「いつか田舎へ移住して古民家で暮らしたい」と憧れを抱いている人も多いのではないでしょうか?実は古民家は、空き家バンクなど自治体の制度を利用することでコストを抑えて安く手に入れることができます。まずは、古民家の魅力や注意点を確認しつつ、古民家をおトクに手に入れる方法を解説します。
移住先で古民家暮らしをする魅力
地方移住をする人のなかには、古民家を購入後リフォームやリノベーションを施して住居にする人も多くいます。
移住先で古民家暮らしをする魅力は、大きく分けて次の4つです。
- 趣やぬくもりが感じられる
- 天井も高く広々としている
- 天然建材を使用している
- 安い費用で購入できる
それぞれ詳しく解説していきます。
趣やぬくもりが感じられる
古民家の大きな魅力は、現代の建築物にはない趣や温もりが感じられる所でしょう。この古民家ならではの魅力は、新築住宅では作り出せないもの。
古民家はアンティーク家具との相性も良く、若い世代からの支持も厚いです。最近は、古民家をリノベーションしてカフェやショップを始める人も増えています。
趣のある空間が好きな人にとっては、古民家は新築以上に魅力を感じられる建築物だと言えます。
天井も高く広々としている
古民家の魅力は、趣やぬくもりだけではありません。昔ながらの民家は、天井も高く空間が広々としています。
部屋数が多いこともあるので、自宅で自分だけのプライベート空間を作りたい人や、子育て世代にも古民家はおすすめです。
天然建材を使用している
「古い建物は強度が弱いのでは」と心配する人もいると思いますが、釘を使わない日本の伝統構法で建てられた古民家の多くは、耐久性に優れています。
また、自然素材を使用した古民家は、シックハウス症候群やアレルギー、アトピー などの原因物質を含む材料が使われていないので、安心して生活できます。
安い費用で購入できる
古民家は築年数が経過しているため、安く購入できることが多いです。地方移住をして古民家暮らしを始めるのであれば、都市部に比べて土地代も安く抑えられるでしょう。
また、自治体によっては、中古物件の購入や改修に関する支援制度を行なっているところも存在しているため、移住先としてそういった自治体を選べば、格段にコストを抑えることができます。
古民家暮らしをする前に…後悔しないためのポイント
古民家暮らしには、さまざまな魅力・メリットがあるが、当然デメリットもあります。
古民家暮らしの注意点は、次の3つです。
- 通気性が良い分「断熱性」に劣る
- 耐震性に劣るケースも
- リノベーション・改造が必要
通気性が良い分「断熱性」に劣る
日本の高温多湿の環境で快適に生活できるよう、古民家は通気性に配慮して作られています。
例えば、天井を高くしてスペースを作ったり、部屋を壁で仕切ったりしないことで、風の通りが非常に良くなります。
このように通気性に優れた古民家は、夏は快適に過ごせますが、冬場は隙間風が入り込み寒さを感じやすいです。寒い地域で古民家を購入する場合は、断熱性を高めるためのリノベーションをするようにしましょう。
家全体の熱の多くは、窓から逃げていくといわれています。寒さを凌ぎたい場合は、まず窓のリフォームが第一ステップとなるでしょう。
二重構造の窓に取り換えたり、窓の隙間をなくすだけでも、機密性が上がり家の中の熱が逃げにくくなり、冷たい外気が入るのも防ぐことが可能です。
耐震性に劣るケースも
現代の基準で見ると、古民家は耐震基準を満たしているとは言えません。
古民家と現代の住宅では、同じ木造であっても構造が違います。現代の建物の多くは、土台などをコンクリートでガチガチに固めて耐震性を高めるのが一般的です。
一方の伝統工法の古民家は、地面と家を切り離し、地震の力を逃がす免震構造になっています。つまり、耐震性はないが地震に耐えられる家だと言えるでしょう。
しかし、老朽化の著しい古民家の場合は、耐震補強をした方が良いケースもあるので、専門家と相談しながら手を加えていくと良いでしょう。
リノベーション・改造が必要
古民家を購入する際、リノベーションが必要になることが多いです。
