地方移住に高い関心が集まるなか、長く暮らした都会を離れて、自然豊かな地方へのIターン転職を考えている方もいるだろう。
Iターン転職を成功させるためには、移住先での仕事の見つけ方や、活用できる支援制度などをしっかりと把握しておくのが重要だ。
手厚い就労サポートがある自治体や、地域おこし協力隊の活動が盛んな自治体についても紹介するので、ぜひチェックしてみてほしい。
Iターン転職とは
地方移住の話題では、Iターン・Uターン・Jターンという言葉がよく登場する。
いずれも、出身地から移住先までを繋ぐ動線をアルファベットの形に見立てたもので、移住に転職が伴う場合は「○ターン転職」と呼ばれる。
まずは、I・U・Jターン転職それぞれの違いについて理解しておこう。
生まれ育った地元を離れ、別の地域に移住し働くのが「Iターン転職」
出身地とは別の地域に移住して働くことを、「Iターン転職」という。
都会で生まれ育った人がそのまま都会で就職した後、地方に移住して働くケースが多い。
旅行で訪れた地方に都会にはない魅力を感じて移住するパターンや、東京で働く人が地方での起業を機に移住するパターンなどがある。
Uターン転職・Jターン転職との違い
Iターン転職と並んでよく見聞きするのが、Uターン転職とJターン転職だ。
- Uターン転職
地方出身者が都会に出て働いた後、生まれ育った地元に戻って転職するパターン。
「慣れ親しんだ地元で自分に合った暮らしがしたい」「趣味を充実させたい」といった理由や、「親の介護が必要だから」という理由でUターン転職を決意するケースが多い。
- Jターン転職
地方で生まれ育った人が都会で就職した後、出身地とは異なる地方に移住し転職するパターン。
家族や友人との距離の近さや、都会の利便性とのバランスなどを考えて、地元に近い地方都市をJターン先に選ぶ人も。
Iターン転職とU・Jターン転職の大きな違いとしては、次の2つが挙げられる。
- 出身地
- 家族や地元の友人との距離
U・Jターン転職の場合は地方出身であることが前提となるが、Iターン転職の場合は都会出身であるケースが多い。
また、Uターンや地元近くへのJターンであれば、家族や地元の友人との距離は近くなるが、Iターンの場合は、家族・友人とは距離が離れることになる。
Iターン転職は知り合いのいない地方で生活することになる分、不安も大きいかもしれない。
しかし、新しい場所でゼロから生活を築き上げていったり、都会とは違ったライフスタイルを新たに経験できたりするのは、Iターン転職ならではの醍醐味と言えるだろう。
地方への移住・転職ニーズが高まっている理由
ところで、昨今では地方移住への関心が以前にも増して高まっているが、その背景には一体何があるのだろうか?
理由として挙げられるのは、近年の生活様式の変化や、それに伴う人々の意識の変化だ。
ここ数年で、私たちの生活様式や働き方は大きく変わった。
それに伴って、自分や家族にとっての本当の豊かさや、理想のライフスタイルとは何かを考える人が増えたのだ。
もっと自分らしく働ける場所、充実したライフスタイルを実現できる場所を自ら探そうという意識が生まれ、選択肢のひとつとして地方が大きくフォーカスされたわけだ。
加えて、地方の企業や自治体がU・J・Iターン転職の受け入れ制度などを整備し始めたことも、地方移住を後押しするきっかけになっている。
Iターン転職のメリット
ここからは、Iターン転職のメリットを具体的に見ていこう。
主なメリットは次の6つだ。
- 美しい自然を身近に感じながら豊かな生活を送れる
- 通勤のストレスから解放される
- 生活費を安く抑えられる
- 新鮮で美味しい食材を堪能できる
- 子育てしやすい環境が整っている
- 地域に暮らす人々との繋がりを作りやすい
美しい自然を身近に感じながら豊かな生活を送れる
Iターン転職のメリットとしてまず挙げられるのが、美しい自然を身近に感じながら生活できるという点だ。
地方には山や海、川、森などの多様な自然がすぐそばにある。
