大阪府は東京圏とは異なる独特な文化を持つ関西最大の都市だ。さまざまな魅力のある大阪を、移住先として考える人も少なくないだろう。
今回は、大阪府で移住支援制度の充実している10自治体を紹介する。大阪府へ移住するメリット・デメリットや大阪移住で活用したい支援内容(補助金・助成金)やサポート、おすすめのポータルサイトもみていこう。
移住する前に知っておきたい大阪府の基本情報
移住を成功させるためには、その土地のことをしっかりと理解しておくことが大切だ。まずは、大阪の地理・人口・気候・産業など基本的な情報から確認していこう。
地理
大阪府は日本のほぼ中央にある近畿地方に位置する府だ。北から南にかけてやや湾曲しており、西側は大阪湾に面し、そのほかの三方は山に囲まれている。
人口
大阪の面積は約1,905平方キロメートルと、都道府県で2番目に小さい。
しかし、人口は8,787,414人(2022年9月現在)と全国のおよそ7%を占め、東京都、神奈川県に次いで多い。
また、大阪には多くの外国人が居住しているのも特徴のひとつ。大阪府内の在留外国人数は、令和2年12月31日現在で253,814人と、府の人口の約3%を占めている。
気候
大阪の平均気温は、約17.1度、年間降水量は1,300ミリメートル前後だ。
大阪の気候は瀬戸内海式気候に分類され、年間を通して晴天が多い。降水量は梅雨と台風の多い9月頃に多くなるが、全体的に降水量は少ない傾向がある。
また、大阪は関東よりも台風の影響が少ないのも特徴のひとつ。大阪は年間を通して天気が安定している。
産業
大阪府の産業は、卸売業と小売業が最も多く、次いで宿泊業、飲食サービス業、製造業となっている。
大阪市の西部臨海部地域では、明治時代から造船業や関連する機械・金属業が発展しており、他の地域に比べて大規模な工場が多く、出荷額も大きい。
そのほかに、地域ごとに衣服や金属などの化学工場や、印刷・印刷関連業など、大阪市内ではものづくりが盛んに行われている。
大阪に移住する6つのメリット
大阪は魅力の多い土地だが、移住先としての魅力は大きく次の6つだ。
- 街がコンパクトにまとまっていて便利
- 食べ物が美味しい
- 大型商業施設が多く何でも揃う
- 観光スポット・名所が豊富
- 都心部と比べて家賃が安い
- ユーモアのある面白い人が多い
それぞれのメリットについて詳しく見ていこう。
街がコンパクトにまとまっていて便利
大阪は東京と比べると、街の機能がギュッと凝縮しているのが特徴だ。
大阪は繁華街や官庁街、ビジネス街などが梅田から難波の間に集中しているが、両者は地下鉄で4駅程度、距離にすると5kmほどしか離れていないため容易に移動できる。
大阪は街によって雰囲気がガラッと変わるのも特徴で、少し移動するだけで繁華街、ビジネス街、古民家や長屋が立ち並ぶ住宅街など、少し移動するだけで違った景色を楽しめる。
食べ物が美味しい
「食いだおれ」の街としても知られる大阪には、たこ焼きやお好み焼き、いか焼き、ねぎ焼きなどの粉物や、ビールのお供にぴったりな串カツ、高級食材のフグを使ったてっちり鍋など、美味しいものがたくさん揃っている。
うどんというと、香川県の讃岐うどんのイメージが強いが、大阪のもっちりとした食感の麺と、薄口しょうゆで味を整えた旨味たっぷりのうどんも人気が高い。
大型商業施設が多く何でも揃う
大阪市は日本有数の都市であるため、大型商業施設やブランドショップ、専門店などの数も多く、欲しいものは大抵揃えることができる。
大阪府は、2つの政令指定都市(大阪市・堺市)と7つの中核都市(吹田市・豊中市・高槻市・枚方市・八尾市・寝屋川市・東大阪市)を持つ。
都会的な利便性を求める人は、政令指定都市か中核都市から移住先を選ぶと良いだろう。
観光スポット・名所が豊富
大阪には豊臣秀吉ゆかりの大阪城や、百舌鳥・古市古墳群、四天王寺や大阪天満宮など、さまざまな歴史的建造物が存在する。
また、なんばグランド花月、天満天神繁昌亭など、毎日生で新喜劇や漫才、落語といったエンターテインメントを生で楽しめるスポットが多いのも大阪の大きな魅力だろう。
また、大型テーマパークのユニバーサル・スタジオ・ジャパンがあるのも嬉しいポイントだ。
東京都心部と比べて家賃が安い
他の地域と比べると高くなってしまうが、大阪は東京都心部と比べて家賃が安い。
大阪の中心地である中央区や北区は1R〜1Kで7万円近くするが、大阪市内でもエリアによっては、4万円代というところもある。
さらに田舎にいくと、2万円台や3万円台で同じ広さの物件を借りることが可能だ。
