小豆島は自然豊かな離島でありながら、ある程度便利な生活が営めるため移住先としても人気が高い。しかし、実際に移住するとなると、島暮らしということもあり上手くやっていけるのか不安を感じる人も少なくないだろう。小豆島への移住を考える前に、基本情報や移住するメリット・デメリット、移住支援制度も確認しておこう。
香川県小豆島(しょうどしま)の基本情報
香川県小豆島は、小説家・壷井栄の作品を基に制作された映画「二十四の瞳」の舞台となった島で、日本のオリーブ発祥の地としても有名だ。
さまざまな魅力のある小豆島だが、どのような特徴があるのだろうか?まずは小豆島の基本的な情報を押さえておこう。
概要
小豆島は、香川県高松市から北東約23kmの瀬戸内海に位置している。総面積は153km²と、瀬戸内海では淡路島に次いで2番目に大きな島だ。
人口は令和4年3月現在で26,065人。行政区分は香川県小豆郡に属しており、小豆島町と土庄町の2つの町からなる。
日本三大渓谷美の一つに数えられる寒霞渓や、干潮時に海の中に現れるエンジェルロードなど、自然の景観を楽しめるスポットのほか、オリーブをテーマにしたオリーブ公園、映画「二十四の瞳」の映画村など観光スポットが豊富なのも小豆島の魅力だ。
特産品はしょう油、佃煮、手延べ素麺、オリーブの加工製品などの食品産業が中心となっている。
参考元:離島の概要|国土交通省
参考元:概要|香川県
参考元:小豆島(しょうどしま)|ritokei(離島経済新聞)
小豆島へ移住したくなるメリット5つ|移住先として人気の理由は?
小豆島移住のメリットは、大きく次の5つだ。
- 気候が温暖で過ごしやすい
- 美しい海に囲まれた自然豊かな環境
- 食べ物が美味しい
- 移住支援制度が充実している
- 人との交流が盛んで強いつながりを持てる
それぞれのメリットについて順番に見ていこう。
気候が温暖で過ごしやすい
小豆島は、年間平均気温は15,6℃、年間降水量は1,180mm程度と温暖で雨が少ない典型的な瀬戸内海式気候だ。降水量は少ないが小豆島内には4つのダムがあるため、水不足の心配もない。
積雪量も少なく、全国的に地震が少ない地域でもある。
美しい海に囲まれた自然豊かな環境
瀬戸内海に浮かぶ小豆島は、海を身近に感じられる環境だ。
1日に2回、潮の満ち干きの影響で海上に砂の道が現れるエンジェルロードは、“恋人の聖地”と呼ばれる人気観光スポットだ。瀬戸内海を一望できる城山公園では、春になると瀬戸内海と桜のコラボレーションが楽しめる。
小豆島は、SUP、シースクーター、シーカヤックなどのマリンアクティビティも充実しており、釣りも楽しめるので、海好きな人には特に魅力的な移住先だと言えるだろう。
食べ物が美味しい
瀬戸内海・播磨灘に囲まれ、島の南側に池田湾と内海湾のある小豆島は、新鮮な海の幸が手軽に手に入る環境のため、タイやカレイ、サザエにアワビ、タコなど小豆島ならではの魚介類を使った料理を楽しめる。
また、およそ400年前から作られているという手延べ素麺は、兵庫県の揖保乃糸と奈良県の三輪そうめんとに並ぶ日本三大素麺のひとつとしても有名だ。
小豆島では、温暖な瀬戸内海式気候を活かしたオリーブの裁判も盛んで、搾りたてのオリーブオイルを使用した料理も楽しめる。
移住支援制度が充実している
小豆島は人口減少が続き、高齢者の割合が人口の4割を超えていることから、県や町が連携して移住・定住の取り組みを積極的に行っており、移住支援制度が充実している。
最大100万円が支給される東京圏Uターン移住支援事業補助金や、家賃および契約時に発生する初期費用の一部の補助など、さまざまな取り組みが行われているので、条件を満たせば移住コストを抑えてお得に小豆島への移住を叶えられるだろう。
参考元:小豆島へ移住してみませんか|小豆島町
人との交流が盛んで強いつながりを持てる
小豆島は離島ということもあり、島特有の文化があり近所付き合いは濃密だ。
約300年の歴史を誇る農村歌舞伎や、秋祭り、虫送りなどの伝統行事も多く、各地域での交流も盛んに行われている。
高齢者が多く子供や若者の数が少ないので、移住を歓迎される可能性は高い。
都会暮らしをしていると、人との繋がりが希薄になりがちだが、子供の成長を地域の人と一緒に見守ることができるのは島暮らしの魅力のひとつだ。
島暮らしでは、ご近所との付き合いが重要になってくるので、人間関係を円滑にするためにも、引っ越しをしたらなるべく集落の方々へのあいさつ回りをしよう。
小豆島移住を考えたときに把握しておきたいデメリット4つ|良いことだけではない?
