長野県の南部に位置する伊那市は、山や川に囲まれた自然豊かな街だ。住みたい田舎ランキングの上位に選ばれるなど、移住・定住を考える人たちから人気がある。
今回は、そんな伊那市への移住に関してメリット・デメリット、利用できる支援制度(補助金)やサポートはどのようなものがあるのか紹介する。
伊那市(長野県)の基本情報
出典:西箕輪地区の菜の花畑と南アルプス|伊那市
伊那市への移住をする前に、伊那市がどのような街か基本的な情報を知っておこう。伊那市は、2006年に伊那市・高遠町・長谷村が合併し、新「伊那市」となった。
伊那市の総面積は、667.93平方キロメートルで長野県の総面積の約5%を占める。県内では、松本市、長野市に次ぎ3番目に広い市だ。
豊かで良質な三峰川水系の水と肥沃な土地に恵まれて、これを活かした米作りや野菜、果物などの農業が盛んだ。
また、電気や機械などの高度な加工技術産業、食品などの産業も発展し、ものづくり産業の拠点となっている伊那市。いくつもの工業団地が作られている。
- 総人口:65,629人
- 総世帯数:28,444世帯
- 市の木:かえで
- 市の花:さくら
- 市の鳥:らいちょう
※2023年8月1日現在(参考:最新 伊那市の人口と世帯数|伊那市)
参考:伊那市の概要
伊那市へ移住のメリット|移住を快適にする4つのポイント
伊那市へ移住するとどのようなメリットがあるのだろうか。
ちょうど良い田舎暮らしができる
長野県伊那市は、2022年の「SMOUT移住アワード2022(年間)」の市町村ランキングで堂々の1位を獲得した人気の街だ。
ここ数年、リモートワークの普及により都心から田舎への移住を検討する人が増えてきている。これを踏まえて、伊那では移住を検討している方へ、森林資源の利活用をはじめとしたさまざまなプロジェクトを提案している。これによって、伊那市は、自然に触れながら憧れの暮らしができる街として全国に知られるようになった。
また、伊那市には地区の住民により大切に伝承されている特色ある祭りや、南アルプス国立公園を中心としたするユネスコエコパーク・日本ジオパーク、温泉入浴施設やスキー場など魅力的な観光地がある。
伊那市は、良い意味での「田舎暮らし」が味わえる。山や川といった豊かな自然に囲まれながら、東京や大阪、名古屋からの交通アクセスが良い点もメリットと言える。都心からは電車で約2時間45分ほどのアクセスなので、定住を決めるまでは二拠点ライフを送ることもできそうだ。
子育てしやすい環境が整っている
伊那市は、移住者や子育て世帯に対する支援・サポート体制が整っている
伊那市では経済的支援として「伊那市出産・子育て応援給付金(国の出産・子育て応援給付金)」を支給し、すべての妊婦・子育て世帯が安心して出産・子育てができるように支援している。
また、産後のサポートも手厚い。出産後に母親の身体の回復や育児に不安がある場合、医療機関や助産院などへ母子で宿泊または日帰りで保健指導を受ける際、必要となる費用の一部を伊那市が補助する制度がある。
このように、伊那市は子どもを産んで育てるための環境づくりに積極的に取り組んでいる。
買い物に困らない
伊那市内には、スーパーや野菜直売所などがあるため買い物には困らない。また、ドローンによる配送と、ケーブルテレビによる注文を組み合わせたサービス「ゆうあいマーケット」を提供し、買い物が困難な方を支援しつつ、地域における買い物支援の担い手不足等の問題を解決している。
このように、田舎ならではの不便さを新しい技術でカバーし、住みやすい街を目指しているのが伊那市である。
移住に役立つさまざまな支援制度がある
伊那市では、移住・定住者に向けたさまざまな支援・サポート制度を設けている。移住に関する相談をコーディネーターが受け付けているので、移住の下見などで伊那市を訪れた際はぜひ立ち寄ってみると良いだろう。
相談依頼については、メールや電話、さらにオンラインでも受け付けている。
参考:子育て・教育|伊那市
伊那市へ移住のデメリット|知っておきたい3つのポイント
次に知っておきたいのが、実際に伊那市へ移住してみて感じるかもしれない点だ。住んでみて「何か違う」と後悔しないように、事前に知っておこう。
車がないと不便
伊那市は広いため移動する場合に自家用車が必要で、家族一人に一台持っている家庭が多い。市内の中心部であれば電車やバスでの移動が可能だが、場所によっては車がないと不便な場所がある。
