃カード
石垣島での暮らしを始めたら受け取れるのが、「離島住民カード(正式名称:沖縄県離島住民割引運賃カード)」です。
これは、沖縄県が離島住民の交通コスト負担軽減を目的に発行されたカードで、石垣島から那覇・宮古・与那国までの移動費が割引され、地元住民専用の価格で航空機を利用できます。仕事や休暇で本島へ行く際に使えて便利です。
石垣島へ移住体験する方法とは
石垣島への移住を考えている方には、島での暮らしを体験できるツアーへの参加や、先輩移住者の声を聞くのがおすすめです。
移住体験モニターツアー実施 石垣島移住体験ツアー
石垣市では、移住を希望している方を対象に、市内で働く魅力や実際に石垣島での生活をイメージできる体験型ツアーを毎年開催しています。
体験ツアーの内容は、その年ごとに異なりますが、令和5年度にはハローワーク説明会や自然歴史体験ツアー、懇親会が行われました。
2024年7月現在、令和6年度の募集はまだですが、気になる方は以下へお問い合わせください。
石垣市 企画部 ふるさと創生課 地方創生係
電話 : 0980-87-9000
電子メール : furusatosousei@city.ishigaki.okinawa.jp
実際に石垣島に移住した方へインタビュー
石垣島へ移住した先輩移住者のインタビューは、島への移住を考えるうえで大きなヒントを与えてくれます。
茨城県出身の沼田悠子さんは、自分の理想の働き方を求め、インドネシアや東京での暮らしを経て、石垣島へ移住されました。石垣島に出会ったのは、小浜島で働く妹さんに会うために八重山諸島を訪れたときのことです。
沼田さんがはじめに直面したのは、部屋探しの難しさ。石垣島では、近年、移住者の増加や建築費の高騰などで、部屋不足や家賃の値上がりが問題となっています。沼田さんも、部屋を見つけても家賃が高いなど、苦労されたそうです。
現在住んでいる古民家は、もともと友人が住んでいた家で、友人がその家を引っ越すことになり、沼田さんが2019年10月に賃貸契約を決めることになりました。
沼田さんが石垣島で暮らしてきた日々は、決して楽しいことばかりではありませんでした。島の小さなコミュニティならではの問題や悩みに直面したこともあったのです。
でも、そんなとき頼りになったのは長期滞在でお世話になった民宿の奥さまや、老舗食堂を経営している方たちでした。沼田さんは、そんな人たちの支えで石垣島でやっと自分の居場所を見つけることができたと話します。
沼田さんは、離島暮らしは収入や文化の違いがあるため、はじめは旅行の延長のような感覚で島に滞在し、島を知ってから住むことをすすめてくれました。
はじめから「移住するぞ!」と意気込むよりも、たくさんの人と知り合って島を理解してから移住を考えるのが良いそうです。
石垣島での暮らしを考えるなら、移住体験ツアーへの参加や、島の民宿などに滞在して実際に島での暮らしを体験するのがおすすめ。そして、家探しも島の暮らしの悩みも、その助けになったのは「人との出会い」です。
島での暮らしは、実際に生活を体験することと人との縁が大きなポイントのようです。
念入りに計画を立てて憧れの石垣島移住を叶えよう!
この記事では石垣島移住について、基本情報やメリット&デメリット、失敗しない計画の立て方と活用したい支援制度を紹介しました。
大自然を堪能できて、支出も少ない石垣島は間違いなくおすすめの移住先です。しかしそれでも、現実を見据えた準備を進めなければ、後悔してしまうこともあります。
石垣島への移住を実現するため、この記事を参考に適切な流れを意識しながら念入りに計画を立ててみてください。もし、疑問や心配なことがある場合は、自治体担当者に相談してみるのもひとつの解決策となるはずです。
移住体験ツアーに参加するなど、積極的に移住に向けてスタートを切ってみてはいかがでしょうか。