Case2 大阪府在住 與さんファミリー
自然のなかで家族と過ごしたスローな2週間。移住したいという気持ちが強くなりました。
Profile
與 竜太さん、真紗さん、日向さん、力丸くん
■居住地:大阪市住吉区
■実施時期:2019年11月(日向さん小学3年生、力丸くん小学1年生のとき)
■体験期間:2週間
■体験の動機:移住希望先の美波町で日常生活を体験するため
子どもだけでなく親にとっても充実の日々
大阪の製菓会社に勤める與(あたえ)竜太さんは、2018年に大阪で開催された移住フェアに参加。そこで徳島県美波町の担当者から「海が好きなら一度遊びに来て」と声を掛けられたことをきっかけに、家族で同町を訪れる。
「町の景色、雄大な自然がもう最高で、それから毎月、週末を利用して遊びに行くようになりました」
もともとマリンスポーツが趣味で、人好きのする性格。1年ほど通い続けるうちに地域住民とも仲良くなり、移住を考えるように。デュアルスクール制度があることを知り、お試し移住してみることにした。
2019年11月、当時小学3年生の日向(ひなた)さんと1年生の力丸くんの二人の子どもを美波町の日和佐小学校に2週間通わせた。「初日からクラスメイトを連れて帰ってきたのには、
少し驚きました(笑)。それから毎日のように友だちと一緒に浜辺を駆け回ったり、ゲームをしたり。大阪にいるときよりも、二人とものびのび過ごしていました」と、妻の真紗さんは振り返る。
子どもたちが学校に行っている間は夫婦で釣りをしたり、散策を楽しんだり。週末には仲良くなった家族とバーベキューもしたし、地域の集まりにも参加して地元の人たちと一緒にお酒も飲んだ。
「特別なことは何も起こらないけど、とにかく毎日の生活が楽しかった。1週間もすると、子どもたちは、〝もう大阪に帰りたくない!?と言うように。二人にいい経験をさせてあげられたと思いますし、親にとっても充実した時間でした。移住したいという気持ちがさらに強くなりました」と與さん夫婦は話す。
デュアルスクールが全国に広まることを期待
「いま思うと、学校が地元の子どもと同じように扱ってくれたのが良かった。避難訓練や地域の運動会にも参加して、普通の小学生として美波町で過ごせたことは、二人にとっていい思い出になったはずです」と真紗さん。デュアルスクール派遣講師のサポートも手厚く、日向さんと力丸くんは、何の不自由もなく学校生活を送ることができた。大阪に戻った現在でも、ふたりはその講師と近況報告のメールのやりとりをしているという。
徳島県の支援にも真紗さんは感謝している。「実はデュアルスクールを始めたいと申し出た当初、大阪の教育委員会からは〝前例がない?などの理由で、いい返事をもらえませんでした。でも、徳島の教育委員会が交渉してくれたおかげで、どうにか許可が下りました」と話す。
制度利用にあたっては、手続きなどの手間はそれほどかからなかった。大阪に戻った際も、すんなり元の学校に戻れたという。しかし、書類上は日和佐小学校から再び「転校」していることになっているため、それまで1番だった出席番号が最後になってしまったり、成績表の一部項目が記入されなかったりと、若干の変化があった。
「現行の制度上、仕方がないのかもしれませんが、元の状態で学校に戻れたらよかったのにとは思います。もっとデュアルスクールの理解が全国に広まって、より利用しやすい制度になってほしいですね。都市部の学校が採用してくれるのなら、徳島に移住したあともぜひ活用したい。
親戚が多く暮らす大阪に、長期滞在しやすくなりますから」と竜太さん。最近、日向さんと力丸くんから「早く、徳島に住もうよ!」とせがまれている。「仕事や家の問題を解決して、ぜひ実現したい」と力強く宣言した。
デュアルスクールに参加して
日向さん
教科書の違いもあったけど、クラスメイトが教えてくれたり、専任の先生がついてくれたりしたおかげで、授業においていかれずに勉強できました。方言や地域のことも学べて、大阪では体験できないことがたくさんありました!
力丸くん
短い時間だったけど、みんなが優しく接してくれて毎日が楽しかったです。すぐにでもまたデュアルスクールをしたい!
※本記事は「複住スタイルVol.3」に掲載されたものです。掲載当時とは状況が異なる場合がございます。