定住と移住の違いとは?定住を実現するために知っておきたい支援制度とおすすめ自治体7選

定住と移住の違いとは?定住を実現するために知っておきたい支援制度とおすすめ自治体7選

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移住」と「定住」はセットで見聞きすることの多い言葉だが、具体的な違いがよく分からない人も少なくないだろう。

この記事では、移住・定住それぞれの意味を解説するとともに、地方に定住を決めた先輩移住者の体験談を紹介する。

定住を実現するために活用したい支援制度や、定住支援が充実しているおすすめの自治体もあわせて見てみよう。

目次

定住と移住の違いとは?

定住と移住は似たような言葉だが、それぞれ何が異なるのだろうか?まずは、両者の違いについて知っておこう。

定住は「一定の場所に生活の拠点を定めること」

定住とは、一定の場所に住まいを定めて生活拠点とすることを指す。

定住地に住民票を移して、その自治体に所属するのが一般的だ。

居住年数に明確な定義はなく、その地域を生活の拠点にするという確固たる意思があれば「定住」と言って差支えない。

移住は「別の地域に移り住むこと」

対して、移住とは今の生活拠点とは別の地域に移り住むことを言う。

移住したとしても、その後ずっとその土地で生活するとは限らない点が、定住とは区別されるポイントだ。

近年では、ふたつの地域に住まいを構える「二拠点生活」など、カジュアルな移住スタイルも登場し注目を集めている。

国が実施する移住・定住促進支援事業

地方への移住・定住を推進するため、国では次のような支援を実施している。

  • 地域おこし協力隊
  • 起業支援金・移住支援金
  • 「フラット35」地方移住支援型

「地方に移住したいけど、お金がかかる」という問題は、移住・定住を検討する中で誰しもが直面する課題だろう。

上記3つの支援事業は、いずれも移住・定住にかかる費用面(地域おこし協力隊の場合は移住後の就業も)を手厚くサポートしてくれるものだ。

ひとつずつしっかりチェックして、移住・定住計画を大きく前進させよう。

地域おこし協力隊

総務省が推進する地方活性化事業のひとつが、地域おこし協力隊だ。

地域おこし協力隊とは、人口の減少・高齢化などの課題を抱える地方自治体が、都市部からの移住者を地域おこしの担い手として受け入れる取り組みのこと。

隊員は概ね1~3年間、実際にその地域で生活しながら、地域おこしを支援したり、農林水産業に従事したりといった地域協力活動を行う。

注目すべきは、任期満了後に隊員自身の定住を目標としている点だ。

地域おこし協力隊として地域に根ざした活動を行う中で、定住の意思が固まれば、そのままその地域で暮らしていくこともできる。

加えて、任期中は自治体から給料が支払われるため、移住後の生活費や仕事の心配をせずに済むのもメリットだ。

参考:地域おこし協力隊|総務省

起業支援金・移住支援金

地方移住・定住をする際に必ずチェックしてほしいのが、国が実施する起業支援金・移住支援金制度だ。

地方自治体では、地域に移住して起業・就業する方に対して支援金を交付しているが、その取り組みを国が地方創生の一環としてサポートしている。

起業支援金では最大200万円、移住支援金では最大100万円(単身移住の場合は最大60万円)が支給される。

地方移住して起業した場合は最大で300万円の交付を受けられることになるので、定住先での起業を検討している方は要チェックだ。

支援金を受け取るには対象要件を満たす必要があるため、国のホームページでしっかり確認しておこう。

また、移住支援事業を実施しているかどうかは自治体によって異なるため、あわせてチェックしてみてほしい。

参考:地方へ移住しよう 地方で起業しよう 地方でのチャレンジを応援!~地方へ移住、起業で最大300万円~|内閣官房・内閣府総合サイト 地方創生

「フラット35」地方移住支援型

前述の移住支援事業とあわせて活用したいのが、「フラット35」地方移住支援型だ。

移住支援金の交付を受けた方を対象に、住宅ローンの金利を当初10年間、年0.3%引き下げる制度で、通常のフラット35よりもローン返済総額を安く抑えられる。

利用にあたってはいくつか条件があるので、公式サイトで確認してみてほしい。

参考:【フラット35】地方移住支援型|フラット35

自治体が実施する移住・定住促進支援制度

地方自治体でも、移住・定住を促進するためのさまざまな支援制度を実施している。

