車を運転している時にすれ違う車や、駐車場に停まっている車のナンバープレートが、日本各地の風景や観光資源を図柄としたものになっているのを目にした人もいるのではないでしょうか。今回はこうしたご当地ナンバープレートについてご紹介します。
ご当地ナンバープレートとは?概要紹介
ご当地ナンバープレート、正式には「地方版図柄入りナンバープレート」の交付が開始されたのは2018年10月1日。それまでもラグビーワールドカップや東京オリンピック・パラリンピック競技大会の特別仕様のナンバープレートが導入されていましたが、“走る広告塔”として地域の風景や観光資源を図柄とすることにより、地域の魅力を全国に発信するという目的のもと始まりました。
ご当地ナンバープレートの申し込み方法は?
申し込み方法は、ご自身でウェブサイト(http://www.graphic-number.jp)から申し込むか、お近くのディーラー・整備工場にご相談ください。新車や中古車の購入時はもちろん、現在お乗りの車の番号が変わることなく、いつでも図柄入りナンバープレートに交換することができます(※地域名表示が変わるお申し込みの場合は、希望番号による手続きが必要となります)。
お申し込みの際には、自動車検査証をお手元にご用意ください。
なお、取り付けた図柄入りナンバープレートは、そのナンバープレートを変更する事由が発生しない限り、廃車するまで使用することができます。使用終了後は不正使用防止のための穴を開けた上で、取り外した図柄入りナンバープレートを記念に受け取ることも可能です。
ご当地ナンバープレートはいくらかかる?サイズ別に料金を比較
各ナンバープレートの交付料金は、地域やプレートのサイズによって異なります。登録自動車 中板(33cm×16.5cm)なら7,380円~9,100円、登録自動車 大板(44cm×22cm)なら10,850円~15,800円、軽自動車(23cm×12.5cm)なら7,410円~10,010円(※いずれも2023年8月29日時点。2枚セットの金額)。
また、フルカラーの図柄入りナンバープレートに関しては、交付料金のほかに寄付金(1,000円以上)が必要になります。寄付金は、導入地域における交通改善、観光振興などに資する取り組みに活用されるそうです。寄付金無しの場合は、フルカラーでなくモノトーンのバージョンになります。
ご当地ナンバープレートの普及率は?一番人気はどこ?
これまで3度にわたって導入されたご当地ナンバープレートの普及率は、地域によって大きく異なります。最も高いのは7.88%を記録した第2弾の飛鳥。それに続くのが、第1弾の富士山(山梨)の5.38%、第2弾の出雲の5.10%と、揃って5%あまりだったことを見ても、飛鳥の高さは際立っています。
一方、最も低い数値をマークしたのは、第3弾の東京都全域で0.19%。とはいえ、普及率は地方版図柄入りナンバー取り付け台数を保有台数で割って算出しているため、保有台数が多ければ多いほど普及率は上がりにくいのかもしれません。(※データはすべて2024年6月末時点)
ご当地ナンバープレートにはどんなものがある?デザイン傾向まとめ
地域の魅力を全国に発信するために誕生したご当地ナンバープレートには、それぞれの地域が自慢とする観光名所、名産品、偉人といった要素が盛り込まれています。ここでは、その主な傾向をご紹介しましょう。
名所
ナンバープレートの図柄で特に多いのが、観光名所。日本屈指の観光地として知られる京都が天橋立と五重塔を紹介しているのをはじめ、世界遺産である平泉、知床、堺の古墳、そして名勝に指定された山口の錦帯橋、沖縄の首里城も含まれています。
