宮城県は、仙台市をはじめとした自治体が4つのエリアに分かれて立地し、それぞれの特色がある。宮城への移住を考えるためには、宮城の魅力や各自治体の移住支援制度などを知ることが大切だ。
この記事では、宮城移住の魅力や補助金などの移住支援制度、おすすめの自治体(市町村)、さらに移住する際の注意点まで詳しく解説する。
移住する前に知っておきたい宮城県の基本情報
移住する前に、宮城県について情報収集することが大切だ。地理や気候などを知っておくと、移住に向けてどのような環境かを想定できる。
地理
宮城県は、東北地方の中心に位置している県。東京都からは北東約300キロメートルの距離にある。
県域の東には太平洋に面していて、豊かな漁場や、日本三景に数えられている松島湾の美しき風景が広がっている。
県西部には四季折々の姿を見せる山々、中央部には仙台平野や穀倉地が広がり、自然に恵まれているのが特徴だ。
人口
宮城県の人口は、令和3年1月1日時点で、228万2,106人であり、全国的には14位に位置している。
男性は111万3,109人、女性は116万8,997人で、男性に比べて女性の方が5万5千人ほど多いのが特徴だ。
気候
宮城県の気候の特徴は、首都圏に比べると平均気温が低い点だ。県庁所在地の仙台市と東京都の気候の違いは、以下の通りである。
部屋の間取り | 仙台市 | 東京 |
---|---|---|
日平均気温 | 13.5℃ | 16.4℃ |
夏の平均気温(8月) | 25.7℃ | 27.1℃ |
冬の平均気温(1月) | 2.4℃ | 6.1℃ |
1年を通した平均気温は、東京に比べて約3℃低い。夏は東京よりも気温が低く過ごしやすいが、冬は寒さに注意が必要だ。
産業
宮城県では、豊かな自然で育まれた海産物や農作物が有名で、漁業や農業が県の産業を支えている。
米の作付面積は全国4位を誇る64,000ヘクタールで、令和3年度は353,400トンもの米が収穫された。
漁業は、世界三大漁場に数えられる三陸沖で活発に行われ、マグロやカツオなどが漁獲されている。
移住したくなる宮城の魅力7つをピックアップ
宮城には、移住したくなる魅力が多くある。7つの魅力をピックアップし、詳しく解説していく。
- 新幹線や飛行機などで全国各都市にアクセスしやすい
- レジャー施設やアウトドアで余暇を充実できる
- 農作物や魚介類など美味しい食の恵みが豊富にある
- 四季折々のイベントを楽しめる
- 気候が穏やかで年中過ごしやすい
- 東京圏よりも家賃相場が安い
- 有効求人倍率が高く仕事を探しやすい
新幹線や飛行機などで全国各都市にアクセスしやすい
宮城はJRや飛行機、車など交通の便が良く、各地からアクセスしやすい立地だ。
北日本の主要都市とは新幹線でつながっているため、函館や青森から約2~3時間でアクセスできる。県内には高速道路が走り、東北地方の各県へ約1時間で移動できるのも魅力。
飛行機を利用すれば、新千歳空港や成田空港など各都市の空港へ約1~2時間で移動が可能だ。
県内も交通の利便性がよく、JRやバスなどで快適に移動できる。エリアによっては車が必要になるが、仙台市内であれば公共交通機関で十分に生活できるだろう。
レジャー施設やアウトドアで余暇を充実できる
宮城には、余暇に行きたいレジャー施設が多くある。仙台うみの杜水族館やJAXA角田宇宙センターなど、大人も子どもも楽しめる施設が豊富だ。
豊かな自然を生かして、アウトドアも存分に楽しめる。夏はキャンプやサーフィン、冬はスキーやスノーボードなど、四季折々のアクティビティを満喫しよう。
農作物や魚介類など美味しい食の恵みが豊富にある
宮城県では、仙台平野や穀倉地帯などで農業が盛んに取り組まれている。「ひとめぼれ」や「ササニシキ」といった米をはじめ、きゅうりやトマト、梨、大豆なども主な農産物だ。
漁業は三陸沖での漁獲量が多く、日本有数の水産県としても宮城は有名。
令和元年時点では、ギンザケとワカメは全国1位、マグロ・カツオ・カキは全国1位の生産量・漁獲量を誇っている。
豊かな食の恵みによって、全国に誇るグルメも豊富。仙台発祥の牛タン、ずんだ餅、はらこ飯など、身近に美味しいグルメがあるのも宮城の魅力だ。
四季折々のイベントを楽しめる
宮城では、季節ごとに魅力的なイベントが開催されている。
騎馬武者隊や甲冑武者隊などを見られる「武将祭り」、伊達政宗の時代から続く「仙台七夕まつり」などが有名。
