東京圏へのアクセスが良好で、利便性が高いのに自然豊かな環境に恵まれ、しかも生活費も抑えられて、充実の生活が送れる栃木県。都会と自然が程良く共存しているため、新しい暮らしを求める人たちから今注目を集めています。
東京圏にこんなに近い栃木県ですが、きちんと訪れたことがないという人も案外多いのでは。そこで今回実施されたのが、栃木県の県庁所在地である宇都宮市と、県東部の茂木町・益子町・真岡市の計4市町を実際に訪れて暮らしを体感する「ワクワクSummerとかいなか体感ツアー4日間」です。東京圏在住の5組14人の家族が参加したこのツアーに、密着してきました!
【宇都宮市】北関東最大の中核市は、子育て世代に優しい街
宇都宮市はどんなところ?
栃木県の中央に位置し、県庁所在地でもある宇都宮市。人口は50万人を超え、都会的な街並みと豊かな自然が融合する北関東最大の経済都市です。
東京駅からは東北新幹線で最短48分、さらに東北自動車道も通り、羽田空港・成田空港にもリムジンバスが運行するなど、東京圏へのアクセスも抜群です。
また、昨年8月には全国で初めて全線を新設した芳賀・宇都宮LRT(ライトライン)が開業するとともに、バス路線のリニューアルを行うなど、子どもから大人までみんなが安全で快適に移動できるまちづくりを行っていることも特徴です。
このようなまちづくりが高い評価を受け、人口50万人以上の全国27市の中で「住み良さ」が3位にランクインしています。
※東洋経済新報社「都市データパック2023年版」より、人口50万人以上の27都市を対象
ツアーの参加者は全員東京圏在住ながら、これまで宇都宮市を訪れたことがあるのは1組の家族のみ。参加者たちはツアーで「ライトライン」に試乗したり、餃子に舌鼓を打ったりと、宇都宮市を思い思いに体験していました。
宇都宮市での子育て
宇都宮市では、高校3年生相当までの医療費の無償化や妊産婦医療費助成、不妊治療費への助成など全国トップクラスの子育て支援を行い、「出会い・結婚」から「妊娠・出産」、「子育て」、「教育」まで、ライフステージに応じた切れ目のない支援を実施しており、「共働き子育てしやすい街ランキング2023」では人口20万人以上の全国180自治体の中で第2位にランクインしています。
宇都宮市の子育て支援で外せない施設が、市の中心部に立地している「うつのみや表参道スクエア」6Fにある「ゆうあいひろば」です。大型アスレチックやクライミングウォール、トランポリンやサッカー・バスケットボールの体験施設などの子供向けの遊具が揃い、無料で利用できます(平日はフリータイム、土日祝や長期休暇時は事前予約制)。
さらに生後6カ月から就学前の子供を対象とした一時預かり保育の施設や、子育ての援助を受けたい人と協力したい人のマッチングを行う「ファミリーサポートセンター」も併設。買い物時に子供を預かってもらったり、仕事で保育園のお迎えに行けない時に代わりに行ってもらったりと、地域ぐるみで子育てをサポートする体制があります。
「ゆうあいひろば」を見学したツアー参加者たちは、実際に子供を遊ばせてみたり、職員にJR宇都宮駅までの距離を訪ねたりと、興味津々の様子でした。
宇都宮市の住まい
移住を検討する際、「住まい」も気になる点の1つです。
宇都宮市ではターミナル駅であるJR宇都宮駅からほど近い利便性高い立地のマンションが、東京23区内の新築マンションと比較して半額程度の金額で購入できるなど、住まいにかかる費用が安く、さらに物件も豊富です。
また、補助対象区域内に住宅を購入する場合や賃貸住宅に住む場合に、最大85万円の補助制度があり、さらに東京圏へのアクセスの良さを生かした「東京圏通勤・通学支援補助金」も2023年度から新設。東京圏で働きながら宇都宮市に住むという選択もしやすくなっています。
宇都宮市での余暇・レジャー
宇都宮市の魅力は、中心部は都会なのに少し郊外に足を延ばせば豊かな自然が広がっている点です。ツアー参加者が訪れた「若竹の杜 若山農場」もその一つ。親子三代にわたって自然循環型農法で筍と栗を育てていて、敷地内には見渡す限りの竹林が広がっています。ツアー参加者たちは竹林の中を散策。ツアーは真夏の真っただ中に開催されましたが、降り注ぐ木漏れ日と笹鳴りの音の中、清涼なひと時を過ごしていました。
また、今回ツアーでは訪れませんでしたが、宇都宮市の特産品であり旧帝国ホテルにも使用された「大谷石」が採掘される大谷地区もおすすめのエリア。
「大谷石文化」は日本遺産にも選定されており、大谷石の奇岩群が織りなす特異な景観は幻想的です。
さらに、お洒落カフェやレジャースポットなど新しい施設が次々と生まれるなど、家族で休日を過ごすのにもぴったりです。
また、宇都宮市は県の中央部に位置していることから、自然があふれる日光や那須などのエリアにも車や鉄道、バスなどで簡単にアクセスできるので、アウトドア派も大満足です。
【茂木町】茨城との県境に佇む、里山の魅力
茂木町はどんなところ?
