理想の移住先を探すとき「海が見える場所」を思い浮かべる人は多いだろう。しかし一言に「海の近く」といってもその特色はさまざまで、なかには居住には適していない場所もある。
そこでここでは、移住先としておすすめの海の見えるエリア(市町)と後悔しないための選び方、押さえておくべきメリット&デメリットを紹介する。
海の見える暮らしを実現したい!海辺への移住のメリットは?
私たちの憧れである「海の見える暮らし」。移住を機に叶えたいと夢見ている人も多いだろう。
海辺への移住を成功させるためには、メリット&デメリットと後悔しない移住先の選び方を知っておく必要がある。
早速、海辺への移住のメリットから確認していこう。押さえておきたいのは以下の3点だ。
- 移動の時間やお金を節約してマリンスポーツに当てられる
- 雄大な景色を堪能できる
- 新鮮な海産物が安く食べられる
移動の時間やお金を節約してマリンスポーツに当てられる
海辺への移住で特に嬉しいメリットとなるのが、海までの移動にかかる時間や費用を節約でき、マリンスポーツへと当てられること。
「最寄りの海まで、車で片道1時間半はかかる…」などという立地では、海を楽しむのは難しい。大型連休以外は移動が億劫で出かける気になれない人も多いだろう。
わずか10分で海に着くような海辺に住むことができれば、土日はもちろん、ほんの空き時間にも遊びに繰り出せる。
浮いたガソリン代で、新しいマリンスーツやサーフボードを買うのも良いだろう。大好きな「海で過ごすこと」を人生の主題にできる。
雄大な景色を堪能できる
都会ではあり得ない雄大な景色を堪能できるのも、海辺への移住のメリットだ。
どこまでも広がる青い海と空、その狭間にある水平線、そこに沈みゆく夕日…映画のワンシーンのような情景が手の届くものとなる。
夜にふと空を見上げれば、マンションの明かりに遮られることのない満天の星が広がっているだろう。都市の息苦しさとはかけ離れた、開放感のある暮らしがそこには待っている。
新鮮な海産物が安く食べられる
日々の生活で実感しやすいメリットとして、新鮮な海産物を安く食べられることも挙げられる。
海辺の地域では、スーパーで安価に市販されている鮮魚も驚くほど美味しい。これは都会と異なり、港からの輸送に時間も費用もかからないためだ。
神奈川県・江ノ島の「しらす丼」のように、海辺エリアでは鮮魚を活かしたご当地グルメが存在することも多い。
海で遊ぶのが好きな人はもちろん、海の恵みを食べるのが好きな人にも海辺への移住はおすすめだ。
実は「後悔」の声も?海が見える地域への移住のデメリット
海までの移動に関する負担(時間・金銭)の軽減、雄大な景色、新鮮な海産物…海辺への移住にはメリットが多く、間違いなくおすすめできる。
しかし一方で、後悔を避けるために以下のデメリットは把握しておこう。
- 台風や地震など自然災害に巻き込まれやすい
- 家や自動車への潮風の悪影響
台風や地震など自然災害に巻き込まれやすい
海辺への移住で必ず気を付けておきたいのが、台風や地震をはじめとする自然災害に巻き込まれやすいこと。
大自然とともに生きる海辺では、自然の脅威が生活に悪影響を与える。津波・地崩れ・大雨・浸水…都会とは次元の異なる警戒が求められる。
災害リスクが気になる場合は、海から少し内陸側に進んだ地域を移住先とするのも良い。背の高いマンションなどに住めば、景色を堪能できる魅力も変わらない。
家や自動車への潮風の悪影響に注意
海辺への移住ならではのデメリットとして挙げられるのが、潮風による被害だ。
海辺では、家の外壁・自動車・自転車・エアコンの室外機にいたるまで、潮風を長時間浴びるアイテムは塩で錆びてしまいやすい。
適切に防護シートで守ったり、潮風が特に強い日の後は拭き掃除をしたりと対策をする必要がある。
一般的に、塩害は「海岸から2km以内」で発生しやすいとされている。自分での対策が難しい・手間と感じる人は、この距離よりも内陸側に住むのもおすすめだ。
【2023】海の近くの移住先(市町)おすすめ10選!