小豆島移住には、さまざまなメリットがあるが、少なからずデメリットも存在する。移住を成功させるには、メリット・デメリットどちらも理解した上で移住を決断することが大切だ。
ぜひ、小豆島移住をする前にデメリットも知っておこう。
小豆島移住のデメリットは、以下の4つだ。
- 車移動が必須
- 仕事を見つけるのが大変
- 商業施設や医療機関が少ない
- 独特な文化や人間関係に馴染めない可能性も
車移動が必須
小豆島は車社会であり、ほとんどの家庭に車がある。住む場所を選べば、車がなくても生活することは可能だが、島内は坂道が多いため自転車での移動は難しい。
島内にはバスが走っているため、そちらを利用する手もあるが、基本的には車があると便利だ。駐車場代は安く利用できるため、車を持つ負担は都市部よりも少ない。
小豆島への移住を考える際は、車の購入費用や維持費、免許取得費用も踏まえたうえで、移住を検討しよう。
仕事を見つけるのが大変
小豆島に限ったことではないが、地方は都会よりも仕事の選択肢はどうしても少なくなってしまう。給与の水準も低くなるため、仕事探しに苦戦してしまう可能性は高い。
デスクワーク系の仕事の数は少ないが、少子高齢化の問題を抱える小豆島では医療と介護の仕事は豊富だ。
そのほかに、物流系の仕事や観光産業の求人件数は多くなっている。また、移住を機に農家に転身するのも選択肢のひとつ。農業改良普及センターに問い合わせると、農業のノウハウや金銭面のことなど、さまざまな疑問に答えてくれる。
また、香川県内で起業する場合は、起業等スタートアップ支援補助金を受けられる可能性もあるので、企業を考えている人は活用してみよう。
商業施設や医療機関が少ない
小豆島には、スーパーやドラッグストア、コンビニ、大手ディスカウントショップなどがあり、最低限生活に必要なものは揃えられる。
しかし、大型の商業施設や映画館、アミューズメントパークなどはないので、都会から移住する場合は、刺激が少ないと感じるかもしれない。
また、離島への移住となると医療体制が整っているかも気になるポイントではないだろうか。
小豆島には総合病院があるのである程度は安心できるが、脳梗塞、狭心症、外傷といった急性疾患の場合は、島外の病院へ搬送されることも多い。
小豆島はある程度必要なものが揃っているので、多くを求めなければ問題なく生活していける。ただし、多少の不便さは受け入れる必要がありそうだ。
独特な文化や人間関係に馴染めない可能性も
人間関係が濃密な点は、人との繋がりを感じられるというメリットもあるが、人と人との距離が近く常に周囲の目が気になったり、噂話が広まるのが早いというデメリットもある。
ご近所との付き合いや地域の交流も盛んなので、移住後は喧騒を避けゆったりと島暮らしを満喫したいと考えていた人にとっては「想像していた島暮らしと違う」と面食らってしまうかもしれない。
小豆島に限らず離島で生活していくには、円滑な人間関係を築くことが重要だ。コミュニケーションが得意で、人と近い距離で付き合っていきたい人であれば、島暮らしは楽しいものになるだろう。
人とある程度距離感を保って暮らしていきたい人の場合、窮屈に感じられてしまう可能性は高い。失敗を避け移住を成功させるには、実際に移住する前に島での暮らしを体験してみることをおすすめする。
小豆島移住を検討中ならポータルサイトを活用しよう!