次に訪れたのは、宇都宮市から東に30kmほど離れた栃木県東部にある茂木町。モータースポーツ用のサーキットコースとともに、今ではアスレチックやグランピングなどアウトドアも楽しめることで人気の「モビリティリゾートもてぎ」が有名ですが、モータースポーツファン以外にはピンとこない人も。今回のツアー参加者も、茂木町の存在を以前から知っていたのは2名のみ。茨城との県境に位置する、里山の風情が心にしみる人口約11,000人の町です。
東京都心からは100km圏内と近いのですが、直通の鉄道路線はなく、さらに東北自動車道と常磐自動車道の中間あたりに位置するため、車があっても東京圏とのアクセスは便利とは言えません。ところが栃木県内の市町が受け付けた移住相談数では、2019年から2022年まで栃木県全市町の中で茂木町が4年連続ナンバーワンを誇ります。なぜなのでしょうか。
その秘密は、町に広がる豊かな自然と細かな要望に応える移住支援制度にあります。
茂木町の住まい
茂木町が運営する空き家情報バンクでは、賃貸や購入などの希望に応じて親身になって相談に乗ってもらえます。賃貸でも購入でも、空き家改修補助金制度に対応しています。さらに民間事業者が収益面から参入しにくいため、茂木町が宅地を造成して分譲地も用意。価格がお手頃ということもあり、注目されています。その地域が数十年後に一気に高齢化してしまうことを防ぐために、一度に10戸~20戸程度と少しずつ分譲を進めているのも特徴です。
とはいえ、茂木町がどんなところかが分からなければ、移住の踏ん切りがつかないもの。そんな時に利用したいのがお試し住宅「もてぎ暮らし館」です。1泊~13泊にわたって滞在ができ、1泊4,000円から。家族での滞在も可能な間取りなので、興味が湧いたらまずは茂木町での暮らしを体験してみるのがいいかも。「もてぎ暮らしサポートセンター」では、茂木町生活のお試し体験オーダーツアー(無料)の相談を受け付けています。
茂木町での子育て
手厚い子育て支援が受けられるのも、茂木町の魅力です。妊産婦医療費の助成や出産育児一時金など妊娠・出産期の支援だけではなく、児童手当の支給や第2子からの保育料・給食費無料、中学生までのこども医療費無料など、乳幼児・学齢期までを広くカバーしています。さらに、茂木町では出産・子育て応援ギフトとして妊婦と出生児それぞれに5万円を支給し、出産祝金10万円や紙おむつ・チャイルドシート購入補助など、安心して子育てをスタートできるよう手厚いサポートが充実しています。
教育に力を入れているのも魅力。町内には小学校が4校、中学校が1校あり、いずれもタブレットを配布し、英語教育も盛ん。小学校の児童数は50~200人程度と多くはありませんが、その分、教師の目が行き届きやすく、きめ細かな教育を可能にしています。
さらに、無料の公営塾「ゆずも塾」が高校・大学への進学をサポート。対象は茂木中・茂木高校の生徒で、2023年度は中学生112人、高校生191人が参加して学習に励みました。全国の有名大学の出身者が講師となって、予約制の個別指導や英検の模擬面接なども行っています。
茂木町での余暇・レジャー
町内の約7割が森林だという茂木町。遠くまで行かなくても近場で虫取りをしたり、河原でキャンプやバーベキューを楽しんだりと、自然と触れ合って遊ぶにはもってこいの環境です。
自然に親しむ以外にも、文化施設も充実。2016年にオープンした「ふみの森もてぎ」は、図書館や歴史資料の展示施設、ギャラリー、カフェ、体験研修室などが一堂に会する複合文化施設です。ツアー参加者も、「ふみの森もてぎ」を見学しました。
まず足を踏み入れたのは図書館です。地元の山から切り出された木材を取り入れて建築されているのが印象的。ずっと過ごしていたくなるようなやわらかい雰囲気の空間に、約15,000冊の蔵書がずらり。蔵書の分類も特徴的で、「新たな本と出会ってほしい」という思いから、「ともに生きる」「すぐに役立つ」「人生をたのしむ」といった独自の分類で本が並べられています。読み聞かせイベントなどを開ける「子ども図書室」や、学生が自習できる学習スペースもあるので、子供から学生、大人まで誰もがつい足を運んでしまいます。
他にもかつて城下町だった茂木町の歴史的資料の展示や、酒蔵だった建物をリノベーションしたギャラリーなども見学。ツアー参加者たちは、自然だけではない茂木町の魅力を体感していました。
【宇都宮市・茂木町】移住の先輩たちに話を聞いてみた!