横長のナンバープレートに合うからか、有名な山の図柄も多く、世界遺産に登録されている富士山を筆頭に、石川の白山、庄内の鳥海山、つくばの筑波山、前橋の赤城山、弘前の岩木山といった百名山も映し出されています。
伝承
普及率最高(7.88%)を記録した飛鳥の朱雀。奈良県では薬師寺金堂の本尊台座、キトラ古墳に朱雀が描かれていることもあり、中国の神獣の一つが身近な存在です。白地に朱色や黄色を使った鮮やかな朱雀の姿が目を引くデザインに仕上がっています。
「日本書紀」で須佐之男命(スサノオノミコト)によって退治され、その体内から三種の神器の一つである天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)が見つかったと伝えられる伝説の生き物、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)も出雲のナンバープレート図柄に。8つの頭を持つ八岐大蛇がカラフルに躍動しており、普及率は3番目に高い5.10%です。
偉人
偉人として名が挙がりやすいのは戦国武将たち。三英傑の一人である徳川家康(岡崎)のほか、伊達政宗(仙台)と上杉謙信(上越)も取り上げられています。
本人ではなく代表作がフューチャーされているのは、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」(岩手)。銀河の中を鉄道が運行していく、幻想的な風景が印象的です。
名物・名産品
フクイサウルス、フクイラプトルなどフクイの名前を冠した恐竜も多数存在する恐竜王国・福井は、ここでも恐竜を推しています。一方、秋田が押し出しているのは、1931年に国の天然記念物に指定された秋田犬。「忠犬ハチ公」物語の影響もあって海外にもファンが多いことで知られています。
ここ数年、観光地として人気が高まっている大分は、「日本一のおんせん県」と謳っているだけあって温泉柄。湯気が県名(OITA)を示すロゴマークもナンバープレートに載っています。
ゆるキャラ、スポーツマスコット
地域色を出しやすいご当地ゆるキャラもナンバープレートには多数登場。ゆるキャラグランプリの2011年・2014年王者であるくまモン(熊本)とぐんまちゃん(群馬)、2015年2位のみきゃん(愛媛)など、各地のキャラクターが可愛さを添えています。
ゆるキャラと同じく、愛らしく地元愛の象徴と言えるのがスポーツマスコットたち。広島東洋カープのカープ坊やは、なんと2回取り上げられました。1回目(福山)は投手、2回目(広島)は打者バージョンです。
サッカーファンなら、豊田の名古屋グランパスも見逃せません。豊田スタジアムとともに、シャチをモチーフにしたマスコットたち、グランパスくんをはじめとしたファミリーが車両番号の合間から顔を覗かせています。
ご当地ナンバープレート 一覧
第1弾41地域(2018年10月1日交付開始)
【東北】 | |
盛岡(岩手県盛岡市等) | 不来方の風 |
岩手(岩手県宮古市等) | 銀河鉄道の夜 |
平泉(岩手県一関市等) | 世界文化遺産「平泉」 |
仙台(宮城県仙台市) | 伊達政宗公と仙台七夕まつり |
山形(山形県山形市等) | さくらんぼの里 山形 |
庄内(山形県鶴岡市等) | 稲穂の波と鳥海山 |
【関東】 | |
土浦(茨城県土浦市等) | 帆引き船、花火 |
つくば(茨城県つくば市等) | 筑波山 |
前橋(群馬県前橋市等) | 赤城山 |
越谷(埼玉県越谷市) | ガーヤちゃん、南越谷阿波踊り |
成田(千葉県成田市等) | 飛行機が飛ぶ街 |
柏(千葉県柏市等) | 手賀沼 |
世田谷(東京都世田谷区) | 多摩川とサギソウ |
杉並(東京都杉並区) | 杉並続くみどりいっぱいのまち |
富士山(山梨県富士吉田市等) | 富士山 |
【北陸信越】 | |