特に、定住を前提とした移住の場合は、次のようなサポート制度をしっかりチェックしておこう。

  • 定住促進住宅
  • 移住体験施設
  • 住宅取得支援・リフォーム費用補助
  • 就業・創業支援
  • 結婚や子育てに関する支援

定住促進住宅

定住促進住宅とは、その名の通り、移住者の定住促進を目的とした住宅のことだ。

中堅所得者の地域定住を促すために、国の補助を受けて自治体が建設した賃貸住宅で、入居条件のひとつに収入基準が定められているのが一般的だ。

通常の賃貸住宅より家賃が安い場合が多く、実際に地域で生活しながら定住するかどうかを判断できる。

入居期間や家賃、申込条件などは自治体によって異なるので、定住促進住宅の利用を検討する場合は、あらかじめよく確認しておこう。

移住体験施設

定住を見据えて移住するのであれば、現地での実際の暮らしを知っておいた方が安心だ。

自治体によっては、おトクにお試し移住ができる移住体験施設を用意しているところもあるので、ぜひ活用してみてほしい。

例えば、山形県寒河江市の移住体験施設「さがえベース」では、3泊4日~30泊31日までの期間中、無料でリアルな寒河江暮らしを体験可能だ。

移住体験施設を利用することで、実際に生活してみなければ分からない地域の風土や魅力、移住にあたっての注意点を知ることができる。

移住後のギャップを減らすのにも大いに役立つので、移住候補地にお試し移住体験施設がある場合は利用してみると良いだろう。

参考:さがえ心地体験住宅「さがえベース」|寒河江市

住宅取得支援・リフォーム費用補助

地方に移住・定住する際に大きな出費となるのが、住宅関連費用だ。

各地方自治体では、移住者を地域に呼び込むために、住宅取得支援制度やリフォーム費用の助成制度などを設けている。

例えば、石川県志賀町では、新築住宅を取得し定住する転入者に対して「移住定住促進住まいづくり奨励金」を交付している。

単身の場合は最大100万円、ファミリー世帯の場合は最大200万円の補助を受けることが可能だ。

また、空き家を格安で購入・賃借できる「空き家バンク」は多くの自治体が取り組んでいるほか、市町村によっては、一定期間住み続けることで家や土地が無償で手に入る場合もある。

移住・定住を成功させるためにも、住宅関連の支援制度はしっかり活用していこう。

参考:支援制度|石川県志賀町移住定住サポートサイト「しかまちぐらし」

就業・創業支援

移住に伴って仕事を辞める場合は、地方での就業についても考える必要がある。

多くの自治体では、移住者の就業・創業を手厚くサポートしているので、移住候補の自治体が実施している支援制度は事前にしっかり確認しておこう。

特に、政府が実施する移住支援金の対象自治体では、自治体が運営するマッチングサイトを利用して就業した場合などに移住支援金が交付される。

地方で新たに仕事を見つけて定住したい方は、マッチングサイトの求人情報をチェックしてみると良いだろう。

そのほか、自治体によっては、就転職相談から無料職業紹介・面接対策・職場定着までをワンストップで支援していたり、創業支援事業として登録免許税軽減などの措置を受けられたりする場合もある。

結婚や子育てに関する支援

単身移住で定住先での婚活を視野に入れている場合や、移住後にパートナーとの結婚を予定している場合には、自治体の結婚支援制度もチェックしておきたい。

各自治体では、婚活イベントを開催したり、婚活ポータルサイトで情報発信をしたりと、婚活をサポートするためのさまざまな取り組みを行っている。

新婚世帯に対して、住宅取得費用や引っ越し費用を補助している自治体も多い。

また、ファミリー世帯で移住・定住するなら、子育て支援制度も要チェックだ。

例えば、長野県宮田村では、子育て世帯を対象に「輝く子育て応援事業」を実施している。

子どもが生まれたら「誕生祝金」を受け取れるほか、「子育てファミリー転入奨励金」「小中学校入学祝金」などの手厚い交付金制度が用意されている。

子連れで地方に定住する場合は、子育てのしやすさも重要なポイントなので、定住を検討している自治体の子育て支援情報はよく確認しておこう。

参考:子育て世帯を応援!「輝く子育て応援金」|長野県上伊那郡宮田村公式サイト

気軽に移住相談ができる窓口を活用しよう

「地方に移住・定住したいけど、生活や仕事の面で不安がある」「移住したいけど、何から始めれば良いのか分からない」という方は、まずは気軽に相談できる窓口を利用してみると良いだろう。

