「地方を訪れ、コミュニティの一員として仕事も含めた実際の生活を堪能してみたい!」「しかし、地域おこし協力隊になるほどの時間は取れない…」そんな方にぴったりな制度が、ふるさとワーキングホリデーだ。
ふるさとワーキングホリデーなら、2週間〜1ヶ月ほどの時間を用意できれば、収入を得つつ地方での暮らしをトライアルできる。
この記事で、ふるさとワーキングホリデーの制度の内容と参加の流れ、よくあるQ&A、実際に募集をしている自治体まで確認していこう。
ふるさとワーキングホリデーとは?
ふるさとワーキングホリデーとは、総務省が2017年に開始した「短期間で地方の魅力の一端を味わいたい人向けの体験制度」だ。その特徴には、以下の2点が挙げられる。
- 2週間~1ヶ月ほど地方で実際に働ける制度
- 休日は地元の魅力を堪能できる!移住前のトライアルにも◎
早速、それぞれ順番に見ていこう。
2週間~1ヶ月ほど地方で実際に働ける制度
ふるさとワーキングホリデーでは、2週間〜1ヶ月のような短期間、好きな土地の一員として実際に仕事ができる。
もちろん対価として給料も発生する。数年に渡って活動する「地域おこし協力隊」の縮小版のようなイメージだ。
ふるさとワーキングホリデーで募集されている求人は、その地方ならではの特色があらわれたユニークなものだ。
降雪を活かしたスキー場のスタッフや、温泉街の銭湯兼ラーメン屋なんて求人もあり、眺めているだけでもワクワクしてくる。
なお、実際に掲載されている求人情報については記事後半で紹介する。
休日は地元の魅力を堪能できる!移住前のトライアルにも◎
ふるさとワーキングホリデーでは、参加中のすべての日に働くわけではない。普通の仕事と同様に休日があり、地元を散策しながら楽しい時間を過ごせる。
ときには、職場で仲良くなった人と出かけるなんてこともあるだろう。期間が短いことから、自分の成長につながる体験を求める大学生の長期休暇などにもぴったりだ。
ほかにも、憧れの移住先を訪れて実際に生活してみる、移住前のトライアルにももってこい。自分の目的にあわせて、さまざまな活用方法が考えられる制度だ。
ふるさとワーキングホリデーの参加の流れ
出典:ふるさとワーキングホリデー ポータルサイト
では、ふるさとワーキングホリデーの参加の流れを見ていこう。といっても手順は簡単で、以下のSTEPで進められる。
- STEP1:ポータルサイトから気になる募集を探す
- STEP2:「お問い合わせはこちら」をクリック
- STEP3:参加申し込みを行い正式決定を待つ
- STEP4:確定後は宿泊先などの準備を進めよう!
STEP1:ポータルサイトから気になる募集を探す
最初に行うべきは、ふるさとワーキングホリデーのポータルサイトからの求人検索だ。以下のページを開き、参加してみたい募集を見つけよう。
ポータルサイトでは、エリア・時期・期間・仕事のジャンル・シフト(週の勤務日数)などから求人を絞り込める。
「雪の降り積もる雄大な北海道で働きたい!」「土地も人々もあたたかい九州で過ごしたい」なんて、理想にあわせて検索してみてほしい。
STEP2:「お問い合わせはこちら」をクリック
気になる求人が見つかった後は、求人ページの下部にある「お問い合わせはこちら」ボタンより手続きを進めよう。
求人によっては各地方での説明会が開催されており、自治体担当者などと対面でお話ができる。細かな疑問点まで質問でき、安心してふるさとワーキングホリデーを楽しめる。
一方で、ふるさとワーキングホリデーでは、説明会への参加は義務ではない。特に日頃訪れるのが難しい遠くの地方に行きたいと考えている人は、重宝するだろう。
STEP3:参加申し込みを行い、面談を経て正式決定を待つ
説明会あるいは問い合わせにより不明点を解消できた後は、参加申し込みをして企業との面談を行い、正式決定を待とう。
実は、ふるさとワーキングホリデーは通常の求人同様に定員が決まっており、100%参加できるわけではない。
申し込みから決定まで1週間ほどかかるため、気になる求人には早く連絡することが大切だ。
STEP4:確定後は宿泊先などの準備を進めよう!
