移住を考えたときに気になることが「仕事」についてではないだろうか。移住先で新しく仕事を始めたいと考える人、今の仕事をしながら田舎暮らしを叶えたい人など、移住と仕事についての考えもさまざまだろう。
今回は仕事付きで移住を希望する人への支援がある自治体をいくつか紹介する。移住先での仕事の探し方についても見ていこう。
仕事付きでの移住を探す方法
仕事付きで移住を探す方法は主に6つある。
- 住み込みの仕事を探す
- リモートワークできる仕事に就く
- 転職する
- 起業・独立する
- 二拠点生活できる場所に移住する
- 地域おこし協力隊として活動する
住み込みの仕事を探す
都会を離れ田舎に移住すると、住み込みで求人を募集している仕事を見つけられるだろう。
観光が盛んな土地であれば住み込みのホテルスタッフなどもあるが、農業・酪農・漁業などの一次産業で住み込みの求人を募集していることが多い。
移住での住居費用が不安な場合は、住み込みでできる仕事を探すのも選択肢のひとつだろう。
リモートワークできる仕事に就く
新型コロナウイルス感染症の流行により、ライフスタイルが変化している。働き方の選択の幅も広がり、なかでもリモートワークを取り入れる企業も増えた。
もし今働いている会社がリモートでも勤務可能であれば、リモートワーク移行の希望を出すのも方法のひとつ。移住先でも同じ仕事ができ、仕事を探す必要がなくなる。
転職する
移住にあたり心機一転新しい仕事に就くこともできる。地方には都市部にない強みをもった企業がある。
移住先によっては、今まで自分が持っている経験を活かせる企業に転職することも、全く違う業種にチャレンジすることも可能だろう。
田舎に行けば農業や漁業などの、その土地の生活を担う産業に転職することもできる。
もし転職を考えているなら、移住先が決まったら、その地域がどのような産業が盛んなのか、希望する職種はあるかどうかまず確認しよう。
起業・独立する
移住を機に独立や起業を考えている人もいるだろう。インターネットを使ったビジネスなら、場所を問わずに仕事ができる。
ネットショップ運営やWebマーケター、ライターなど、フリーランスとして独立・起業すれば、移住先でも仕事が可能だ。
地方創生に関わる仕事の求人を募集する地方もある。地域のアピールをする仕事や地域活性化を考えるコンサルタント、公務員など、地方創生の仕事は幅広い。
自分が持つ強みが地方創生に活かせる場合もあるので、移住先の自治体情報をチェックしよう。
二拠点生活できる場所に移住する
移住に関連する言葉のひとつ、「二拠点生活(デュアルライフ)」をご存知だろうか。これは、今の仕事を続けたいが移住もすぐにしたい人が可能な移住方法だ。
二拠点生活では、平日は職場の近くで暮らし、週末だけ田舎暮らしをする生活のこと。「週末移住」や「週末田舎暮らし」と呼ぶこともある。
居住地が2ヶ所となり出費がかさむデメリットはあるが、週末は田舎で思い切りリフレッシュしたいと思う人も多く注目されている。
地域おこし協力隊として活動する
移住者が選べる仕事のひとつに、「地域おこし協力隊」がある。地域に貢献する仕事で、住まいや暮らしの援助を受けながら仕事や生活できる。 地域おこし協力隊は期限が決まっていて、移住先で定住を考えている人には難しいかもしれない。
ただ、期間中に地域でいろいろな人とつながりを作り、自らをアピールすれば期間が終わって新たな仕事に就くこともできるだろう。
【世代別】仕事付きで移住するメリット・デメリット
ここからは、仕事付きで移住するメリットとデメリットを世代別に見ていこう。
20代・30代ミレニアム世代の場合
移住を積極的に受け入れる自治体は、現地で仕事をできる人も求めている。20代・30代の若い世代は特に高齢化が進む地域にとっては欲しい人材でもあるだろう。
メリット|仕事の選択肢が広がる
地方に行くと、都市部では出会えなかった仕事に出会う可能性もある。その地域で盛んな地場産業もある。第一産業がメインの地域なら、働き盛りで体力がある20代・30代の人材は貴重だ。