季節ごとに表情を変える美しい自然は、普段の生活に豊かな彩りを与え、心身をリフレッシュさせてくれる。
海や山へのアクセスも良好なので、サーフィンやスキー、キャンプなどの趣味を充実させることも可能だ。
通勤のストレスから解放される
都会で働いていると、毎朝の満員電車通勤にストレスを感じることも多いだろう。
一方、地方では車通勤のケースも多く、電車で通勤する場合でも、都会のような通勤ラッシュに遭遇することはほとんどない。
通勤のストレスが大幅に減るので、その分、仕事のモチベーションも維持しやすくなる。
生活費を安く抑えられる
地方では、都会と比べて生活費が安く済むケースが多いのもメリットだ。
総務省統計局による家計調査の結果では、1世帯当たりの1ヶ月の支出は次のようになっている。
地域 | 1ヶ月当たりの支出 |
---|---|
東京都23区 | 31万4,543円 |
岩手県盛岡市 | 25万3,039円 |
和歌山県和歌山市 | 25万4,204円 |
愛媛県松山市 | 18万5,636円 |
鹿児島県鹿児島市 | 25万7,310円 |
※二人以上の世帯のうち勤労者世帯
※2023年6月
内訳を見てみると、食費・教育費・教養娯楽費などは、東京より地方の方が安い場合が多い。
また、東京と地方では家賃相場が大きく異なる点にも注目したい。
例えば、東京23区内で2LDKのマンションを借りる場合、家賃は安くても10万円、エリアによっては30万円以上かかる場合もある。
一方で、宮城県の場合は、政令指定都市である仙台市でも、2LDKのマンションなら7万円〜8万円ほどが相場。10万円も出せば、3LDKの戸建てを借りることも可能だ。
参考:家計調査 / 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表1-1|総務省統計局
参考:全国の家賃相場・賃料相場情報|SUUMO
新鮮で美味しい食材を堪能できる
きれいな水と空気に恵まれ、海や山がすぐ近くにある地方は、新鮮で美味しい食材の宝庫だ。
野菜や果物、海の幸・山の幸など、季節ごとの旬を味わえるほか、地元のブランド牛やブランド米などの特産品も手軽に堪能できる。
食生活を豊かにしたい方や、子どもの食育に力を入れたい方にも、地方移住はおすすめだ。
子育てしやすい環境が整っている
豊かな自然に囲まれて伸び伸びと子育てができるのも、地方移住の大きな魅力だ。
大自然にアクセスしやすい地方なら、気軽に海や山、川、森などへ行って、子どもを思いっきり遊ばせることもできる。
季節ごとに変わる自然の表情も、子どもの情緒を豊かに育んでくれるだろう。
また、地方は都会と比べて保育園などの待機児童が少ない傾向にあるので、仕事と子育てのバランスを取りやすいのも嬉しいポイントだ。
地域に暮らす人々との繋がりを作りやすい
地域の人々との繋がりを作りやすいのも、地方暮らしの魅力だ。
都会では、隣近所に住む人の顔も知らないということが決して珍しくない。
しかし、地方では、地域のイベント・行事などをはじめ、町内会や消防団、子ども会の集まりなど、地域の人々と関わる機会が多くある。
幅広い交友関係を築きたい方や、新たなコミュニティを求めている方にも、Iターン転職はぴったりの選択肢だ。
Iターン転職のデメリット・注意点
Iターン転職には多くのメリットがある一方で、デメリットや注意点もいくつか存在する。
移住後に後悔しないためにも、次のポイントは事前にしっかり把握しておこう。
- 都会と比較して収入は下がりやすい
- 仕事の選択肢が限られる
- 娯楽施設が少ない
- 生活に車が必須となるケースも多い
- 地域の風土・慣習に順応できる力が求められる
都会と比較して収入は下がりやすい
まず、Iターン転職は収入が下がる可能性があるということを覚えておこう。
国土交通省の報告では、2019年における一般労働者の所定内給与は、東京と地方で50,000円~10万円ほどの差があるという結果が示された。