小豆島移住に必要な情報を集めるなら、ポータルサイトを活用するのがおすすめだ。
ポータルサイトには、小豆島への移住を検討中の人の欲しい情報がまとめられているので、必要な情報をすぐに探し出すことができる。
今回は、小豆島移住を考える人におすすめのポータルサイトは、以下の2つだ。
- かがわ暮(ぐ)らし
- 島ぐらしナビ
サイトごとに特徴があるので、目的に合わせて使い分けてみよう。
かがわ暮(ぐ)らし
出典:かがわ暮(ぐ)らし
かがわ暮(ぐ)らしは、香川県町が運営する移住・定住ポータルサイトだ。
「知る」「暮らす」「働く」「住む」と4つのカテゴリがあり、香川県の魅力や市町村の紹介、移住へのステップ、香川県の概要、移住支援金対象求人の情報など、移住を希望する人の役に立つ情報が網羅されている。
小豆島の概要や新着情報、移住体験談、物件情報なども掲載されているので、移住を検討しているのであれば、一度は目を通しておこう。
島ぐらしナビ
出典:島ぐらしナビ
島ぐらしナビは、移住促進活動・窓口を行っているNPO法人トティエが運営しているWebサイトで、小豆島や豊島への移住を考える人に向けて情報を発信している。
小豆島や島暮らしの魅力や、地方移住のポイント、お試し移住施設の紹介、移住やUターンした人へのインタビューなども掲載されているので、小豆島の情報を知りたい方はもちろんのこと、島暮らしについて知りたい方にもおすすめのサイトだ。
島暮らしに関するお知らせも随時更新しているので、小豆島の最新情報を知りたい方は、定期的にチェックしてみよう。
小豆島で利用できる主な移住支援制度6つ
小豆島は移住・定住に積極的なので支援制度も充実している。小豆島で行われている主な移住支援制度は以下の6つだ。
- 東京圏Uターン移住支援事業補助金
- 移住促進家賃等補助金
- 起業等スタートアップ支援補助金
- 移住促進・空き家活用型事業所整備補助金
- お試し移住体験施設の提供
- 空き家バンク
自分達の利用できるものがないか、チェックしてみよう。
東京圏Uターン移住支援事業補助金
小豆島の2町(小豆島町・土庄町)では、東京23区に在住している方か、通勤者で土庄町に移住し、県が移住支援金事業の対象とする求人に応募し就職する方、また県が実施する企業支援事業の交付対象者に向けて、単身の場合 60万円、2人以上の世帯の場合は100万円の補助金を交付している。
小豆島に移住し、移住元での業務をリモートワークで引き続き行う場合や、地域課題解決型・起業等スタートアップ支援補助金の交付が決定している場合も対象となる。
最大100万円と手厚い支援を受けられるので、条件に当てはまる場合はぜひ活用してほしい。移住支援金の支給申請先は、各市町村となるので居住する自治体に問い合わせてみよう。
<小豆島町の問い合わせ先>
小豆島町 住まい政策課
香川県小豆郡小豆島町片城甲44番地95
電話番号 0879-82-7011
ファックス番号 0879-82-3600
<土庄町の問い合わせ先>
土庄町 企画財政課
香川県小豆郡土庄町淵崎甲1400番地2
電話番号 0879-62-7014
ファックス 0879-62-4000
移住促進家賃等補助金
小豆島町・土庄町では、定住する意思を持って町内の民間賃貸住宅に入居した方を対象に、家賃および契約時に発生する初期費用の一部の補助を行っている。
補助の内容は、家賃と礼金を補助するというもの。住宅家賃の半額(最大2万円まで)を2年間支給、礼金・仲介手数料・保証料の半額(最大6万円まで)を負担する。
補助を受けるには、小豆島町に住民登録がある、移住のために民間賃貸住宅を借り、家賃などを負担している、3年以上小豆郡以外で生活していたなどの条件を満たしている場合は、補助金の申請をしてみよう。
<小豆島町の問い合わせ先>
小豆島町 住まい政策課
香川県小豆郡小豆島町片城甲44番地95
電話番号 0879-82-7011
ファックス番号 0879-82-3600
<土庄町の問い合わせ先>
土庄町 企画財政課
香川県小豆郡土庄町淵崎甲1400番地2
