石川県は、全国の812市区から選ぶ「住みよさランキング2023」で総合第1位の野々市市や第5位の白山市、第10位の金沢市といった住みやすい街が人気を集めています。移住するなら、住みやすい街が多い石川県をと考える人も多いのではないでしょうか。この記事では、石川県への移住を検討している方に向けて、おすすめの自治体をご紹介します。
石川県の基本情報
石川県は北陸地方の中部に位置し、日本海に面しています。形状は南西から北東に向かって細長く、東側は岐阜県と富山県、南側は福井に接しています。県庁所在地は金沢市です。
江戸時代には賀藩の城下町として繁栄した金沢を中心に、加賀友禅や輪島塗、金沢箔、九谷焼などの伝統工芸品や風情ある城下町が人気で、全国から多くの観光客が訪れています。
2015年には北陸新幹線が金沢駅まで開通し、東京や大阪などへのアクセスも便利になりました。
人口:1,137,181人(令和元年10月1日現在)
世帯数:468,458世帯(令和元年10月1日現在)
面積:4,186.05平方キロメートル
県鳥:イヌワシ
県木:あて(能登ヒバ)
郷土の花:クロユリ
石川県へ移住するメリット
石川県への移住にメリットを感じるポイントは、どのようなところにあるのでしょうか。
住みやすが全国トップクラス
『東洋経済新報社』が発表している「住みよさランキング2023」において、石川県野々市市が総合1位を獲得しました。このランキングでは、白山市が5位、金沢市が10位に入るなど、石川県の都市がトップテンに名を連ねる成果を上げました。
また、『法政大学大学院幸福度指数研究会』が発表した「幸福度ランキング」では、全国の中で第3位にランクインし、『ブランド総合研究所』の「市版SDGs調査2020」では、金沢市が第2位に輝くなど、さまざまな調査で石川県が上位に位置していることが明らかになりました。
これらの調査結果から、石川県は住みやすい街として評価されていることが分かります。
子育て環境が充実している
石川県は全国的に子育ての支援が進んでいることで知られています。早くから保育所の整備など取り組み、『こども家庭庁』の「令和5年4月待機児童数調査」では待機児童がゼロです。
保育サービスの充実により、『総務省』の「2015年国勢調査」によると、石川県の女性の就業率は全国で第2位となっています。子育てしながら働ける環境が整っているので、移住後も働きたい方にとって安心ですね。
豊かな食が楽しめる
石川県には美味しい食べ物が多くあります。『株式会社 リクルート』が行った「じゃらん宿泊旅行ランキング2023」の「地元ならではのおいしい食べ物が多かったランキング」では、全国第1位にランクインしました。
また、同じ調査の「魅力のある特産品や土産物が多かったランキング」では、全国第3位となっています。圧倒的な人気を誇る海産物のほかに、加賀茶や日本酒なども人気です。
魅力的な企業や産業がある
石川県の金沢は、かつて城下町として栄えた歴史ある街です。現在でもその歴史的な建造物や街並みを楽しむことができます。
さらに、石川県には古くから受け継がれてきた多様な伝統文化が存在します。その中でも有名なものは、加賀禅や金箔、輪島塗、九谷焼などです。
また、石川県は世界に誇るものづくり企業をはじめとした魅力的な企業や産業が多く集まっているのも特徴です。
交通のアクセスが良い
石川県は、東京、大阪、名古屋などの大都市へ約2時間半ほどで移動できます。東京駅からは北陸新幹線で約2時間半、羽田空港からは飛行機で約60分です。大阪へは特急を利用すると約2時間半、名古屋までも新幹線と特急を使って約2時間半で行けます。
また、県内には小松空港と能登空港の2つの空港があるため、全国へのアクセスも非常に便利です。
石川県へ移住するデメリット|失敗しないためのポイント
石川県へ移住するメリットがある一方で、デメリットと感じることもあります。移住してから失敗したと感じることがないよう、以下のポイントに気をつけましょう。
雪の影響を受ける
石川県は、一部地域では冬に1メートルを超える積雪があることがあります。雪の多い地域に住む場合は、凍結した道路や雪かきに注意が必要です。
また、雪の影響で交通機関が不安定になることも考慮しなければなりません。しかし、この雪は雪解け水として利用され、石川県には豊かな水が供給され、野菜や果物などが生産されます。
雪は時に生活に支障をきたすこともありますが、冬ならではの美しい雪景色を楽しむこともできるので、一概にデメリットとは言えないのではないでしょうか。
道が狭く運転しづらい場所が多い
石川県の中でも、金沢はこれまで大きな戦災などの影響を受けていないため、古い城下町がそのまま残っているところが多い街です。
そのため、道幅が狭い場所が多いので運転しづらいと感じることがあるでしょう。
街の中心地以外は移動が不便
石川県内でも郊外に移住を考えている場合は、県の中心部に比べると交通の便が良くないため、車がないと不便に感じます。
