Case1 東京都在住 杉浦さんファミリー
都会ではできない「五感」をフルに使った暮らし。子どもの成長を実感できました。
Profile
杉浦那緒子さん、息子さん
■居住地:東京都
■実施時期:2016年~2019年(小学2年~4年)の3年間、計5回実施
■体験期間:2週間~ 3週間
■体験の動機:那緒子さんの勤める会社のサテライトオフィスが美波町にあったため
生きている魚に初めて触れ命の尊さを実感
東京都の杉浦那緒子さんは、2016年10月に当時小学2年生の息子とともにデュアルスクールを体験した。当時は、オフィス仲介や施設プロデュースなどを行う「ヒトカラメディア」に勤めていて、そのサテライトオフィスが美波町にあった。
「都心で働きながら子育てしていると、なかなか親子でゆっくり過ごす時間がとれません。週末にアウトドアを楽しむとしても、車で片道2時間ほどかけて郊外に出ないといけない。でも、美波町なら海や山がすぐそこにある。ここでデュアルスクールすれば、自然のなかで息子と一緒にのびのび過ごせると思いました」
実際、2週間の滞在期間中には海辺でよく遊んだ。息子さんは友だちから釣りを教えてもらい、すぐ夢中になった。釣った魚を居酒屋にお願いして唐揚げにしてもらうと、喜ん
で食べた。それまでは、あまり魚が好きではなかったというのに。
「息子は魚の鱗がポロポロはがれるのに驚いていました。それまで水族館で魚を見たことはあっても、直接さわったり、匂いを嗅いだりしたことはなかった。初めて生きた魚に触れ、その命をいただいて人は生きているということを実感できたと思います」
学校での学びも充実していた。それにはデュアルスクール派遣講師の存在も大きい。
「勉強のサポートだけでなく、授業でこれをした、給食はゆずが食べられなかった、先生が捕まえたトンボを見て興味津々だった……などなど、メールや電話で毎日、学校での息子の様子を報告してくれました。
おかげさまで、学習面でも生活面でも特段心配なことはありませんでした。息子が学校でどんなことをしているのか、東京のときよりも詳しくなっていましたね(笑)」
計5回の体験を経て徳島が第二のふるさとに
デュアルスクール実施期間中は、あわえが運営する住居一体型のサテライトオフィス体験施設「戎邸」(えびすてい)に滞在。そこで杉浦さんがテレワークをしていると、息子さんが転校先の日和佐小学校から友だちを連れて帰ってくる。
「東京では夕方に職場から帰宅して、慌ただしくご飯の準備をする感じ。息子と落ち着いて過ごす時間はありません。滞在期間中、子どもと顔を合わせる時間が一日3時間増えました」と杉浦さんは話す。日和佐八幡神社の秋祭りでは「子ども神輿」も担いだ。
地域活動に参加して、学校以外でも知り合いがたくさん増えた。息子さんは、年齢や職業もバラバラの多くの人と触れ合うなかで、世の中には多様な価値観があり、それを認めあうことで社会は成り立っているということを、身をもって感じることができた。
「デュアルスクールを通じて、東京以外にも世界は広がっていること。各地に多様な文化があり、そこで暮らしている人たちがいること。都会の価値観がすべてではないということに、気づいてくれたと思います」
1回目のデュアルスクールに満足した杉浦さんは、翌年と翌々年の夏と秋にも実施。計5回体験したことで、もうすっかり徳島が「第二の故郷」になっている。今後も長期休みなどを利用して、ちょくちょく美波町を訪れるつもりだ。
今年、中学1年生になった息子さんは、将来、関西の大学に進学し、京都にあるゲーム会社に就職することが夢だという。
「デュアルスクールを体験しなければ、関西に目を向けることもなかったと思います。子どもの視野が広がるだけでなく、親もリフレッシュできる制度なので、ぜひ気軽に活用してみてほしいと思います」
デュアルスクールに参加して
息子さん
美波町は自然があって、海も近いし、ゲームはないけど遊ぶことたくさんあるんだよ。あとね、友だちとやる釣り! 絶対、楽しいからみんなにしてほしい! それと、東京ではスイミングスクールに通っていたけど、徳島に行ってから50m 泳げるようになった。たくさん泳いだからね! デュアルスクール楽しいからもっと長く徳島にいたい。
※参加当時の感想です。
※本記事は「複住スタイルVol.3」に掲載されたものです。掲載当時とは状況が異なる場合がございます。