「移住を実践する前に、引っ越した後の新しい毎日を想像できる」そんな嬉しい制度が移住体験ツアーだ。ここでは、全国の自治体の中から2023年7月時点で開催中の特におすすめしたい移住体験ツアーを紹介する。体験ツアーを移住に向けた足掛かりとして十分に活用するための、成功のポイントと一緒に確認していこう。
移住体験ツアーへの参加をおすすめしたい理由
田舎暮らしを夢見ている方に、ぜひおすすめしたいのが移住体験ツアーだ。
移住体験ツアーは移住希望者にとって嬉しい以下のメリットを秘めており、移住成功の確率を飛躍的に高めてくれる。
- 現地の雰囲気を確認できる
- 自治体担当者や先行移住者とお話しできる
- 補助金を受けられることもある
早速、それぞれ順番に見ていこう。
現地の雰囲気を確認できる
移住体験ツアーの最大の魅力は、やはり現地の雰囲気を確認できること。
移住では実際に現地を訪れて、初めてわかる要素がたくさんある。以下のように、それは良い面にも悪い面にも存在する。
- 透き通った空気
- 遮るもののない星空
- 人付き合いの密接さ
- 驚くほど大きな害虫
- 過酷な気候
- 交通手段の不便さ
移住体験ツアーへの参加は、このような要素を体感し、自分の理想と現実のギャップを減らすのに役立つ。地に足の着いた形で移住を成功させやすくなるだろう。
自治体担当者や先行移住者とお話しできる
自治体担当者や先行移住者とお話しをしやすいのも、移住体験ツアーの見逃せないメリットだ。
移住体験ツアーは、当然ながら移住を希望する方が参加するための施策。
そのため、移住をサポートしてくれる自治体の方や、現地で既に移住を成功させた方と対話する機会が用意されていることも多い。
また、ツアーの参加中は「この土地への移住を希望している人」として地元の住民から歓迎してもらいやすいのも注目ポイント。
仕事や住まいの相談をしたり、土地の魅力や風習を聞かせてもらったりと、貴重な体験を得やすい。
補助金を受けられることもある
直接的にありがたみを実感できるメリットとして、金銭面の支援を受けやすい点も挙げられる。
自治体によっては、移住体験ツアーの参加者に対して補助金を用意していることがある。その土地までの交通費を一部負担してもらえたり、宿への宿泊費が半額になったりと内容はさまざまだ。
多くの場合、個人的に旅行として訪れるよりも、おトクな形で現地の魅力を体験しやすい。支援内容は年度や時期によっても変わるため、ツアーの申し込み時に質問してみよう。
【2023開催中】全国の移住体験ツアー10つを厳選!
ここからは、2023年に開催中の全国の移住体験ツアーを紹介する。いずれもユニークな内容であったり、初心者でも参加しやすかったりするおすすめプランだ。
【北海道十勝上士幌町】MY MICHI(マイミチ)
最初に紹介するのは、20〜30代の若者を対象とする共同参加型の体験ツアー、北海道十勝上士幌町のMY MICHI(マイミチ)だ。
本ツアーでは同時期に参加した若者と一緒に、1ヶ月間にわたってシェアハウスで生活する。そして、以下の3つのプログラムを並行してこなしていく。
- 十勝平野の大自然で「遊ぶ」
- 先輩移住者から話を聞くなどして「学ぶ」
- 酪農業や地場産業で「働く」
ひと月の間に、土地の日常をたっぷりと味わえる珍しい施策だ。ツアーの終了後には、コンシェルジュの紹介などの移住・就職サポートを受けることもできる。
2023年7月現在は第10期生を募集中。たびたび実施されているため、気になる方はぜひチェックしてみてほしい。
【青森県黒石市】ワーキングホリデー黒石事業(ワーホリ黒石!)
