リモートワークやワーケーションなどをきっかけに地域との関わりが増えた方のなかには、地域おこし協力隊として地域で活動したいと考えている方がいるだろう。
地域創生に携われる重要な存在だが、失敗した人の体験談やトラブルを耳にする機会も多く、不安を感じる方も少なくない。
この記事では、地域おこし協力隊の失敗例と失敗の共通点に加え、成功するためのポイントを解説する。
地域おこし協力隊でよくある失敗例
地域おこし協力隊でよくある失敗例は、以下の5つだ。
- 予算の関係で契約更新ができなかった
- 地域や職場での人間関係がうまくいかなかった
- やりたい仕事・活動ができなかった
- 自治体の体制が整っていなかった
- 任期満了後の仕事や生活をイメージできない
失敗例を理解し、失敗しないための対策をイメージしよう。
予算の関係で契約更新ができなかった
地域おこし協力隊の活動期間は、「概ね1年以上3年以下」と明記されているが、活動半ばで契約更新されないケースがあるようだ。
基本的には、自ら辞退しない限り任期満了まで続けられる場合がほとんどだが、予算の関係で継続できない場合がある。
地域おこし協力隊の予算は各自治体にあり、国から自治体に対して隊員1人あたり480万円の活動費が助成されている。
当然、助成金を含めた予算を超過すれば地域おこし協力隊の費用をまかなえないため、途中で活動が終了する可能性はあるだろう。
地域や職場での人間関係がうまくいかなかった
地域おこし協力隊として活動するうえで、地域や職場でさまざまな人と関わるため、人間関係に悩むケースがある。
一般企業でも人間関係の問題は起きることは多く、地域おこし協力隊に入ってみないとわからない部分でもあることが難しい点だ。
相手に悪意がある場合もあるが、自分自身に問題がある場合も考えられるため、円滑なコミュニケーションを心がけ、人間関係の構築を大切にする必要がある。
やりたい仕事・活動ができなかった
地域おこし協力隊に参加したものの、希望していた仕事や活動に関われず、不完全燃焼で活動を終えるケースがある。
地域おこし協力隊を募集する自治体にビジョンがなく隊員に事務作業を任せる、隊員本人が漠然とした目的で参加したなど、原因はさまざまだ。
ビジョンが明確な自治体を選ぶ、移住先でやりたい仕事や目的をはっきりさせるなど、参加に向けた準備が失敗を避けるために必要になる。
自治体の体制が整っていなかった
国として地域創生に取り組んでいるが、自治体の体制が整っていないことが原因で、思うような活動ができない場合がある。
いざ活動しようとしたときに自治体から了承を得られない、与えられた仕事としかできないといった状況が考えられる。
そのような場合、地域おこし協力隊とのミスマッチが起き、ビジョンを実現するためには地域おこし協力隊を辞める選択が必要になるだろう。
任期満了後の仕事や生活をイメージできない
地域おこし協力隊として活動は充実していても、その後のイメージが曖昧で、経験を生かせない失敗例は多い。
「働きながら田舎暮らしをしてみたい」「とりあえず地域に関わる活動がしたい」などビジョンが曖昧な場合に陥りやすく、活動中に将来像を探す姿勢も求められる。
地域おこし協力隊で失敗する人の共通点
地域おこし協力隊で予期せぬ失敗が起きる場合もあるが、多くの場合は入隊する人にも原因がある。
地域おこし協力隊で失敗する人の共通点は、以下の4つだ。
- 自治体の地域おこし協力隊事情を十分に調べていない
- 任期満了後のビジョンをあまり考えていない
- 主体的に考えて行動していない
- 地域とのコミュニケーションに積極的ではない
どれもちょっとした心がけで改善できるため、地域おこし協力隊として取り組む姿勢づくりに生かそう。
自治体の地域おこし協力隊事情を十分に調べていない
地域おこし協力隊として何をするかを理解していないと、参加後にギャップを感じやすい。リサーチが十分にできていない人は、参加してからストレスや不満を持つことが多い。
地域おこし協力隊の募集では、求めている人材や主な業務内容を明記しているため、まずは募集内容を理解するところから始めたい。
任期満了後のビジョンをあまり考えていない