地方では都市部に比べて生活費が安く済むことが多いため、収入が減少してもゆとりのある暮らしを送ることは可能だ。
しかし、趣味などにお金をかけたい場合は、Iターン転職後は収入が下がりやすいので注意しよう。
仕事の選択肢が限られる
地方では企業の数や求人数が都会に比べて少なく、選べる職種も限られる。
そのため、やりたい仕事が見つからなかったり、希望する仕事に就けない可能性もあることを理解しておこう。
やりたい仕事がある場合は、Iターン候補地を選ぶ際に、その地域の求人情報をあらかじめ調べておくと良いだろう。
また、Iターン転職を成功させるためには、今まで経験してきた業種・職種に限定せず、新しい分野に挑戦してみるのもおすすめだ。
娯楽施設が少ない
映画館や美術館、テーマパークなどの娯楽施設が少ないことも、地方移住のデメリットと言える。
大人数を収容できるスタジアムやコンサートホール、劇場なども、都会に比べると圧倒的に少ないため、スポーツ観戦やアーティストのライブなどに行くのが好きという方は、少し物足りなさを感じるかもしれない。
移住後のギャップをできるだけ少なくするためにも、Iターン先の地域情報は事前にしっかり調べておくことをおすすめする。
生活に車が必須となるケースも多い
地方では、都会に比べて電車・バスなどの公共交通機関が発達していない地域が多いため、生活には車が必須となるケースがほとんどだ。
地域によっては、電車やバスが1~2時間に1本しか運行しないところもあり、マイカーを持っていないと生活に不便を感じやすくなるので気を付けよう。
地域の風土・慣習に順応できる力が求められる
地域によっては、その土地ならではの慣習や文化に馴染む力も必要だ。
季節のお祭りなどの伝統行事は、地域の人々の結束・親睦を深める場として、長きに渡り大切にされてきたもの。
Iターン転職でその土地に赴くならば、地域の人々が守ってきた文化・慣習を積極的に受け入れる姿勢が大切だ。
周りに知り合いがいない場所に移住することになるので、自分から周囲の人々との関わりを築いて、地域のコミュニティに溶け込む力も求められる。
Iターン転職する際の仕事の探し方
Iターン先で仕事を探すには、次のような方法がある。
- 自治体の就労支援制度を活用する
- U・Iターン転職希望者向けの就職フェアに参加する
- 地方転職に強い求人サイト・エージェントに登録する
- 自治体ホームページの求人情報をチェックする
- 地域おこし協力隊に応募する
自治体の就労支援制度を活用する
新しく人を地域に呼び込むために、多くの自治体が移住者に対する就労支援を充実させている。
役所や就労支援施設などでは、就業相談や職業紹介などのサービスを実施しているほか、自治体によっては、キャリアコンサルタントが相談に応じてくれる場合も。
ハローワークと連携して就職・転職支援を行っている自治体もあり、移住者のニーズに合わせた支援を提供している。
都内に移住相談窓口を設置している自治体も多く、忙しくてなかなか現地に足を運べない人でも、都会にいながらにしてさまざまな移住相談が可能だ。
U・Iターン転職希望者向けの就職フェアに参加する
近年では、U・Iターン転職希望者向けの就職フェアなどを実施する自治体も増えている。
実際に社員と話す機会もあるので、疑問点や不安に思っていることをその場で解消できるのがメリットだ。
インターネットでは手に入らない情報を得られることもあるので、積極的に参加してみよう。
地方転職に強い求人サイト・エージェントに登録する
Iターン転職で仕事を探す際は、地方転職に実績のある求人サイトやエージェントを活用するのもおすすめだ。
地方転職に特化したサイトやエージェントであれば、大手の求人サイトには載っていない地元企業の情報が掲載されていることもあるので、優良な地元企業と出会いたい方はぜひ登録してみよう。
転職エージェントを利用すれば、転職市場の情報を教えてもらえたり、履歴書の書き方や面接を受ける際のポイントまで、一括して支援が受けられるのもメリットだ。