移住・定住に関する相談は、東京にある「ふるさと回帰支援センター」や、各自治体が設置する移住・定住支援センターなどで受け付けている。

【東京】ふるさと回帰支援センター

ふるさと回帰支援センター」は、東京・有楽町にある日本最大の移住相談センターだ。

44都道府県1政令市(2022年11月時点)の専属相談員が常駐して、移住相談に応じたり、地方暮らしのリアルな情報を提供したりしている。

東京にいながらにして、移住候補地の生の情報が簡単に手に入るのが大きなメリットだ。移住候補地が複数ある場合も、ふるさと回帰支援センターでまとめて検討できる。

仕事や家庭の都合でなかなか現地に足を運べない方は、まずはこちらで情報収集・相談をしてみよう。

移住先が決まっていなくても気軽に相談できるため、「漠然とだけど移住を考えている」という方にもおすすめだ。

参考:認定NPO法人ふるさと回帰支援センター

【地方】自治体が設置する移住・定住支援センターなど

地方自治体でも、県庁や市町村役場などで移住相談を受け付けている。

自治体によっては、移住・定住支援センターを独自に設置している場合や、オンラインでの移住相談に対応している場合もあるのでぜひ活用してみよう。

例えば、宮城県白石市では、「白石市移住交流サポートセンター 109-one(トークワン)」を設置。市内への移住希望者に対して、移住支援制度の案内や移住相談を行っている。

栃木県では、専属の移住相談員とオンラインで個別相談ができる「とちぎオンライン移住相談」を実施しているため、遠方に住んでいる場合でも気軽に相談・情報収集が可能だ。

参考:白石市移住交流サポートセンター 109-one(トークワン)
参考:とちぎ暮らし・しごと支援センター(都内でのUIJターン相談窓口)|栃木県公式サイト

支援制度が充実!定住におすすめの自治体7選

ここでは、定住先におすすめの魅力ある自治体を7つご紹介する。

移住・定住支援が充実している自治体を厳選しているので、ぜひチェックしてみてほしい。

【北海道】歌志内市(うたしないし)

歌志内市公式サイト
出典:歌志内市公式サイト

歌志内市は、北海道のほぼ中央の山麓地帯に位置する、豊かな緑に囲まれたまちだ。

歌志内市では、定住促進制度として、最大500万円の住宅取得奨励金を交付している。

500万円の交付を受けるためには、「5年以上市内に定住を確約する」「市が指定する住宅用地に住宅を新築する」などの要件を満たす必要があるが、交付を受けられれば定住のための住宅取得費用を大きく節約できる。

歌志内市では短期移住生活体験者を募集しているので、気になる方は一度現地での暮らしを体験してみてはいかがだろうか?

【茨城県】境町(さかいまち)

茨城県境町移住・定住促進サイト「さかいじゅうナビ」
出典:茨城県境町移住・定住促進サイト「さかいじゅうナビ」

茨城県境町では、市内への移住・定住を希望する方を対象に、定住促進住宅「アイレットハウス」を整備している。

マンションタイプと戸建て・ガレージタイプの賃貸住宅を用意しており、いずれも子育て世帯にやさしいつくりになっているのが特徴だ。

子育て世帯または新婚世帯で、所得基準に該当する場合は家賃が減額になるのもポイント。

また、20年住み続けたら無償で譲渡される新築戸建て住宅の入居者も定期的に募集しているので、定住後の住宅をおトクに手に入れたい方は募集情報をしっかりチェックしておこう。

【神奈川県】山北町(やまきたまち)