地域おこし協力隊の活動期間は1年以上3年以下が目安になるため、ずっと隊員でいることはできない。
任期満了後のビジョンが曖昧だと、数年間の地域おこし協力隊の経験が生かしにくくなる。
隊員ではなくなったときに、経験を生かして事業を起こす、継続して地域に関わるなど、何をしたいかを明確にできた方が地域おこし協力隊の経験が将来につながるだろう。
主体的に考えて行動していない
地域おこし協力隊は、自治体によっては隊員自身の想いやひらめきで新たな活動を推進できる。移住者の新しい視点を求めている自治体の場合、受け身だと有意義な活動を実現しにくい。
また、活動だけではなく、地域との関わりや職場での人間関係構築などにも主体性が足りないと、移住先での暮らしを充実させにくくなる。
地域とのコミュニケーションに積極的ではない
地域おこし協力隊として移住した地域で充実した生活を送るためには、地域との関わりが重要だ。
地域とのコミュニケーションが消極的な人は、地域に馴染みにくく、暮らしの面で失敗を感じやすい。
「地方の人々は温かい」とよくいわれることが多いが、地域で関係性ができあがっている場合は閉鎖的なケースもある。
「助けたい」「仲良くなりたい」と思ってもらうためには、地域に入っていく側の努力や姿勢が求められる。
地域おこし協力隊で失敗しないためのポイント
地域おこし協力隊で失敗しないためには、4つのポイントが重要だ。
- 自治体について入念に下調べする
- 任期満了後のビジョンを明確に持つ
- 体的に活動やコミュニケーションに取り組む
- 必要に応じて行政や関係者に相談する
準備や現地での行動に生かし、地域おこし協力隊として精力的に活動しよう。
自治体について入念に下調べする
地域おこし協力隊参加後のギャップを防ぐためには、応募前の入念なリサーチが必要だ。
まずは、募集内容から活動内容や待遇などを細かく確認し、どのような活動ができるか理解を深めよう。
また、数年間移住先で暮らすため、地域について知ることも大切だ。気候や立地、周辺へのアクセスなどを確認し、快適に暮らせるかどうかを検討しよう。
任期満了後のビジョンを明確に持つ
地域おこし協力隊の経験を生かすためには、参加前から任期満了後のビジョンを持つようにしよう。
たとえば、地域で新しい事業を起こしたいなら、活動期間中に事業に必要なスキルの習得や人脈づくりなどに取り組むことができる。
暮らしについても同様で、移住後に定住するかもイメージしておきたい。継続して暮らしたい場合は、活動期間から地域や職場での関係性を構築する必要がある。
とは言え、参加前からビジョンがはっきりしない場合もあるだろう。日々の活動を漠然とこなすのではなく、楽しく取り組めることや興味が湧いたことなどから、今後につながるものを見つける姿勢を意識しよう。
主体的に活動やコミュニケーションに取り組む
「色々な経験をしてもらいたい」「親しくなりたい」と思ってもらうためには、主体的な行動やコミュニケーションが大切だ。
自ら活動を提案したり、前向きに取り組んだりする姿勢によって、職場や地域との関わりが生まれ、さらなる活動につながっていくだろう。
日々の暮らしでも積極的なコミュニケーションを意識したい。自ら話しかけたり、コミュニティに参加したりすることで、地域に受け入れられ、良好な人間関係を築けるはずだ。
必要に応じて行政や関係者に相談する
地域おこし協力隊に参加してから困りごとがあった場合は、抱え込まずに相談することも大切だ。
行政の窓口や職場の信頼できる関係者などに相談すれば、解決策の提案を受けたり、改善を図ってもらったりするなどの対応を期待できる。
失敗例から学んで地域おこし協力隊を有意義な時間にしよう
地域おこし協力隊をあなたにとって有意義な活動にするためには、失敗例から学ぶことが大切だ。
多くの失敗例は下調べの甘さや隊員自身の姿勢が原因であるため、募集内容や地域について時間をかけて調べたり、地域や職場に馴染むために主体的に行動したりすることを意識しよう。
また、リサーチや参加後の悩みなどは窓口に相談するのがおすすめ。行政や関係者の力も借りながら、地域おこし協力隊の活動期間を有意義な時間にしよう。