自治体ホームページの求人情報をチェックする
自治体によっては、公式ホームページに求人情報を掲載している場合がある。
大手の求人サイトには掲載されていない情報や、希望条件に見合った仕事が見つかる可能性もあるため、移住候補の自治体ホームページもぜひチェックしてみよう。
地域おこし協力隊に応募する
その地域に貢献できる仕事がしたい場合は、地域おこし協力隊への応募も検討してみよう。
地域おこし協力隊とは、人口減少・高齢化などの課題を抱える地方自治体が、都市部からの移住者を地域振興活動の担い手として受け入れる取り組みのことで、総務省が推進する地方活性化事業のひとつに位置付けられている。
地域おこし協力隊員は、実際にその地域で暮らしながら、次のような地域協力活動を行う。
【地域おこし協力隊の活動例】
- 地域ブランド・地場産品の開発や販売、プロモーション
- 地域メディア(自治体の公式SNSなど)を活用した情報発信
- 農林水産業、地域の伝統産業などへの従事
- 地域住民に対する支援活動
任期は概ね1~3年で、任期が満了した後も、その地域に定住してもらうことを目標としている。
地域おこし協力隊の活動には、自治体から給料が支払われるため、移住後の仕事や生活の心配をすることなくIターンを実現できるのが魅力だ。
総務省のホームページには、地域おこし協力隊の事例集も掲載されている。
協力隊に応募したきっかけや、具体的な活動内容などが紹介されているので、興味がある人はぜひチェックしてみてほしい。
出典:地域おこし協力隊|総務省
Iターン転職を成功させるポイント5つ
Iターン転職を成功させるためには、どのようなことに気を付ければ良いのだろうか?
Iターン転職成功のためのポイントを5つ紹介するので、ぜひ実践してみてほしい。
自分の理想の働き方・ライフスタイルを明確にする
まずは、自分にとっての理想の働き方やライフスタイルを具体的にイメージしよう。
「都会では働き詰めだったから、地方転職してオフの時間も充実させたい」
「本業を持ちながら、趣味の延長で副業にも挑戦したい」
「休日には自然に囲まれながら家族でゆっくりと過ごしたい」
など、実現したい働き方や暮らしを明確にすることで、Iターン転職の軸がしっかりと固まり、納得のいく転職活動をすることができる。
目的・目標が明確になれば、移住した後も、生活を充実させるために積極的に行動できるはずだ。
職種や収入にこだわりすぎない
職種や収入にこだわりすぎないことも、Iターン転職を成功させるためのポイントだ。
地方では都会と比べると求人数が少なく、選べる職種も限られるため、地域によっては希望する業種・職種の求人がゼロという場合も。
また、給与水準も都会と比較して低いので、収入にこだわるとなかなか条件に見合う求人が見つからず、転職活動が進まなくなってしまう可能性もある。
Iターン転職をスムーズに進めるためには、職種や収入にこだわるよりも、「どのような職場で働きたいか」「理想とする働き方を実現できるかどうか」などを基準にすると良いだろう。
どのような人材が求められているのかをしっかりと把握する
地方と都会では、求められる人物像が異なるということもしっかり理解しておこう。
都会の大企業では、高い専門性や技術力を持つ人材や、魅力的なキャリアを持つ人材が評価される傾向にある。
一方で、従業員数もそれほど多くない地方の中小企業では、あらゆる業務に対応できる力や周囲との協調性を求められる場合が多い。
企業がどのような人材を求めているのかをしっかりと把握し、的確に自分をアピールすることが、採用を勝ち取るためのポイントだ。
志望動機は熱意が伝わるよう明確にまとめる
Iターンに限らず、転職活動では志望動機で熱意をしっかりと伝えるのが重要だ。
「ただ地方に移住したいから」という理由では、相手の心は動かせない。
