リモートワークや2拠点生活などを実現しやすい今、移住に興味があって、中でも離島での生活を考えている方もいるのではないだろうか。あこがれの離島ではあるものの、仕事や生活に不安があったり、どの離島が良いのかわからなかったりするなど、知っておきたいことが多いかもしれない。そこで、この記事では離島移住の魅力や失敗や後悔しないためのポイント、移住人気度が高いおすすめの離島を紹介する。
離島移住の魅力
離島移住は、テレビや雑誌などさまざまなメディアで取り上げられている。美しい景色や食べ物などがクローズアップされることが多いが、離島移住にはどのような魅力があるのだろうか。
ここでは、5つの魅力について詳しく解説していく。
- 大自然のなかで生活できる
- 地元の新鮮な食材を味わえる
- 仕事のチャンスがある
- のびのびと子育てできる
- 人とのつながりが生まれる
大自然のなかで生活できる
離島の周りには海があり、人の手がほとんど入っていない緑も多くある。生活や仕事の傍らには常に大自然があり、気持ちよく過ごせるのが魅力だ。
通勤中に自転車や車から景色を眺めたり、休日に徒歩圏内にある海に行ったり、夜に星空を見たりするなど、自然を満喫できる。アウトドアが好きな方や絶景に目がない方には、離島移住が向いているだろう。
地元の新鮮な食材を味わえる
離島で育てられた野菜や海産物が本土に流通することもあり、一次産業が盛んな離島が多くある。離島に移住すると、地元の商店で食材が販売されていたり、ご近所さんからおすそ分けしてもらったりして、新鮮な食材を味わう機会があるだろう。
その土地の特産品や島内でしか食べられないものに出会うことができ、一番美味しいときに食べられるのは、離島ならではの特権と言える。
仕事のチャンスがある
離島は都市部に比べると仕事に不安があると思いがちだが、地域に根ざした仕事がある。農業や漁業、林業などの一次産業や伝統産業はもちろん、医師や看護士、教師、建築業など生活に欠かせない仕事ができると重宝されるだろう。
後継者不足に悩んでいる企業であれば、気になる離島の発展に貢献できるかもしれない。都市部に比べると同業他社が少ないので、離島の悩みを解決する事業や憧れのお店の開業など、起業する選択肢もある。
のびのびと子育てできる
大自然や温かい地域のつながりは、子育てにも良い環境だ。広大な自然や色々な世代の人との関わりは、子どもの人間性や興味・関心などを豊かに育んでくれるだろう。
都市部では安全面から思いっきり遊ばせられないこともあるが、離島なら地域で子どもを見守る雰囲気を持っていることが多く、のびのびと遊ばさせて健やかな成長を期待できる。
人とのつながりが生まれる
離島は、都市部よりも人口が少ないからこそ、島民同士のつながりが深い。普段の生活から協力し合い、お祭りやお祝いごとは島民全員で楽しむ。
最初は、ご近所さんの顔を知らないことも多い都市部とのギャップに戸惑うこともあるかもしれない。しかし、自ら島民の方と歩み寄ることによって、新しい出会いが生まれ、生涯大切にしたいつながりになるだろう。
離島移住に後悔・失敗しないためのポイント
離島移住には多くの魅力がある一方で、実際に始めてみてさまざまな原因で後悔・失敗してしまうこともある。
離島への移住を成功させるためには、5つのポイントを実践しよう。
- 収入源を確保しておく
- 移住支援制度を活用する
- 人付き合いや環境に慣れる努力をする
- 利便性の高い離島を選ぶ
- お試し移住でイメージをふくらませる
仕事や収入はもちろん、離島選びや移住に対する心構えなども大切。
収入源を確保しておく
離島には、「都市部よりも食材が安い」、「必要なものはネットで購入すれば良い」などの印象があるかもしれない。実際は、離島に輸送するための費用が上乗せされることもあり、物価が安いということはなく、通販を使用する場合には離島への発送料が多くかかる。また、仕事や用事などで本土に異動する際には交通費が必要だ。
仕事のチャンスがあると説明したが、都市部に比べると求人は少なく、収入は低くなる傾向がある。資金が尽きて離島生活を断念せざるを得ないケースがあるので、収入源をしっかり確保することが大切。
移住前に離島での就職先を決める、完全リモートワークの職場に転職するなどの準備をしよう。生活費は暮らしてみないとわからない部分もあるので、貯蓄に余裕を持っておくと安心である。
移住支援制度を活用する
資金面の不安を解消するためには、移住支援制度が便利。各自治体が実施している制度で、移住者が制度の条件に当てはまる場合に、数十万円から数百万円の補助を受けられる。
また、移住に伴う仕事探しや住宅探しをサポートしてくれる自治体もある。補助の金額や条件、支援サービスなどは自治体によって異なるので、必ず気になる離島の制度をリサーチしよう。