20代・30代が仕事付きで移住する場合、今よりも仕事の選択肢が広がる可能性が高くなるだろう。
デメリット|移住先によっては前よりお給料が下がる可能性がある
20代・30代が仕事付きで移住するメリットは多くある一方でデメリットもある。それは給与面だ。
求人・転職サイト「doda(デューダ)」の調査によると、関東地方の平均年収は423万円。関東地方以外は360万円から390万円の間だ。
最低賃金時間額を見てみると、東京は1,072円に対して、東北地方や福岡を除く九州地方は850円台と、200円以上の差がある。
平均給与・最低賃金時間額共に都会と地方では格差があり、移住先での給与水準が下がることは避けられない。
参考:平均年収ランキング(47都道府県・地方別の年収情報)【最新版】|doda
40代・50代・60代ミドルシニア世代の場合
40代以上になると、都会では早期退職を視野に入れる人も出てくるだろう。定年になってもまだ働きたい人もいるかもしれない。
メリット|地方ではまだまだ戦力になる
地方に行けば、40代・50代・60代のミドルシニア世代もまだまだ戦力になる可能性がある。
社会人として20年以上の経験と実績が地方でのキャリアアップにつながることもある。地方再生にチャレンジするのも良いだろう。
早期退職をした人は、退職金を元手にして起業を考えることもできる。
地方での起業や東京圏から移住して起業・就業をする人へ支援金を支給するサポートもあるため、ミドルシニア世代も移住先で仕事に就けるチャンスはある。
デメリット|年齢的な面で雇用条件が悪くなる可能性もある
地方ではまだ戦力となるミドルシニア世代だが、年齢面での雇用条件は若い世代よりも悪くなる可能性はある。
地方企業にとっても20代・30代の労働力がより求められるため、40代以上の評価は下がる傾向にあることは知っておきたい。
仕事付き移住を支援する自治体(都道府県)5選
最後に、仕事付き移住を支援する全国の自治体から5つピックアップして紹介する。
北海道
北海道は人口が多く集まる札幌市は人口に比例するように求人数も多く、希望の職種が見つけられる可能性がある。
また、地方に目を向けると酪農を中心に農業・漁業・林業などの一次産業が盛んだ。
北海道ではU・Iターンで就職したり、一次産業に挑戦したり、地域貢献や起業に興味がある人など、北海道で仕事したい人を応援している。
北海道の移住ポータルサイト「北海道で暮らそう!」では、希望の職種によってさまざまなサポートを提供している。
例えば一般企業に就職を希望している人には以下の7つのサポートがある。
北海道共創パートナーズ(HKP) | ・北洋銀行の100%子会社・銀行の取引先の経営者より直接非公開求人を紹介・U・Iターン希望者へ管理職以上の転職支援 |
ジョブキタ | 道内の正社員求人を掲載。U・Iターン歓迎求人もあり |
シゴトガイド | 北海道エリアのアルバイト・パート・正社員求人メディア |
アルキタ | 札幌市内とその周辺のアルバイト・パート・正社員求人メディア |
キャリアバンク転職 | U・I・Jターン実績多数の転職支援総合人材サービス会社 |
REGIONAL CAREER北海道 | U・Iターン転職サービス |
ジョブカフェ北海道 | 就職支援セミナー・イベント、カウンセリングなどの就業支援を行う道設置の無料施設 |
ほかにも、6つの仕事の分野で求人サポートを行っている。
農業 | (公財)北海道農業公社 北海道農業担い手育成センター |
林業 | 北海道森林整備担い手支援センター |
漁業 | 北海道漁業就業支援協議会 |
福祉 | 北海道福祉人材センター |
医療 | 公益社団法人北海道看護協会 北海道ナースセンター 北海道医師確保推進グループ 北海道地域医療振興財団 ドクターバンク |
起業 | 北海道中小企業総合支援センター 北海道創業サポート相談室 北海道商工会連合会組織経営支援部 企業支援課 |