古民家の状態によって、工事の内容は異なるが、柱や梁が劣化していたり、耐震補強工事が必要な場合は、多くの費用がかかったりしてしまいます。
古民家を探すときは、どの程度のリノベーションが必要かも確認しておきましょう。
古民家を手に入れる主な4つの方法
移住先で古民家を手に入れる方法は、主に次の4つです。
- ネットの不動産ポータルサイトを利用する
- 不動産会社に相談する
- 知人に紹介してもらう
- 自治体が開設している空き家バンクを利用する
ぜひ、上記の方法を実践して理想の古民家を手に入れましょう。
ネットの不動産ポータルサイトを利用する
多くの人が家を探すときに不動産ポータルサイトを活用すると思いますが、古民家も同様の方法で見つけることができます。
ポータルサイトは、複数の物件を比較しながら検討できるのがメリット。古民家専門の不道断会社などもあるので、一度問い合わせてみるのも良いでしょう。
知人に紹介してもらう
地方に知り合いがいたり、地元がある場合は、知人に古民家を紹介してもらうこともできます。
地方には、空き家になったまま放置されている古民家も少なくないので、格安で良い物件が手に入る可能性もあるでしょう。
自治体が開設している空き家バンクを利用する
空き家バンクとは、空き家の売却や賃貸を希望する所有者から申し込みを受けた情報を、空き家の利用を希望する人に紹介する制度。
空き家バンクは自治体が運営しているため、不動産会社と違って仲介手数料がかからずコストを抑えて古民家を手に入れることができます。
また、無料で古民家が手に入ったり、相場よりも格安な価格で古民家が手に入る自治体もあるので、古民家暮らしを希望する人は、空き家バンクを活用してみましょう。
中古物件の購入や改修に関する支援制度を活用しよう
地方の自治体のなかには、売買または賃貸借契約を締結する空き家の改修・リフォームに必要な費用の一部を助成してくれるところも存在します。
制度を活用すれば、格安で古民家を手に入れられるので、移住希望先に補助金制度がないか調べてみると良いでしょう。
移住先で古民家に住める支援制度がある自治体10選!
ここからは、移住先で古民家に住める支援制度がある10の自治体を紹介します。
【北海道】夕張市(ゆうばりし)
出典:住宅取得等補助金について|夕張市
北海道夕張市では、中古住宅住宅取得費補助金として最大75万円の補助金を助成しています。
この補助金は、補助金の交付を受けてから5年以上継続して夕張市に住む、市税等を滞納していない、地域要件に該当するなどの条件を満たしていることが条件です。
中古住宅住宅取得費補助金の他にも、市では50万円以上のリフォーム工事費用の一部の補助、住宅の新築および購入費用の一部を補助するなど、子育て世帯の応援や転入や定住促進、居住環境の向上を目的とした取り組みを行なっています。
【神奈川県】鎌倉市(かまくらし)
出典:耐震相談・耐震診断のご案内|鎌倉市
古い建物がいくつも残る神奈川県鎌倉市では、耐震やバリアフリーに関する住宅改修に対して支援する制度を設けています。
鎌倉市が指定した事業者による「現地耐震診断」の結果、総合評点が1.0未満の場合は、耐震改修工事費等の補助金を費用の2分の1、かつ最大100万円まで受けることが可能。
鎌倉市庁舎では、毎月1~2回ほど専門家による耐震相談を行っているので、古民家の耐震性が気になる方は、相談してみると良いでしょう。
【千葉県】君津市(きみつし)
出典:戸建て中古住宅取得補助金のご案内|君津市
千葉県君津市では、中古住宅の取得者に対して最大70万円の補助金を交付しています。
市内に建築され過去に住宅として利用された一戸建て住宅、昭和56年6月1日以降に着工されたこと、耐震性を有することなどの条件を満たした住宅が対象です。
また、対象となる住宅に居住している所有者であること、市税の滞納がないこと、対象となる住宅に5年以上継続して定住する意思があるというのが条件となります。
【長野県】安曇野市(あずみのし)
出典:移住の助成制度等|安曇野市へ移住!
