定年や早期退職などをきっかけに、移住を考えている高齢者・シニアの方がいるのではないだろうか。
環境を変えることで、暮らしを良くしたり、新しいつながりが生まれたりするなど、さまざまなメリットを期待できる。この記事では、高齢者・シニア歓迎の自治体に加えて、移住先を選ぶポイントや移住する際の注意点などを詳しく解説する。
高齢者・シニアが移住するメリット
高齢者・シニア層の移住には、以下のようなメリットがある。
- セカンドライフを始めるきっかけになる
- 新しい趣味やつながりが生まれる
- 都会から離れて落ち着いた暮らしを送れる
- 地方移住なら生活コストを抑えやすい
- 息子・娘夫婦を田舎に招待できる
どのようなメリットがあるか、一つひとつ詳細をチェックしていこう。
セカンドライフを始めるきっかけになる
定年や早期退職などをきっかけに、ライフステージに一つ区切りがついたタイミングでの移住は、セカンドライフへのスタートになるだろう。
仕事や生活などの都合で利便性の高い場所に住んでいた方も、やりたいことを叶えられる場所に移り住めば、長年の希望を実現できるはずだ。
新たな土地での人生を始めるきっかけのひとつとして、移住はおすすめの方法である。
新しい趣味やつながりが生まれる
住む場所を変えると、周りの環境や人も変わっていく。
例えば、自然豊かな地域に移住すると、農業を始めたり、アウトドアを楽しんだりするなど、今までできなかった暮らしや趣味に触れることができる。
その地域に住む人と積極的に関わると、新しい友人や人脈ができるだろう。セカンドライフを共に過ごす仲間が見つかったり、新たなチャレンジへのつながりができたりすれば、より人生が充実するはずだ。
都会から離れて落ち着いた暮らしを送れる
都会で長く暮らしている方が地方へ移住すると、都会ならではのストレスや忙しさから開放されやすい。
交通機関の混雑、人の多さ、騒音などは、慣れていても暮らしの質を下げていることがある。
移住する地域によっては、交通機関のラッシュが起きない、静かで暮らしやすいなど、落ち着いた暮らしを送る条件が揃っている。
地方移住なら生活コストを抑えやすい
都会は、地方に比べて住宅費用や食費などがかさむ傾向がある。生活コストを下げたい、趣味や暮らしにお金をかけたいという高齢者の方には、地方移住はおすすめだ。
生活コストの多くを占める住宅費が都会よりも安く、生活費を抑えて暮らしを楽しめる。自由に使えるお金が増えれば、より安心で楽しいセカンドライフを送れるだろう。
息子・娘夫婦を田舎に招待できる
地方での暮らしは、息子や娘にも嬉しいメリットがある。田舎に招待すれば、落ち着いた時間を過ごしてもらえるだろう。都会で働いているなら、身体や心を休める機会にもなるはずだ。
息子・娘が結婚していたり、子どもがいたりするなら、訪問がちょっとした旅行になる。
新しい土地を訪れるきっかけになり、子どもにとっては自然豊かな環境から良い刺激を受けられるだろう。夏休みや冬休みなど、長期休暇の思い出づくりにもなっていく。
高齢者・シニアが移住先を選ぶポイント
高齢者・シニア層の移住では、若い世代に比べて、気を付けたいポイントが多い。移動のしやすさや医療・福祉、余暇の過ごしやすさなどを確認して、セカンドライフを送りやすい移住先を選ぼう。
公共交通機関が充実しているか
現在車を利用している方でも、長く生活することを考えると、公共交通機関が整備されているかは重要なポイントである。
日々のショッピングや通院などに不便がないように、バスや電車などで行くことができる範囲が広く、適度に便数が多い地域が望ましい。
自治体のホームページでは、まちの交通網を掲載していることが多いため、一度確認してみよう。
医療機関や制度が整っているか
万が一のときに備えて、医療機関や医療・福祉制度が整っている移住先がおすすめだ。
健康な方でも、いざというときに備えること、定期的に健康チェックできる医療機関があることは非常に重要。
特に、持病がある場合には、信頼できる病院がある移住先を選びたい。総合病院や地域のクリニックなどの所在地や数を確認しておくと安心だ。
介護施設の有無や福祉サービスもチェックしたいポイントである。必要になったときに利用できるように、自治体のホームページなどで詳しく調べておこう。
趣味や仕事を楽しめる環境があるか
移住先での暮らしを充実させるためには、趣味を楽しんだり、生き生きと仕事に取り組んだりできる環境が必要。
趣味を重視するなら、スポーツ施設や娯楽施設、交流施設、図書館などがある地域がおすすめだ。
仕事を続けたい場合は、今までに培った経験やスキルを生かしたり、やってみたい仕事にチャレンジできたりする場所を見つけよう。
高齢者・シニア歓迎の移住先5選!支援制度(補助金)が充実している自治体は?
