テレワークを取り入れる企業が増えるなか、仕事と休暇の両方を叶えてくれる「ワーケーション」という働き方が注目されている。ワーケーションにはさまざまなメリットがあるが、一方でいくつかのデメリットも存在する。
上手にワーケーションを取り入れるためにも、どのようなデメリットがあるのかチェックしておこう。
ワーケーションとは?
ワーケーションとは、「ワーク(work)」と「バケーション(vacation)」を組み合わせた造語で、観光地やリゾート地で休暇を楽しみつつテレワークを行う働き方を意味する。
もともとは2000年代初頭にアメリカで発祥したワークスタイルの考え方だが、ここ最近日本でも注目を集めている。
ワーケーションについては、以下の記事で詳しくまとめている。
「ワーケーション」と「テレワーク」の違い
テレワークとは、自宅やカフェ、コワーキングスペースなど、場所や時間に捉われない働き方のことを指す。
ワーケーションはテレワークの一種だが、ワーケーションは普段生活している場所から離れて「休暇も同時に楽しむ」という点がテレワークとの違いだ。
ワーケーションのデメリット|事前に把握しておこう
ワーケーションにより日頃生活している環境から離れることで、ストレス解消やモチベーションの向上など、さまざまなメリットが得られる。
企業側から見ると、従業員の定着率アップ、採用力の強化などがメリットとして挙げられるだろう。
このようにさまざまなメリットのあるワーケーションだが、良いことばかりではない。ワーケーションで「失敗した」ということのないように、事前にデメリットも把握しておこう。
ワーケーションによるデメリットには、大きく分けて以下のようなものが考えられる。
- 仕事に適した環境が整っていない場合がある
- 仕事とプライベートの線引きが難しい
- コストがかかる
- セキュリティ面のリスクがある
仕事に適した環境が整っていない場合がある
ワーケーションを行う場合、観光地やリゾート地などに足を運ぶことになるが、必ずしも宿泊先などに仕事に適した環境が整っているとは限らない。
また、慣れない土地でテレワークを行うとなると、「通信速度が遅くて仕事がサクサク進まない」「Wi-Fiへの接続に手間取る」といったことも考えられる。
せっかくワーケーションをするのであれば、仕事が捗らなければ意味がない。
ワーケーションを行う際は、事前に通信環境や作業環境が整っているか確認し、円滑に業務が行えるようにしておこう。
仕事とプライベートの線引きが難しい
ワーケーションは、休暇と同時にテレワークを行うため、仕事とプライベートの線引きが難しい。
普段過ごしている環境から離れ、非日常的な時間を過ごしていると、ついダラダラしてしまったり、仕事に集中できないことも多いだろう。
コストがかかる
ワーケーションを実行するとなると、交通費や宿泊費などの費用が発生するが、これらの費用は「従業員負担」となるケースが多いようだ。
また、遠隔地で業務を行うことになるため、インターネットを利用できる環境を整えることはもちろんのこと、必要に応じてチャットツールやオンライン会議用のツールの導入も求められる。
このように多くの導入コストがかかることも、企業がワーケーションを導入する際の障壁となっている。
セキュリティ面のリスクがある
ワーケーションに限らず、テレワークによりオフィス外で業務を行う場合、どうしてもセキュリティ面のリスクはつきまとう。
会社支給のPCやモバイル端末を紛失する、宿泊先などのフリーWi-Fiを利用したことで、機密情報が流出してしまうといった事態は、必ず避けなければならない。
ワーケーションの場合は、通常のテレワークよりも長時間かつ行動範囲が広がるため、従来のテレワークよりも情報漏洩の対策を徹底する必要があるだろう。
ワーケーションを上手に活用するためのポイント4つ
ワーケーションを上手に活用していくために、以下4つのポイントを押さえておこう。
- タスクやスケジュールなど自己管理を徹底する
- 作業環境や通信環境の整った施設を選ぶ
- 補助金や助成金を活用する
- セキュリティ対策を徹底する
それぞれのポイントについて、詳しく解説していく。
タスクやスケジュールなど自己管理を徹底する
休暇をとりながら業務を行うことがワーケーションの基本スタイルだが、仕事とプライベートの線引きが曖昧になりやすいのがネックだ。
普段のテレワークで仕事とプライベートをきちんと分けて生活できていれば良いが、そうでない場合は、日頃からタスクやスケジュールなど自己管理を徹底し、慣れてからワーケーションを行うとスムーズに業務を行えるだろう。
作業環境や通信環境の整った施設を選ぶ
ワーケーションするのであれば、滞在先で仕事が捗らなければ意味がない。
せっかくワーケーションのために訪れたのに「仕事にならなかった」という事態を避けるためにも、必ず作業環境や通信環境はチェックしたうえで滞在先を決定するようにしよう。
補助金や助成金を活用する
ワーケーションを実行するとなると、どうしても交通費や宿泊費などの費用負担が必要となる。少しでも負担を軽くしたい場合は、補助金や助成金の活用がおすすめだ。
ワーケーションやテレワークを推進している自治体のなかには、交通費や宿泊費などの補助を行っているところも数多く存在する。
ぜひ、自治体の補助金や助成金を活用したうえで負担を抑えてワーケーケーションを取り入れてみよう。
セキュリティ対策を徹底する
情報漏洩などのリスクを避けるためには、セキュリティ対策の徹底は欠かせない。
事前にウイルスソフトを導入する、公衆Wi-Fiの利用を避ける、安全なインターネット環境やセキュリティ対策を施した施設を利用するなどの対策をしておこう。
メリット・デメリット両面を理解しワーケーションを上手に活用しよう
ワーケーションは、従業員のストレス解消やモチベーションの向上、採用力の強化など、さまざまなメリットが得られる新しいワークスタイルだ。
しかし、多くのメリットがある一方で、「仕事に適した環境が整っていない場合がある」「仕事とプライベートの線引きが難しい」「コストがかかる」「セキュリティ面のリスクがある」といったデメリットも存在する。
ワーケーションを行う際は、メリット・デメリットの両面を理解したうえで、ワーケーション先で業務を円滑に行えるよう、あらかじめ準備したうえで実行しよう。