出典:ワーホリ黒石!|黒石市
青森県黒石市のワーキングホリデー黒石事業は、地元の伝統産業である農業の体験を通じて、黒石市の魅力と文化を知ってもらう体験ツアーだ。
当体験ツアーは以下の3種類のプランに分かれており、それぞれ対象者・宿・就農場所が異なる。
- ワーキングホリデー型:主に県外在住の大学生が対象。農家民泊か市指定の宿に泊まり、畑作農地で働く
- 農家宿泊実習型:授業(実習)の一環として参加する方が対象。農家民泊をしつつ、畑作農地で働く
- トラベラーズワーキング型:主に県外の40歳前後の方が対象。市指定の宿に泊まり、りんご園で働く
通常は「ワーキングホリデー型」か「トラベラーズワーキング型」に参加する形となるだろう。りんご・大根、キャベツにズッキーニなど、名産品の美味しさの秘密を発見できるかも。
【山梨県甲州市】夏の甲州市魅力発見ツアー
出典:夏の甲州市魅力発見ツアーを開催します!|甲州らいふ
山梨県の甲府市では、ワイン好きな方にぴったりな移住体験ツアーを実施中。本ツアーは東京駅・新宿駅から出発する1泊2日の体験プログラムだ。
期間こそ短いものの、地元の人気シェアオフィスの見学や先行移住者&先輩就農者との対談、名産品であるぶどうの収穫体験やワイナリーでの試飲など、その内容は充実。
地元の市場&スーパーでの買い物や古民家再生現場の見学といった、移住に直接結びつきやすい内容も多い。甲府市の魅力をたっぷりと満喫しながら、新生活のイメージを固めてみてはいかがだろうか?
【千葉県いすみ市】いすみ市お試し居住
出典:いすみ市お試し居住(9月~12月期)利用希望者を募集します!|いすみ市
千葉県のいすみ市では、移住を検討している方に向けてお試し居住体験を提供している。最大1週間にわたっていすみ市に居住し、町での日常や風土を体感できるツアーだ。
本ツアーの特徴は、滞在中のスケジュールが参加者の自由であること。
純粋に住宅の貸し出しを受けられる仕組みであり、基本的に日誌の記入や滞在後のアンケートの協力以外に求められる作業はない。
午前中にワーケーションを行い、午後にいすみ市の町並みを散策するなど自分好みに活用できる。住宅は5種類も用意されており、好きな施設を自ら希望できるのもポイントだ。
【富山県氷見市】オーダーメイド型ひみ暮らし旅
出典:【オーダーメイド型】移住体験ツアー『ひみ暮らし旅』【日程もあなた次第!】|みらいエンジン
日程も現地で何をするのかも、すべて自分の希望から決められるユニークな移住体験ツアーが富山県氷見市のオーダーメイド型ひみ暮らし旅。
本ツアーは担当事務局とのオンライン面接を通じて内容を決定する。「古民家を見てみたい」「学校などの子育て環境を確認したい」「これまで移住をしてきた方と話したい」など、願いを率直に打ち明けることができる。
忙しい社会人の中には、日程を相談のうえ決定できる点に魅力を感じる方も多いはず。多忙を理由に移住を諦めるのは、少しもったいないかもしれない。
【和歌山県】わかやましごと・暮らし体験
出典:しごと・暮らし体験|わかやまLIFE
「やはり移住後の仕事や生業などの収入面について、大きな不安がある」そんな方にぴったりなのが、和歌山県のわかやましごと・暮らし体験だ。
和歌山県は移住ポータルサイト「わかやまLIFE」にて、移住希望者の仕事体験を受け入れてくれる事業者を公開している。2023年7月26日現在で、180件もの個性豊かな企業&職人が参加者を募集中だ。
参加できる仕事は、王道の農業体験から珍しいクラフトビールの製造まで多種多様。ときには陶芸家のお手伝いといった、なかなかお目にかかれないプログラムも募集されている。
【岡山県苫田郡鏡野町】鏡野町オーダーメイド型移住体験ツアー
出典:オーダーメイド型移住体験ツアー 参加者募集|鏡野町
澄み切った空気が美味しく「健康の町」として知られる岡山県の鏡野町でも、1泊2日のオーダーメイド型移住体験ツアーを開催中。
子育て環境の確認や古民家探し、職業体験に地場グルメの散策など、要望に応じた体験プランを移住コンシェルジュと一緒に考えられる。しかも、ツアー中は移住コンシェルジュがともに行動し、現地を案内してくれるそうだ。
また驚くべきことに、本ツアーは参加費無料で実施されている。町を訪れてみたい気持ちさえあれば、後は相談してみるだけで良い。
※飲食代や交通費は自身の負担
【鳥取県鳥取市】鳥取市移住体験オーダーメイドプラン
出典:鳥取市移住体験オーダーメイドプラン|とっとりコネクト
「基本的にコンシェルジュの同行なしで、自分のペースで町を見て回りたい」そんな方には、鳥取県鳥取市のオーダーメイド型体験ツアーが解決策になるかもしれない。
