都会の利便性と豊かな自然が交じり合う熊本県は、移住したい人から注目されている県。熊本市内は再開発が進み、住み心地も以前よりアップしています。「熊本セミコンテクノパーク原水工業団地」周辺に半導体関連企業が集まってきていることもあり、移住者も増えてきているのです。
この記事では、熊本移住の際に知っておきたい移住支援制度とおすすめの移住先(自治体)を紹介します。
移住する前に知っておきたい熊本県の基本情報
新型コロナによる新しい生活様式や働き方改革など、「今の仕事を持ちながら新しい場所へ移住するというスタイル」が注目されています。
ただし、移住を決断するにはその前に移住先はどのような場所なのかを事前に知っておきましょう。今回は移住先として注目の集まる熊本県の基本情報をチェックしてみてくださいね。
地理
九州地方の中央部に位置する熊本県は、約 7,409 ㎢で全国第15位の広さを持つ県です。熊本県は九州の他の県と最も多く接しています。
全体の約6割を森林が占めていますが、県の西側は有明海・八代海に面しています。
熊本県の中心部は熊本市で市内には平野が広がり、熊本県内の北東部には阿蘇山がそびえたちます。また、熊本には天草下島、天草上島をはじめとする178の島もあるのです。
県内には4つの九州新幹線駅があり、ひと昔に比べるとアクセスしやすくなりました。
人口
2022年10月1日現在の熊本県の人口は1,717,766人、730,203世帯。1998年以降減少傾向が続いています。総人口の約4割が熊本市に集中しています。
気候
熊本平野は夏は蒸し暑く、冬は冷え込みが厳しい内陸性の気候。
県東部の山間部は気圧が低く涼しい山地型の気候、県西部の天草・芦北地方は湿度が高く気温の変化が小さい海洋性気候と、熊本県にはいくつもの気候があります。
産業
熊本県は日本でも有数の農業県です。県の農業産出額は2020年度では全国第5位で、野菜の出荷が最も多いです。イグサやスイカ、トマトなど、全国でトップの出荷量を誇る品目も多いとされています。
熊本の雄大な自然や豊富な水資源が、農業を盛んにした背景です。
熊本では有明海や八代海などでは、稚魚を育てて放流してから計画的に魚を獲る管理漁業や、クルマエビや海苔、真珠などの養殖も行われています。
熊本県と言えば全国的に人気となったPRキャラクターの「くまモン」が有名で、県では観光業やサービス業などの第三次産業も盛んです。
熊本県へ移住を考えている人が増加している
全国的に移住人気が高まるなか、熊本県への移住も注目を集めています。熊本市内では熊本駅周辺の再開発が進んでいて、洗練された都市部へと変化しているのです。
一方、熊本市外に目を移すと、阿蘇の大自然や温泉、美味しい食べ物に出会うことができ、都市部を離れたところではゆっくりとした時間のなかで暮らしを楽しめます。
トカイナカの魅力に触れられる熊本県への移住はこれから注目です。
熊本県移住支援制度(補助金・助成金)一覧
ここからは、移住希望者に向けて熊本県が実施している支援制度を見ていきましょう。
仕事の支援
前述したように、熊本は有数の農業県であるとともに、飲食サービス業や宿泊、医療・福祉などの第三次産業も盛んな県です。
熊本市の産業別労働者の割合を見てみると、第三次産業に従事している人が占める割合が最も多いです。
第三次産業の仕事の幅は広いため、さまざまな職種の中から仕事を選ぶことができます。
企業への就業
企業へ就職することを考えているなら、熊本県UIJターン就職支援センターに相談してみましょう。熊本での働き口を探している県外在住者へ向けて、専門の相談員にサポートしてもらえます。
起業支援
熊本では、他にも起業や事業継承を考えている人向けの相談窓口も設けています。まずは、くまもと移住定住支援センターに相談をして、話を聞いてみるのも良いでしょう。
新規就農支援
熊本県で農業をしたいと希望するなら、県の新規就農支援センターへ相談したり、県が主催する移住相談会へ参加したりすることをおすすめします。