移住先によって環境や支援制度が変わるため、高齢者・シニア層を歓迎している場所を選ぶのがおすすめ。ここでは、おすすめの移住先を紹介する。
- 北海道・伊達市(だてし)
- 山梨県・北杜市(ほくとし)
- 長野県・佐久市(さくし)
- 静岡県・伊東市(いとうし)
- 福岡県・宗像市(むなかたし)
北海道・伊達市(だてし)
出典:北海道伊達市への移住|北海道伊達市
北海道の伊達市(だてし)は、四季を通して温かい気候のため、「北の湘南」と呼ばれている。
高齢者や障がいのある方への理解を深める取り組みを進め、さまざまな方が暮らしやすいまちづくりを目指している。
北側に有珠山(うすざん)、南側に海があり、内陸では農業が盛ん。自然豊かな環境で生活でき、野菜や海産物など美味しい食材が身近にある。
医療機関が充実していること、暮らしを楽しむ施設・サークルが多いこと、札幌市へのアクセスが良いことなど、高齢者・シニア層が移住で重視したいポイントがしっかり揃っている。
山梨県・北杜市(ほくとし)
出典:北杜市について|北杜市移住定住ポータルサイト「いいじゃん、北杜市。」
北杜市(ほくとし)は、山梨県中央に広がる甲府盆地の北西部に位置。八ヶ岳や駒ヶ岳、金峰山など日本有数の山々がそびえ、山岳風景に囲まれているのが特徴だ。
名水が湧くまちとしても有名で、ミネラルウォーターの生産量は日本一。日照時間が長く、恵まれた水資源を生かし、さくらんぼやお米など農業が盛んに行われている。
空き家バンクや移住定住お試し住宅をはじめとした住まいのサポート、移住支援金、就農・担い手支援事業など、幅広い支援で移住者を歓迎している。
長野県・佐久市(さくし)
出典:移住情報|移住サイト「佐久に暮らす」
長野県・佐久市(さくし)は、「快適健康都市」として、地域に根差した医療体制を整えている。
2つの総合病院があり、全国的にも医師や看護師、保健師が多く、いざというときに心強いまちだ。総合病院とかかりつけ医の連携も強く、日々の健康維持もしやすい。
浅間連峰や八ヶ岳など山々に囲まれていて、自然豊かで景色が美しい立地である。全国的にも晴天の日が多く、降水量・降雪量が少ないため、暮らしやすいのも魅力。
移住体験住宅や補助金、空き家バンクなど、住まいや暮らしの支援が多く、手厚いサポートを整えている。
静岡県・伊東市(いとうし)
出典:支援制度|伊東市移住定住サイト
静岡県・伊東市(いとうし)は、県東部の伊豆半島・海岸沿いに位置している。
海が近い宇佐美地区、お店が集まっている市街地地区、大型店が多い小室地区、自然豊かな伊豆高原地区に分かれているため、ライフスタイルに合わせて移住先を選びやすい。
都会に比べて手頃な不動産価格、温暖な気候、新鮮な山海の幸など、暮らしに必要な要素が揃っている。季節のイベントも多く、伊東市での暮らしを盛り上げてくれるはず。
住まいや仕事、暮らしに関するサポートは幅広く用意しており、高齢者・シニア層の移住にも手厚くサポートしてくれるだろう。
福岡県・宗像市(むなかたし)
出典:ムナカタって?|ムナカタに住む。
福岡県・宗像市(むなかたし)は、福岡市と北九州市の中間にあるまち。玄界灘や二級河川・釣川、山々など自然に恵まれており、周囲の海には島も浮かんでいる。
県の中心地に近く、博多駅までは電車で約30分。コミュニティバスやふれあいバスなど交通の便が良く、暮らしの足が整っている。
空き家バンクや住まいの支援金など暮らしを応援する制度が多いため、移住先での暮らしをスムーズかつ低コストで始められるだろう。
高齢者・シニアの移住で気を付けたい注意点
セカンドライフを過ごす地域を選ぶうえで、知名度だけで選んだり、娯楽だけを重視したりすると、失敗する可能性がある。
高齢者・シニア層の移住における注意点を3つ解説する。
- 移住先をしっかり調べないと失敗しやすい
- 積極的に行動しないと孤独になりやすい
- 万が一に備えて医療・福祉面を重視する
移住先をしっかり調べないと失敗しやすい
年齢を問わず移住は暮らしの選択肢になっており、注目を集めている。人気の移住先が紹介されることも多いが、知名度や特集の印象などで決めてしまうと、移住に失敗しやすい。
旅行で行ったことがある好きな場所というのも、移住先選びでは一度忘れておきたい。
魅力的なスポットや景色があるエリアでも、交通機関が少なかったり、医療機関が限られたりすることがある。
旅行で訪れた経験があったとしても、長く過ごすうえでは気候が厳しいこともあるだろう。
そのため、勢いで決めるのではなく、慎重に調べることが大切だ。交通機関や主な施設、気候、産業など、幅広く情報収集を行おう。
自治体によってはお試し移住を受け付けているため、短期間で実際に住んでみるのもおすすめだ。
積極的に行動しないと孤独になりやすい
移住先には、既に長く住んでいる人がいて既に関係が築かれている。そのため、地域に馴染み、新しいつながりをつくるためには、積極的に行動しなくてはいけない。
受け身の姿勢では、地域に馴染めずに孤独感を抱く可能性が高い。コミュニケーションが苦手な方は、移住者と地域住民の交流の場を設けている自治体がおすすめ。
コミュニティを活用することで、徐々につながりが生まれていくだろう。
万が一に備えて医療・福祉面を重視する
趣味や仕事、暮らしやすさなどに目が向きがちだが、医療・福祉面を重視するのが安心だ。
健康な身体があっての生活や趣味であり、サポートが充実していないと移住先での暮らしが続けられなくなるかもしれない。
医療・福祉施設がどのくらいあるか、どのような制度・サポートがあるかを必ず確認し、いざというときに備えよう。
高齢者・シニアからの移住を考えてみよう
高齢者・シニアの移住は、セカンドライフが充実するきっかけになるとともに、息子・娘夫婦を招待できるなど、家族にも嬉しいことが増える。
ゆかりのない地域で暮らすことに向けて、医療・福祉面の充実度、交通網、趣味や仕事を楽しめる環境などをしっかり調べておきたい。
自治体によっては、高齢者・シニア層の移住者を歓迎しているので、土地柄や支援制度を調べたうえで移住を考えてみよう。