仙台市以外にも、東松山市の「松島基地航空祭」や蔵王町の「雪の壁ウォーク」、川崎町の「ARABAKI ROCK FEST」など、さまざまなジャンルのイベントを楽しめる。
気候が穏やかで年中過ごしやすい
宮城県の気候は比較的穏やかで、真夏日と真冬日は1年の内20日程度である。
極端な気温の日が少ないため、年中過ごしやすいのが魅力だ。
東北地方は寒さや積雪のイメージがありがちだが、宮城は快適に過ごせるエリアと言える。
東京圏よりも家賃相場が安い
宮城県の家賃相場は、東京都内よりも安いのが特徴だ。SUUMO東北版によると、仙台と東京都内の家賃相場は、以下の通りである。
部屋の間取り | 仙台 | 東京都内 |
---|---|---|
ワンルーム | 5.3万円 | 8.2万円 |
1K/1DK | 5.4万円 | 9.5万円 |
1LK/2DK | 7.0万円 | 14.3万円 |
2LK/3DK | 8.2万円 | 18.6万円 |
ワンルームでも約3万円安く、2LK/3DKは約10万円も安くなっている。予算を抑えて住まいを探しやすく、負担を軽減しやすい。
有効求人倍率が高く仕事を探しやすい
宮城エリアの有効求人倍率は、令和5年2月時点で1.12倍で、令和4年度の平均1.07よりも改善している。
有効求人倍率は1.0以上だと求人が求職者を上回る状態であり、比較的仕事を探しやすい環境だ。移住先で新しい仕事を探す場合には、安定して仕事を見つけられるだろう。
また、通勤環境もビジネスパーソンに優しいと言える。主要都市部に比べて通勤時間が短く、満員電車が少ないため、ストレスなく通勤できるはずだ。
参考:みやぎの移住支援金
宮城移住で活用したい支援制度(補助金)やサポート
宮城に移住するなら、支援制度(補助金)やサポートを活用するのがおすすめ。移住に必要な資金を得られたり、窓口に相談できたりするなど、宮城移住を実現しやすくなる。
主な支援制度・サポートを4つ解説する。
- 県の移住支援金
- 市町村の移住支援制度
- お試し住宅
- みやぎ移住サポートセンター
県の移住支援金
宮城県では、東京圏から宮城に移住する人のうち、条件を満たす者を対象に移住支援金を支給している。
条件を満たした場合は、世帯移住で1世帯100万円、単身移住で60万円を受け取れる制度だ。世帯移住については、18歳未満の世帯員ひとりあたり100万円加算される。
移住支援金を受け取るための条件は、以下の通りだ。
①移住元の要件 | 東京23区在住者または東京23区への通勤者 |
②移住先の要件 ※いずれかに該当 | ・みやぎ移住 ・交流ガイドに掲載されている対象求人に就業 ・みやぎUIJターン起業支援補助金の交付決定を受けている ・自身の意志で移住し、移住先を生活拠点として、移住元の仕事をテレワークで継続する ・専門人材事業を活用して就業 ・移住先の市町村が設定して関係人口に該当する |
③移住後の要件 | 支援金申請後、5年以上継続して居住する意志がある |
参考:移住支援金|宮城県
市町村の移住支援制度
宮城県では、県の移住支援金に加えて、自治体独自の支援制度も実施している。
例えば県北部にある登米市では、住宅取得支援や出産支援、起業支援など支援の幅が広い。移住相談窓口やお試し住宅なども用意し、移住者をサポートする体制が整っている。
支援の詳細や自治体の特徴は移住定住ハンドブックに記載されているので、ぜひチェックしてみよう。
お試し住宅
宮城県の自治体によっては、現地の生活を体験できるお試し住宅を提供している。
登米市の場合は、2泊3日から9泊10日まで利用でき、県外の利用者に対して上限3万円の補助を実施しているのが特徴だ。
自治体それぞれで提供している住宅や利用期間、補助内容などが変わるため、詳細を確認した上で、気になる自治体のお試し住宅を利用してみよう。
みやぎ移住サポートセンター
みやぎ移住サポートセンターは、県内35市町村や関係機関と連携し、移住希望者のサポートを実施している機関である。電話での相談に加えて、オフィスに立ち寄っての相談も可能だ。
みやぎ移住サポートセンターの詳細は、以下の通りである。
住所 | 東京都千代田区有楽町2丁目10-1東京交通会館8階 |
電話番号 | 090-1559-4714 |
営業時間 | 10:00~18:00 |
営業日 | 火曜~日曜 |