移住先によっては自家用車が必要なので、車の運転が苦手な方はバスや電車のアクセスが良い地域を選ぶことをおすすめします。
雨が多い
石川県は、2021年の降水時間ランキングにおいて全国で一番多い2,301時間でした。1年の半分は雨か雪が降ると言われるほどの石川県には「弁当忘れても傘は忘れるな」というローカルなことわざがあるほどです。
雨が多いと洗濯物が乾きにくかったり、湿気や結露に悩まされたりすることが多いのを覚悟しなければなりません。
石川県への移住を後押しする支援・サポート制度
石川県への移住を検討する場合は、情報収集が大切です。石川県には移住者を応援するさまざまな支援やサポートが充実しています。
いしかわ移住支援事業
いしかわ移住支援事業とは、東京23区に5年以上在住もしくは通勤していた方が石川県内にUIターンした場合、移住支援金を支給する事業です。
この支援金を受け取れるのは、移住支援金対象法人に就業するなどの条件があるので、詳しくは県のホームページをご確認ください。
いしかわ移住支援事業(テレワーク・関係人口)
いしかわ移住支援事業(テレワーク・関係人口)は、東京23区に5年以上在住もしくは通勤していた方が、石川県内にUIターンしてテレワークなどをする場合、移住支援金を支給するものです。
支給額は、単身の場合は60円、世帯の場合は100万円で世帯の場合は18歳未満の子1人についての支給もあります。
石川県へ移住後、テレワークをする方はぜひチェックしてみてください。
いしかわ移住パスポート(Iパス)
いしかわ移住パスポート(Iパス)とは、石川県への移住を促進するための制度です。この制度は、石川県への移住者・移住希望者が移住の際にかかる経費の一時的な負担軽減を目的としています。
パスポートが使えるのは、県外からの移住を希望する方と石川県へ移住してきてから1年以内の方です。パスポートを提示すると、レンタカーや引越しの基本料金の割引などのサービスを受けることができます。
プレミアムパスポート
プレミアムパスポート事業は、社会全体で子育てしている人たちを支えるのが目的とし、お腹の中にいる子どもを含めて満18歳未満の子どもが2人以上いる石川県内の家族を支援する制度です。
プレミアムパスポートを協賛企業の店に提示すると、割引などの特典を受けることができるので、子ども連れで移住する方はぜひ申請してみてください。
いしかわの移住体験
移住を検討している方におすすめなのが、いしかわの移住体験です。こちらの取り組みは、参加者の希望に応じて農林漁業や地場産業などの仕事体験や古民家での暮らし体験、買い物環境などの確認などをコーディネートして現地を案内してくれるもの。
参加費は無料で、期間は数日から1ヶ月程度です。石川県への移住への不安解消や移住後の暮らしをイメージできる体験になるため、ぜひ参加してみてください。
石川版移住・起業支援金制度
石川版移住・起業支援金制度は、東京23区に5年以上在住していた、もしくは通勤していた方が石川県内で個人事業の開業届出、または株式会社などの設立を行って、その代表者となる方が受けられる制度です。
補助対象者や対象経費など、詳しくはサイトをご確認ください。
いしかわ就職・定住総合サポートセンター
石川県では、県内への就職や転職したい方や石川県での暮らしを希望している方が利用できるいしかわ就職・定住総合サポートセンターを設置し、専門のスタッフがさまざまなニーズに合わせてサポートしてくれます。
石川県では、これらのほかにもいしかわ空き家情報ナビなどで移住者を応援しています。移住を考えている方は、自分がどの支援やサポートを受けられるか確認してみてください。
石川県で移住におすすめの自治体
移住支援やサポートが充実している石川県の中でも、移住におすすめしたいのは以下の自治体です。
金沢市(かなざわし)
金沢市は、石川県のほぼ中央に位置する石川県の県庁所在地です。人口は県内最多で、商工業や交通網が発展しています。
一方で、市内には山や海があり自然にも恵まれている街でもあります。また、近代的な施設と歴史的な街並みの両方を持っている魅力あふれる街としても有名です。
金沢市が行っている支援制度は多くありますが、代表的なものを以下にご紹介します。
金沢は、ものづくりの街として知られていますが、中小企業者が新製品や新システムを開発および既存製品を改良する際にかかる経費を助成する「金沢ものづくり助成制度」などでものづくりを応援しています。
また、子育て支援の充実を図るために金沢市子ども医療費助成制度等を設置。この制度は2023年10月から対象を拡大し、子育て支援医療費助成の入院について18歳までが無料となっています。
白山市(はくさんし)
石川県の南部に位置する白山市は、県内最大の広さを誇るまちです。
「住みよさランキング2023」で第5位を獲得した白山市。石川県を代表する工業都市としても知られる白山市は、2011年に日本ジオパークに認定された「白山手取川ジオパーク」など、人を惹きつけるさまざまな魅力を持っています。