ここからはいよいよ、海の近くのおすすめの移住先(市町)を見ていこう。
今回は海好き視点での地域の魅力を紹介する。自分が住んだ後の生活まで想像しながら、参考にしてみてほしい。
【鹿児島県】南さつま市(みなみさつまし)
出典:移住・定住|南さつま市
まず紹介するのは、鹿児島県の南さつま市。九州ならではの温暖な気候に恵まれたこの町は、リアス式海岸が生み出すダイナミックな景色が魅力。
海辺側は入り組んだ地形が広がっており、透明感のある海と確かな年月を感じさせる岩山のコントラストを鑑賞できる。
ダイビングをはじめとするマリンアクティビティも盛んで、見ても泳いでも楽しい海沿いのエリアだ。
【長崎県】平戸市(ひらどし)
出典:田舎暮らし情報|平戸市
長崎県の平戸市は、海外貿易が盛んであった歴史を持つ海とともに生きるまち。北には玄界灘、西は東シナ海が広がっており、本土の西北端と周辺の40もの島々からなる。
平戸市は九州地方の釣り人なら知らぬものは少ないであろう、絶好のフィッシングスポットだ。
アオリイカやサワラ、イサキに真鯛にいたるまで、多様な釣果を期待できる。釣り好きな人にとって、たまらない移住先となるだろう。
【高知県】土佐清水市(とさしみずし)
出典:なつかし暮らし 土佐清水
四国の最南端に位置するのが、高知県土佐清水市。名前に「清水」と付くこの町は、海水浴からサーフィン、スキューバダイビングにいたるまで楽しめる海好きにぴったりのエリア。
土佐清水市では、グラスボート(海中展望船)を用いた水中観光ができるほか、4月~10月にはクジラの姿を見ることも可能。
マンボウやジンベエザメと泳げるレジャーも用意されているなど、海が町の観光資源として人々に根付いている。
【鳥取県】米子市(よなごし)
出典:移住(IJU)情報|米子市
鳥取県の米子市は、日本の白砂青松100選にも選ばれた海岸線「弓ヶ浜(ゆみがはま)」で有名な地域。名前の通りに弓なりに反って広がる海岸線は圧巻で、思わず心を奪われる。
島根県との間にある、海水と淡水が混ざり合う大きな湖「中海(なかうみ)」にも注目だ。
季節に応じて海水と淡水のそれぞれに生息する生物と、その生物を目当てに訪れる水鳥の姿を鑑賞できる。
【和歌山県】白浜町(しらはまちょう)
出典:白浜町移住支援金について|白浜町
「多くの人が集まる賑やかな海沿いで、明るい日々を過ごしたい」そんな願いを抱える人にぴったりなのが、和歌山の白浜町。
日本の渚百選にも選ばれた白良浜(しららはま)は、例年、夏になると約60万人もの観光客で賑わう。
海水浴以外にビーチヨガやトライアスロンを楽しむ人も多く、そのときどきで多様なマリンアトラクションを満喫できる。寂しさを感じる暇もない生活を送れるだろう。
【石川県】珠洲市(すずし)
能登半島の最先端に位置するのが、石川県の珠洲市だ。こちらも日本の渚百選に選ばれた「鉢ヶ崎海岸(はちがさきかいがん)」があり、シーズン中は例年多くの観光客で賑わう。
珠洲市は新鮮な天然岩牡蠣が取れることで有名なエリアでもある。天然岩牡蠣は一般的な牡蠣と比べて殻が大きく、身も大粒で食べ応え◎。
海藻しゃぶしゃぶのようなご当地グルメもあり、食べ物の美味しい移住先を探している方にもおすすめできる。
【福井県】美浜町(みはまちょう)
出典:移住・定住促進|美浜町
福井県の美浜町は、知る人ぞ知る郷土料理「へしこ」が有名なエリア。へしことは魚の内臓を取り出した後に糠漬けし、唐辛子で風味を調えた一品のこと。
現在は1年中市販されているが、昔はお正月に用意されていた贅沢グルメだ。お酒のアテにそのままいただいたり、寿司のネタにしたりして食べる。
もちろんへしこだけでなく、美浜町では蟹や貝類などの新鮮な魚介類も手に入りやすい。グルメな人にとってたまらない移住先となるだろう。
