栃木県の県庁所在地である宇都宮市には、近年移住希望者が増えてきている。宇都宮市にはどのような魅力があるのだろうか。
また、移住する前に確認しておきたいことはどのような点か。公的な移住支援サイトも紹介しながら、宇都宮市移住のメリット・デメリット、移住する際に活用したい支援策について解説していく。
栃木県宇都宮市の基本情報
宇都宮市は、江戸時代以前より二荒山神社の門前町として栄えた。
江戸時代には、徳川家康を祀る神社・日光東照宮に至る日光街道の宿場、東北地方へのアクセスの要衝である白河の関(現在の福島県白河市)に至る奥州街道の起点、そして宇都宮藩の城下町として栄えた。
明治期以降は栃木県の県庁所在地となり、現在に至るまで栃木県の政治・経済における中心地である。
また、東北新幹線や東北自動車道の開業に伴って、都心部・東北地方へのアクセスが飛躍的に向上した。
宇都宮市に移住する際に生じうるデメリットも理解したうえで、移住計画を進めよう。
- 人口:513,547人
- 世帯数:236,624世帯
- 面積:416.85㎢
- 市花:さつき
- 市木:イチョウ
- (2023年8月1日現在)
宇都宮市に移住希望者が増えている理由
近年、宇都宮市は移住先として人気である。
2022年度には、124世帯266人が、宇都宮市の公的支援事業に対して移住相談を行っている。
実際に移住した人はこれより少ないかもしれないが、公的支援事業への相談なしに移住した世帯もあると予想される。
宇都宮市への移住を検討する人が多い理由については、以下のような点が考えられる。
都心部へのアクセスの良さ
移住に伴って生じる課題の一つが、仕事関係である。
都心部から地方へ移住する場合、現在勤めている企業を退職しなくてはならないケースは少なくない。
移住先で仕事を見つけられない場合、起業するか、もしくは移住そのものをあきらめなくてはいけないケースもある。
しかし、宇都宮市は都心部までのアクセスが良く、新幹線を利用すれば50分前後、普通列車(JR上野東京ライン)でも2時間程度で東京駅まで行ける。
毎日通勤が必要だと大変だが、在宅ワークが基調で週に1、2度の出勤を求められるような職種であれば、現在の仕事を続けながらの移住も大きな問題にならないだろう。
勤務先をそのままに郊外移住が実現できるのは、大きなメリットである。
もちろん、移住を機に転職するのもおすすめだ。
適度な都会感・自然感
宇都宮市は、市域の約28%が農地である。
宇都宮駅周辺は市街地区域として都市化が進んでいるが、駅から4km程度移動すると水田が多くみられる農村風景が見える。
豊かな自然へのアクセスが良く、かつ都会的な生活も楽しめるのが、宇都宮市の魅力のひとつである。
また、県内の有名な温泉地である鬼怒川温泉、皇室の御用邸もある保養地・那須塩原まで、それぞれ車で1時間程度というアクセスの良さも兼ね備えている。
参考:栃木県宇都宮市
育児環境が整っている
宇都宮市は、2022年度の待機児童数がゼロだったと公表している。
また、出産支援金が手厚いなど、子育て世帯に優しい街作りが進んでいる。
参考:宇都宮市、2022年度の待機児童ゼロを達成|日本経済新聞
宇都宮市移住に際して気を付けたいことは
魅力の多い宇都宮市だが、次のような点には注意が必要そうだ。
メインの交通手段は自家用車
宇都宮市の中心部から都心部・東北地方の主要都市へのアクセスは、新幹線を使うことでかなり快適なものになっている。
一方で、市内の移動は自家用車が中心であり、大型ショッピングセンターなどに行くのにも自家用車があるとかなり便利だ。
ごくごく中心部に住んであまり移動しないというようなライフスタイルでない限り、車を持つのは必須と言えるだろう。
運転免許の保持はもちろん、車の購入についても対応が求められる。
夏暑く、冬寒い気候
宇都宮市は関東平野の北側に位置している。
太平洋側の内陸性の気候で、夏は高温多湿、冬は氷点下になることも少なくない。
海が遠いため、気温変化が大きくなりやすい傾向にある点にも留意が必要だ。
エリアによっては治安に不安も
基本的に、宇都宮市はそこまで治安の悪い自治体ではない。
しかし、JR宇都宮駅周辺にはオリオン通りという繫華街があり、泥酔客によるトラブルを起因とした治安の悪化が懸念されている。
また、大きな街道沿いでは暴走族がいるという口コミも多い。
治安のいいエリアに住みたいのであれば、宇都宮市の公的機関、もしくはすでに宇都宮市に住んでいる人に事前に相談したうえで検討したほうがいいだろう。
宇都宮市移住に役立つポータルサイト
宇都宮市には、宇都宮ブランド推進協議会が設置している、公的な移住支援のポータルサイトがある。
このポータルサイトでは、宇都宮市への移住で受けられる支援制度の紹介だけでなく、宇都宮市の街としてのあらましや、宇都宮市に実際に移住した人の声をまとめた『うつのみや特集記事』がある。
どれも移住の際にはチェックしておきたい情報なので、宇都宮市移住を検討している人は、ぜひ確認してみてほしい。
宇都宮市に移住するなら活用したい支援制度
宇都宮市への移住で受けられる支援策はさまざまあるが、なかでも活用したい制度をいくつかピックアップして紹介する。
移住支援金
東京圏から宇都宮市に移住した人のうち、県の企業情報サイトの求人を利用して就職した人などが対象となる。
支給額は最大100万円と大きいので、移住に伴って転職を考えている人は、積極的に活用しよう。
フレッシュマン・若年夫婦・子育て世帯等家賃補助金
市内に設定されている『居住誘導区域』に存在する民間賃貸住宅に引っ越した若年世帯に対し、最大12万円を交付するという制度だ。
さらに、同一世帯内の18歳未満の子ども1人に対し、1万円が上限なく加算される。
居住誘導区域は宇都宮駅周辺のほか、岡本駅、南宇都宮駅、江曽島駅、西川田島駅、雀宮駅の周辺地域などに設定されている。
ただし、線路をはさんで反対側は区画対象外になっているようなケースもあるため、詳細な場所については、移住相談を行った際に確認するようにしよう。
マイホーム取得支援事業補助金
家賃補助と同様の居住誘導区域や、ニュータウン地区計画区域で住宅を取得して転入・転居する世帯に対し、住宅取得費用の一部を助成してくれる制度だ。
上限は85万円であり、子ども1人に対して5万円が加算される。
保育料の軽減
宇都宮市民が対象となっている政策である。
0~2歳児の保育料軽減に加えて、第2子の保育料減免(半額)、3~5歳児と第3子以降の保育料無償化などが行われている。
こども医療費助成
こちらも、宇都宮市民を対象とした政策である。
健康保険の適用対象となる医療費に対して、高校3年生相当までの医療費負担額を全額助成してくれる制度だ。
安心して子育てに取り組める街・宇都宮への移住を検討しよう
宇都宮市への移住で大きなメリットとなるのは、子育てへの支援の手厚さだろう。
一部に治安への懸念がある地域もあるが、事前に市への移住相談で、そうした土地を見抜いておくことが重要となる。
現在の仕事を続ける選択も、宇都宮市や周辺市町村の企業への転職も募集が多いことが期待できる。
ワークライフバランスの改善や安心して子育てに取り組める宇都宮市への移住について、ぜひ検討をすすめてみてほしい。