企業としては、Iターン先にその土地を選んだ理由や、都会の企業を辞めて地方企業に転職する理由、さらには数ある企業の中から自社を選んだ理由などが知りたいはず。
「旅行で訪れて好きになった地域に貢献したい」
「企業の理念や商品に魅力を感じた」
など、自分の言葉で具体的に、熱意を込めて志望動機を伝えることで、採用に繋がりやすくなる。
国や自治体の支援制度・補助金を活用する
Iターン転職を成功させるには、国や自治体が実施する支援制度や補助金を積極的に活用するのも重要なポイントだ。
地方移住するとなると、下見のための交通費・宿泊費や、移住後の住宅取得費用、引っ越し費用などで、どうしても出費がかさんでしまうもの。
金銭的負担を減らして憧れの地方移住を実現するためにも、国・自治体の支援制度などをしっかりと調べて、積極的に活用しよう。
Iターン転職時に活用したい支援制度・補助金
Iターン転職の際に活用できる支援制度・補助金には次のようなものがある。
- 移住支援金
- 就労サポート
- 住宅取得支援・家賃補助
- 移住体験ツアー・お試し移住体験施設
ひとつずつチェックしていこう。
移住支援金
まずはじめにチェックしてほしいのが、国が地方創生の一環として実施している「地方創生移住支援事業」だ。
この事業では、地方自治体が移住者に対して支援金を支給する取り組みを国がサポートしており、単身で移住する場合は最大60万円、世帯移住の場合は最大で100万円が支給される。
さらに、18歳未満の子どもがいる場合は、ひとりにつき最大100万円が加算されるのも注目すべきポイントだ。
ただし、自治体によっては、移住支援事業を実施していない場合もある。Iターン希望地域が対象となっているかどうか、あらかじめ国のホームページで確認しておこう。
また、移住支援金の交付を受けるには、移住先での就業要件を満たす必要があるので、そちらもあわせてチェックしてみてほしい。
就労サポート
Iターン転職の際には、各自治体が実施する就労サポートなども積極的に活用しよう。
U・J・Iターン希望者の就転職支援が充実している自治体では、キャリアカウンセリングや無料職業紹介所を利用できるだけでなく、面接対策から職場への定着まで総合的にバックアップしてもらえる場合がある。
初めての地域だからこそ、スムーズに転職活動を進められるのは大きな安心感に繋がるだろう。
また、転職活動時の交通費の一部を補助してくれる自治体もあるので、就労関連の補助金制度もあわせてチェックしておこう。
住宅取得支援・家賃補助
Iターンに限らず、地方移住する際には、住まい関連の費用をいかに抑えるかが課題となる。
多くの自治体では、移住者に対する住宅取得支援や家賃補助を行っているので、積極的に活用してほしい。
例えば、宮城県石巻市にIターンをするなら、住宅を新築・購入する際に、最大100万円の補助金が交付される。
また、山形県では、移住者に対して、月額10,000円を上限に、最大2年間の家賃補助を行っている。
空き家を格安で購入できる「空き家バンク」も多くの自治体が運営しているので、マイホームを安く手に入れたい場合はチェックしてみよう。
移住体験ツアー・お試し移住体験施設
Iターン転職の候補地を決める際は、自治体が実施する移住体験ツアーに参加したり、お試し移住体験施設を利用したりするのもおすすめだ。
実際に行ってみなければ分からない、その地域の風土や魅力を肌で感じることができる。
その地域でのリアルな暮らしを体験することで、Iターン後のギャップも減らすことが可能だ。
移住体験施設は安価に宿泊できることに加えて、自治体によっては、移住コンシェルジュのガイドツアーが付いていたり、オーダーメイドの移住体験活動ができたりする場合もある。
就労サポートが充実しているおすすめ自治体(都道府県)5選
ここからは、Iターン転職におすすめの自治体(都道府県)を5つ紹介する。
就労サポートが充実している自治体を厳選しているので、Iターン転職の候補選びの参考にしてみてほしい。
北海道
引用元:北海道で暮らそう!
