「自然豊かな環境に移住して、穏やかに暮らしたい」そんな願いを抱えている方にぴったりな移住先が富山県だ。富山県は本州のなかでも特に自然が豊かなエリアで、なおかつ移住者を受け入れるための支援体制も整っている。
この記事で、富山移住のメリット&デメリットや失敗しない移住計画の立て方、活用すべき支援制度(補助金)とおすすめの自治体を見ていこう。
移住する前に知っておきたい富山県の基本情報
富山県は本州の中央北部に位置する、日本海の見える県。10市4町1村からなる自然豊かな地域だ。
まずは、移住前に知っておきたい富山県の基本情報から見ていこう。
参考:富山ってこんなとこ | 富山県移住・定住促進サイト「くらしたい国、富山」
地理
富山県は中部地方に分類される県。西は石川県、南は岐阜県、東は新潟県と長野県に面している。面積は4,247.61平方キロメートルと小さめだ。
富山県は都会へのアクセスが良く、新幹線と電車で東京まで2時間8分、大阪まで3時間4分。富山きときと空港から飛行機に乗れば、東京まで55分と1時間以内に到着もできる。
参考:富山ってこんなとこ | 富山県移住・定住促進サイト「くらしたい国、富山」
人口
富山県の総人口は1,017,973人、総世帯数は408,086世帯(令和4年8月1日現在)。令和3年8月時点の総人口は1,026,761人であったため、住人は減少傾向にある。
一方で、同じく令和3年8月時点の世帯数は406,771世帯。人口が減るなかでも世帯数は増加してい
る。
参考:富山県/富山県の人口と世帯 富山県人口移動調査結果(推計人口)ー令和4年8月1日現在ー
参考:富山県の人口と世帯
気候
富山県の年平均気温は14.5度。冬には0度ほどまで下がり、夏には30度を超える日もある、寒暖差の大きい土地だ。
また、1年を通して湿度が高く、夏と冬は降水量も多い。年間平均降水量は2,374.2ミリで、この数値は東京の1,598.2ミリを大きく上回っている。
参考:移住のよくある質問 | 富山県移住・定住促進サイト「くらしたい国、富山」
産業
富山県の産業は多様だ。医療品の生産、コシヒカリなどの人気米の栽培、定置網が主流の漁業など、幅広い分野で人々が活躍している。
しかし特筆すべきは、やはり漁業だろう。富山湾は天然のいけすとも称されるほどに魚介が豊富で、ブリやホタルイカ、シロエビなどがたっぷり採れる。
移住後にはスーパーで市販されている魚介類の美味しさに驚くはずだ。
また、第二次産業の割合が1番大きい県であり、世界的シェアの企業が多いことから働き口の提供や雇用創出にも寄与している。
【富山移住のメリット】移住先としておすすめの理由は?
富山移住のメリットには、以下の4点が挙げられる。
- 本州でも自然豊かな県のひとつ
- 「教育県」と呼ばれるほど学校教育が充実
- いざというときの医療や介護体制も◎
- 日本では珍しい地震が少ないエリアでもある
それぞれ順番に見ていこう。
本州でも自然豊かな県のひとつ
富山県は植生自然度が国内3位(本州1位)。北アルプス立山連峰に代表される緑豊かな自然環境に囲まれ、北側には日本海の海岸線が広がる自然豊かな県だ。
新鮮な山水の影響で農作物もよく育ち、食べ物も美味しい。紅葉や降雪など四季折々の情景も堪能できる。
参考:富山ってこんなとこ | 富山県移住・定住促進サイト「くらしたい国、富山」
「教育県」と呼ばれるほど学校教育が充実
富山県は別名「教育県」とも呼ばれており、子どもの学習に力を入れている。文部科学省の学力調査では、全国4位(平成30年度全国学力・学習状況調査。小中学校の部)に輝いた実績も持つ。
図書館の数も全国で6番目に多く、博物館数も全国3位、劇場&音楽堂数は全国1位であるなど、知的好奇心をくすぐる施設も充実。
子どもがしっかりと学べる環境を与えたいファミリー層にぴったりな移住先だ。
参考:教育 | 富山県移住・定住促進サイト「くらしたい国、富山」
いざというときの医療や介護体制も◎
一方で、富山県は年配の方におすすめの移住先でもある。医療や介護体制が充実しているためだ。
富山県は救急車の現場到着時間が平均7分と、全国でもっとも早い。また、ドクターヘリも2015年に導入しており、県内全域におおよそ11分以内に到着できる。
富山型デイサービスと呼ばれる、民家を改修した家庭的な雰囲気の施設でケアを受けられる介護制度も嬉しい。
健康や日常生活にまつわる不安の少ない形で、安心して日々を送れるだろう。
参考:福祉・医療 | 富山県移住・定住促進サイト「くらしたい国、富山」
日本では珍しい地震が少ないエリアでもある
実は、富山県は日本でも有数の地震が少ないエリアだ。
2020年までの過去30年間の震災回数は全国最小。今後30年間で、富山市に震度6弱以上の地震が来る確率も5.2%。
この数値は東京新宿区(同47%)や大阪府大阪市(同30%)と比べると、はるかに低い。
参考:富山ってこんなとこ | 富山県移住・定住促進サイト「くらしたい国、富山」
【富山移住のデメリット】「失敗」や「後悔」の声もある?
