本記事は、総務省が推進する「ふるさとワーキングホリデー」を活用し、福島県南会津地域にて10日間の生活体験を経験した参加者が記事を執筆しています。
今回は、地域の「食」の魅力についてレポートしていただきました。
絶品ご当地グルメ&日本酒文化
「南会津地域」と聞いて、すぐに場所やイメージが思い浮かぶ人は、どれくらいいるでしょうか。正直に言うと、南会津は全国的に見て観光地としての知名度が高い地域ではありません。ですが、実際に南会津で生活してみると、この地域にはここでしか味わえない「食」と「酒」がたくさんあることに気づきました。それらは観光客向けにつくられた特別なものではなく、昔からこの土地の暮らしや文化に根付いてきたものばかりです。
今回は、私たちがふるさとワーキングホリデーで南会津に長期滞在したからこそ出会えた、魅力的な「グルメ」と、地域に根付いた日本酒文化を紹介していきます。
おすすめのご当地グルメ
作成者:寺田雄飛
ご当地グルメ①「川の親子丼」
川魚の「刺身」と聞いて、少し驚く人も多いのではないでしょうか。実は南会津・檜枝岐では、そんな珍しい川魚の刺身を贅沢に味わえる一品があります。それが「川の親子丼」です。


この川の親子丼は、檜枝岐にある 尾瀬の郷交流センター・水芭蕉 で提供されており、なんと1日限定5食。運が良ければ出会える幻のメニューです。丼の上には、イワナとニジマスの刺身に加え、イワナのイクラがたっぷり。イクラは塩漬けと醤油漬けの2種類がのっており、それぞれ違った味わいを楽しめます。
この料理が成立する理由は、檜枝岐の圧倒的にきれいな水にあります。檜枝岐では、その水を活かしてイワナの完全養殖が行われており、だからこそ新鮮な刺身として提供することができます。まさに、この土地だからこそ食べられる一品です。
実際に食べてみると、イワナの刺身は川魚とは思えないほど程よく脂がのっていて驚きました。イクラも一般的なイクラより生臭さがなく、いい意味で「海感のない」、さっぱりとした味わいです。川と共に生きる檜枝岐の食文化を、ダイレクトに感じられる一杯でした。
ご当地グルメ②「はっとう」


そば粉などで作られた団子に、名産のエゴマを使ったタレを絡めて食べるのが定番で、このエゴマだれがとにかく絶品です。エゴマに砂糖、そして少量の塩を加えるのがポイントと地元の方に教えていただきました!
名前の由来もユニークで、江戸時代に役人にはっとうを出したところ、「こんなうまいものを毎日食べるのはもってのほか」とされ、ご法度(はっと)になったことから名付けられたという説があります。それほど昔から、人々に愛されてきたお菓子なのだと感じました。
四つの酒蔵と日本酒の魅力
作成者:山田しほ
南会津には、会津酒造、国権酒造、男山酒造、花泉酒造という四つの酒蔵があります。それぞれが異なる個性を持ちながらも、南会津の自然を生かした酒造りを行っています。
私達が南会津に滞在していた期間中は、毎晩四蔵の色々なお酒をみんなで飲み比べしていました!味わいや香りに違いがあり、好みも分かれましたが、どれも非常に美味しく、飲みやすい日本酒でした。


今回のワーキングホリデーでは5日間、会津酒造さんで酒造りの現場を体験しました。
南会津のお酒の大きな特徴は、水の良さにあります。標高が高く、雪の多い南会津は超軟水で、それがすっきりとした味わいの日本酒を生み出しています。社長さんは、「南会津は全国的に見ても日本酒のレベルが非常に高く、大きな理由の一つに水がある」と話していましたが、実際に飲み比べをした経験からも、その言葉はその通りだと感じました。


銘柄ごとの特徴も印象的でした。「国権」は力強くしっかりとした味わい、「男山」はすっきりとした飲み口で、「花泉」は餅米を使用しており、もち米を活かした柔らかい甘さが特徴です。同じ地域で造られていても、酒蔵ごとに味が異なる点が南会津のお酒の面白さだと思います。
また、南会津には「乾杯条例」という条例があります。これは、宴会の最初の乾杯の際に南会津のお酒を使用することを推奨する条例で、日本全国で5番目に施行されました。実際、酒蔵の方々との飲み会に参加させていただいた際、乾杯はビールでもジュースでもなく、全員おちょこに入れた日本酒で、お酒が文化の中心にあるということを実感しました。地域の方々と日本酒で乾杯し、様々なお話を聞きながら笑いあった時間は、南会津の魅力を最も実感した瞬間だったかもしれません。
「雪景色がきれいそうだなぁ」という軽い気持ちから始まった南会津での暮らしは、想像以上に厳しいものでした。連日の積雪、視界を覆う雪景色。便利さや刺激に慣れた日常と比べると、単調に感じてしまう瞬間も正直ありました。しかし、地域の方々の話を聞き、この土地で育まれてきた食や酒に触れるうちに、その印象は大きく変わっていきました。厳しい自然環境があるからこそ、水が磨かれ、その水を土台として食文化や酒文化が育ち、人と人とのつながりが自然と大切にされてきた。その背景を知ったとき、目の前の風景が違って見えました。
食、酒、自然、人、冬の南会津は魅力たっぷりです。ぜひ一度、足を運んでみてはいかがでしょうか。












