豊かな自然や美味しい食べ物など、魅力がたくさんある北海道。移住したくなるポイントは多くあるが、やはり気になるのは仕事ではないだろうか。自分に合った仕事を見つけられるかは、理想の移住生活を叶えるためにも非常に重要だ。
この記事では、北海道に移住する際に知っておきたい仕事事情、仕事探しを成功させるポイントなどを詳しく解説する。また、北海道での仕事探しに利用したいポータルサイトやサポート内容も一緒にチェックしよう。
北海道移住で知っておきたい仕事事情
北海道への移住を検討する際に、まず知っておきたいのは仕事事情だ。どのくらいの給与が期待できるか、求人はどのくらいかなどを把握しておくと、仕事探しを進めやすくなる。ここでは、最低賃金、平均年収、有効求人倍率の3つを紹介していく。
最低賃金
北海道の最低賃金は、令和4年10月2日から時間額920円に変更される。過去5年間で、平成30年度835円から毎年上昇している。
全国加重平均額は961円となっており、平均値と比べると41円低い。
全国的には、東京都、神奈川県、大阪府、埼玉県、愛知県、千葉県、京都府、兵庫県、広島県、滋賀県に次ぐ数値である。
900円を超えていることから、比較的最低賃金の高い都道府県であることを覚えておこう。
平均年収
厚生労働省が発表している賃金構造基本統計調査では、例年賃金について調査結果を公表している。
令和3年度調査の都道府県別賃金データによると、北海道の平均賃金は274.8万円。全国平均は307.4万円、最も高いのが東京都364.2万円、最も低いのが青森県245.0万円である。
全国の平均を下回っており、数値だけを見れば都心部に比べて収入は期待できないかもしれない。そのため求人の条件を細かく確認し、希望を叶えられる仕事を慎重に探す必要がある。
有効求人倍率
有効求人倍率は、1を上回ると求職者よりも人を探している企業が多い、1を下回ると、人を探している企業よりも求職者が多いことを示す数値である。
令和3年度の有効求人倍率は全国で1.05、北海道全体0.98であり、全国に比べるとわずかに求人が少ないことがわかる。地域によって差があり、1を上回っているエリアも多くある。
北海道各地域の有効求人倍率は、以下の通りだ。
全国 | 1.05 |
全道 | 0.98 |
札幌 | 0.98 |
札幌東 | 0.75 |
札幌北 | 0.82 |
函館 | 0.74 |
旭川 | 0.98 |
帯広 | 1.21 |
北見 | 1.15 |
紋別 | 1.60 |
小樽 | 1.12 |
滝川 | 1.06 |
釧路 | 1.35 |
室蘭 | 1.23 |
岩見沢 | 1.19 |
稚内 | 1.62 |
岩内 | 1.10 |
留萌 | 1.53 |
名寄 | 1.46 |
浦河 | 1.57 |
網走 | 1.17 |
苫小牧 | 1.18 |
根室 | 1.71 |
千歳 | 0.82 |
参考:安定所別月間有効求人倍率の推移(常用計)|北海道労働局(PDF)
北海道の仕事・求人の特徴
都道府県ごとに盛んな産業や求人の数などが異なり、北海道にも仕事・求人には特徴がある。主に知っておきたいのは3つの特徴だ。
- 札幌に求人が集中している
- 地方では一次産業が盛ん
- 観光に関わる仕事も需要が高い
特徴を押さえたうえで、仕事探しを効率よく進めていこう。
札幌に求人が集中している
札幌市は全国でも有数の都市であり、北海道のなかでは人口が集中しているエリアである。求人は人口に比例する傾向があり、札幌市も例外ではない。
そのため、より多く仕事が集まる札幌市の方が希望する仕事が見つかる可能性が高いだろう。
旭川市や函館市、北見市、釧路市など主要都市にも求人はあるが、さらに地方に目を向けると、ほとんど希望の求人が見つからないこともある。
仕事面を重視するなら札幌市への移住が安心であり、地方への移住を希望するなら希望する求人があるのかしっかり確認しなくてはいけない。
地方では一次産業が盛ん
都心部を離れると、北海道の自然を生かした農業や酪農、漁業、林業といった一次産業が盛ん。
農業は、地域の特性に合わせて、つくられているものが異なる。例えば、冷涼なオホーツク地方では、麦や豆、玉ねぎなどの作物が畑作で多くつくられている。
広大な土地がある道東エリアでは酪農が盛んで、生乳やチーズなどが有名。釧路市や根室市、苫小牧市など海に面している自治体では、多様な海の幸が漁獲されている。
林業は、スキージャンプでも有名な下川町が有名だ。