「ワクワクSummerとかいなか体感ツアー4日間」で、ここまで宇都宮市と茂木町での暮らしを体感してきた参加者たち。地元住民の暮らしや施設を見学するだけではなく、先輩移住者たちから話を聞ける機会もありました。
宇都宮市では、大谷地区で「大谷でできることを増やす場所」をコンセプトにしたコワーキングスペース「OHYA BASE」の管理人を務めている藏所千尋(くらしょちひろ)さんと交流。藏所さんは42歳で、元々宇都宮市の別の地区の出身。大学進学以降は長らく東京に住んでいましたが、娘の小学校入学をきっかけに、約6年前に宇都宮市にUターン移住してきました。
「雑誌を作ったり、美術館で働いたりと、アートやデザイン関係の仕事をしてきたので、東京を離れると自分のやりたい仕事ができないのではと悩んで、戻ろうか、それとも東京に残ろうかと考えていました。」と藏所さん。しかし、東京・有楽町にある「ふるさと回帰支援センター」を訪れたことがきっかけとなり、大谷地区に面白いことをしようとする意欲的な人々が集まっていることに気づき、その人たちと知り合う中で移住を決意したそうです。
「娘も思っていたよりすんなり馴染みました。東京のお友達にもすぐに会いに行けるのが、安心感があったようです。」と娘の移住への反応を話すと、食い入るように聞き入るツアー参加者たち。時には「美術館、博物館、お芝居やライブは東京に行った方が選択肢は多い。でも、幸い東京にも近いので、行き来することで満たすことはできます。ただ県内で日常的にアートに触れる機会は東京よりは少なくて、物足りなさはありますね。しかし、その一方で、いわゆる「お膳立てされたエンターテイメント」では味わえない、「自由な遊びや体験の機会」が都心部での暮らしとは比べ物にならないほどあるんです!」と素直な心境も吐露してくれた藏所さんですが、最後は「今までの自分のやってきたことを生かしつつ、さらに面白い人たちとの出会いもある。移住してよかった。」と笑顔を見せてくれました。
茂木町では、この4月に小山市から移住してきた40代の公務員男性と夕食をいただく機会がありました。
「移住のきっかけは、娘の教育環境です。山の中で幼い頃を過ごす山村留学というものがあって、小山市から通っていたんですが、片道2時間ほどかかってしまう。それは効率がよくないな、と思いまして。後は妻が自然の中で畑いじりをしたいという希望もあったので、移住を決めました。」(公務員男性)
茂木町に決めたのは、移住先候補を考える際に「補助やお試し住宅をフックに探していたら、ちょうど茂木町がそのフックに引っかかった。」からだそうです。「移住に向けて動けるのが今だとしたら、今動くのが大事だというのが僕の考え方です。失敗しても例えば実家に戻れるのなら、今の期間だけに限定してまずは移住してみるのもありなんじゃないかなと思います。」と、自身の経験を振り返りながらツアー参加者たちにアドバイスしてくれました。
ここまで宇都宮市、茂木町と巡ってきて、ツアー参加者たちはどのように感じたのでしょうか。東京都内から妻と3歳の息子と参加した30代の男性は、「今すぐしたいという訳ではないんですが、移住に興味があって。栃木なら東京から近いので、まずは一度行ってみようかと思ってツアーに参加しました。栃木には私も妻も縁はなかったのですが、これまで訪れた市町からはウェルカムな雰囲気を受け取ったので、そういう風土なのかな。両親が東京都内に住んでいて近いし、子供を土に触れさせながら育てることもできるし、栃木もいいかもなあ。」と、移住先候補に栃木県を追加したようでした。
次回は、益子町と真岡市でのツアーの様子をレポートします!
今回訪問した宇都宮市・茂木町の相談窓口はコチラ!
【宇都宮市移住定住相談窓口miya come(ミヤカム)】
営業時間:午前11時~午後7時
休業日:火曜日,年末年始
電話:028-616-8710
E-mail:miya-come@alto.ocn.ne.jp
【もてぎ暮らしサポートセンター(茂木町商工観光課)】
開館:火~土曜(祝日・年末年始を除く) 午前9時~午後4時
TEL:0285-64-1310
E-mail:teijyu@town.motegi.tochigi.jp
◎栃木県では、オンラインセミナーや県内広域のオーダーメイドツアーを実施しています。イベントや栃木県の暮らしの詳細は栃木県移住・定住促進サイト「ベリーマッチとちぎ」をチェック!
または「とちぎ暮らし・しごと支援センター」までお問い合わせください!