東京で同じ条件の賃貸を借りるとすると、8万円や9万円、高いところだと10万円を超えることを考えると、大阪の家賃は安いと言えるだろう。
ユーモアのある面白い人が多い
大阪といえばお笑いの街として有名なこともあり、そこに住む人たちもユーモアのある面白い人が多い。
また、大阪の人は人情味のある人も多いので、移住者に対しても気さくに話しかけてくれる。そのため、移住して日が浅い場合でも、すぐに打ち解けられる可能性が高い。
大阪に移住する3つのデメリット
大阪移住にはさまざまなメリットがあるが、いくつかのデメリットも存在する。
- 大阪のノリに馴染めない可能性がある
- 治安の悪いエリアがある
- 交通ルールを守らない人が多い
移住した後に「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためにも、メリット・デメリットの両方を理解しておこう。
大阪のノリに馴染めない可能性がある
大阪への移住を考えるとき、大阪弁やノリに馴染めるか心配という方も少なくないだろう。
大阪にはフレンドリーな人が多い。それは人とコミュニケーションをとるのが好きな人にはメリットになるが、人との距離が近すぎるのが苦手な人にとっては苦痛に感じてしまうこともあるだろう。
治安の悪いエリアがある
残念ながら、大阪は人口に対する発生率で見ると、窃盗犯罪や刑法犯などの発生率が全国1位となっている。
大阪市内では、繁華街のある地域を大阪駅や梅田駅周辺を含む市の北部の事を「キタ」、心斎橋や道頓堀を含む大阪市南部を「ミナミ」と呼ぶ。
繁華街は人の出入りが多い分、犯罪が発生しやすい傾向があるが、洗練された雰囲気の「キタ」と比べて、大衆的な雰囲気の「ミナミ」は犯罪発生率が高くなっている。
交通ルールを守らない人が多い
大阪の人は残念ながら交通ルールを守らない人が多い。例えば大阪では、「青は進め、黄色は進め、赤は気をつけて進め」というローカルルールが存在するともいわれている。
また、大阪の市街地は平坦なので、自転車に乗っている人も多く、縦横無尽に走る人も少なくないので、道を歩くときは注意しておこう。
大阪の移住支援制度が充実している市町村(自治体)10選
最後に、移住支援やサポートが充実している自治体を厳選して紹介する。
具体的に住みたい地域が決まっていない場合は、お得な移住を叶えられる以下の自治体を移住先の候補として考えてみよう。
大阪市(おおさかし)
出典:大阪市新婚・子育て世帯向け分譲住宅購入融資利子補給制度の概要|大阪市
大阪市は、大阪府の中でも最も人口の多い政令指定都市だ。
西日本最大の都市である大阪市は、自然を求めて移住するというより、都会の利便性や刺激を求めている人にぴったりな移住先だと言える。
大阪市は人口が多いこともあり、移住に関する取り組みは特に行っていないが、初めて住宅を取得する新婚世帯または子育て世帯を対象に、住宅ローンに対して年0.5%以内、最長5年間の利子補給を行っている。
移住後に住宅の取得を考えている人は、制度を活用してみよう。
能勢町(のせちょう)
能勢町は大阪の最北端に位置する町だ。緑の山並みや一面に広がる田園など、昔ながらの里山の風景が残っている。
町は深山、剣尾山、妙見山、三草山、歌垣山など四方を山に囲まれ、猪名川流域の清流が田園を豊かに潤す。
豊かな自然に恵まれた能勢町は、「緑あふれる環境で生活したい」という人におすすめの移住先だ。
能勢町では、不動産事業者と連携し、空き家の売却などに関する相談会を開催している。また、町役場では移住相談窓口を開設しているので、気になる人は気軽に問い合わせてみよう。
岸和田市(きしわだし)
出典:岸和田市
岸和田市は大阪府の南部に位置する市で、古くから「城とだんじりのまち」として知られている。
関西国際空港から車で約15分、大阪の中心部からは、JR阪和線、南海電鉄南海本線、阪和自動車道、阪神高速湾岸線が通じているため交通利便性も高い。
移住に関する支援は特に行っていないが、0歳から中学3年生の子供の医療費一部負担、児童手当、未熟児養育医療給付、ひとり親家庭医療費助成など、子育てに関するさまざまな支援を行っている。
高槻市(たかつきし)
出典:MY LIFE, MORELIFE
高槻市は、大阪と京都のほぼ中間に位置する市だ。市の中心には百貨店があり買い物にも便利。カフェやレストランなどの飲食店の数も多い。
市営バスの路線が充実しているため市内の移動もスムーズ。JRと阪急の特急電車が停車するなど、交通利便性の高さも高槻市の魅力だ。
高槻市では、市外から市内に越してきた子育て世帯と、市内に在住する親世帯が同居または近居するために市内で持ち家を取得する場合、費用の一部として最大20万円支給している。