一方で、富山移住のデメリットとして知っておきたいのが以下の3点だ。
- 車社会でマイカーがないと不便なことも
- 富山ならではの地域活動がある
- 虫や動物と共生する覚悟が必要
デメリットを理解しておくことは、後悔を避けるために欠かせない。あらかじめ念入りに確認しておこう。
車社会でマイカーがないと不便なことも
現実的な問題となるのが、マイカーの有無。富山県は公共交通機関も用意されているが、都会ほどには充実しておらず、多くの人が車を所有している。
いわゆる車社会であるため、マイカーのない方は不便を感じやすい。
それぞれが別の場所に出勤・通学する家庭では、一人ひとりが軽自動車を持つなどの工夫が重要となるケースもある。
参考:移住のよくある質問 | 富山県移住・定住促進サイト「くらしたい国、富山」
「江ざらえ」などの富山ならではの地域活動がある
富山県は全国視点で見ると田舎で、独自の慣習や地域活動もたくさん残っている。代表的なのが「江ざらえ」だ。
江ざらえとは、地域みんなで行う水路の掃除のこと。家の周りの水路はもちろん、農業用の用水路まで地域の住民全員で綺麗にしていくイベントだ。
このような密接な人付き合いを好意的に受け止められないと、富山移住は難しいかもしれない。
参考:江ざらえってなに? | 富山県移住・定住促進サイト「くらしたい国、富山」
虫や動物と共生する覚悟が必要
前述の通り、富山県は森林が豊かな県。動植物にとっても理想的な環境であるため、日々の生活のなかで虫や動物を頻繁に見かける。
特に虫は、富山弁で「オロロ」と呼ばれるイヨシロオビアブなど、なかには人を刺すといった害を及ぼすものもいる。
森林に入るときには長袖長ズボンで行動するなど、移住後は上手に対処方法を学んでいきたい。
参考:イヨシロオビアブ(富山弁:オロロ)に気をつけろ! | 富山県移住・定住促進サイト「くらしたい国、富山」
富山移住の計画方法|事前準備や確認は念入りに
では、富山移住の計画方法を見ていこう。大切なのは以下の流れを押さえておくことだ。
- 目的の明確化
- 支援金を意識したエリア決め
- 仕事の検討
- 現地訪問&お試し移住
- 物件探し
老後の暮らし?子どもの教育?富山に住む目的を明確にしよう
もっとも大切なのは、富山に移住する目的を確認しておくこと。
・恵まれた環境で子どもに教育を受けさせてあげたい
・自然豊かで病院も充実した場所で、老後の穏やかな暮らしを送りたい
目的を明確にすることで、移住の具体的なイメージも掴みやすくなる。移住実践後に「夢見ていた暮らしに手が届いた」と感動することにもつながるだろう。
移住支援金や補助金もチェックしつつエリア決めを進めよう
目的の明確化の次は、移住先となるエリア決めだ。
富山県は移住支援金や補助金といった、移住支援が充実した自治体も多い。自治体ページから制度をチェックしつつ、自分が住んでみたい地域を検討していこう。
なお、移住支援制度の充実したおすすめ自治体は記事の後半で解説する。そちらも参考にしてみてほしい。
エリア内で移住後の仕事も検討できると◎
おおまかに住んでみたいエリアを決めた後は、移住後の仕事について検討できると安心だ。
現在の仕事をテレワークで継続するのか、新規に富山で就業するのか。移住後に焦らず済むよう生業を見つけておきたい。
新規就業を希望するなら、富山くらし・しごと支援センターにオンラインで相談してみるのも◎。
移住体験施設やお試しツアーで現地を訪れよう
仕事探しと並行して、体験施設やお試し移住ツアーを活用して実際に富山を訪れておこう。
移住では、現地に足を踏み入れてはじめてわかる気づきもある。新緑に囲まれた空気の美味しさに感動したり、田舎の環境に寂しさを感じてしまったり、良い面にも悪い面にも発見があるだろう。
時期が悪く、体験施設の開放やお試し移住ツアーの開催が行われていない場合は、長期旅行の気分で独自に滞在してみるのも良い。形を問わず、現地を訪れることは欠かさないようにしたい。
自治体担当者と一緒に空き家・物件探しを進めよう
現地を訪れた後にますます富山に住みたくなったなら、自治体担当者に連絡を取り、一緒に物件探しを進めよう。
前述の通り、富山は移住支援制度が充実している。自分の興味がある市町村の自治体担当者に連絡を取り、まずは自分が対象となりそうな制度を確認してみよう。
本格的に物件探しを希望する旨を伝えれば、空き家バンクの紹介など力になってくれるはず。まだ一般には公募されていない、魅力的な住まいを紹介してもらえる可能性も十分だ。
移住支援の充実した富山のおすすめ市町村(自治体)5選!
