自然豊かな離島暮らしを手軽に楽しめる東京都八丈島。都心から1時間というアクセスの良さから「離島へ移住したい」と考えている方にはとっておきの移住先だ。移住前にチェックすべき八丈島の基本情報からメリットやデメリット、支援制度の内容などを紹介する。
東京都八丈島の基本情報
東京の南方海上にある、ひょうたんのような形をした島が八丈島だ。
概要
黒潮暖流の影響を受ける八丈島は高温多湿の気候で雨も多い。島の産業は水産業と農業。観葉植物や、花を観賞用とする「花卉観葉植物」の栽培が盛んに行われている。
毎年春に開催される「八丈島フリージアまつり」では、島のシンボルである八丈富士を望める場所にある広大な畑に、色とりどりのフリージアが咲き誇り訪れる人たちを楽しませる。
八丈島の中にはほかにも動物と触れ合える牧場や八丈島の歴史と民族文化が分かる資料館、島の水の歴史に触れられるスポット、八丈島の自然を満喫できる公園など見どころがたくさんある。
八丈島へ渡るには空路と海路、ふたつの方法がある。早く到着できるのが、東京・羽田空港から1日3往復就航している飛行機で行く方法だ。
所要時間は片道約55分で八丈島まで到着する。のんびりと船の旅を楽しみたいなら、東京の竹芝桟橋から1日1往復就航する海路がおすすめ。片道11時間かけて八丈島へ渡れる。
面積:69.11m²
人口:7,092人
世帯数:4,230世帯
産業:農業(花卉観葉植物)、沿岸漁業
商工:焼酎作り、伝統工芸品の黄八丈織物作り、観光関連サービス業など
HP:https://www.town.hachijo.tokyo.jp/index.html
※人口および世帯数は2022年7月現在のもの
参考元:八丈島|農林水産省
八丈島の魅力|移住するメリット3つ
八丈島に移住を考える際に知ってほしい、八丈島の魅力を3つ紹介する。
鮮度の良い食品を手に入れられる
八丈島は沿岸漁業が盛んな地域だ。八丈島ではカツオやトビウオ、キンメダイ、ムロアジ、キハダマグロ、カンパチなど1年を通していろいろな魚が獲れる。
地産地消に取り組む八丈島では、獲れたての魚を島内でも買うことができるため、新鮮な魚を1年中楽しめるのは魚好きにとっては魅力だろう。
島内ならではの食材に出会える
八丈島にある八丈町の学校給食には、島で獲れたムロアジを燻製にしたムロ節をご飯に混ぜた「ムロ節ごはん」という郷土料理が子どもたちに提供される。
八丈島の漁業協同組合の女性たちが、島で歴史がありながらも手間がかかることから食べる人が減っていた「ムロ節」の復興に取り組んだ。
栄養豊富なムロ節を混ぜたご飯は、旨味がたっぷりと子どもたちに好評だ。
ほかにも八丈島ならでは、という特産品が明日葉(あしたば)だ。明日葉はセリ科の植物で八丈島で特によく食べられているため「八丈草」と呼ばれることもある。
ビタミンC、食物繊維、ミネラル、葉酸などの栄養が含まれている。
明日葉は主に若葉を摘んで食用にする。おひたし、天ぷらなどで食べるのがおすすめだ。肉類と炒めるのも相性が良い。八丈島では明日葉を低温で乾燥させて茶葉にして販売している。
また、ムロアジを発酵液につけて干した「くさや」も八丈島の特産のひとつ。独特なにおいを放つ干物で、一度食べると病みつきになるという。
江戸時代に献上品のひとつであったという記録も残されていて、長い歴史のある食品だ。
歩いていけるところに大自然がある
思い立ったらすぐに海に行けるというのは離島ならではのメリットではないだろうか。海に囲まれた八丈島は、すぐそばに自然を感じながら暮らすことができる。
八丈島の海の色は「八丈ブルー」とも呼ばれ、透明度が高く美しい青が広がる。八丈島の海には700種類もの海洋生物が生息しているといわれ、ウミガメにも遭遇できる。
ダイビングスポットとしても人気で、初心者やシニアの方など幅広い人たちが体験ダイビングを楽しめる。
八丈島には八丈富士と三原山という2つの火山がある。この山にも歩いて向かうことができ、トレッキングやハイキングができるのが魅力だ。
このように本格的なアクティビティをしなくても、近所を散歩するように歩くだけでも雄大な八丈島の自然を楽しめる。
あちこちに温泉が湧いているのも、八丈島を訪れる幅広い世代の人たちに人気の理由だろう。
事前に押さえておきたい八丈島移住のデメリットも
メリットがある一方で八丈島移住には事前に知っておきたいデメリットもある。
マイカーが必須
自然を感じながら散歩をしたい、海に行きたいという目的があるなら歩いて行ける距離に自然が多く残されているのが八丈島だ。
しかし、買い物目的で島内を移動するならマイカーは必須。一家に一台は車があると便利に過ごせるだろう。
本州への移動が天候に左右される
前述したように、八丈島から本州までのアクセスは空路または海路の2つだ。空の便も海の便も、悪天候だと欠航することも。