新潟(新潟県新潟市等) | 萬代橋、トキ |
長岡(新潟県長岡市等) | 長岡花火 |
富山(富山県全域) | 立山連峰 |
金沢(石川県金沢市等) | 雪つり、梅鉢紋 |
石川(石川県加賀市等) | 白山、能登の里海の波 |
【中部】 | |
福井(福井県全域) | 恐竜 |
富士山(静岡県富士宮市等) | 雄大な富士と豊かな田園 |
豊田(愛知県豊田市) | 豊田スタジアムとグランパスくんファミリー |
春日井(愛知県春日井市) | 道風くんとサボテンキャラクター |
【近畿】 | |
滋賀(滋賀県全域) | 琵琶湖 |
京都(京都府全域) | 花紋様 天橋立・五重塔 |
奈良(奈良県全域) | 桜、紅葉 |
【中国】 | |
鳥取(鳥取県全域) | 砂丘、大山、梨 |
福山(広島県福山市等) | 広島東洋カープ |
下関(山口県下関市) | 下関のランドマーク |
山口(山口県山口市等) | 秋吉台、錦帯橋 |
【四国】 | |
徳島(徳島県全域) | 阿波おどり |
香川(香川県全域) | 瀬戸内海、オリーブ |
愛媛(愛媛県全域) | みきゃん |
高知(高知県全域) | はりまやばし、カツオ |
【九州】 | |
長崎(長崎県長崎市等) | ステンドグラス |
佐世保(長崎県佐世保市等) | ステンドグラス |
熊本(熊本県全域) | くまモン |
大分(大分県全域) | 温泉 |
宮崎(宮崎県全域) | ひなたと海 |
鹿児島(鹿児島県鹿児島市等) | 桜島 |
第2弾17地域(2020年5月11日交付開始)
【北海道】 | |
知床(北海道斜里郡等) | 知床の雄大な自然 |
苫小牧(北海道苫小牧市) | ウトナイ湖とアイスホッケーの街 |
【東北】 | |
弘前(青森県弘前市等) | 弘前城・桜色のお堀と岩木山 |
白河(福島県白河市等) | 春の小峰城 |
【関東】 | |
松戸(千葉県松戸市) | 松戸の風景 |
市川(千葉県市川市) | 市川の梨と街と江戸川 |
船橋(千葉県船橋市) | 梨とアンデルセン公園 |
市原(千葉県市原市) | 菜の花と桜と里山トロッコ |
江東(東京都江東区) | 東京ゲートブリッジ |
葛飾(東京都葛飾区) | 菖蒲・川・カワセミ |
板橋(東京都板橋区) | 躍動感溢れるカラフルな木・花・鳥 |
【北陸信越】 | |
上越(新潟県糸魚川市等) | 上杉謙信と桜 |
【中部】 | |
伊勢志摩(三重県伊勢市等) | 吹き行く魅力 |
四日市(三重県四日市市) | 輝く四日市 |
【近畿】 | |
飛鳥(奈良県橿原市等) | 朱雀 |
【中国】 | |
出雲(島根県出雲市等) | 八岐大蛇 |
【四国】 | |
高松(香川県高松市) | 高松港から屋島を望む |
第3弾10地域(2023年10月23日交付開始)
【東北】 | |
秋田県(秋田県内全市町村) | 親子の秋田犬 |
いわき(福島県いわき市等) | フラシティいわき |
【関東】 | |
栃木県(栃木県内全市町村) | とちぎのいちご |
那須(栃木県大田原市等) | 未来ある那須地域 |
群馬県(群馬県内全市町村) | ぐんまちゃんワールド |
東京都(東京都内全市町村) | ソメイヨシノと東京タワー |
【中部】 | |
岡崎(愛知県岡崎市等) | 徳川家康公の兜の変遷 |
【近畿】 | |
堺(大阪府堺市) | 百舌鳥(もず)と古墳 |
【中国】 | |
広島(広島県広島市等) | 広島東洋カープ |
【沖縄】 | |
沖縄(沖縄県内全市町村) | 首里城復興 |
ご当地ナンバープレートは、第4弾が2025年5月頃に交付開始予定。
地元の思いを運ぶご当地ナンバープレート。ご自身の暮らす地域が対象になっているかどうか、一度調べてみてはいかがでしょうか。