ワーケーション制度とは|企業・自治体事例と自社への導入のポイント

ワーケーション制度とは|企業・自治体事例と自社への導入のポイント

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昨今話題の「ワーケーション制度」ですが、実は厳密な意味は知らないという方も多いはず。しかし、ワーケーション制度には、自社の生産性の向上やハイスペック人材の雇用といった見逃せないメリットが秘められています。

この記事では、ワーケーション制度とは何か、注目される理由、メリット&デメリット、企業と自治体の事例、導入成功のためのポイントをご紹介します。

目次

ワーケーション制度とは「仕事と休暇を両立できる仕組み」

ワーケーション制度とは「普段とは異なる環境で仕事と休暇の両立を目指せる仕組み」のことです。

例えば、観光地を訪れて、午前は仕事をこなし午後は有給休暇として羽を伸ばすなど、仕事(Work)と休暇(Vacation)をどちらも充実させる取り組みを指します。

注意点として、ワーケーション制度は法律や義務ではなく、統一的な定義もありません。企業や団体ごとにその形は異なります。詳細は以下で深掘りしています。

ワーケーション制度が注目される理由・背景

ワーケーション制度が注目される理由は、企業を取り巻く多様な課題の解決策となり得るためです。

IT技術の進化がもたらすビジネスの高速化、少子高齢化の進行や転職市場の活発化による人手不足など、現代の企業は多くの問題に直面しています。

しかしワーケーション制度の導入が成功すれば、職場環境の改善を通じて、自社は多くの恩恵を得ることが可能です。

次にご紹介するように、生産性の向上やハイスペック人材の雇用といった、このような問題の対策も実現できます。

自社にワーケーション制度を導入するメリット

ここではあらためて、自社にワーケーション制度を導入する主なメリットを見ていきましょう。

社内のモチベーションアップを期待できる

ワーケーション制度により職場環境の改善が進めば、社員のモチベーションアップを期待できます。結果として、社内の生産性も大きな向上が見込めます。

また、ワーケーション先という非日常環境により、新奇性のあるアイデアを生み出しやすくなるのも長所です。クリエイティブな作業もはかどりやすくなります。

有給休暇の取得を促進できる

2019年4月に施行された働き方改革関連法により、企業は労働者に対して、特定条件下で年5日以上の有給休暇を与えることが義務化されました。

社員の有給休暇の取得率向上に悩む企業も多いなか、ワーケーション制度はその解決策となります。

ハイスペック人材の雇用にも繋がる

ワーケーション制度により職場環境を改善させ、その取り組みを外部に公表すれば、ブランドイメージの向上を期待できます。

そして、ブランドイメージの向上は高度な人材からの関心を生み出し、結果として意欲も実力もある人間を自社に雇い入れやすくなります。

もちろん、職場環境の良さから、既存人材の定着率も向上していくでしょう。

自社にワーケーション制度を導入するデメリット

ワーケーション制度はメリットの多い仕組みですが、一方で押さえておくべきデメリットもあります。

労働状況を管理しにくくなる

特に問題となりやすいのが、労働状況の管理が難しくなることです。

遠方からリモートワークで働くワーケーションは、通常の出社と比較すると勤務時間や作業の実態が曖昧になります。

オフィス勤務の社員と不公平感が生じないように注意しなければいけません。解決策には、以下のような方法が考えられます。

【解決策の一例】

  • 勤務時間を厳密に測定できるITツールを導入する
  • 労働の実態(成果)を反映できる人事制度を用意する
  • 希望者全員が順番にワーケーションを行えるようにする

(→「お互いさまだ」という思いやりの意識を作る)

セキュリティ対策が求められる

オンラインで業務を行うワーケーション制度では、セキュリティ対策が必須です。

人々のプライバシーへの関心が高まる昨今、企業による情報流出は、致命的な風評被害を招く一大インシデントとなります。

ワーケーション制度のセキュリティ対策には、以下のような方法が考えられます。

【解決策の一例】

  • 社内における情報リテラシー教育の推進
  • リモートワーク時の業務ルールの徹底

(例:パソコンを開いたまま離席しない、不要なデータはダウンロードしないなど)

  • リモートワークに対応した企業向けセキュリティ対策ソフトの導入

ワーケーション制度に積極的な企業事例

続いて、ワーケーション制度に積極的な企業の事例を見ていきましょう。ここでは、観光庁が紹介する「先行取組企業」から3つご紹介します。

東日本旅客鉄道株式会社

東日本旅客鉄道株式会社は、2019年と比較的早い段階でテレワーク規定を導入し、2022年には同規定を「テレワーク・ワーケーション規定」へと発展させた企業です。

同企業では、職場のグループで参加するワーケーションと、個人で参加できるワーケーションの両方を推進中。

例えばグループ参加のワーケーションでは、通常の出張と異なりホテルがひとり一部屋で使用できて、自分の時間も持てることが好評を博しているそうです。

富士通株式会社

富士通株式会社では、2020年7月から「Work Life Shift」と呼ばれる働き方改革にてワーケーションを進めています。

同社では、全国にある12の地方公共団体と連携し、各地方の特色を活かした地域密着型のツアープログラムを提供中。

参加した社員が好意的な感想を抱き、それを聞いた社員が自分も利用してみようと決意するなど、社内でのワーケーション制度の浸透が進んでいるそうです。

キャップクラウド株式会社

キャップクラウド株式会社では、2020年6月から「働き方選択制度」を導入しました。

同社では、山梨県富士吉田市にサテライトオフィスを設置しており、東京圏の本社とは別にこちらでも勤務ができます。自分でコワーキングスペースなどを探す必要がない、ハードルの低い形でワーケーションが可能な仕組みを提供しています。