本ツアーではプランの設計をコンシェルジュに相談した後、当日の体験は自身のみで行える。地元で人気のお食事処を訪れてみたり、市場やスーパーを巡ったりと気になる場所を好きにチェックできる。
もちろん、困ったときにはサポートをお願いできるほか、先行移住者との対話などのアポイントを取ってもらうことも可能。
自分の理想のイメージに合わせて、鳥取市を体験してもらえるように配慮されている。
【山口県下関市】下関市お試し暮らし
出典:☆下関市 お試し暮らし☆|下関市シティプロモーションサイト
山口県の下関市お試し暮らしは、「街中の暮らし」と「田舎の暮らし」の好きな方を選んで体験できるユニークなツアーだ。全4箇所の宿泊施設が用意されており、それぞれまったく雰囲気の異なる場所にある。
街中暮らしの宿泊施設は、カフェ&バーやラウンジスペースも用意されているおしゃれな建物。多くの来訪者と直接言葉を交わして、下関市の雰囲気を確かめられる。
一方、田舎暮らしの宿泊施設は、森林に囲まれた農業公園の中にあるなど大自然を満喫できる場所。美味しい空気を胸いっぱいに吸い込めば、穏やかな暮らしの片鱗を味わえるはず。
【鹿児島県大島郡喜界町】喜界島フリー滞在プログラム
出典:喜界島フリー滞在プログラム|ねりやかなや
「移住をするなら、思い切って離島で島暮らしに挑戦してみたい!」と憧れる方も多いのではないだろうか?そんな方には鹿児島県の喜界島フリー滞在プログラムがぴったりだ。
2024年の3月31日まで開催中の本ツアーでは、全12種類のプログラムから好きなものを選び参加できる。「先行移住者との対話」や「地元民との集落散策」、「開業相談」に「マリンアクティビティ」の体験など、選べるプログラムは個性豊かな内容だ。
本ツアーは所要時間が数時間程度と短い内容も多く、自由滞在中のイベントのひとつとして楽しむ形。
つまり、島への滞在の日程や行動自体は自分の思い通りに決めて良く、自由度が高いのも嬉しいポイントだ。
後悔しないために|移住体験ツアーを成功させるためのポイント3つ
申し込んでみたい移住体験ツアーは見つかっただろうか?最後に、体験を成功させるためのポイントをおさらいしておこう。
移住体験ツアーを成功させるために、意識しておきたいのは以下の3点だ。
- 「移住」の体験になるツアーか確認する
- 現地の方と積極的に交流する
- 不明点は事前に担当者と相談しておく
「移住」の体験になるツアーか確認する
特に重要となるのは「移住」の体験になるツアーか確認しておくこと。
移住体験ツアーはその土地の雰囲気を知り、住んだ後のイメージを掴むためのもの。そのため、例えば豪華なホテルでゆったりとご馳走を楽しむような旅行的な内容では、適しているとはいえない。
地域密着型の宿やお試し移住用の古民家に宿泊できたり、職業体験が受けられたりと、移住後の生活を想像できるツアーを選択してほしい。
現地の方と積極的に交流する
自分から現地の方と積極的に交流することも、移住体験ツアーの成功には欠かせないポイントだ。
前述の通り、先行移住者や地域の住民との交流は移住体験ツアーの大きな魅力だ。
地域の祭りなどの催し事へ参加し、食事も近場の個人経営の飲食店を巡ってみるなど、自分から積極的に活動したい。
特に田舎への移住を希望する場合、自分が都会にはない密接な人付き合いを楽しめるタイプなのかを確認するのにも役立つ。移住後に後悔しないように、多くの方と交流してみよう。
不明点は事前に担当者と相談しておく
見落としがちなポイントだが、不明点は移住体験ツアーがはじまる前にすべて解消するように心がけておこう。
「行ってみれば何とかなるだろう」で申し込んでは、自分が希望する移住体験を得られない可能性も高まる。
少なくとも以下のような疑問点は、正式に申し込む前にツアー担当者へ相談しておきたい。
【移住体験ツアーの参加前によくある疑問】
- 宿や食事の準備
- 体験施策の内容
- 利用できる補助金
- 持参すべきアイテム
- ツアー途中での辞退についてなど
移住体験ツアーを活用して夢の田舎暮らしを実現しよう!
この記事では移住体験ツアーについて、おすすめしたい理由と2023年に開催中の厳選プラン、成功させるためのポイントを紹介した。
移住体験ツアーは現地の魅力とデメリットを体感し、理想と現実のギャップを埋めることができる有意義な施策だ。
しかし、地元の方との積極的な交流が必要であることや、「移住」の体験になっているかどうかの確認など、いくつか注意しておきたいポイントもある。
記事の内容を参考にしつつ、自分にぴったりなプログラムを見つけてほしい。