東京から南へ約360キロ離れた場所にある青ヶ島。日本でもっとも人口の少ない青ヶ島村は、「静かな場所で穏やかに暮らしたい」という移住希望者に注目されている島だ。
島内は光回線も開通し、移住者への環境も整いはじめている。今回は青ヶ島への移住のおすすめポイントや注意点、自治体の支援内容を紹介する。
東京都青ヶ島の基本情報
出典:写真館|青ヶ島
青ヶ島は、総面積5.96㎢、人口170人の有人島だ。島全体が火山で、島内の外輪山からは火山活動でできたカルデラを見渡せる。
青ヶ島の空は空気が澄みきっていて、天気が良い日の夜に空を眺めると満天の星が広がる。季節ごとの流星群や天の川なども分かるので、天体観測におすすめだ。
島内には島の言葉で「ひんぎゃ」と呼ばれている、地熱蒸気が吹き上がる地帯がある。ひんぎゃは電気のない時代から島民に重宝されており、蒸し料理や暖房などに利用されてきた。
ひんぎゃは最近では観光スポットにもなっており、ひんぎゃの熱を利用した天然サウナが島民や観光客に人気だ。また、海水と地熱で作った「ひんぎゃの塩」は島の特産物でもある。
青ヶ島の気温は年間を通じて10℃〜25℃。標高が高い場所に行くと、ほかの島々よりも涼しさを感じる。年間湿度は平均85%で、嵐や梅雨時期の雨、台風などの影響を受けやすい。
参考:青ヶ島について|青ヶ島
青ヶ島への移住おすすめポイント
出典:写真館|青ヶ島
ここからは、青ヶ島への移住についておすすめのポイントを紹介しよう。
リモートワークの環境が整っている
青ヶ島は、2020年3月に光回線が開通し、ネット環境が整った。青ヶ島の人口は少ないため、回線が混雑することはなく快適にネットを使用できる。
ネット環境が整備されたほか、島内にはシェアハウスもできて、ワーケーションや移住をしてリモートワークをしたいと考えている人たちに注目されている。
島民が温かい
青ヶ島は人口が170人と少ないため、島民同士が顔見知りということも少なくない。島に住む人たちが互いに助け合い、一緒に暮らしを楽しんでいる。
島全体で子育てをするという空気があり、学校の先生と生徒や保育園での保育士と子どもとの、物理的だけではなく心の距離も近い。
また、島の住民の多くが一度は島を出て、知らない土地で過ごすという経験をしているため、観光客や移住者に寛容なところも特徴だ。
お金を使う場所がないので貯金できる
青ヶ島には、お金を使って楽しむ娯楽がほとんどない。島に住んでいる人はサウナに行ったり、島内に2軒ある居酒屋に行ったり、港で釣りをしたり、外でバーベキューを楽しんだりしている。
お金を使う場所がないため、仕事をしている人は本土にいるときと比べて貯金ができる。
ネットショップの配送は通常通り
ネットショップで買い物をした場合、青ヶ島へは本土と変わらず配送してもらえる。配送日は注文日から数日かかるが、配送料無料のショップもあるので、不便を感じることはあまりないだろう。
事前に知りたい青ヶ島移住の注意点
出典:写真館|青ヶ島
青ヶ島への移住に際しては、注意しておきたいこともある。
連絡船の就航率は5割で本土との行き来が難しい
青ヶ島へのアクセスは船と飛行機の方法がある。
- 船の場合
竹芝桟橋(東京都)から東海汽船の大型客船に乗船し、八丈島まで約10時間半、その後青ヶ島への連絡船に乗り継いで約3時間
- 飛行機の場合
1日3便就航している羽田空港(東京都)から八丈島空港までの航空機に搭乗して約55分、その後定期便のヘリコプターに乗り継ぎ青ヶ島まで約30分で到着
青ヶ島の港は波やうねりの影響を受けやすい場所にある。そのため、着岸が難しく、冬場は就航率が5割程度になることもある。
台風や嵐が直撃すると1週間以上欠航することもあるため、青ヶ島へ渡る人も青ヶ島から本土へ行く人も、予定が立てにくいことは頭に入れておいてほしい。
船に比べると、飛行機やヘリコプターの方が交通手段として安定している。ただ、定員が少ないため予約は必須だ。
また、濃霧で視界不良になると、八丈島からのヘリコプターが飛ばないこともあるので注意しよう。
医療・介護体制は本土に比べ十分ではない
青ヶ島の医療・介護体制は、本土に比べ十分とは言えない。島内には「青ヶ島国民健康保険青ヶ島診療所」という医療機関が1件あるのみ。
この診療所は内科・産婦人科・外科・歯科があり病床が2床。訪問診療および訪問看護の対応は可能だが、1日に訪問できる人数は限られている。
島内の医療機関は1軒だが、歯科は年に18回、眼科・耳鼻咽喉科・整形外科は年に1回本土から専門医が巡回する。
青ヶ島には介護保険サービスの居宅介護支援と訪問介護、通所介護などがあるが、営業状況は流動的なため、利用の前には問い合わせる方が良いだろう。
希望の仕事に就くのは難しい
青ヶ島には商店や娯楽施設などが少なく、仕事も限られている。希望の仕事に就きたいと思っても人口の少ない島では難しいかもしれない。
ただし、最近はリモートワークを取り入れている企業が多く、移住しても仕事を変える必要がない場合もある。
そして、青ヶ島でも介護福祉系の仕事もある。青ヶ島で新しい仕事に就きたいと思っているなら、事前に求人情報を確認しておこう。
青ヶ島の移住支援策
出典:写真館|青ヶ島
青ヶ島へ移住する際の支援策について紹介する。
子育て支援
「青ヶ島で子育てをしたい」「家族で移住したい」という人には、子育てに関する支援を受けられる。
- 児童手当(年齢によって金額が変わる。所得制限もあり)
- ひとり親医療費助成
- ひとり親児童扶養手当
- 障害児支援
これら以外にも、移住支援について知りたい場合は、青ヶ島の公式サイトを通じて直接確認しよう。
青ヶ島村役場
〒100-1701東京都青ヶ島村無番地
電話:04996-9-0111
FAX:04996-9-0001
青ヶ島は離島移住におすすめの島
出典:写真館|青ヶ島
満天の星にありのままの自然が残る青ヶ島は、観光に訪れた人の心を動かす島だ。ネット回線も引かれ、ワーケーションや移住を決める人もいる。
離島での暮らしに憧れているなら、ぜひ青ヶ島への移住も検討してみてほしい。
画像出典:写真館|青ヶ島