長野県安曇野市では、安全・安心な暮らし、自然環境に配慮した暮らしの住宅関連のさまざまな補助制度を実施しています。
その取り組みのひとつとして、移住者が空き家バンク登録物件を購入し、リフォームを実施して居住する場合に補助金として最大80万円を支給。
また、長野県と県内市町村では、東京圏、愛知県または大阪府から移住し、県内で就業または創業する人に対し、移住支援金も支給しているので利用してみると良いでしょう。
【岡山県】岡山市(おかやまし)
出典:【補助金】移住者・二拠点居住者向け中古住宅購入・リフォーム補助制度を創設しました!|岡山市
岡山県岡山市では、移住者・二拠点居住者向け中古住宅購入・リフォーム補助費用として最大50万円の補助を行なっています。
移住する場合は、令和4年4月1日以降に岡山市へ転入、転入の直前に岡山県外に1年以上住民票があった、実施報告日以降、2年以上岡山市に住む予定がある人が対象。
二拠点居住をしたい場合は、あらかじめ「二拠点居住開始届」の届出が必要となります。移住を考えている人はもちろんのこと、二拠点居住を目指す人もチェックしておきましょう。
【京都府】京丹後市(きょうたんごし)
出典:京丹後市移住促進・空家改修支援事業|京丹後市移住支援サイト
京都府京丹後市では、移住者または地域の団体が行う空き家の改修にかかる経費を1戸あたり90万円まで支援しています。
さらに、下水道供用開始区域内で、新規の排水設備接続工事を実施する場合は、最大140万円の補助金を受け取ることも可能です。
京都府京丹後市では、登録空家へ移住する際に必要となる家財道具の運搬費用や移動に要する費用を対象に、最大10万円の奨励金も支給するなど、地域への移住推進に力を入れています。
【兵庫県】淡路市(あわじし)
出典:2020年度版“支援メニュー”早見表|淡路島で暮らす・働く・育てる
兵庫県淡路市では、空き家の改修や処分費用、登記費用、引っ越し費用として、最大100万円を支援しています。
さらにUIJターン後に市内の企業に正社員として就職した場合、月額1万円を3年間支給してもらえます。
また、空き家を活用して起業する場合は、改修費・企業等経費・移住経費として最大300万円支給など、淡路市は空き家利用や移住者に対する支援が充実しています。
【高知県】幡多郡大月町(はたぐんおおつきちょう)
出典:支援制度いろいろ|大月町
高知県幡多郡大月町では、所有者または利用者が軽微な住宅の改修を必要とする際に、補助金として最大50万円を支給する取り組みを行なっています。
また、大月町では、移住・定住を目的に町内で住まいや仕事を探したり、暮らしを体験したりするなどの活動にかかる町内での滞在費の一部を最大で3,000円まで補助。
さらに、町外から移住・定住を考える人が、実際に大月町での生活を体験できるよう、生活に必要な家具家電のそろったお試し住宅を用意。入居期間は1~6ヶ月まで、月18,000円で利用可能です。
【福岡県】糸島市(いとしまし)
出典:糸島市木造戸建て住宅耐震改修促進事業|糸島市
福岡県糸島市では、市内の木造戸建て住宅の耐震化を進めていくため、耐震改修工事にかかる経費の一部を最大60万円まで支援しています。
支援を受けられる住宅は、1981年5月31日以前に建築または工事着工したなどの条件を満たした市内の木造戸建て住宅が対象。
さらに、耐震改修工事を行う所有者、市税を滞納していない、暴力団関係者でないことが条件です。
【沖縄県】久米島町(くめじまちょう)
出典:空き家・空き地バンク制度について|久米島町
沖縄県久米島町では、空き家や空き地を有効活用して移住・定住を促し、町の活性化を図るため「空き家・空き地バンク制度」を運用しています。
久米島町の空き家・空き家バンクの情報提供を受けたい場合は、所定の誓約書と空き家・空き地バンク利用希望者情報シートを町に提出することで利用可能です。
久米島町内で古民家をお探しの方は、町の空き家バンクを活用してみましょう。
憧れの古民家暮らしは田舎へ移住して実現しよう
田舎への移住を考えるとき「古民家暮らしをしたい」と憧れを抱いている人も多くいます。古民家暮らしには、メリット・デメリットがあるので、まずはそこを知ることから始めましょう。
自治体によっては、古民家暮らしを始めるに当たってかかる費用を補助してくれるところも存在します。上手に制度を利用することで、コストを抑えて古民家を安く手に入れられるでしょう。
気になる移住希望先があれば、一度各自治体でどのような取り組みをしているのかリサーチしてみることをおすすめします。
ぜひ今回の情報を参考に、移住先で憧れの古民家暮らしを叶えましょう。