電話番号 0879-62-7014
ファックス 0879-62-4000
起業等スタートアップ支援補助金
起業等スタートアップ支援補助金とは、県内で企業・事業承継または第二創業を行う人に対して、(公財)かがわ産業支援財団が、その企業などに必要となる経費の一部を最大200万円補助する取り組みだ。
補助金を受けるには、以下の条件を満たす必要がある。
- 県内における起業者、第二創業者または事業承継者であること。
- 創業支援塾などを受講の上、その事実を証明すること。
- 香川県内に居住していること、または、補助事業期間の完了日までに居住を予定していること。
- 県税を完納していること。
その他にも細かい規定があるので、詳しくはかがわ産業支援財団のホームページを確認してみよう。
<問い合わせ先>
(公財)かがわ産業支援財団 企業振興部企業支援課
高松市林町2217-15 香川産業頭脳化センタービル2階
電話番号 087-840-0391
メールアドレス kigyoshien@kagawa-isf.jp
移住促進・空き家活用型事業所整備補助金
小豆島町と土庄町では、県外の法人事業者またはフリーランスなどの個人事業主が空き家を購入し、事業所として回収する際に必要となる経費の一部を最大400万円補助している。
補助金を受けるには、購入物件が、町内空き家バンクに登録された一戸建て専用住宅もしくは一戸建て併用住宅であること、空き家の延べ床面積の2分の1以上を、事業所として3年以上使用するなどの条件を満たす必要がある。
詳しくは、小豆島町か土庄町のホームページを確認してみよう。
<小豆島町の問い合わせ先>
小豆島町 住まい政策課
香川県小豆郡小豆島町片城甲44番地95
電話番号 0879-82-7011
ファックス番号 0879-82-3600
<土庄町の問い合わせ先>
土庄町 企画財政課
香川県小豆郡土庄町淵崎甲1400番地2
電話番号 0879-62-7014
ファックス 0879-62-4000
お試し移住体験施設の提供
小豆島町では、小豆島への移住を希望する人に対して移住体験施設を提供している。
中長期向け移住体験施設や短期向け移住体験施設のほか、地元企業への就職もしくは個人事業主・フリーランスで開業されている方を対象とした滞在施設も用意。
「小豆島での生活を体験してから移住を決断したい」「移住の足がかりとしたい」という方は、ぜひお試し移住体験施設を活用してみよう。
問い合わせ先は、小豆島町ではなく県から委託を受けて運営しているNPO法人トティエとなる。
<問い合わせ先>
NPO法人トティエ
〒761-4434 香川県小豆郡小豆島町西村甲1896‐1(オリーブナビ小豆島内)
0879-82-1199
空き家バンク
小豆島町と土庄町では、移住を希望する人や在住者で新たに住居を探している人に向けて、町内の空き家バンクに登録している物件を紹介している。
空き家を探している人は、一度小豆島を訪れて住居の状況や、島の生活環境、就労や就業に関する情報などを、確かめた上で決断するのがおすすめだ。
お試し移住体験施設を上手く活用しながら、空き家バンクを活用してみると良いだろう。
<小豆島町の問い合わせ先>
小豆島町 住まい政策課
香川県小豆郡小豆島町片城甲44番地95
電話番号 0879-82-7011
ファックス番号 0879-82-3600
<土庄町の問い合わせ先>
土庄町 企画財政課
香川県小豆郡土庄町淵崎甲1400番地2
電話番号 0879-62-7014
ファックス 0879-62-4000
しっかり計画を立てて小豆島移住を叶えよう!
小豆島は、海に囲まれた離島でありながら、ある程度便利な生活が営める離島移住を望む人にとって魅力的な環境だ。
「海や自然に囲まれて島暮らしを楽しみたいけど、ある程度便利さもほしい」という人は、ぜひ小豆島への移住を検討してみよう。
少子高齢化が深刻な小豆島では、移住・定住の支援やサポートが活発に行われているので、活用することでお得に移住することができる。
ぜひ、支援制度や移住サポートを活用しながら、憧れの小豆島移住を叶えよう。