移住を考えている方の中には、古民家のリノベーションに興味がある方も多いのではないでしょうか。趣のある古民家には独特の魅力があり、近年、その雰囲気を残しつつ新居としてリノベーションしたり、おしゃれなカフェに仕立てたりする方が増えてきています。
全国各地でも古民家の活用を促す取り組みが進められていますが、物件や費用、補助金制度など、リノベーションをするにあたってどんな準備が必要なのかが分からない人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、古民家をリノベーションする際の費用の相場や、補助金制度の情報をまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。
“古民家リノベーション”のメリット・デメリットは?
古民家リノベーションのメリット
古民家リノベーションのメリットはいくつかあります。まず、吹き抜けや土間などがある日本家屋ならではの趣を感じられる家を、梁や柱といったもともと使われている木材なども有効活用しつつ自分好みの家にできること。誰にでも合う無難なデザインでは物足りないという人には、目的や好みに合わせて仕上げることができる古民家リノベーションがぴったりだと思います。
また、人気のエリアや駅に近い場所は、すでにマンションや戸建てが建っていることが多いので、希望に沿った住宅を探すのが難しいものです。しかし、リノベーション前提で古民家を選択肢に入れると、新築や人気のエリアに加えて「古民家」という選択肢も増えるので物件探しの幅が飛躍的に広がるのもポイントです。
さらに、少子高齢化に伴って活気が失われている地域でも、住む人がいなくなってしまった古民家を活用することで地域の活性化に繋がります。
古民家リノベーションのデメリット
一方、デメリットとしては、概して一般的なリノベーションよりコストがかかってしまうこと。古民家ということで、断熱性や耐震性が現代の基準に達していない場合もあり、強度や状態によっては一般的な中古住宅のリノベーションに比べて手を加えるべき部分があるからです。減税・補助金制度を使うことができれば最終的に安上がりになる可能性もありますが、一旦は多くの費用を負担する必要がありそうです。
また、中古マンションなどを購入して入居するだけの場合と違い、リノベーション前提の古民家購入は、建物検査や打ち合わせ、設計、施工などの工程を経て引き渡されるため、時間がかかってしまいます。金銭面や、入居希望時期などをよく考慮しましょう。
古民家をリノベーションするための費用相場は?
古民家のリノベーションは主に「一般的なリノベーション」「半解体再生リノベーション」「全解体再生リノベーション」「移築再生リノベーション」の4種類あり、どのくらい手を入れるかによって費用も変わってくるそうです。設備の刷新や簡易的な内装の変更程度であれば300万円~500万円程度で行うことができ、これが必要最低限の費用といわれています。一方、構造物が劣化している場合や素材、デザインなどにこだわる場合は、1,000万円や2,000万円を超えることも。
一般的なリノベーション
一般的なリノベーションは、水回りをはじめとした設備の入れ替えや、外壁や屋根、床などの補修を中心に行い、柱や梁といった建物の構造部分は基本的にそのまま継続使用するというリノベーションです。交換するのは劣化が目立つ部分のみのため、古民家の雰囲気を残すことができます。こちらは保存状態が比較的良い古民家の場合に選択できる手法です。
半解体再生リノベーション
半解体再生リノベーションは、屋根や壁、床を完全に撤去して一度骨組みまで戻し、そのうえで柱や梁などの構造部分を補修・補強するリノベーションです。建物のゆがみや床の沈みを改善し、長く安全に住めるよう改修します。多くの古民家リノベーションでこの手法が採用されているそうです。
全解体再生リノベーション
全解体再生リノベーションは、古民家を骨組みも含めて丸ごと解体し、柱や梁などの部材を洗ってから再利用するリノベーションです。部材の洗浄後は、劣化しているものを除いて再度組み直されるため、古民家の温もりを再現することができます。骨組みに腐食が見られる場合はこちらの手法がおすすめです。
移築再生リノベーション
移築再生リノベーションは、古民家を移築させるリノベーションです。移築再生リノベーションにはさらに3つの種類があり、古民家の部材をほぼすべて再利用する「完全移築リノベーション」、古民家の部材と新しい部材を併用する「部分移築リノベーション」、柱や梁など構造部分のみ再利用する「構造体移築リノベーション」があります。リフォームに加えて部材の運搬も必要なため、総額が高くなりやすいですが、好きな土地にお気に入りの古民家を建てられるので、こちらも人気の手法です。
古民家リノベーションの費用を抑えるための補助金制度は?
自治体の補助金
古民家リノベーションでは、断熱、耐震、バリアフリーといった面の改修が必要になりがちですが、このような工事が実は補助金制度や減税の対象になる可能性が! また、自治体によっては住宅ローンを利用する場合でも、減税制度が設けられていることもあるそうなので要チェックです。
各地方公共団体が実施する住宅リフォーム支援制度にはどんなものがあるのか、都道府県から市区町村ごとの支援制度が調べられる検索サイトで一度探してみてはいかがでしょうか。(最新の情報については各地方公共団体にお問い合わせください)
リフォームの減税制度
「耐震」「バリアフリー」「省エネ」「同居対応」「長期優良住宅化」「子育て対応」のいずれかのリノベーションを行った場合、税制の優遇措置を受けることができます。家屋や工事の内容、工事費などについて要件があるので細かく確認しましょう。
古民家リノベーションは、古民家を使ったお店の経営や、古民家ならではの落ち着いた空間の中で暮らしていきたいという夢を持つ方にはおすすめの方法です。夢を叶えるためにも、国土交通省や移住先の自治体の制度をよくチェックしてから、無理のない範囲で古民家リノベーションに取り組んでいきましょう。