北海道では、札幌に就業支援センター「ジョブカフェ北海道」を設置し、就業を希望する若者に向けて個別カウンセリングやセミナー、イベント、求人情報検索などの支援サービスを無料で提供している。
また、ジョブカフェ北海道内には育児と仕事を両立させたい女性をワンストップで支援する「マザーズキャリアカフェ」、同一施設内には中高年の転職・再就職をサポートする「ジョブサロン」も開設。
札幌のほか、函館・旭川・帯広・釧路・北見の5都市にも拠点があり、多様なニーズを持つ道内の就業希望者を幅広くサポートしている。
移住ポータルサイト「北海道で暮らそう!」では、北海道内に特化した求人情報サイトや転職支援会社などを紹介しているので、一度チェックしてみよう。
長野県
出典:ふるさとに逢える 楽園信州 心が澄む・信州に住む | 長野県の移住ポータルサイト
長野県へのIターン転職を考えているなら、まずは移住ポータルサイト「楽園信州」をチェックしてみよう。
Iターン移住者の受け入れに積極的な求人をチェックできるほか、仕事探しに役立つさまざまなサポート制度をまとめて把握することができる。
長野市周辺の求人・企業情報サイト「おしごとながの」や、佐久市内にある企業の求人情報に特化した「サクッとお仕事ナビ」など、地域に特化した求人情報サイトもあるので、対象エリア内の求人を探す場合はぜひ活用してみてほしい。
また、県が設置した就職支援施設「ジョブカフェ信州」では、40代前半までの求職者を対象に、コンサルティングから職業紹介まで、さまざまなサポートを実施している。
岐阜県
出典:ふふふぎふ|岐阜県移住・定住ポータルサイト
美濃焼などの伝統産業から、IT・自動車・航空宇宙産業まで、さまざまなものづくりが盛んに行われている岐阜県。
県内には、業界シェアNo.1を誇る企業や、グローバル企業など、個性豊かで魅力的な転職先が揃っているのが特徴だ。
岐阜県では、ワンストップで就業を支援する「岐阜県総合人材チャレンジセンター(ジンチャレ!)」を運営。キャリアカウンセラーによる個別相談や、求人情報検索、職場への定着までを一貫して、無料でサポートしている。
就職関連情報は、岐阜県の就職情報ポータルサイト「ぎふジョブGUIDE」でも確認できる。
また、移住ポータルサイト「ふふふぎふ」では、岐阜県内の魅力企業を動画で紹介している。岐阜県内の企業を調べる際に活用してみよう。
愛媛県
出典:えひめ移住ネット | 【愛媛県公式】移住ポータルサイト
愛媛県では、「ふるさと愛媛Uターンセンター」でU・Iターン移住希望者へのサポートを実施している。
求人情報の紹介や就業相談のほか、「えひめU・Iターンお仕事マッチング制度」を利用すれば企業からオファーをもらうことも可能だ。
年齢制限はなく、誰でも無料でセンターを利用できるので、愛媛にIターンを希望する際はぜひ活用しよう。
ほかにも、愛媛県公式の求人・移住情報サイト「あのこの愛媛」では、県内の求人情報と移住情報をまとめて確認できるうえに、求人への応募や相談も可能だ。
また、IT分野に特化した情報ポータルサイト「IT PLACEえひめ」には、IT人材の求人情報や、愛媛にU・Iターン移住したIT人材へのインタビュー記事などが掲載されている。
愛媛でIT関連の仕事を希望するなら、こちらもぜひチェックしてみよう。
沖縄県
出典:おきなわ島ぐらし
沖縄にIターン転職するなら、まずは若者の県内就職支援事業「りっか沖縄」をチェックしよう。
U・Iターン就職希望者に対する相談対応や情報共有、県内企業とのマッチング、書類添削や模擬面接対策などの幅広いサポートを受けることができる。
また、那覇市にある「グッジョブセンターおきなわ」では、沖縄での暮らしや仕事などをワンストップでサポートしているほか、センター内には、15歳~40代半ばの方を対象とした就職支援機関「沖縄県キャリアセンター」も併設されている。
就労をサポートする機関・施設は、移住ポータルサイト「おきなわ島ぐらし」でもまとめて確認できるので、一度見てみてほしい。
地域おこし協力隊を積極的に募集しているおすすめ自治体(都道府県)5選
続いては、地域おこし協力隊を積極的に受け入れている自治体(都道府県)を5つ紹介する。
地域おこし協力隊としてIターンを検討している人は、早速チェックしてみよう。
山形県
出典:やまがた暮らし情報館|山形県移住交流ポータルサイト