無事にふるさとワーキングホリデーへの参加が正式決定したなら、後は準備の時間だ。自治体担当者や勤務先企業と相談しながら、宿泊先や日程決めを進めていこう。
ふるさとワーキングホリデーは、制度上は移動や宿泊の料金は参加者負担と決められている。
しかし、求人によっては社員寮に入れてもらえるなどのサポートを受けられる。気を利かせて自分だけで準備を進めるよりも、事前に確認してみよう。
ふるさとワーキングホリデーでよくあるQ&A
では、ふるさとワーキングホリデーに関するよくあるQ&Aも見ていこう。
大学生でも参加できる?(年齢制限はある?)
ふるさとワーキングホリデーでは、18歳以上OKと20歳以上OKの求人がある。こちらは募集先の自治体と企業の意向によって決定される。
求人に特別な条件が設定されていない場合、大学生の参加も大丈夫だ。1年生と2年生の方は、年齢制限にかかっていないか確認しておこう。
説明会への参加は必須?
前述の通り、ふるさとワーキングホリデーでは、必ずしも説明会へ参加する必要はない。
担当者とお話ができるなどのメリットは多いが、直接お問い合わせで十分だと感じる人はそれでも大丈夫だ。
申し込んだら必ず参加できる?
ふるさとワーキングホリデーには定員や条件があり、誰でも必ず参加できるわけではない。
先にほかの方の採用が決まったり、あるいは休日などの条件面の希望が企業と合わなかったりすれば、参加できないこともある。
友人と一緒に応募しても良い?
ふるさとワーキングホリデーでは、求人によっては友人と一緒の参加もOKだ。応募段階から伝えておくことで、同じ職場で働くことができる。
ただし、事前に自治体や企業の担当者に相談してみることは忘れないように気を付けたい。
採用後に「やっぱり友人も一緒に…」となっては、受け入れ先も困ってしまうかもしれない。
参加者に補助金は出る?
求人によっては、ふるさとワーキングホリデーの参加者に対して、自治体独自の補助金が出ることもある。例えば、広島県府中市では以下の補助金が用意されている。
・交通費補助:市に滞在する期間中のレンタカーまたは公共交通機関の利用に係る実費額とし、当該期間が15日間未満の場合は1万円を、当該期間が15日以上の場合は2万円を限度とする。
引用元:府中市版ふるさとワーキングホリデー|広島県府中市
・宿泊費補助:本市に滞在する期間中の民間の宿泊施設に係る実費額とし、1泊につき3,000円を限度とする。
・旅費補助:(県外参加者)本市に移動する場合の公共機関の利用に係る実費額とし、中国・四国・近畿地方から参加する場合は1万円を、それ以外の地域からの場合は2万円を限度とする。
(県内参加者)本市に移動する場合の公共機関の利用に係る実費額とする。
詳細は自治体担当者とやり取りするタイミングで確認してみよう。
制度に批判の声があったって本当?