人付き合いや環境に慣れる努力をする
離島での暮らしを成功させるポイントは、人間関係や環境に慣れること。島民同士のつながりが強い分、移住者に歩み寄る姿勢がないと、溶け込むのは難しい。自分から話しかけたり、島民が集まる場所に行ったりする姿勢が必要だ。
人との関わり以外にも、島ならではのしきたりや文化などにも慣れよう。これまで暮らしてきた場所と比べるよりも、新しい風習や文化に興味を持つことが大事。
また、自然の多い環境にも順応していかなければいけない。緑が多い分、虫や野生動物が多いこともあり、苦手意識があると辛い場面があるだろう。離島の環境を理解し、対処法を身につけていくと、徐々に慣れていくはず。
利便性の高い離島を選ぶ
本土との移動手段が限られている離島では、いざというときの移動や必要なものがあるときなどに不便なことが多い。移住してすぐの頃は、簡単に本土に戻れない環境だと寂しさを強く感じるかもしれない。
離島暮らしに不安があるなら、初めは利便性の高い離島を選ぶのがおすすめだ。空港がある島や本土との橋がある島であれば、本土に移動しやすい。離島に慣れることができたら、利便性を気にせずに興味のある離島に住んでみよう。
お試し移住でイメージをふくらませる
詳しくリサーチを行っていても、島民の気質や実際の雰囲気などは現地でしかわからないこともある。思い切って移住するのも良いが、少しでも不安があるなら暮らしを体験できるお試し移住がおすすめ。
お試し移住とは、地方の民家などに滞在し、地域の人々との交流を通して、移住のイメージを膨らませることができる取り組みのこと。
例えば、2021年に沖縄県うるま市では、津堅島(つけんじま)でお試し移住が行われた。参加条件や滞在日数、費用などは取り組みによって異なるので、気になる離島でお試し移住が行われているかを確認し、内容もしっかりチェックしよう。
移住人気が高い離島おすすめ10選
ここでは、移住人気が高い10の離島を「支援が充実している離島」「本土とのアクセスが良い離島」に分けて紹介する。離島の特徴や支援内容をチェックし、気になる離島をリストアップしてみよう。
助成金などの移住支援制度が充実している離島
支援が充実しているおすすめの離島は、以下の通り。
- 【北海道】利尻島(りしりとう)
- 【新潟県】佐渡島(さどがしま)
- 【山口県】周防大島(すおうおおしま)
- 【長崎県】対馬(つしま)
- 【鹿児島県】種子島(たねがしま)
充実した支援を受けられると、移住後の生活や仕事がしやすくなる。初めての移住で不安がある方は、手厚いサポートを受けられる離島への移住がおすすめだ。
【北海道】利尻島(りしりとう)
出典:移住支援制度|利尻富士ぐらし
利尻島は、北海道最北の宗谷地方の海に浮かぶ離島で、利尻町と利尻富士町で構成されている。2つのエリアの間にそびえる利尻山は、日本百名山にも数えられる名峰。リシリヒナゲシやエゾカンゾウなどの草花など、自然豊かな環境で過ごすことができる。
雄大な自然を求めて訪れる観光客が多く、観光業が盛ん。利尻昆布やウニなど海産物も有名で、美味しい海の幸を食べられる。
利尻富士町では、利尻富士町移住ポータルサイト「利尻富士ぐらし」をオープンし、移住情報や体験談を発信している。就業・起業支援や女性定住奨励金、出産・子育て支援、通学支援給付金など、仕事や子育てなどと離島暮らしを両立できる支援が豊富。
【新潟県】佐渡島(さどがしま)
出典:移住・定住・生活をサポートする行政の制度|佐渡島に住もう
佐渡島は、新潟県西部の海に浮かぶ離島で、東京23区よりも広大な面積を誇っている。東京から約3時間30分とアクセスが良く、コンビニや書店、ファストフード店などお店も豊富。保育園や学校、病院なども多くあるため、子育て世帯の移住にも向いている。
移住者に向けて、さまざまな支援を行っているのも特徴。移住相談や定住体験住宅の貸出、移住支援金、引越費用補助、UIターン者奨学金返還支援事業、雇用機会拡充事業など、移住で気になるお金や暮らし、仕事をトータルでサポートしている。
【山口県】周防大島(すおうおおしま)
出典:周防大島移住なび
周防大島は、山口県東南部の瀬戸内海に浮かぶ離島。淡路島、小豆島に次ぐ面積を有し、本島の周りには多くの島がある。大島大橋で本土とつながっているため、アクセスは良好。平均気温15度と比較的温暖な気候で過ごしやすく、移住先として人気が高まっている。
周防大島町では、島全域の空き家情報を随時更新し、リフォームに対して助成を受けられるのが嬉しいポイント。仕事についても、町の農林課・水産課と連携した就農・就漁、周防大島町無料職業紹介所による紹介・各種調整など、支援が充実している。
【長崎県】対馬(つしま)
出典:しまぐらしガイド|対馬市