最後に、富山県の移住支援の充実したおすすめ市町村を紹介する。自分が理想とする暮らしに近づけそうな地域はどこか、ぜひ考えてみてほしい。
入善町(にゅうぜんまち)
出典:水の街 入善暮らし
まず紹介するのは、富山県の北東部に位置する入善町(にゅうぜんまち)。
清流・黒部川の恩恵を受ける、水の町として知られている。景観の面では、天然記念物である「杉沢の沢スギ」が有名だろう。
入善町のユニークな移住支援制度が、運転免許取得費用の補助だ。移住後に入善自動車学校で免許を取得すると、費用の1/3(最大10万円)を補助してもらえる。
また、入善町は移住支援金の対象自治体で、最大100万円(単身は60万円)の助成金を受けられる。空き家バンクや住宅の増改築に対する支援(最大60万円)もあり、住まいの確保も行いやすい。
参考:入善町のご紹介/入善町
参考:移住者運転免許取得支援補助金・安全運転支援補助金/入善町
参考:安心定住促進事業/入善町
南砺市(なんとし)
出典:なななんと 南砺市移住ガイド
「なんてナイスななんと」のキャッチコピーが目を惹く南砺市(なんとし)。
越中の小京都とも呼ばれる城端エリアや、世界遺産・合掌造り集落のある五箇山エリアなど、歴史や年月の重みを感じさせる地域が多い。
移住支援では王道の移住支援金のほか「南砺市定住奨励金」が嬉しい。市外からの転入に際して住居を取得した場合に、新築なら100万円〜、中古住宅でも60万円〜と高額な奨励金を受け取れる。
妊娠中の健康診査が14回助成されたり、中学3年生までの子どもの医療費が無料となったりと、出産や子育てにまつわる支援もある。
参考:南砺市について
上市町(かみいちまち)
出典:かみスイッチ
住居にまつわるコストを抑えて富山移住を実現したい方には、上市町(かみいちまち)がおすすめだ。
0円空き家バンクという土地と建物を無償で譲渡してもらえる驚きのマッチングサービスがあり、契約がまとまればお金がかからない。
町の立地も富山の中心地から車で南東に30分ほどの場所にあり、都市部へのアクセスも良好。若年世帯の住宅取得に対して、最大80万円の支援を行っている点も注目だ。
参考:各種支援制度 | 富山県上市町移住・定住ポータル かみスイッチ
氷見市(ひみし)
出典:氷見市IJU応援センター
富山県の西側にある小さな町が氷見市(ひみし)。
人口はおよそ50,000人で、周囲を山々と日本海に囲まれている、牧歌的な暮らしを堪能できる地域だ。東洋経済新報社の「住みよさランキング 住居水準充実度」で全国1位に輝いたこともある。
氷見市では以下の通り、金銭面にまつわる高額な支援が充実している。
・定住マイホーム取得支援補助金:140万円
・住宅リフォーム支援補助金:100万円
・県外転入者空き家改修支援事業補助金:100万円
・定住促進賃貸住宅家賃補助金:48万円
・移住世帯生活応援金:10万円
・氷見市移住支援金:100万円~
(※金額はいずれも最大補助額)
自身が利用できる制度はないか、自治体担当者に相談してみてはいかがだろうか。
参考:富山県氷見市IJU(移住)応援センター「みらいエンジン」
参考:ご利用ください「住まい・移住に関する補助制度」/氷見市
富山市(とやまし)
出典:富山市への移住を検討している方へのご案内|富山市
最後に紹介するのは、県庁所在地である富山市(とやまし)。
人口がおよそ40万人と栄えている一方で、車で1時間も走れば海にも山にも到着できる。自然と利便性の共存した暮らしを堪能できるエリアだ。
富山市では移住支援金や住宅にまつわる各種金銭支援を提供しているほか、県が行うとやまの魅力体験助成制度(現地訪問を助けるための制度)の活用を推奨している。
こちらは富山までの交通費や宿泊費を所定の割合で補助してもらいつつ、先輩移住者や地域住民とお話もできる嬉しい制度だ。
入念な計画を立てて富山移住を実現させよう!
この記事では富山への移住について、メリット&デメリットや移住計画の立て方、支援制度の充実したおすすめ自治体を紹介した。
移住ではあらかじめその地域のメリット&デメリットを把握し、入念な計画を立てることが大切。
この記事の内容を参考に、まずは移住の目的を明確化することからはじめてみよう。