移住を検討する際には、気になるポイントがたくさんありますが、なかでも「地盤の強さ」は安心して暮らすために重要な要素ではないでしょうか。防災意識を持って移住先を選ぶ場合には、地盤の強い土地を探すことが大切です。
今回は、移住先を決める際に役立つ地盤の強い土地の探し方と、地盤が強い土地をランキング形式でご紹介します。ぜひ、移住先を選ぶ際の参考にしてみてください。
地盤が強い土地なら安心して暮らせる確率が上がる


移住先で安心して暮らすために地盤が強い土地を探す方は少なくないのではないでしょうか。
地盤とは、一般的に住宅などを建てる際に使用される言葉で、建造物から約100mまでの地面部分を指します。
地盤が柔らかい土地では、大きな地震が起こったとき、揺れが倍増されてしまうため、家を建てる際には、住宅自体の耐震性だけでなく、地盤の強度も重要です。移住先や住宅選びの前に、地盤が強い土地かどうか確認することをおすすめします。
地盤が強い土地の特徴は?弱い土地との違い


そもそも、地盤が強い土地と弱い土地では、どのような違いがあるのでしょうか。
地盤が強い土地の特徴
硬質な岩盤や砂れきを含んだ土地は非常に堅く、締まった性質を持っているため、地盤が強い土地と言えるでしょう。
こうした硬質地盤は、山の切り立った部分や段丘、台地などの高所に多く見られます。
ただし、現在低い位置にあっても、土を削って低くした「切土地」なのか、土を盛って高くした「盛土地」なのかによって、地盤の強さが異なるため注意が必要です。
地盤が弱い土地の特徴
水や泥を多く含んだ土地は地盤が弱い土地と言われます。柔らかい粘土質や砂などでできた土地は、適切な対策をせずに家を建ててしまうと地盤の不同沈下が起こる可能性があります。
不同沈下とは、時間の経過とともに家が傾いてしまう現象のことです。不同沈下を起こすと、ドアや窓の開け閉めが困難になったり、基礎に亀裂が入ったり、さらには外壁にひびが入るなどのトラブルが発生します。
また、低地はかつて水田や池だった可能性があるため、地盤が弱い傾向にあるといわれています。
地盤が強い土地を調べるには?


移住先に地盤が強い土地を探している場合、どのようなポイントに注目すればよいのでしょうか。
過去の航空写真を確認する
地盤が弱い土地は、かつて川や海だった場所や盛り土をして作られた土地など、特定の特徴があります。そのため移住先の土地を選ぶ際には、その土地の過去や用途を調査することが重要です。
過去の航空写真を調べることで、道路がかつて川や沼であったことや、家が建っている場所には畑や田んぼがあったことがわかれば、地盤の強さを推察できるでしょう。
縄文古地図を確認する
過去の航空写真を見る方法のほかに、縄文古地図の確認もおすすめです。縄文古地図とは、約1万5,000年前から約2,300年前の縄文時代の地のことです。
この時代の日本の国土には、海の底だった土地がまだ多く存在していました。そのため、縄文時代の人々が住んでいた土地は、海底ではなく陸地であり、地盤が強い可能性が高いのです。
古地図は、図書館や役所の情報公開コーナーで確認することができますので、ぜひチェックしてみてください。
ハザードマップで確認する
地盤の強さはハザードマップで確認することができます。ハザードマップとは、自然災害による被害を予想し、それを地図化したものです。
災害が起きたら、どの範囲でどれくらいの被害が出るのか、被災想定地域や被災の範囲、さらに避難場所や避難経路を地図に表しています。
ハザードマップは、地形や地盤の特徴などをもとにつくられているため、地盤の強い場所を探すときの目安として使うことができます。
地盤調査を依頼する
土地の強度を確認するために専門の業者に地盤調査を依頼することも有効です。地盤調査は、家を建てる際などに行われるもので、建物の重さによって地盤が歪まないかどうかを調べます。
もし地盤に不同沈下がある場合、建てた家が沈んだり傾いたりする可能性も。地盤調査によって、土地の強度を把握することができるため、移住先で住居を建てる際に役立つでしょう。
【地盤が強い土地ランキング】日本で一番地盤が強い場所はどこ?