山形県では県内ほぼ全域で地域おこし協力隊を受け入れており、各隊員が地域おこしのためのさまざまな活動に従事している。
具体的な活動例としては、さくらんぼの産地として有名な東根市での農業支援や、若者の地域活動をサポートするためのワークショップを開催(大江町)などが挙げられる。
寒河江市では、さがえ心地体験住宅「さがえベース」の管理・運用など、移住・定住の促進活動に携わっている隊員もいる。
公式Instagramなどで隊員が情報発信している自治体も多いので、隊員の活動をリアルタイムで知りたい人はぜひチェックしてみよう。
宮城県
出典:みやぎ移住・交流ガイド
宮城県では、仙台市、石巻市、気仙沼市などの25自治体で、158名の地域おこし協力隊員が活動している(2023年4月1日時点)。
アウトドアセレクトショップを開業して地域の活性化を図っている隊員や、家族で移住後、地域おこし協力隊として移住・定住サポートセンターでの相談業務に従事している隊員など、さまざまな人が地域振興のために活躍している。
宮城県では地域おこし協力隊の隊員サポートとして、交流会や研修会の実施、イベント開催なども実施。
隊員同士の繋がりも作りやすいので、Iターン転職の場合でも安心だ。
静岡県
出典:ゆとりすと静岡|【静岡県公式】移住・定住情報サイト
静岡県では、伊豆地域を中心に、多くの自治体で地域おこし協力隊を受け入れている。
特産品開発・PRやクラフトビールのブランディング、空き施設の活用や移住・定住の推進、農林業や棚田の保全活動、健康増進に向けての運動指導など、さまざまな活動が展開されている。
移住ポータルサイト「ゆとりすと静岡」では、各自治体で活動する隊員を紹介。
それぞれの活動内容をチェックできるほか、隊員自身のSNSやブログなどへアクセスして、リアルタイムな活動状況を知ることも可能だ。
山あり海あり、美しい自然と美味しい食材に恵まれた静岡県に地域おこし協力隊としてIターンするなら、ぜひ移住ポータルサイトをチェックしてみよう。
福岡県
出典:福がお~かくらし|福岡県 移住・定住ポータルサイト
福岡県では、2021年度に、35市町村で合計124名の地域おこし協力隊を受け入れている。
活動例としては、お寺を中心とした体験型のイベント企画の商品化、町の魅力を発信するフリーペーパー作成、町グルメお取り寄せオンラインイベントの企画・運営、漁業支援などだ。
移住ポータルサイト「福がお~かくらし」では、県内の地域おこし協力隊員募集状況、県内の地域おこし協力隊活動紹介などをまとめてチェックできる。
隊員の活動紹介動画や、現役で活動する隊員へのインタビューなど、豊富なコンテンツが用意されているので、福岡県での地域おこし協力隊の活動を知りたい場合はチェックしてみよう。
鹿児島県
出典:かごしま移住ネット | 鹿児島県移住・交流ポータルサイト
手つかずの美しい自然や昔ながらの食文化、人情味あふれる温かい人々など、多くの魅力がある鹿児島県。
県内39の市町村で、合計141名の地域おこし協力隊員が活動している(2023年6月時点)。
地域の魅力をPRする活動も盛んで、例えば桜島で活動する「さくらじま地域おこし協力隊」は次のような活動を展開している。
【くらじま地域おこし協力隊の活動例】
- 「サクイチナイトウォーク」といった地域イベントの実施運営
- 島の魅力を発信する地域広報紙「さくらじま便り」の発行
- 桜島フェリーや桜島の魅力を紹介する動画の制作
移住ポータルサイト「かごしま移住ネット」では、地域おこし協力隊として活動している隊員のインタビュー記事などが掲載されているので、ぜひ見てみてほしい。
先輩移住者の声から、鹿児島へのIターンのきっかけが見つかるかもしれない。
Iターン転職で理想の働き方・憧れのライフスタイルを実現しよう
地方移住にはさまざまなパターンがあるが、その中でIターン転職は、まったく新しい場所で自分らしい働き方・生き方を実現できる移住スタイルだ。
地方移住のメリット・デメリットをよく理解して、国や自治体の支援制度なども活用しながら、ぜひ納得のいくIターン転職を実現してほしい。
移住先での仕事を探す場合は、自治体の就労支援やU・Iターン向けの就職フェアを積極的に活用するほか、「地域おこし協力隊になる」という選択肢もぜひ検討してみよう。
さまざまな情報を収集し行動していく中で、自分にぴったり合う仕事がきっと見つかるはずだ。