山北町移住なび「やまきたキタキタ。」
出典:山北町移住なび「やまきたキタキタ。」

町域の9割を丹沢山塊に囲まれた神奈川県山北町は、山暮らしがしたい方におすすめの定住先だ。

山北町では、若者世帯や子育て世帯向けの定住促進住宅として、戸建てタイプの「みずかみテラス」と、マンションタイプの「サンライズやまきた」を用意している

どちらも子育て世帯の暮らしやすさを考えたこだわりのデザイン・住宅性能と、ゆとりある住宅環境が大きな魅力だ。

空室状況は自治体のサイトで確認できるので、山北町への定住を検討する際はぜひチェックしてみてほしい。

【東京都】奥多摩町(おくたままち)

奥多摩町子育て移住定住サイト「おくたま暮らし」
出典:奥多摩町子育て移住定住サイト「おくたま暮らし」

東京都にありながら、都心の喧騒とはかけ離れた、豊かで美しい自然が広がる奥多摩町。

奥多摩町では、若者定住応援住宅・いなか暮らし支援住宅を整備し、子育て世代の定住促進を図っている

いずれも町内にある空き家を活用した住宅で、15年以上継続して定住した場合に住宅などが贈与される制度だ。

過去の住宅使用料の相場は、月額6,000円~13,000円、年額1,000円~40,000円という破格の安さのため、定住後の生活費を節約しながら田舎暮らしを満喫したい方はぜひ活用してみよう。

【静岡県】富士宮市(ふじのみやし)

富士宮市移住&定住ポータルサイト「fujinomiya life」
出典:富士宮市移住&定住ポータルサイト「fujinomiya life」

静岡県富士宮市は、雄大な富士山のふもとに位置し、東京や静岡市などの都会からほど良い距離にある“ちょうど良い田舎”だ。

富士宮市では、住宅を購入・賃借した移住者で、市内に5年以上定住する方を対象に、最大180万円の移住・定住奨励金を交付している

また、新婚世帯に対しては、所得要件を満たした場合に最大60万円の結婚新生活支援補助金を支給。

さらに、首都圏への新幹線通勤費用の助成制度などもあり、移住・定住費用のサポート制度が充実しているのが魅力だ。

【広島県】呉市(くれし)

呉市移住定住ポータルサイト「KURETO」
出典:呉市移住定住ポータルサイト「KURETO」

穏やかで美しい瀬戸内海に臨む広島県呉市。

呉市では、新婚世帯または子育て世帯を対象に、「新婚・子育て世帯定住支援事業」と「新婚・子育て世帯まちなか定住促進事業」を実施している。

新婚・子育て世帯定住支援事業では、市内の戸建て中古住宅を購入する場合に、最大50万円を補助してもらえる。

新婚・子育て世帯まちなか定住促進事業は、省エネ性能に優れた新築住宅などを取得する場合に補助金を交付する制度で、対象者が移住希望者であれば最大で50万円が支給される

【大分県】豊後高田市(ぶんごたかだし)

豊後高田市IJU支援サイト
出典:豊後高田市IJU支援サイト

宝島社の「第11回 住みたい田舎ベストランキング」において、全部門で第1位を獲得した大分県豊後高田市。

子育て応援誕生祝い金として最大200万円を支給するなど、全国トップレベルの子育て支援を提供しているほか、移住者を対象に無償の宅地を整備するなど、定住サポートにも力を入れている。

また、自動車学校でのペーパードライバー講習費用を助成する「脱ペーパードライバー応援事業も実施しているため、車の運転に不慣れな方も安心して移住・定住できるのがメリットだ。

魅力あふれる地域への定住でより豊かな人生を

田舎暮らしを後押しする移住支援制度|対象者や要件をチェックしてお得に地方移住を実現しよう

地方への移住・定住は、これまでのライフスタイルをがらっと変えて、新しい人生をスタートさせることができるチャンスだ。

国や地方自治体も、さまざまな支援制度を実施して移住・定住を後押ししている。

移住支援金などの国の支援事業や、自治体が実施する定住促進住宅などのサポート制度をうまく活用して、ぜひ理想の移住・定住を実現してほしい。

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