北海道には移住支援金対象求人就業マッチングサイトもあり、移住者支援金対象の求人を紹介している。
ただ、申請者数が多いことから移住支援金の申請をストップする場合がある。詳しくは道内の市町村に確認しよう。
沖縄県
移住先で人気の沖縄県。沖縄に移り住むにはあらかじめ仕事を探してからの方が良いだろう。
その理由は、沖縄県の有効求人倍率が全国に比べて低いからだ。必ずしも希望の仕事に就くことができるとは限らないのが現実だろう。
ただし、沖縄県ならではの産業もある。沖縄は特に第三次産業(観光・サービス業)が盛ん。
観光客をターゲットにした仕事は多くあり、住み込みの仕事も見つけられるだろう。沖縄県の移住支援は主に就職支援事業だ。
県内企業人材確保支援事業「りっか沖縄」 | U・Iターンの就職希望者へ相談対応、情報共有、県内企業とのマッチングなどを行う |
沖縄バイト人材マッチング | 沖縄県内のバイオ系企業や大学、研究機関と全国の人材をマッチングする |
保育士への渡航費助成 | 離島保育士確保総合対策事業、保育士就労渡航費等補助金交付事業 |
沖縄で仕事を探すなら現地の企業に就職する以外では以下の2つも選択肢に含まれる。
- リモートワーク
- 起業
キャリアやスキルを振り返り、自分に合った仕事のスタイルを探そう。
宮城県
宮城県への移住を考えている人は「みやぎ移住ガイド」をチェックしよう。
仕事情報では、1,500件近くの求人(うち移住支援金対象求人は約850)が掲載されている。宮城の地元企業や製造業、一次産業などを見つけられる。
また宮城県での働き方で「地域おこし協力隊」を選ぶことも可能だ。
宮城県では地域おこし協力隊の募集が活発で、セミナーや研修会、見学ツアー、アドバイザー派遣など充実したサポートで地域おこし協力隊をバックアップしてくれる。
宮城県で仕事付き移住を検討するなら、他に民間企業が運営している求人サイトで検索してみよう。
長野県
長野県では、各自治体が「UIJターン就業・創業移住支援事業」を実施。東京圏あるいは愛知県・大阪府から長野へ移住し、創業あるいは転職する人に対して移住支援金が支給される。
転職する企業は県が指定する。長野県移住支援金対象求人サイトでは、長野県の地図や条件・雇用形態などから検索できるほか、以下の4つの希望から検索も可能だ。
- テレワーク対応
- 土日祝日休み
- 通勤補助あり
- 未経験歓迎
サイトには移住者のインタビューも掲載。長野に移住して働くイメージがつく内容になっている。
長野県の求人には寮付きの仕事もあり、家を持つ不安がある人におすすめ。雇用形態は派遣社員・正社員などさまざまな形態から選べる。
長野は2027年にリニア新幹線が開通予定だったり、ウィンタースポーツをはじめとするアクティビティが豊富だったりと、これから注目の県だ。
参考:【令和4年度版】UIJターン就業・創業支援金のご案内(PDF)
岐阜県
岐阜県はものづくりが盛んな地として古くから発展してきた。伝統産業や自動車産業、IT産業などものづくりの分野もさまざまだ。
2022年11月時点での岐阜県の有効求人倍率は1.79あり、県全体で求人を募集している。つまり転職しやすい地域と言える。
岐阜県では一般企業での求人を募集しているほか、テレワークを支援するための拠点紹介、岐阜で働きたい女性や働きたいママを応援している。
ぎふジョブGUIDE | 岐阜県就職情報ポータルサイト |
ぎふ子育て応援団 | 働きたいママの就職をお手伝い |
ぎふジョ | 女性のためのチャレンジ支援情報 |
ジンチャレ!求人ぎふ | 就業マッチングサイト移住者向けページ |
参考:企業等で働く|ふふふぎふ
仕事の選択肢も一次産業や伝統工芸、地域おこし協力隊、起業など幅広い。
田舎暮らしをするなら仕事付きがおすすめ!移住先での新生活をスムーズに進めよう
地方移住をスムーズに進めるなら、事前に現地の仕事のリサーチが肝心だ。
さらには仕事付きで移住できれば、移住後の不安も軽減するだろう。これから移住を検討している人はぜひ、仕事付き移住を考えてほしい。