熊本県新規就農支援センターでは、就農バスツアーやインターンシップなどを主催。興味があれば熊本県移住・定住ポータルサイトで検索してみましょう。
住まいへの支援
移住先ですぐに生活をスタートさせるため、家探しは早めに行っておきたいですよね。県内の市町村の中には空き家バンク制度があり、空き家や空き情報を提供しています。
もし希望に叶う家が見つかった場合は、家の改築や購入、引っ越しに関する費用が一部助成される場合もあるので、詳しくは移住先の市町村に問い合わせてみましょう。
家を借りる場合でも、例えば熊本市では家賃の助成があります。家を新築する際にも費用の一部が補助されることもあるので、移住先選びのひとつとして参考にしてみてくださいね。
県内ではお試し住宅を提供している市町村もあるので、本格的な移住前に短期間住んでみて周りの環境を確かめるのもおすすめです。
子育て支援
子連れ移住で気になるのが、県がどのような子育て支援を行っているかではないでしょうか。
熊本県の市町村は全部で45あり、それぞれの市町村で子育て支援の内容は異なります。子ども医療費の助成も年齢が異なる場合もあるため、各市町村の公式サイトを確認してみましょう。
熊本県への移住を後悔なく実現させる手順
熊本への移住を決めたなら、以下の手順に沿って移住を進めていくと移住後の暮らしがスムーズになります。
- 移住先でどのような暮らしをしたいのかを話し合って明確にする
- 移住・定住ポータルサイトや移住相談会などをフル活用し候補地の情報収集をする
- 候補地に実際に行ったり、お試し移住をしたりして現地の環境を確かめる
- 仕事と住まいを、自治体の支援内容を活用しながら決定する
熊本暮らしを楽しむために、計画的に移住を進めていきましょう。
熊本県内おすすめの移住先市町村(自治体)6つ
ここからは、熊本県内でおすすめの移住先を6ヶ所紹介します。
熊本市(くまもとし)
出典:熊本はどう?
熊本市は人口74万人の活気にあふれた都市です。市のシンボルは熊本城で、中心部からもお城が良く見えます。熊本市内には西日本でも最大規模のアーケードがあり、買い物に困りません。
熊本市は市内の生活水道水を、全て地下水でまかなっているため、家庭の蛇口から天然水を飲むことができます。
熊本市は政令指定都市に制定されていますが、病院数は全国トップの多さで、緊急の際の医療体制も整っています。
子育て世帯へは病院の多さのほかに、子育てと仕事が両立できる「子育て支援優良企業」の認定などを通じて、安心して仕事と子育てをできる環境を整備しています。
九州の中央部に位置していることから九州の各県への移動がしやすいことに加えて、九州新幹線が通っているため、大阪へも乗り換えせずに約3時間で到着。
また、熊本市の移住支援は移住者向け中古住宅購入補助金や空き家バンクなどの住宅支援、企業紹介、新規就農支援、起業や継業支援など、住まいや仕事の支援が充実しています。
詳しくは熊本市移住・定住ポータルサイトの「熊本はどう?」を確認しよう。
玉名市(たまなし)
出典:移住定住|玉名市
熊本市のお隣玉名市(たまなし)は、市内に多くの自然や古墳などの歴史的資源が残るエリア。市の北部には1300年の歴史がある温泉が湧いています。
市内はJRや九州自動車道、フェリーなどがあり交通の便に恵まれています。
また、九州新幹線の「新玉名駅」もあり、博多駅までは約40分、大阪までは約3時間半で到着し、関西圏への日帰り旅行も叶うようになりました。
玉名市に移住を希望する際は、空き家バンク制度、玉名市第3次定住促進補助事業、60歳以上の人のための無料職業紹介などがあります。
移住を考えているシニア世代にも具体的な支援があるのは魅力的ですね。
宇城市(うきし)
出典:UKINISUMU
宇城市は2005年に5つの町が合併して誕生した市で、市内にある松橋駅は、毎日3,500人が利用しています。
熊本駅まで電車で約20分で行けるため、ベッドタウンとしても人気の宇城市は、住宅が次々と建っています。