【静岡県】掛川市(かけがわし)
出典:掛川物語
静岡県の掛川市は、海釣りを楽しみやすい町。ハゼ・クロダイ・キビレ・セイゴといった魚を、投げ釣りやウキ釣りで狙える。
移住後は「日中に新鮮な魚を釣り、帰って捌いて夜には晩酌で」と釣り人の憧れの生活を実現できるだろう。
掛川駅に新幹線・こだまが止まるため、東京駅まで約1時間50分、名古屋駅まで約1時間と比較的都会へのアクセスも良い。デュアルライフや二拠点生活の拠点としても向いている。
【茨城県】日立市(ひたちし)
出典:ひたちぐらし
関東平野の北端にある町、茨城県日立市。有名な日立製作所の発祥の地でもあるこの町は、東側が大きく太平洋に面しており、33kmもの海岸線が広がっている。
広大な海岸線には6つもの海水浴場があるというから驚きだ。その日の気分に応じて好きな浴場を訪れて、思いっきりマリンスポーツを楽しむことができるだろう。
【秋田県】男鹿市(おがし)
出典:おが住
東北地方・日本海側に面する秋田県男鹿市。あの「なまはげ」のふるさととしても知られるこの町には、「鵜ノ崎海岸(うのさきかいがん)」と呼ばれる美しいスポットがある。
鵜ノ崎海岸の別名は「秋田のウユニ塩湖」。干潮時には隠れていた岩肌が次々に露わとなり、砂浜から200mほど先の岩まで歩いて行けるのが特徴だ。
日差しを受けてキラキラと輝く水面と岩肌を眺めながら暮らせば、些細な悩み事なんて吹き飛んでしまうだろう。
海の近くへの移住で後悔しないためのポイントは?
移住してみたい自治体(市区町村)は見つかっただろうか? 最後に、海辺への移住で後悔しないためのポイントをおさらいしておこう。大切なのは以下の3点だ。
- 自然災害のリスクの確認
- 観光ではなく移住に適しているかチェック
- 移住前に一度は現地を訪れる
自然災害のリスクを確認しておく
特に大切となるのは、自然災害や塩害のリスクを把握しておくこと。
前述の通り、海辺への移住では大自然の近くだからこその脅威が存在する。できるだけ生活に影響が出ないように、住居や地域のリスクを把握しておきたい。
リスクの確認には、ハザードマップポータルサイトが役立つ。国土交通省のサービスで、移住先の住所を入力するだけで、その地域の災害リスクを一目で把握できる。
観光ではなく「移住」に適しているかチェックする
見落としがちなポイントとして、実際の引っ越し前には、観光ではなく移住に適しているのか今一度確認しておきたい。
海辺のエリアは観光地として栄えていることも多い。このような地域では、シーズン中は観光客であふれかえり、静かな暮らしが難しくなることもある。
とは言え、観光地ならではの賑やかな空気や旅人との出会いが好きな人もいるだろう。「自分の理想とする暮らしができるかどうか」を再確認しておこう。
一度は実際に現地を訪れよう
後悔を避けるための最後のポイントとして、移住前には実際に現地を訪れておこう。
町中を覆う潮風の香り、ときに強すぎるほどの日差し、現地に住まう人々の活気。海辺では、実際に現地を訪れてはじめて体感できることがたくさんある。
自治体が短期滞在ツアーやお試し移住用の住宅を提供しているのであれば、そのような移住支援制度を活用するのが◎。
移住支援制度が見つからない場合は、短期旅行をかねて自分で訪れてみよう。
ポイントを押さえた移住で海の見える暮らしを実現しよう!
この記事では海の近くのおすすめ移住先とその後悔しない選び方、メリット&デメリットについて紹介した。
海辺への移住は、海好きにとっては人生を変えるほどの嬉しい挑戦となる。しかし一方で、自然災害の脅威など、無視できないデメリットに気を付けておこう。
この記事の内容を参考にぜひ後悔のない移住を実現してほしい。