休日 | 月曜、祝日、夏季休暇、年末年始 |
アクセス | JR「有楽町駅」から徒歩1分 |
また、自治体によっては移住相談窓口を設置している。下記のページに移住相談窓口一覧がまとめられているので、ぜひ確認してみよう。
宮城移住でおすすめの自治体(市町村)5選
宮城移住でおすすめの自治体(市町村)は、以下の通りだ。
- 仙台市(せんだいし)
- 名取市(なとりし)
- 大和町(たいわちょう)
- 松島町(まつしまちょう)
- 女川町(おながわちょう)
それぞれの特徴や支援制度をチェックして、移住先の検討に役立てよう。
仙台市(せんだいし)
出典:東京圏から仙台市に移住した方に「移住支援金」を交付します。|仙台市
仙台市(せんだいし)は、宮城県の県庁所在地であり、豊かな自然と都市機能が調和した街として人気だ。
街中にある緑や中心部に流れる川など、暮らしの中で自然を感じられるのが魅力。充実した交通網で市内や県内への移動がしやすく、仙台空港から県外へのアクセスも便利である。
移住支援のなかでも特に、仕事に関する支援が充実している。就職支援や起業支援、就農支援を実施しているため、移住をきっかけにチャレンジしやすい環境と言えるだろう。
名取市(なとりし)
名取市(なとりし)は、仙台市の南に隣接し、中心部までは電車の場合約10分でアクセスできる。
東に太平洋、西に山々があり、都市部に近い立地ながら、自然に囲まれた環境で暮らせるのが魅力だ。
子育て支援に力を入れているため、家族での移住に向いている。医療費助成や学校給食費の無償化、出産支援など、子育て世帯に嬉しい制度が多い。
大和町(たいわちょう)
出典:みやぎの大和町 移住・定住応援ポータルサイト
大和町(たいわちょう)は、宮城県のほぼ中央に位置し、仙台市に隣接している。工業団地に自動車関連企業や先端技術産業などが進出しているため、工業分野で活躍したい方におすすめだ。
移住支援は住まいや子育て、仕事などバランスがよく、なかでも特徴的な制度が結婚支援だ。地区内の結婚相談所の登録・利用が無料なため、単身で移住する方は利用を検討してみよう。
松島町(まつしまちょう)
松島町(まつしまちょう)は、日本三景に数えられる松島をもつ町。風光明媚な景色や歴史的な建造物などが見どころで、自然や歴史を感じながら暮らしを楽しめる。
公園やスポーツ施設などのびのびと遊べる場所が多く、子育て世帯にもよい環境だ。
移住支援制度の特徴として、子ども均等割額減免(国民健康保険税)を実施している。国民健康保険税均等割賦課額の全額減免を受けられ、家計の負担を軽減できるのが嬉しいポイント。
女川町(おながわちょう)
出典:女川で暮らす
女川町(おながわちょう)は、海や山に恵まれた三陸エリアにある町。漁業が盛んで、女川魚市場や地元市場ハマテラスで活気ある取引が行われている。
魚介類を活用した観光の活性化やまちづくりを推進しているため、地域に貢献したい方に向いている。
移住支援は、住まいや子育て、仕事など制度が豊富だ。5日間から最大1ヶ月、女川に住む体験ができるお試し移住プログラムを実施しているため、まず女川の暮らしを体感してみよう。
宮城移住で気をつけたいポイント
宮城は移住先として多くの魅力があるが、いくつか気をつけたいポイントがある。注意点をあらかじめ把握し、移住の検討や準備を慎重に進めよう。
他の地方に比べると冬の寒さが厳しい
宮城県の気候は比較的穏やかではあるものの、他の地方と比べると、寒さが厳しい点には注意が必要である。
冬場の寒さや積雪に慣れていない人にとっては、環境の変化に苦労するかもしれない。暖房の用意や服装の選び方など、冬の過ごし方には準備と慣れが必要だ。
県内・市内の移動には車が必要になる
県の中心部は交通網が充実しているが、県内・市内を幅広く移動するなら、車をもっておきたい。
県内・市内を移動する頻度が多い場合は、移住前に車の準備をしよう。車を用意するために、予算に余裕をもっておくことも大切だ。
魅力の多い宮城への移住を検討してみよう
宮城県は都市機能と自然が調和し、日々の暮らしを送りやすく、余暇にレジャーやアウトドアを存分に楽しめる。
東京よりも家賃相場が安く、有効求人倍率が高く通勤時間が短いなど、生活コストや仕事の面でもメリットが多い。
県や市町村の移住支援制度やお試し住宅などサポートも手厚いため、上手に活用して、希望に合った宮城移住を実現しよう。