都心部へ出るのが不便
伊那市から都心部へ移動するのに時間がかかる。電車やバスが走っているものの、都会と比較すると本数が少ないため不便に感じるだろう。
さらに、エリアによっては最寄り駅まで徒歩での移動が難しいため、バスや車で駅まで行かなければならない場所もある。
冬が寒い
長野県は豪雪地域というイメージを持っている方も多いだろうが、伊那市はエリアにもよるがほとんど雪が降らない地域だ。
ただ、晴天率が高いため冬は気温が大変低くなり、道路が凍結することもあるので注意が必要になる。
長野県の中では雪が少ない地域ではあるが、冬の寒さは厳しいため寒さが苦手な方は辛いと感じるかもしれない。
伊那市の移住支援制度・サポート
出典:六道の堤(伊那市美篶笠原)|伊那市
長野県伊那市は、移住定住を検討している方へさまざまなサポートを行っている。移住定住応援サイト「伊那に住む」では、移住相談を設けて移住に関する相談を受け付けている。オンラインでも相談できるので、気になることがあったらぜひ利用してみよう。
住まいに関する支援
伊那市では、市内への移住・定住を促進するため「伊那地域空き家バンク」を運営し、情報を提供している。
住まいに関する支援も充実しており、「伊那市過疎地域定住促進補助金」は、高遠町・長谷地区に住所を有し、定住する45歳以下の者へ、住宅の増改築に対して一戸当たり上限150万円を補助している。
また、市内在住の若者世帯の定着・Uターン促進のため、住宅の新築・取得に対して補助対象者に最大150万円の補助金を支給する「いな住まいる補助金」などもおすすめだ。
子育てに関する支援
子育て世帯に人気の伊那市は、地域全体で子育て家庭と子どもを応援するため「ながの子育て家庭優待パスポート事業」を実施している。これは、子育て家庭が買い物の際にカードを提示すると割引などのサービスが受けられる事業だ。
また、「伊那市出産・子育て応援給付金(国の出産・子育て応援給付金)」を給付し、すべての妊婦・子育て家庭が安心して出産・子育てができるように応援している。
子どもの医療費については、18歳未満の子どもは医療費の窓口負担が無料である。
仕事に関する支援
伊那市は、移住者の就業についても支援・サポートしている。伊那市無料職業紹介所では、伊那市内で働きたい方へ無料で情報を提供しているので、仕事を探している方におすすめだ。
また、高遠町区域の一部および長谷区域の過疎地域および、田舎暮らしモデル地域への移住・定住を支援するために、通勤助成金を設けている。通勤距離が片道10キロメートルを超えている方の通勤に対し、1月につき5,000円を限度とする支援を行っている。
さらに、新規就農支援公式サイト「農家になろう」では、専門の知識を有した指導者が農業技術の指導をしながら、農家を志す人を応援している。
このように、伊那市では移住・定住者への仕事の支援を行っているので相談してみて欲しい。
移住体験住宅で伊那市の生活を実際に体験できる
伊那市では、移住を検討している方へ、伊那市への移住・定住の促進や地域活性化を図るために、実際に伊那市での暮らしを体験できる「伊那市移住体験住宅」を提供している。
体験住宅は、原則として1日以上30日以内で、利用料は1回につき25,000円だ。(伊那市移住体験住宅1号、2号)施設には、生活に必要な家電や布団の他、自転車も利用できる。
また、無料でWi-Fiが使えるので体験住宅に滞在しながら、リモートワークや調べ物ができるので快適だ。
体験住宅から徒歩圏内にスーパーマーケットやコンビニもあるので、便利に生活できるのではないだろうか。
伊那市への移住を検討している方は、実際に暮らしてみて移住後の生活をイメージしてみよう。
支援制度やサポートを上手に使って伊那市への移住を検討しよう
出典:田園はぞかけ(富県)|伊那市
長野県伊那市は、移住希望者への支援やサポートが充実している街だ。特に子どもがいる世帯から注目されているのが、総合学習を取り入れている伊那小学校。子どもをのびのび育てたいと考える親から注目されている。
移住を考えたら、移住相談窓口を利用したり実際に伊那の生活を体験できる「移住体験住宅」で、移住後のイメージを膨らませてみてはどうだろう。
さまざまな支援制度やサポートを利用して伊那市への移住を検討してみよう。