仕事と休暇を組み合わせたワーケーションが浸透しつつあるが、ワーケーションによる支出を経費に含められるか気になっている人が多いのではないだろうか。
法人(企業)・会社員と個人事業主・フリーランスでは考え方が異なるため、自分の立場に合わせてワーケーション経費の考え方を理解しよう。
本記事では、ワーケーションで経費に含められる支出・含めるのが難しい支出や基本的な考え方を解説する。
ワーケーション費用は経費に計上できる?
ワーケーションは仕事を兼ねているものの、休暇の側面も多く、経費の取り扱いには悩むところ。まずは、ワーケーションの費用を経費に計上できるか押さえていこう。
業務上必要な場合は経費に含められる
ワーケーションの費用で経費に含められるのは、基本的に業務に必要な場合のみだ。
経費には事業活動に伴う費用という意味があり、日常的な費用は通常含められない。
ワーケーションにおいては、旅先での業務に関わる費用は経費、それ以外の費用は個人的な支出と認識しよう。
経費と自費の判断は難しい
経費の基準は、業務に関係あるかないかであるが、ワーケーションは境目が曖昧な点に注意しなければならない。
たとえば、旅先でひとりで仕事をするなら、現地での食事や交通費などはプライベートな支出と言える。一方で、現地で取引先とのアポイントがあり、会食をするなら、交通費や飲食代は業務に関係ある支出だろう。
会社員の場合は企業への確認を行い、個人事業主の場合は自ら明確に線引きする必要がある。
ワーケーション経費計上の考え方
ワーケーションの経費計上は、法人(企業)・会社員と個人事業主・フリーランスによって異なる。あなたの立場に合わせて、経費計上の考え方を確認しよう。
法人(企業)・会社員の場合
法人(企業)・会社員の場合は、企業で定められたルール・規定に従う必要がある。
ワーケーションで発生すると考えられる経費を事前に確認し、規定に合わせて費用を使えば、ワーケーション後の経費精算がスムーズだ。
あらかじめ確認していない場合、支出の一部が経費として認められないケースがある。前例も含めて、ワーケーションの経費の取り扱いを十分に確認しよう。
個人事業主・フリーランスの場合
個人事業主・フリーランスの場合は、会社員のように社内規定がないため、自己判断に任される部分が多い。「自己判断だからすべて経費にできる」というわけではなく、正しく経費かどうかを判断しなければならない。
実際、個人事業主の場合、ワーケーションの費用を経費に計上するのは難しいだろう。ワーケーション先に行かなければならない事情がなければ、働く場所を変えた気分転換と捉えられるため、業務に不可欠な支出とするのは難しい。
むやみな経費計上で確定申告で不審に思われると、税務調査の対象になる恐れがあるため、安易に経費に含めるのは危険だ。経費がどうか迷う場合は、税理士など専門家に相談するのも方法のひとつである。
ワーケーションで経費に含められる可能性がある主な支出
ワーケーションで経費に計上できる可能性があるのは、以下の6つだ。
ワーケーション先への旅費・交通費
会社で指定された施設を利用する場合、研修や取引先への訪問などを兼ねている場合は、ワーケーションの費用を経費に含められる可能性がある。福利厚生や研修といった目的があるため、業務上の費用と認められるのだ。
個人事業主・フリーランスの場合は、ワーケーション先に行く業務上の目的があれば旅費・交通費を経費に計上できる。
ワーケーション先でのホテル宿泊費
旅費・交通費と同じように、ワーケーションに業務に関係する理由があれば、宿泊費を経費に計上できる場合がある。
取引先への訪問や視察、イベント参加などの目的があるなら、「出張」として宿泊費を経費にできるだろう。
ワーケーション先での接待交際費
ワーケーション先で取引先や得意先などと食事をする場合は、接待交際費として計上できる場合がある。
個人事業主・フリーランスの場合も同様だ。仕事の打ち合わせや顔合わせなどの目的があれば、接待交際費として経費に含められる。
ワーケーション先で仕事に使用した通信費
ワーケーション先での仕事にパソコンを使用する際、ポケットWi-Fiなどの通信機を使った場合は、通信費として経費に計上できる場合がある。
ただ、会社が指定する施設やホテルなどにインターネット環境が整っている場合は、必要のない通信費と見なされるケースもあるだろう。
ワーケーション先で仕事に必要な資料・消耗品の購入費
ワーケーション先で仕事に必要な物品を購入した場合は、費用を経費に計上できる可能性が高い。
仕事で使用する資料や消耗品などを購入した際は、領収証を発行し、経理部への提出や確定申告用の書類としての保管などの対応をしよう。
ワーケーション中のコワーキングスペース利用料金
ワーケーション中のコワーキングスペースの利用料金は、経費に含められる可能性が高い。
コワーキングスペースは仕事や作業をする場所であり、業務上の支出として認められるだろう。
会社員の場合は、社内規定の確認が必要だ。コワーキングスペースでの業務を証明する必要があるケースも考えられるため、規定に沿って施設を利用しよう。
ワーケーションで経費に含めるのが難しい主な支出
以下の支出は、ワーケーションで経費に含められない恐れがある。経費計上できる支出と見比べながら、一つひとつチェックしていこう。
ワーケーション先での個人的な飲食代
ワーケーション先での懇親会や取引先との会食など業務上に関連する飲食を除き、個人的な飲食代は経費に含められないケースがほとんどである。
業務に関係ない飲食全般は、プライベートな支出であり、経費には計上できない。
ワーケーション先に観光・休暇を兼ねている場合の旅費・宿泊費
ワーケーション先に行く業務上の目的がない場合は、旅費や宿泊費は経費に計上できないケースが大半だ。
観光や休暇と見なされるため、業務に必要な費用に含められず、私費として支払う必要がある。
ワーケーション先でのレジャー・観光などの費用
ワーケーション先でのレジャーや観光は、業務に関係ないため、経費に計上するのは難しい。
企業の場合は、メンタルケアや研修などを兼ねていることもあり、社内規定によっては経費に認められる可能性がある。
ワーケーションをするなら補助金の活用がおすすめ
ワーケーションの広がりを受けて、ワーケーションを実施した際に助成を受けられる補助金制度を提供する自治体が増えている。
自治体が指定した宿泊費や交通費などの費用を補助しているため、ワーケーション費用をなるべく抑えたいときにぜひ活用したい。
ワーケーションの補助金制度の概要や注意点は以下の記事で解説しているため、詳しく知りたい方はぜひ確認してみよう。
ワーケーションの経費は正しい計上を
ワーケーション費用を経費に計上できるかどうかは、業務との関連性が基準である。取引先への訪問や研修など業務上の目的があれば、旅費や飲食代を経費に含められる可能性が高い。
観光・休暇が目的のワーケーションでは、交通費や宿泊費は経費に含められないケースが多い点に注意が必要だ。
ワーケーションの経費の取り扱いを理解し、会社への報告や確定申告に正しく実施しよう。