ふるさとワーキングホリデーの制度が公開されたころに、「労働力を安く使おうとしているだけでは?」といった批判があったのは事実だ。
あわせて「ワーキングホリデーは本来休みがメインなのに、仕事が主体になっているのでは?」と、用語の正確さについても疑問視されていた。
しかし実際のところ、参加者は事前に賃金や勤務日数といった労働条件を自ら確認し、納得したうえで活動できる。
ふるさとワーキングホリデーは国や自治体が請け負う公的な制度であり、知らないところで不当に扱われるようなことはない。
【2023】ふるさとワーキングホリデーの仕事例5つをピックアップ
最後に、ふるさとワーキングホリデーの求人はどのようなものがあるのかを紹介する。
求人はその時々で入れ替わりも激しいため、どんな仕事があるのかのイメージ確認に役立ててほしい。
【北海道浦河町(うらかわちょう)】銭湯兼ラーメン屋
出典:町民に親しまれる銭湯兼ラーメン屋、多くの旅人が訪れるゲストハウスのお仕事
北海道浦河町では、50年以上に渡って活動している銭湯兼ラーメン屋の求人が出ていた。地元民からも旅人からも愛されている人気施設で、雪景色を楽しみながら日々を過ごせる。
同施設はゲストハウスの機能も兼ねているため、新たな人との出会いが期待できるのもポイントだ。参加中はゲストハウス内に泊めてもらえるため、宿泊費もかからない。
【沖縄県渡嘉敷村(とかしきそん)】自然豊かな保育所
出典:【渡嘉敷保育所】ケラマブルーと呼ばれる透明度の高い多様なサンゴ礁が広がる海や自然に触れながら、離島の子ども達といっしょに過ごしてみませんか。
「ケラマブルー」として知られるサンゴ礁の海を眺めながら、元気いっぱいな子どもたちと過ごせるのが沖縄県渡嘉敷村。
保育所で0歳児〜2歳児のお世話(読み聞かせやお絵かきなど)をお手伝いする求人だ。
参加にあたっては保育士資格が必要だが、ふるさとワーキングホリデー終了後にも残りたいと思った人は、そのまま継続勤務ができる。
このような求人内容は、憧れの沖縄に移住してみたいと考えている人のトライアルにもおすすめだ。
【長野県大町市(おおまちし)】北アルプスの麓のスキー場
出典:【北アルプスの麓長野県大町市】地域に親しまれる爺ガ岳スキー場のスタッフ募集中!!
長野県大町市は、真っ白な雪が降り積もる山々の麓にある町。
自然の恵みを活かしてファミリー&初心者向けのスキー場が営まれており、ふるさとワーキングホリデーにてスタッフの募集を行っている。
求人の特徴として、参加者は旅館・ホテルに無料あるいは格安で宿泊できる。
1,000円~1,700円程度を支払えば、美味しい朝食も付く。小旅行がてらに、働きに訪れてみるのも良いだろう。
【山口県岩国市(いわくにし)】地底王国美川ムーバレー
出典:約17度の温度が保たれる洞窟!観光施設「地底王国美川ムーバレー」で働きながら、自然豊かな岩国やましろ地域の暮らしを体験
化石や洞窟など地学に興味のある方にぴったりなのが、山口県岩国市。
鍾乳洞も有名なこの町では、冒険テーマパークとして知られる「地底王国美川ムーバレー」のスタッフを募集していた。
同施設内では、砂金&天然石取りや、全長1kmの行程を進む地底探検を提供中。
ふるさとワーキングホリデーで採用されたスタッフは、体験指導から内部のレストランのお手伝いまで、幅広い仕事に参加できる。
【岐阜県関市(せきし)】刀剣ミュージアム
出典:【岐阜県関市】刃物のまちで刀剣をまるごと学ぼう
歴史好きにはたまらないふるさとワーキングホリデーの求人が、岐阜県関市の刀剣ミュージアムだ。
日本一の刃物の生産地として知られるこの町では、「日本刀鍛冶見学体験」や「ペーパーナイフづくり」といったユニークな体験のお手伝いができる。
もちろん、休日には自分自身がそれらのイベントに参加することも可能だ。
ほかにも関市では、1泊につき最大5,000円までの宿泊費補助も用意されている。まずはこちらのページから、体験者インタビューを見てみてはいかがだろうか?
ふるさとワーキングホリデーで地域の魅力を体感しよう!
この記事ではふるさとワーキングホリデーについて、特徴や参加の流れ、よくあるQ&Aと実際求人に出されている仕事情報をいくつか紹介した。
2週間~1ヶ月と短期で参加できるふるさとワーキングホリデーは、移住前のトライアルにもぴったりだ。その地域で働き、地域の一員としてのデモンストレーションを行なえる。
各求人には定員が決まっているため、気になる求人があった人は、ぜひ早めに直接お問い合わせを行ってみてほしい。