日本全国で地盤が強い土地はどこなのでしょうか。移住希望地の地盤の強さは、全国で何位くらいなのか知りたいですよね。
ここでは、地盤ネット株式会社が行った地盤が強い土地をランキングでご紹介します。
47都道府県のランキング
地盤ネットホールディングス株式会社は、国土交通省 国土数値情報の「土地利用細分メッシュデータ」、「土地利用種別(平成 21年度、26年度)」より、「建物用地」として区分されているメッシュのスコアを集計し、47都道府県「いい地盤ランキング」を作成しています。
その結果は以下の通りです。
47都道府県「いい地盤ランキング」
1位 | 沖縄県 | 82.754点 | 24位 | 和歌山県 | 69.936点 |
2位 | 群馬県 | 78.998点 | 25位 | 東京都 | 69.918点 |
3位 | 福島県 | 78.903点 | 26位 | 千葉県 | 69.598点 |
4位 | 栃木県 | 78.630点 | 27位 | 富山県 | 69.359点 |
5位 | 熊本県 | 77.758点 | 28位 | 鹿児島県 | 68.992点 |
6位 | 岩手県 | 76.941点 | 29位 | 広島県 | 68.861点 |
7位 | 茨城県 | 75.193点 | 30位 | 滋賀県 | 68.388点 |
8位 | 長野県 | 75.189点 | 31位 | 石川県 | 68.326点 |
9位 | 兵庫県 | 74.583点 | 32位 | 山口県 | 68.230点 |
10位 | 奈良県 | 72.728点 | 33位 | 大阪府 | 68.177点 |
11位 | 山梨県 | 72.564点 | 34位 | 青森県 | 68.110点 |
12位 | 大分県 | 71.867点 | 35位 | 秋田県 | 67.199点 |
13位 | 京都府 | 71.863点 | 36位 | 鳥取県 | 67.090点 |
14位 | 長崎県 | 71.693点 | 37位 | 香川県 | 66.899点 |
15位 | 宮城県 | 71.534点 | 38位 | 神奈川県 | 66.534点 |
16位 | 三重県 | 71.062点 | 39位 | 愛知県 | 65.700点 |
17位 | 山形県 | 71.053点 | 40位 | 愛媛県 | 64.267点 |
18位 | 北海道 | 70.382点 | 41位 | 佐賀県 | 64.084点 |
19位 | 埼玉県 | 70.379点 | 42位 | 福井県 | 64.069点 |
20位 | 福岡県 | 70.284点 | 43位 | 島根県 | 63.338点 |
21位 | 宮崎県 | 70.281点 | 44位 | 徳島県 | 62.401点 |
22位 | 静岡県 | 70.264点 | 45位 | 岡山県 | 62.254点 |
23位 | 岐阜県 | 70.023点 | 46位 | 新潟県 | 61.273点 |
47位 | 高知県 | 60.669点 |
第1位:沖縄県 82.754点
47都道府県の中で第1位に輝いたのは沖縄県でした。沖縄は、那覇市をはじめとして琉球石灰岩というサンゴが固まった岩の台地と丘陵地が県全域に広く分布しています。
このような特徴がある沖縄は、低地の町の沿岸大都市と比較して地盤が強いとされ、全国第1位となりました。




第2位:群馬県 78.998点
群馬県は、周辺の山地の各種岩盤類や火山からもたらされた火山灰などが安定した平坦な台地を作っています。平坦なエリアが多い群馬県は、第2位のスコアでした。




3位:福島県 78.903点
第3位は福島県でした。福島県は、白亜紀など古くからの丘陵や台地の地盤、内陸部は阿武隈山地、奥羽山脈に囲まれた川が運んできた砂れきの地盤です。




東京都53区市町村のランキング
近年、首都直下地震などの心配もあり、東京都の地盤の強さを気にしている方も多いのではないでしょうか。そこで、地盤ネット株式会社によって算出された「地盤安心スコア」に基づく、東京都区市町村の「いい地盤」ランキングもご紹介します。
その結果は以下の通りです。
東京都53区市町村「いい地盤ランキング」
1位 | 国分寺市 | 85.62点 | 27位 | 杉並区 | 70.45点 |
2位 | 小金井市 | 84.16点 | 28位 | 豊島区 | 68.63点 |
3位 | 瑞穂町 | 83.75点 | 29位 | 新宿区 | 68.33点 |
4位 | 小平市 | 83.63点 | 30位 | 中野区 | 68.12点 |
5位 | 立川市 | 82.72点 | 31位 | 世田谷区 | 67.50点 |
6位 | 武蔵野市 | 81.66点 | 32位 | 日野市 | 66.81点 |
7位 | 西東京市 | 81.11点 | 33位 | 板橋区 | 66.36点 |
8位 | 清瀬市 | 80.83点 | 34位 | 渋谷区 | 64.09点 |
9位 | 東大和市 | 79.28点 | 35位 | 目黒区 | 63.63点 |
10位 | 東久留米市 | 77.77点 | 36位 | 文京区 | 63.57点 |
11位 | 国立市 | 77.50点 | 37位 | 八王子市 | 62.85点 |
12位 | 東村山市 | 76.42点 | 38位 | 町田市 | 62.77点 |
13位 | 練馬区 | 76.25点 | 39位 | 多摩市 | 61.42点 |
14位 | 武蔵村山市 | 76.11点 | 40位 | 稲城市 | 60.71点 |
15位 | 奥多摩町 | 75.72点 | 41位 | 品川区 | 60.62点 |
16位 | 檜原村 | 75.71点 | 42位 | 千代田区 | 59.16点 |
17位 | 羽村市 | 75.55点 | 43位 | 港区 | 57.66点 |
18位 | 日の出町 | 74.28点 | 44位 | 北区 | 56.87点 |
19位 | 福生市 | 74.16点 | 45位 | 大田区 | 54.37点 |
20位 | あきる野市 | 72.77点 | 46位 | 荒川区 | 48.63点 |
21位 | 調布市 | 72.50点 | 47位 | 足立区 | 47.50点 |
22位 | 昭島市 | 71.66点 | 48位 | 台東区 | 44.37点 |
23位 | 青梅市 | 71.50点 | 49位 | 葛飾区 | 43.57点 |
24位 | 府中市 | 71.42点 | 50位 | 中央区 | 39.28点 |
25位 | 三鷹市 | 70.71点 | 52位 | 江戸川区 | 38.75点 |
26位 | 狛江市 | 70.62点 | 52位 | 墨田区 | 37.50点 |
53位 | 江東区 | 37.14点 |
移住先には地盤が強い土地を選ぼう!


地盤が弱い土地は、大地震や大雨などの災害が起きた際にさまざまな被害が出る可能性があります。地盤が弱い時に家を建ててしまうと、いずれ家に支障をきたす可能性も。
今後、安心して暮らしていくためにも、移住先の土地の地盤が強いかどうかを確認し、不安を抱えることのないようにしましょう。