岐阜県は日本のほぼ中央に位置し、東京都や大阪府、名古屋市など都市からのアクセスが良好。豊かな自然に恵まれていて、都市と自然のちょうど良い田舎暮らしを楽しめるのが魅力だ。
この記事では、岐阜移住の魅力や注意点、支援制度からおすすめの自治体まで詳しく解説していく。
移住する前に知っておきたい岐阜県の基本情報
岐阜県の移住情報をチェックする前に、岐阜がどのような県かを知ることが大切だ。基本情報として、地理、人口、気候、産業を理解し、岐阜県の基本情報を押さえていこう。
地理
岐阜県は、日本のほぼ中央に位置している。海に面していない内陸県であることは、全国的にも珍しい。
全国7位の広さを誇る県土を持ち、そのうちの8割は森林であり、森林率は全国2位である。豊かな緑に恵まれ、きれいな水も生み出されている。
また、岐阜市から名古屋まで電車で約20分、新幹線を使えば岐阜羽島から新大阪まで約50分、岐阜羽島から東京まで約2時間と、都市圏へのアクセスも良好だ。
人口
岐阜県の人口は、令和2年の国勢調査において、約198万人だった。全国的には第17位に位置し、長野県に次ぐ順位である。
人口が多い県ではなく中間に位置しているため、人混みに困ることは少なく、ほどよく活気のある暮らしを楽しめるだろう。
なお、岐阜県の人口は減少を続けている。2015年以降の5年間で約5万人減少し、その原因のひとつは転出者が転入者を上回っていることだ。
全国的に人口減少の傾向があるが、岐阜県においても課題であるため、移住者を積極的に受け入れている。
気候
岐阜県の気候は、太平洋側と日本海側で特性が異なっている。太平洋側に位置する美濃地方は平均気温が15度前後で、夏季は気温が高くなり、最高気温上位にランクインすることもあるほどだ。
日本海側の飛騨地方の大部分では、平均気温は12度以下で、標高が高い場所では8度前後で推移している。気温が気になるなら、飛騨地方の方が比較的過ごしやすいだろう。
産業
岐阜県は、製造業が盛んな県だ。豊かな自然で刃具まれた木材や水、土などを活用し、家具や紙、陶磁器などがつくられている。
古くからの伝統工芸も多く、新しい技術も融合しながら現在も製造されている。
伝統的な地場産業以外にも、輸送用機械や一般機械、電気機械の製造も盛んで、日本のものづくりに貢献しているのが特徴だ。
岐阜県に移住したくなる4つの魅力
岐阜県に移住する主な魅力は、以下の4つだ。
- 自然に恵まれている
- 他の地域よりも物価が安い
- 関東にも関西にもアクセスしやすい
- 仕事を探しやすい環境が整っている
岐阜の魅力を理解し、移住のイメージを膨らませてみよう。
自然に恵まれている
岐阜県は内陸に位置し、海はないものの、山や清流などの自然に恵まれている。長良川でのラフティングや下呂市小坂での滝巡りなど、清流でのアクティビティが人気だ。
森林率の高い岐阜県には、100ヶ所以上のキャンプ場がある。オートキャンプやグランピングなどスタイルのバリエーションも多く、キャンプファンにおすすめの移住先だ。
標高3,026mの鶴ヶ峰を最高峰にした山々も魅力的。岐阜の山々で四季折々の景色を眺めたり、たくさんの動植物に触れ合ったりする体験は、暮らしに彩りを与えてくれるだろう。
冬には、雪化粧した山々でウィンタースポーツを満喫できる。スキーやスノーボードが趣味の方にも、岐阜は絶好の移住先と言える。
他の地域よりも物価が安い
総務省が発表している消費者物価地域差指数によると、全国平均100に対して、岐阜県は97.3だった。
全国的には物価が5番目に低い県であり、多くの都道府県よりも物価が低いという結果が出ている。
最も物価が高いのは東京都で物価指数は104.5であるため、都心から岐阜に移住した場合は生活コストを下げやすい。
関東にも関西にもアクセスしやすい
岐阜は、日本のほぼ中央に位置しているため、関東にも関西にも移動しやすい。新幹線を利用すれば、東京へは約2時間、大阪へは約50分でアクセス可能だ。