白山市では、住みやすい街づくりの一環としてさまざまな支援制度で市民を応援しています。例えば、起業・創業支援制度は、白山市内に事業所を建築または既存の建物を活用して事業を始める起業者に工事費や建築費の一部を補助する制度です。
また、自治体全体で子育てをサポートするため、市内にある子育てを支援する施設や制度をまとめた「はくさん子育て便利帳」を発行。市役所の窓口や児童館などで配布しているほか、市のホームページからダウンロードも可能です。
さらに、定住支援のひとつである若者・子育て世帯定住奨励金は、2023年4月1日に始まりました。これは、45歳未満の方が白山市に新築住宅を取得するために最大90万円を補助する制度です。
加えて、三世代が市内で新たに同居を始める際にかかる住宅所得費用やリフォーム工事費用の一部を補助してくれる三世代ファミリー同居奨励金。基本額60万円、加算額として新婚世帯10万円、若者世帯に20万円を補助します。
このように、白山市では幅広い世代の人たちが暮らしやすいよう、さまざまな取り組みを行っています。
小松市(こまつし)
小松市は、石川県の南部に位置する市です。中心市街地からほど近くに駅や空港、インターチェンジがあるため、国内外へのアクセスが良いのが特徴のひとつ。観光や出張などに便利です。
また、小松市には商業施設や学校、病院などの公共施設も充実していて暮らしやすい環境が整っています。さらに、小松市は自然が豊かな地域が多く、周辺に山や川が広がっているためアウトドアスポーツや自然散策が楽しめます。
小松市では、市外の人が小松市内において定住を目的とした一戸建ての住宅を購入または新築・増築する場合に「ようこそ小松」定住促進奨励金制度で応援しています。
奨励金は、補助額は、基本額が30万円で年齢が45歳以下の人が申請した場合は10万円の加算額が支給されます。
小松市は、子育てがしやすい街として注目を集めています。その理由は、子育て世代に向けたさまざまな支援が行われているからです。
例えば、2022年4月から始まった「中学生の学校給食の完全無償化」や、2022年7月から提供が始まった「赤ちゃん紙おむつ定期便」といった支援があります。
交通アクセスの良さと温暖な気候の小松市に注目してみてはいかがでしょうか。
加賀市(かがし)
加賀市は、美しい自然と歴史に包まれた街で、移住には最適です。山や海などの豊かな自然に囲まれていて、四季折々の景色が楽しめます。
加賀市は「加賀温泉郷」としても知られており、数多くの温泉を楽しむことができます。加えて、加賀藩ゆかりの歴史ある街並みや神社仏閣も多く、歴史好きの方には魅力的な場所です。
さらに、加賀市では地元で採れた食材を使った料理が盛りだくさんで、食文化を楽しむこともできます。移住を考えるなら、豊かな食事の経験も魅力のひとつです。
加賀市への移住で活用できる支援はさまざまありますが、加賀市内の事業所に就職した若年U・Iターン者とその方を正規雇用した事業者を支援するのが若年U・I ターン者雇用奨励金制度です。
この制度は、U・Iターン就職者 に最大30万円を支給するだけではなく、就職日から6ヶ月、1年6ヶ月、2年6ヶ月ごとに10万円ずつ支給があります。
また、住宅取得助成事業は、加賀市への定住を促進するための事業です。市内で新たに住宅を購入または建築する45歳未満の方に住宅取得費の一部を助成する制度。
移住者である場合は10万円、空き家バンクに登録された物件を購入した場合は30万円の加算額があるのでしっかりチェックしてみてください。
野々市市(ののいちし)
「住みよさランキング2023」で堂々の総合第1位だった野々市市は、商業施設や医療機関、児童館、公園などが充実した街です。市街地にはスーパーなど生活に必要な買い物ができるお店が充実していて、おしゃれなカフェや雑貨店なども次々にできています。
教育機関や医療機関も充実していることや、JR北陸本線やバスで金沢市へのアクセスも良さなどから、住みやすい街として人気です。
野々市市は子育て支援が充実しているのも移住におすすめの理由。市では子育て世代向けのイベントや施設が充実していて親子で楽しむことができます。
子どもを育てる人たちをサポートするため、野々市市ではファミリーサポートセンターを設置。保育施設などへの送迎や保育施設が休みの日に子どもを預かるなどのサービスを行っています。
野々市市へ移住してきた方を支援するのが野々市市移住支援金です。この制度では単身で移住する場合は60万円、世帯での移住には100万円の支援を受けることができます。補助金を受け取れるかは市のホームページをご確認ください。
移住・定住支援制度を活用して住みやすい石川県へ!
石川県は、自然とものづくりの白山、歴史的な街並みが楽しめる金沢、温泉とものづくりに恵まれる加賀など、それぞれの街にたっぷり魅力が詰まっています。
住みよさランキングなどで上位にランクインする街が多いことから、石川県は移住におすすめの県ということが言えるのではないでしょうか。
今回ご紹介したさまざまな支援を上手に活用して、石川県への移住を実現してみてください。