吉田市でワーケーション制度に取り組む社員は、仕事終わりに地域の人々と交流するなど、自宅と会社以外の交友関係を広げることに成功しているそうです。

そのほか、ワーケーション制度を推進する企業の事例は以下の記事でも解説しております。

ワーケーション制度に積極的な自治体例

富士通株式会社やキャップクラウド株式会社の例にあるように、ワーケーション制度では地方との連携が成功の鍵を握ります。

ここでは同じく観光庁の事例から、ワーケーション制度に積極的な自治体の例を見ていきましょう。

山口県萩市(はぎし)

山口県萩市では、2015年からサテライトオフィス誘致を推進しており、その延長上の取り組みとしてワーケーション制度にも前向きに取り組んでいます。

萩市は2022年に日本最大級の木造校舎を整備し、コワーキングスペース「Mei Link」として提供を開始。

既にIT企業4社が入館し、サテライトオフィスとして活用されるなど、企業の誘致を進めています。

山梨県富士吉田市(ふじよしだし)

前述のキャップクラウド株式会社の事例で登場した、山梨県富士吉田市。

同市では、2022年から「富士吉田市まるごとサテライトオフィス事業」として、日本一働きやすい環境の提供を目指しています。

例えば、市内の各所に提携ワークスペースを導入し、その日の気分で働く場所を選べる体制を実現。

また、駅ビルにコミュニケーションハブを用意して人々の交流の場とするなど、特色ある町づくりを進めています。

新潟県糸魚川市(いといがわし)

新潟県の糸魚川市は、空き家の有効活用を目的に、2019年からワーケーション制度を推進している町です。

糸魚川市の特徴は、以下のように各ワーケーションプランへ明確なターゲットを定めていること。

  • 一般企業・団体向けの「防災ワーケーション」
  • 家族向けの「親子ワーケーション」
  • 食資源に関心のある企業・団体向けの「ジオフードワーケーション」 など

2023年6月には日本テレワーク協会主催の「テレワーク推進賞」を受賞するなど、その取り組みの質が評価されています。

ワーケーション制度の導入を成功させるためのポイント

最後に、ワーケーション制度の導入を成功させるために、自社が意識しておくべきポイントを見ていきましょう。

新しい働き方を考慮した人事評価制度を準備する

ワーケーション制度は労働の実態を管理しにくく、通常のオフィス勤務者とワーケーション参加者の間で摩擦が生じやすいのがデメリットです。解決策として、新しい人事評価制度の準備が求められます。

具体的な評価内容は業務によって変わりますが、例えば営業であれば、勝ち取った契約の数や既存の取引先とのやり取りの回数を考慮する形が考えられます。

全員が納得しやすいように、客観的な数値から成果を測る必要があるでしょう。

「仕事」と「休暇」を明確に区別できるルールを作る

ワーケーション制度の成功には、仕事と休暇の境目の明確化が欠かせません。

区別が曖昧になれば、どちらにも集中できず、かえって通常の勤務・休暇よりも効率が落ちてしまいます。

「ワーケーションの参加時は、13時以降は一切連絡を返さなくても良い」と社内ルールを徹底するなど、個人の努力のみならず、企業側から支援をする配慮が重要です。

適切なITツールの力を活用する

ワーケーション制度は、適切なITツールを導入することでも成功させやすくなります。

コミュニケーションの促進、セキュリティ対策、リモート環境での円滑な業務などワーケーション制度を巡るさまざまな問題を解決できます。

ツールの導入に当たっては、可能であれば、本格的な利用の前に試用版の提供を受けられると安心です。

書類上は魅力的なツールであっても、UIや操作感の問題から、社員の利用が進まないケースもあります。

トライアルから段階的に進めていく

ワーケーション制度はトライアルとして一部の部署・チームのみから導入を始めるなど、段階的に進めていくことも有効です。

最初から全社にワーケーション制度を導入すれば、相応に不具合やトラブルも生じやすくなります。

小規模から始め、問題点と改善策を探ることで、地に足の付いた形でワーケーション制度を自社に定着させられます。

ワーケーション制度で働き方改革を進めよう

この記事ではワーケーション制度について、特徴や注目される理由、メリット&デメリット、企業・自治体事例、導入を成功させるためのポイントをご紹介しました。

ワーケーション制度は職場環境の改善を期待でき、その先にある生産性の向上やハイスペック人材の雇用にも繋がる魅力的な取り組みです。

ご紹介した内容を参考に、ぜひスモールスタートで導入を進めてみてください。

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