海側にはのどかな港町があり、天草諸島を眺められる場所もあります。市内にはイオンモールを代表とするショッピングモールがあったり、個人経営のカフェやレストランなども。
ゆっくりとした時間が流れる宇城市は、子どもがすくすくと元気に育つよう、子ども向けの大きな公園が整備されていたり、市内の赤ちゃんについて相談できる体制が整っていたりと充実しています。
宇城市の移住支援には空き家改修等補助、移住支援金、子どもの医療費助成などがあります。
宇城市の移住・定住ポータルサイト「UKINISUM(うきにすむ)」では、移住者のメッセージが掲載されていて、宇城市への移住の魅力が語られていますよ。
菊池市(きくちし)
出典:きくち暮らしのすすめ
熊本県菊池市(きくちし)は、熊本県の北東部に位置する市です。阿蘇の外輪山を水源とした菊池川水系に流れる豊富な水を用い、農林畜産業が盛んに行われています。
菊池渓谷や菊池温泉など、恵まれた自然を感じられる観光スポットも多く、熊本県内外から観光客が訪れています。
菊池市の中心部から熊本市までは、車で約1時間。空港までは約30分でアクセスでき、阿蘇山のある阿蘇までも約30分で行くことが可能です。
熊本市までアクセスが良いため、通勤することも◎
菊池市は子ども向けの健診センターや遊び場が充実していて、子育て世帯の満足度が高く、移住して子どもを育てるのにおすすめの地域と言えます。
菊池市の移住支援は、空き家バンク、お試し居住住宅、移住定住推進事業奨励金、空き家改修補助金、創業支援事業など、住まいや仕事、子育てなどさまざまな制度があることにも注目してみてくださいね。
御船町(みふねまち)
出典:ちょうどいい田舎 みふね。
熊本県中央にある町、御船町(みふねまち)。熊本市内へは車で30分ほどで行くことができます。日本で初めて肉食恐竜の化石が発掘されたことでも知られる町です。
町には、官公庁や生活に必要なものが揃うお店、教育や医療機関が1km圏内に揃うエリアがあります。
山間部に行くと、吉無田高原や吉無田水源など自然を感じるスポットもあり、アクティブに過ごせます。
町内に移住してきた人が言うのが、御船町は「ちょうどいい田舎」だということ。賑わう熊本市内へは簡単にアクセスできて、町は自然に囲まれ地域の人も温かいのが特徴です。
移住してきた人の中にはお店を開いた人もいて、思い思いに移住生活を楽しんでいます。
御船町では、御船町空き家活用支援補助金や御船町空き家改修等補助金、お試し居住ハウスなど移住をサポートする制度があります。
また、就職や就農、起業の相談にも乗ってもらえるので、移住先で新しく仕事を始めたいという人は相談してみてくださいね。
南阿蘇村(みなみあそむら)
出典:南阿蘇で毎日を遊ぼう
豊富な自然環境に恵まれている村、南阿蘇村(みなみあそむら)。阿蘇カルデラ内の南側に位置しています。
村には湧水地が点在していて、日本名水百選に選ばれた「白川水源」があります。
春に咲く樹齢400年の大きな桜の木は、満開時には周辺に咲く菜の花とのコントラストが美しく、お花見スポットランキングで1位を獲得したことも。
南阿蘇村が目指すのは、のどかで穏やかな中にも活力があり、人々が住み続けたい村であることだそうです。村民が中心となって住みたい村づくりに取り組んでいます。
南阿蘇村の移住支援は、南阿蘇村空き家・空き地バンクやお試し移住体験住宅など。
仕事は熊本市まで約1時間というアクセスの良さから熊本市内で働くこともできるほか、村内はネット回線が整備されているのでテレワークも可能です。新規就農支援も充実しています。
熊本移住は仕事も子育ても充実だから幅広い世代におすすめ
ほどよく都会でちょうどよく田舎の雰囲気を味わえる熊本県。水をはじめとする自然の恵みが豊富で子育て中の家族もシニア世代も移住ライフを満喫できるでしょう。
九州地方に移住先を探している人は熊本県への移住も検討してはいかがでしょうか。