高槻市へのU・Iターンを検討中の方は、制度を活用してみると良いだろう。
河内長野市(かわちながのし)
出典:かわちながので暮らそう
河内長野市は、大阪府南部の南河内地域にある、市域の約7割が森林という自然豊かな街だ。
令和元年から3年連続で犯罪発生率(人口10万人あたりの刑法犯罪認知件数)が、大阪府内が最も低い安全な街という点も河内長野市の魅力のひとつ。
安心して子育てをしたいファミリー世帯におすすめの移住先だ。
河内長野市は移住支援に力を入れており、空き家バンクや近居同居促進マイホーム取得補助制度など住宅支援も充実している。
テレワークの実施を目的として市内に転入する世帯を対象に、1世帯あたり10万円支給している。テレワークで働くことを考えている人は、ぜひ制度を活用しよう。
千早赤阪村(ちはやあかさかむら)
出典:千早赤阪村
千早赤阪村は、南河内郡に属する大阪府で唯一の村だ。総人口は4,912人と大阪府内で最も少ない。
村には府内最高点を誇る金剛山や、鎌倉時代末期から南北朝時代にかけて活躍した武将・楠木正成ゆかりの神社や史跡が点在している。
大阪市内へは、車で約1時間の場所にありながら、日本の棚田百選に選ばれた下赤坂の棚田や、金剛山から湧き出る清流など自然豊かな環境だ。
千早赤阪村では、0歳から中学校3年生までの子供医療費の助成、ひとり親家庭医療費助成制度、児童手当、乳児等おむつ購入費助成など、さまざまな子育て支援を受けることができる。
箕面市(みのおし)
出典:箕面に住む?|箕面市
箕面市は、大阪北部に位置している。大阪梅田まで電車で約25分とアクセス抜群でありながら、自然も身近な環境だ。
東洋経済新報社の「住みよさランキング」で、大阪市に次ぐ府内第2位、日経BP総研の「評判」と「実績」で見る子育てしやすい自治体ランキング2020では関西第1位を獲得。
市内の中部のエリアには、大型ショッピングモールもあり、毎日の買い物にも便利。市内のエリアごとに特徴があるのも箕面市の特徴だ。
箕面市では、子どもの医療費を高校卒業年齢まで助成。さらに、妊婦さんの定期健康診査の費用を、市が全14回にわたり助成するなど、子育て支援に力を入れている。
岬町(みさきちょう)
出典:岬暮らしはじめませんか?
岬町は、幸豊かな大阪湾と緑に恵まれた和泉山脈に囲まれた、漁業資源と豊かな自然に恵まれた町だ。
大阪府と和歌山県の県境に位置しているが、大阪市内までは約60分でアクセス可能。和歌山市までは、電車で約10分、自動車で約20分と便利な立地環境だ。
町内には、海水浴や海釣りなど海を楽しめる施設が多く、年間を通してさまざまなレジャーを楽しむことができる。
岬町は、移住に関する支援が充実しているのも魅力のひとつ。
新築住宅取得補助制度、中古住宅取得補助制度、民間賃貸住宅家賃補助制度、空き家再生事業補助制度など、さまざまな支援を受けられる。
豊能町(とよのちょう)
出典:とよのに住もう|大阪府豊能町
豊能町は、大阪府北部に位置する標高600mを超える北摂連山に囲まれた自然豊かな町だ。京都府と兵庫県との境界に接しているため、大阪・京都・兵庫という3つの生活圏が交差している。
町内には多くの石仏をはじめ、神社仏閣、キリシタン関連の遺物など貴重な重要な史跡などが点在しているのも特徴だ。
豊能町には、移住希望者の住まいの相談や空き家の所有者と利用者のマッチングを行う住まいの相談窓口・空き家バンクを町とNPO法人豊能町ふるさとおこし協議会が連携して運営している。
移住後の住まいについて相談したい人は、ぜひ活用してほしい。
吹田市(すいたし)
出典:その他の住宅支援|吹田市
吹田市は、大阪府の北部に位置する市で、東は茨木市と摂津市、西は豊中市、南は大阪市、北は箕面市に接している。
市域から10km圏内にJR新大阪駅や大阪国際空港があり、幹線道路や鉄道路線には、多くの鉄道駅があるため、大阪市内や近隣都市との移動にも便利だ。
利便性の高い地域でありながら、万博記念公園や、紫金山公園、千里南公園といった自然が身近な環境というところも吹田市の魅力だろう。
吹田市では、住宅に関する相談窓口を用意しているので、移住先での住まいについて相談してみよう。
大阪移住|失敗や後悔しないためにメリット・デメリットの把握が重要
有名な観光スポットや、美味しい食べ物、ユーモアのある人など、さまざまな魅力のある大阪。移住先として選びたい人も多いだろう。
ただ、どんなにメリットの多い魅力的な土地であっても、必ずデメリットも存在する。
移住を成功させるためにも、メリット・デメリットの両方を理解したうえで、しっかりと大阪移住に向けて準備を進めてみよう。