自然に触れながら働きたい方や一次産業に憧れがある方は、地方を中心に仕事探しを進めてみよう。
観光に関わる仕事も需要が高い
北海道は、全国でも観光人気の高い都道府県である。自然体験を楽しんだり、美味しいものを食べたりするなど、景色や味覚が人気だ。
ウィンタースポーツや雪まつりなど、季節のアクティビティやイベントも豊富で、年中多くの人が訪れている。
観光を支えるために、観光関連の仕事には高い需要がある。宿泊施設のスタッフや観光地の店舗スタッフ、ツアースタッフ、空港スタッフなどは、求人サイトでも多く掲載されている。
観光に興味がある方は、観光業から仕事を探してみよう。
北海道移住で仕事探しを成功させるポイント
仕事事情や求人の状況を把握したうえで、仕事探しを進めていこう。仕事探しをするときは、5つのポイントを意識したい。
- 優先したいポイントを明確にする
- 通勤時間や移動手段も考慮する
- 移住支援サイトや転職サイトで情報収集する
- 転職フェア・イベントに参加する
- 転職エージェントを活用する
条件の決め方や転職サービス・イベントの活用法まで、詳しく仕事探しの方法を押さえていこう。
優先したいポイントを明確にする
仕事探しをはじめたら、まず何を重視したいかを明確にしよう。例えば収入を重視するなら、希望する収入を得られる職場を探す必要がある。
収入よりも働きやすさを大切にするなら、休日がしっかりある職場、福利厚生が充実している職場が良いだろう。
北海道と言えば、豊かな自然や美味しい食べ物などが魅力だ。
仕事をしつつ生活を充実させるために、大好きな山や海があるまち、海産物が美味しいまちなど、住んでみたいまち周辺で仕事を探すのも良い。
まずは、仕事探しで何を大切にしたいのか、思うがままにリストアップしてみよう。その中から、最も重視するポイントを軸に転職活動に取り組むことが大切だ。
通勤時間や移動手段も考慮する
北海道は、まちとまちの距離が広く、移動に車が必要になる場合が多い。札幌市や旭川市など主要都市の中心部であれば、JRや地下鉄など交通網があるが、地方に行くほど交通手段は限られる。
そのため、いざ仕事を決めたときに通勤時間が長くなったり、移動手段が限られたりして負担がかかる可能性が高い。
通勤の負担を考慮して、通いやすい職場を選ぶのがおすすめだ。車の免許がない場合、運転が苦手な場合も、職場の立地やアクセスに気をつけよう。
移住支援サイトや転職サイトで情報収集する
自分の条件に合う仕事を見つけるためには、情報収集が必要だ。
応募した求人で必ず内定が出るとは限らないため、さまざまな求人情報を取り入れながら、業界や業種に関する情報・知識も積み上げることで、転職活動が有利になる。
ぜひチェックしたいのは、道内の移住情報をまとめているポータルサイト「北海道で暮らそう!」と、道内14振興局のホームページ・ポータルサイトだ。
仕事の情報はもちろん、住まいや暮らし、支援制度についても詳しくまとめられている。気になるサイトを下記のリンクからチェックしてみよう。
- 移住ポータルサイト「北海道で暮らそう!」
- 空知総合振興局「移住・定住に関する情報ページ」
- 石狩振興局「石狩振興局管内の移住に関する情報ページ」
- 後志総合振興局「後志管内市町村の移住情報ページ」
- 胆振総合振興局「胆振総合振興局 移住・定住ページ」
- 日高振興局「ナナイロひだかポータルサイト」
- 渡島総合振興局「渡島総合振興局 移住促進事業ページ」
- 檜山振興局「ひやまで暮らす(移住・定住・交流)」
- 上川総合振興局「かみかわ暮らし」
- 留萌振興局「留萌管内移住・定住情報ページ」
- 宗谷総合振興局「宗谷移住・担い手ポータルサイト」
- オホーツク総合振興局「オホーツク管内移住情報ページ」
- 十勝総合振興局「ようこそ「とかち」へ(移住・定住のページ)」
- 釧路総合振興局「くしろ地域移住定住ガイド」
- 根室振興局「根室振興局 移住情報・サポートページ」
また、転職サイトも情報収集に役立つ。全国の求人情報を扱っているサイトはもちろん、北海道や地方に特化したサイトを利用するのもおすすめ。
エリアに絞った求人情報を調べることができ、移住先での仕事探しを進めやすい。
転職フェア・イベントに参加する
転職活動に取り組むうえで直接話を聞きたい場合は、転職フェア・イベントに参加するのがおすすめ。
複数の企業がブースを出展していて、担当者の説明を直接聞くことができ、人脈をつくることもできる。
