■■■これよりWeb限定記事■■■

田舎に移住してきた「ボクら」が見つけた、サステナブルな暮らしの小さな幸せ

「誰かの日常にお邪魔することは、自分の日常を見直すことにつながると思う。」
そう語るのは、2020年夏に東京から御浜町へ移住してきた、映像クリエイター・西村 司さんだ。自らの仕事をコンテクストグラファー(context+grapher)と呼び、コンテクスト(文脈)を作る、つまりはストーリーを作ることで、どこにでもある田舎の日常を、どこにもない田舎の日常へ変えようと取り組んでいる。

西村さんは、都会から地方に移住してきたからこそ見える「御浜町の魅力」をYouTubeチャンネル「リリカルに田舎暮らし(田舎の日常を旅する)」を通して発信している。企画から撮影、編集まで全て一人でこなす。
「一番見て欲しい人は、実は町の人。町の人が町の魅力に改めて気づくことで、御浜町がさらに魅力的な町になっていくと思うから」

地方移住 – Rural Japan ♯17 冬に味わう秋の風

田舎暮らしの日常を、ただ切り取って描くだけではなく、その中での発見や夫婦の生き方の変化が分かるのが印象的だ。
例えば、#17「冬に味わう秋の風」の中には「手間を楽しむ」というフレーズがある。それは、移住してから夫婦が決めたことであり、彼らの生活の新たな「軸」として存在している。

御浜町の山間部・尾呂志地区には「尾呂志庵」という古民家風体験型の宿がある。「リリカルに田舎暮らし(田舎の日常を旅する)」では“七三歳のシンデレラ”こと、夫婦と同じく都会から移住してきた女性が、宿を切り盛りしながらサステナブルな暮らしを送る様子が描かれている。ここでは、竈でご飯を炊いたり、薪でお風呂を沸かしたり。「手間を楽しむ」価値を体験することができる。

♯27七十三歳のシンデレラのサステナブルな暮らしを学ぶ
竈でご飯を炊くという「手間を楽しむ」暮らし

夫婦で移住してきたきっかけは、御浜町がゼロから観光を生み出そうと挑戦している環境に惹かれたこと。
「御浜町を旅行する価値とは?」

観光名所がない御浜町で、いかに旅行者を呼び込むか。どこにでもあるような田舎の日常を通じて提供できることは何か。試行錯誤の末、「ボクらの日常を旅する」という旅のコンセプトに辿り着いた。そして、「御浜Blues」というツアー商品などの旅行事業ブランドも立ち上げた。4月からは、SNSなどを使った、動画による地域、観光、企業プロモーション、ブランディングなどを他市町村や民間企業から請け負う事業も新たに立ち上げた。

仲間と共に旅行商品をゼロからつくる

「手間を楽しむ体験(=ボクらの日常を旅する)を通して、自分の中の何かが変化することに価値がある」と夫婦は考える。御浜町に来た旅行者が自分の日常をひと休みして、ボクらの日常にお邪魔すること。そして、その旅を通して、旅行者自身の日常に変化が訪れること。そんな「御浜町に来ないと味わえない価値」を創り出そうとする都会から御浜町に移住してきた夫婦の挑戦は、まだ始まったばかりだ。

取材・文/益田奈央 写真/西村司


御浜町ってどんなまち?
紀伊半島、本州ほぼ最南端の太平洋沿いの町。人口約8000人。「年中みかんのとれるまち」として様々な品種のみかんが産直市場や無人市に並ぶ。日常の中で豊かな自然と触れ合える町。近年移住者も増えており、受け入れにも積極的に取り組んでいる。


ツーリズムみはまとは?
町の地域経済維持をミッションに掲げ、地域のマーケティングセンター機能を担う。自らもゼロから旅行事業に挑戦中だ。一緒にチャレンジをする仲間を募集中!

御浜Blues http://mihamablues.com/
ツーリズムみはま note https://note.com/tourism_mihama

※本文は雑誌『複住スタイル Vol.3』掲載記事に、Web限定記事を加えた形として、再構成しました。

『複住スタイルVol.3』掲載の前半記事はこちら → 三重県・御浜町 「旅するように暮らしたい」-小さな町で夢を見つける(前編)