対馬は、長崎県に位置し、島のなかでは3番目に面積が大きい離島。「親切で人情味があり優しい」という島民性に感動し、何度も訪れる人も多く、温かい環境で暮らすことができるだろう。
対馬市は、住まいの相談に対応するワンストップ窓口を設置している。空き家バンクの利用や定住支援住宅、不動産情報の問い合わせなどが可能。就業奨励補助金や結婚移住奨励補助金、引越経費支援など、各種補助金制度も充実している。
【鹿児島県】種子島(たねがしま)
出典:移住支援情報|種子島・西之表市
鹿児島県の南に浮かぶ種子島は、鉄砲伝来の地、宇宙センターのある島として有名。また、サーフポイントが数多く存在するため、サーフィンを楽しむためにはもってこいの場所だ。
西之表市、中種子町、南種子町で構成されており、西之表市には繁華街がある。島内のお店は充実しているので、食べ物や生活必需品には困らない。
支援は、3つの自治体によって異なる。例えば、西之表市では移住者定住支援補助金、南種子町では移住体験サポート事業を行っているので、気になる自治体の制度や取り組みをチェックしてみよう。
本土とのアクセスが良い離島
本土とのアクセスが良い離島は、以下の5つ。
- 【東京都】伊豆大島(いずおおしま)
- 【兵庫県】淡路島(あわじしま)
- 【広島県】似島(にのしま)
- 【愛媛県】興居島(ごごしま)
- 【福岡県】能古島(のこのしま)
いざというときに移動が必要な場合、アクセスの良い離島はメリットがある。アクセスを重視する方は、本土への所要時間や交通手段などをしっかり確認しよう。
【東京都】伊豆大島(いずおおしま)
出典:伊豆大島ナビ
伊豆大島は、伊豆諸島のなかで最大の島で、東京都から約120km南に位置している。岡田港と元町港という2つの港があり、東京からは船で約2時間でアクセスできるのが魅力。
スーパーや飲食店、医療機関など、最低限の施設は揃っているが、週末は東京にショッピングに出かけるなど、都内と行き来するのも良いだろう。
伊豆大島は山や海など自然に恵まれているため、トレッキングやサイクリング、星空観察、ダイビングなどを楽しめる。アウトドアやレジャーが好きな方にぴったりの離島。
【兵庫県】淡路島(あわじしま)
出典:あわじ暮らし総合相談窓口
淡路島は、四国と本州の間の瀬戸内海に浮かぶ島。神戸からは明石海峡大橋、四国からは大鳴門橋が架けられているので、神戸市内や四国とのアクセスに優れている。平均気温15.5度と温暖ながら、水田や山地によって体感温度は過ごしやすく感じられるのが特徴。
島内には、大手スーパーやホームセンター、医療機関、学校など生活に必要な施設が揃っている。保育料は条件付きで無料、中学校まで医療費が無料となっているので、子育てのしやすさも魅力的。
【広島県】似島(にのしま)
出典:ウエルカム似島
似島(にのしま)は、広島港からフェリーで20分でアクセスできる離島。広島の中心部には約1時間で行くことができ、週末のショッピングや本土での用事に事欠かない。
安芸の小富士と呼ばれる山など、自然豊かな環境が広がり、のびのびと子育てをしたり、日頃からアウトドアを楽しんだりできる。空き家が多くあり、一軒家に約3万円から住むことができるのも嬉しいポイント。
【愛媛県】興居島(ごごしま)
出典:お試し移住施設「ハイムインゼルごごしま」をご紹介します|いい、暮らし。まつやま
興居島(ごごしま)は、高浜港からフェリーで約10分でアクセスでき、松山から1番近い場所にある島。美しい海で遊べる海水浴場が有名で、本土からも海水浴客が多く訪れru。島の特産品である高級みかんや島遍路、無形民俗文化財の船踊りなどが有名だ。
お試し移住施設「ハイムインゼルごごしま」を運営し、1ヶ月単位で最長3年、興居島での暮らしを体験できる。区画に整備されている菜園や住宅に揃っている農機具を使えば、農業体験も可能。
【福岡県】能古島(のこのしま)
出典:福がお〜かくらし
能古島(のこのしま)は、福岡市内からフェリーで約10分でアクセスできる島。島の名所であるアイランドパークでは、美しい海を背景にした約50万本のコスモスを見ることができる。レトロな町並みが魅力で、おしゃれなカフェや食堂などで食事を楽しめるのが魅力。
島内にコンビニエンスストアやドラッグストアはないものの、福岡市内とほど近いため、本土との行き来や買い物に困ることは少ないだろう。
離島移住で憧れの島ライフを実現しよう!
離島移住を成功させるためには、現地の風習や島民の気質などに歩み寄る姿勢を持ち、仕事の確保や移住支援金の活用などで資金を用意することが大切。事前のリサーチで情報に不安がある場合は、お試し移住で実際に暮らしてみるのも良いだろう。
ご紹介したおすすめの離島を参考にして、気になる離島で憧れの島ライフを実現してほしい。