人材系の企業やハローワーク、自治体が主催しているイベントは、ホームページや情報サイトでアナウンスされることがほとんど。
こまめに情報をチェックし、気になるイベントには積極的に参加してみよう。
転職エージェントを活用する
転職エージェントは、経験や希望に合わせて求人の紹介を行い、自己PRの作成や応募書類の準備など各種サポートを提供している。
一般に公開されていない非公開求人を保有していることも多く、より良い求人に出会えるチャンスがある。
アピールポイントとなるキャリアやスキルの整理、良さを伝えるための面接対策などもサポートを受けられるため、移住にともなう転職活動をスムーズに進められるだろう。
北海道移住の仕事探しで活用したいポータルサイト・サポート
都道府県や自治体では、移住者向けにWebサイトや支援制度を用意しているのがほとんどである。
北海道でもさまざまなポータルサイトやサポートがあり、上手く活用することで仕事を探しやすくなる。
4つのポータルサイト・サポートを詳しく解説していく。
- 移住ポータルサイト「北海道で暮らそう!」
- どさんこ交流テラス
- 北海道就業支援センター
- 北海道の人、くらし、仕事。「くらしごと」
移住ポータルサイト「北海道で暮らそう!」
出典:北海道で働こう|北海道で暮らそう!
「北海道で暮らそう!」では、北海道の基本情報や住まい、仕事、移住者の声など、さまざまな情報が掲載されている。
仕事については、仕事に関するページ「北海道で働こう」にまとめられている。仕事探しに便利なWebサイトや媒体へのリンクがあり、気になるサービスを利用しやすくなっているのが特徴だ。
仕事の種類に応じて、農業、林業、漁業、福祉、医療、起業に分けられている。それぞれに対応した窓口やサポートがまとめられているので、希望する職種のページを確認してみよう。
どさんこ交流テラス|ふるさと回帰支援センター
出典:どさんこ交流テラス|ふるさと回帰支援センター
どさんこ交流テラスでは、北海道に住んでみたい方や暮らしたい方からの移住相談を受け付けている。4営業日以降の利用はWebで、3営業日以内の利用は電話で予約可能。
移住相談員は、北海道出身の方や北海道での暮らしが長い方であるため、「道産子(どさんこ)」目線でのアドバイスを期待できる。
HPでは、北海道で開催されている移住者向けのセミナー、移住に関するメディアの情報などを随時更新している。
移住に役立つリンクも掲載されているので、ポータルサイトや求人情報サイト、住まいの情報サイトなどをチェックしてみよう。
ジョブカフェ北海道|北海道就業支援センター
出典:ジョブカフェ北海道 北海道就業支援センター
北海道就業支援センターは、「ジョブカフェ北海道」「ジョブサロン北海道」「マザーズ・キャリアカフェ」といった名前で親しまれる、就職活動施設だ。
個別カウンセリングやメールカウンセリングなど各種相談に加えて、就職支援セミナー・イベントなどを案内している。
施設にはフリースペースがあり、相談と合わせて移住に向けた作業をすることもできる。
北海道の人、くらし、仕事。「くらしごと」
出典:北海道の人、くらし、仕事。くらしごと
「くらしごと」では、北海道の人や暮らし、仕事について役立つ情報を発信している。
北海道でさまざまな仕事をしている方へのインタビュー記事が多数掲載されていて、仕事へのイメージを膨らませることができる。
役立つコンテンツとして、「移住生活費シミュレーション@北海道」を利用可能。住んでいる地域や移住先、世帯構成、現在の家賃を入力するだけで、生活費を計算できる。
仕事探しと合わせて、暮らしの準備のひとつとして利用してみよう。
関連サイトとして、ジョブキタ「北海道の農業・酪農、漁業、林業で働く」、ジョブキタ紹介「北海道への移住をご希望の方へ」を掲載している。
農業や酪農などに興味がある方は、ぜひチェックしてみよう。
北海道に移住する前に仕事を決めよう
移住するうえで非常に大切なことは、仕事を決めておくこと。移住前に仕事を見つけることで、移住先で安心して生活を始められる。
北海道では札幌市に求人が集中しやすく、観光業や一次産業などの需要が高い。ニトリや北海道電力、北洋銀行などの大手企業も多く、仕事選び次第では希望の収入を叶えられるだろう。
移住者向けのポータルサイトが多くあるため、仕事探しを始めやすい環境だ。それらを活用しながら、自分に合った仕事を見つけ北海道への移住を実現しよう。