本州への移動は天候に左右されやすく、思い通りの移動ができない可能性もあることを頭に入れておきたい。
島内にない食品は値段が高め
島内にあるお店では八丈島産の野菜や果物、島名物のお弁当やお土産、生活雑貨などが販売されている。
だいたいのものは島の中で手に入るが、島の外でしか販売されていない食べ物や調味料などは、本州から島への輸送コストが含まれている場合もあるので値段が高めだ。
大きなスーパーやドラッグストアは少ない
八丈島には日常生活に困らないスーパーや商店がある。食料品や生活用品などが揃い、島でしか食べられないものも手に入る。
ただ、東京の都市部に比べたらその数は決して多くはないことは覚えておきたい。
生き物や虫が多い
八丈島は自然豊かな島だからこその、「生き物や虫」問題に遭遇することも多い。
小さな生き物や虫たちはわずかな隙間を見つけて室内に入ってくるので、苦手な人は島での暮らしを再検討する必要があるかもしれない。
八丈島移住|特におすすめな人
八丈島にはさまざまな理由で移住をしてきた人がいる。八丈島に移住した人たちの声から、八丈島への移住は特にどのような人がおすすめなのかを考えてみた。
大自然の中で子育てをしたい人
八丈島の中にある「町立八丈病院」は、内科や外科のほかに小児科、産婦人科がある総合病院。数ある離島の中では珍しく、子どもを産み育てることができる病院だ。
保育園は島内に4ヶ所あり、どの保育園も豊かな自然に囲まれている。八丈島の子育てサポートとしては
- 子育て家庭の交流広場
- 子ども家庭支援センター
- ファミリーサポート事業
- 一時保育、一時預かり
- 妊婦・育児・児童相談
- 新生児訪問
- 赤ちゃんふらっと(島内に6ヶ所)
- 出産祝い金
などがあり、地域の人たちも子どもたちを見守ってくれるので島全体で子育てをサポートしてもらえていると感じるだろう。
美しい海と山、大自然が近くにある環境で安心して子育てをしたいと考えている移住希望者におすすめだ。
離島でリモートワークをしたい人
ここ数年リモートワークを導入する会社が増え、人々の生活様式に変化が見られるようになった。
毎日の通勤からリモートワークに切り替えたことにより、住む場所を変えたいと考える人もいるだろう。
八丈島には、離島で在宅ワークを叶えたという人が実際いる。
現地に観光を兼ねて何度か足を運び、八丈島に住むイメージができたことで東京都内から移住したそうだ。
八丈島は島全体がコンパクトにまとまっている。車を使っても5〜10分あれば買い物できる施設に行くことが可能だ。
このように、今回紹介した自然の多い場所で子育てをしたい人、リモートワークを離島でしたい人のほかにも、余生をゆっくりと過ごしたいというシニア世代や、ひとりで自由に暮らしたいという人にも八丈島暮らしは向いているのではないだろうか。
八丈島の移住支援制度(補助金)を紹介
ここからは、八丈島に移住する際に支援してもらえる制度を見ていく。
定住支援金の交付
八丈島では、島への移住と定住促進と、島内の企業の人手不足解消を図るため、東京都の「島しょ山村地域への定住サポート事業費補助金」制度を活用している。
島に定住する人に向けて定住支援金を交付する。島に5年以上居住し、さらに対象の企業に就業する意思がある人は定住支援金を交付してもらえる可能性がある。
お試し・体験移住
八丈島への移住を考える前に、お試しや体験で短期間移住をしてみたいなら、移住希望者の総合窓口であるNPO法人「八丈島移住定住促進協議会」に相談してみよう。
移住体験の相談のほか、島の暮らし方や移住の手段など、島民が詳しくサポートしてくれる。
八丈島に移住して仕事を探す方法
島の外で八丈島に関連する求人を見つけるのは難しい。そのような場合は、八丈島の公式サイト内にある「八丈島おしごと掲示板」で仕事情報を探してみよう。
もちろん、八丈島に引っ越してリモートワークを続けることもできる。八丈島で農業や漁業に携わりたいと希望している人も相談可能だ。
>>八丈島おしごと掲示板
>>八丈島での農活について
>>漁師の仕事について
八丈島で住む家を探すなら
八丈島での住まいを探すには、まずは町営住宅を探してみよう。移住希望者は島の外からでも応募可能だ。八丈島のホームページをチェックし、応募要件を確認しよう。
八丈島には民間の不動産会社もある。賃貸の仲介も行っているので相談してみると良いだろう。
都内で離島暮らしができる八丈島でゆっくり過ごそう
東京都内でありながら離島暮らしを楽しめる八丈島は、空路を使えば都心へのアクセスも良い島だ。
静かな環境と豊かな自然を満喫したいと考えるなら、八丈島への移住がおすすめ。まずは一度八丈島を訪れて、島の自然や人々に触れ、八丈島で生活するイメージを膨らませてほしい。