都市部から離れて暮らしたいものの、レジャーや買い物などで都市部を定期的に訪れたい方でも安心だ。
仕事を探しやすい環境が整っている
独立行政法人 労働政策研究・研修機構によると、岐阜の有効求人倍率は2023年1月時点で1.67である。全国的に水準が高く、1.90の福井県、1.72の島根県に次ぐ有効求人倍率の高さが特徴だ。
そのため、移住に伴って転職する場合、仕事を探しやすい環境と言える。求人の内容にもよるが、希望する転職先を見つけやすいだろう。
岐阜市からは名古屋まで電車で約20分でアクセスできるため、エリアを広げればより求人を見つけやすくなる。
参考:職業紹介-都道府県別有効求人倍率|独立行政法人 労働政策研究・研修機構
岐阜県で実施している移住支援制度
岐阜県で実施している主な移住支援制度をピックアップした。
- 東京圏からの移住支援金
- 清流の国ぎふ移住支援補助金
- 岐阜県林業就業移住支援金
- ぎふの木で家づくり支援事業
- 岐阜県住宅資金助成制度(利子補給制度)
- 子ども医療費助成制度
- お試し移住
- 移住相談窓口
制度の概要を正しく理解し、支援制度を上手に活用しよう。
東京圏からの移住支援金
東京23区の在住者、東京圏に在住し東京23区に通勤する方を対象に、岐阜県内で移住し就業または起業する方への移住支援金だ。
単身の方へは60万円、世帯へは100万円を支給している。世帯移住の場合、18歳未満一人あたり30万円を加算しているのが嬉しいポイントだ。
清流の国ぎふ移住支援補助金
岐阜県以外の都道府県から定住意思を持ち移住する方へ、移住支援補助金を支給している。支援金額は、単身の方へは30万円、世帯へは50万円だ。
清流の国ぎふ移住支援補助金は、実施する市町村によって、支援金額や要件が異なる。実施市町村やそれぞれの要件は、こちらのページを確認しよう。
岐阜県林業就業移住支援金
岐阜県林業就業移住支援金は、移住に伴って岐阜県内で林業に就業する方を対象にした支援金制度である。
支援金額は、単身世帯60万円、2人以上の世帯100万円だ。
ぎふの木で家づくり支援事業
ぎふの木で家づくり支援事業は、住宅の新築や改修に伴って、県産の構造材や内装材の使用量に応じて助成を行う制度だ。
県内の新築は15~32万円、県内の改修は4~16万円の助成を受けられる。
岐阜県住宅資金助成制度(利子補給制度)
岐阜県住宅資金助成制度(利子補給制度)は、岐阜県内での住宅新築や増改築に対して、住宅ローンの金利の一部を県が助成する制度である。
住宅ローンを組んだ場合に、負担を軽減できる。
子ども医療費助成制度
岐阜県では、県内全市町村において、中学生までの医療費が無料だ。自治体によっては高校生まで無料としている場合もあり、医療費を大幅に削減できる。
制度の詳細を知りたい方は、各自治体に問い合わせしてみよう。
お試し移住
岐阜県では、お試し移住用の住居や施設を案内している。市営住宅での移住体験やリゾート施設でのワーケーションなどで、岐阜の暮らしを体験できるサービスだ。
利用できる施設は、岐阜県が運営している移住ポータルサイトで確認できる。
移住相談窓口
岐阜県では、移住相談窓口を東京、名古屋、大阪に設置している。東京と名古屋には岐阜県専属の移住相談員が常駐し、岐阜移住をよく知る人に相談できるのが嬉しいポイントだ。
各相談窓口の詳細は、下記の表を参考にしよう。
窓口 | 所在地 | 営業時間 | 電話番号 |
---|---|---|---|
東京窓口 | 東京都千代田区有楽町2-10-1東京交通会館8階 | 10:00~18:00 | 080-7749-3317 |
名古屋窓口 | 愛知県名古屋市東区東桜1-11-1オアシス21「GIFTS PREMIUM」内 | 10:00~21:00 | 090-2619-2102 |
大阪窓口 | 大阪府箕面市彩都粟生南1-17-26 | 10:00~18:00 | 090-4083-0231 |
岐阜移住におすすめの自治体5選!
岐阜移住でおすすめの自治体は、以下の5つである。
- 岐阜市(ぎふし)
- 大垣市(おおがきし)
- 郡上市(ぐじょうし)
- 中津川市(なかつがわし)
- 下呂市(げろし)
それぞれの特徴や支援制度を押さえて、移住先選びに役立ててみよう。
岐阜市(ぎふし)
出典:ココカラWeb
岐阜市は岐阜県の県庁所在地で、関東や関西、名古屋へのアクセスに恵まれている。都市機能に恵まれ暮らしやすく、足を伸ばせば金華山や長良川などの自然に触れられるのが魅力だ。
岐阜市では、東京23区から移住する方への移住支援金、市内で結婚生活を始める方への結婚新生活支援金などを助成している。
住居への支援も手厚く、住居取得や空き家改修などに補助を受けられる。
大垣市(おおがきし)
出典:大垣暮らしのすすめ
大垣市は、岐阜市に次いでアクセスが良い、岐阜の中心地に近い自治体である。
名古屋まで約30分でアクセスでき、田舎と都会が共存し、ほどよい田舎暮らしを楽しめるのが嬉しいポイントだ。
移住支援では、子育て世帯への制度が充実している。子育て世代等住宅取得支援事業では、住宅取得費用の利子の一部を助成。
リフォーム費用の支援、移住・定住に伴う住居・仕事探しの活動費援助など、さまざまな子育て世帯支援を受けられる。
郡上市(ぐじょうし)
出典:ふるさと郡上会
郡上市は、市の面積の約9割を森林が占めている。山や川が身近にあり、アウトドアやアクティビティなどを気軽に楽しめる。温泉やスキー場などの施設が充実しているのも特徴だ。
移住支援では、仕事に関する支援が充実している。UIJターン就職奨励金制度や居住者通勤費補助金、郡上市移住支援圃場金などを活用し、仕事探しや生活の負担を抑えやすい。
中津川市(なかつがわし)
中津川市は、中央アルプスや御嶽山など山々に囲まれたまちである。四季折々の景色を楽しむことができ、自然が育んだ美味しい食材も味わえる。
昔ながらの宿場町や街並みも雰囲気があり、余暇でぜひ巡りたい場所だ。
移住支援では、住宅取得支援に力を入れている。「新婚さん住まいる応援事業」と「東濃桧と飛騨の杉の家づくり支援事業」を実施し、併用すれば最大100万円の支援を受けることが可能だ。
下呂市(げろし)
出典:下呂に住んでみんかな!
下呂市は、日本が誇る温泉郷・下呂温泉があるまちだ。下呂エリアはもちろん、市内唯一の高校がある萩原エリアや日本一滝が多い小坂エリアなど、自分に合ったエリアを見つけやすい。
移住支援は、住宅購入費の助成や家賃補助などの住まいに関する支援のほか、仕事や就農・就林、子育てなど、幅広い支援を実施している。必要な支援を上手に活用してみよう。
岐阜県に移住する際の注意点
岐阜県に移住する際、いくつかの注意点がある。エリアによる気候の違い、車の必要性などは特に注意が必要だ。移住してから困ることがないように、注意点を整理しておこう。
エリアによって気候が異なる
岐阜の気候を解説したように、エリアによって気候が異なる。太平洋側は夏の気温が高く、日本海側は比較的冷涼な気候だ。
山々に囲まれた盆地であるため、日中と夜間の寒暖差も比較的大きい。
気候や気温に敏感な方は、地域の気候特性を事前に調べよう。なるべく過ごしやすい気候の自治体を選べば、快適に生活できるはずだ。
地域によっては車が必要
岐阜は中心地から関東・関西へアクセスしやすい反面、岐阜市から地方に離れると交通網が少なくなっていく。
県内・県外への移動や普段の買い物などを快適に行うためには、車が必要になる。車を移住に合わせて用意するなら初期費用がかかり、既に持っている場合も維持費用を計算しなければいけない。
移住する地域に合わせて、車が必要かをあらかじめ検討しておこう。
魅力いっぱいの岐阜県への移住を考えてみよう
岐阜県は、山々や清流など豊かな自然に恵まれている。自然の恵みを生かしたモノづくりや農産物の生産が盛んで、伝統工芸や美味しい農作物を身近に感じられるだろう。
全国的に物価が安く生活コストを下げられ、有効求人倍率の高さから仕事を見つけやすい点も魅力だ。
岐阜県で実施している移住支援制度やおすすめの自治体を参考にして、岐阜への移住を前向きに考えてみよう。