2024年9月21日(土)・22日(日)の2日間、東京・有楽町にある東京国際フォーラムで「ふるさと回帰フェア2024」が開催されました。これは年に一回、全国の自治体・団体が集合する日本最大級の移住フェア。20回目となる今回は初の2日間開催で、参加した自治体・団体の数は670に上りました。
この記事では、都内在住の20代独身女性である編集部メンバーが「ふるさと回帰フェア」に潜入!実際にイベントに参加した体験レポートをお届けします。
「ふるさと回帰フェア2024」体験レポート
まずは「移住初心者相談ブース」へ
会場に到着したのは午前11時過ぎ。イベント自体は10時からやっているため、すでにかなりの賑わいでした。
とりあえず会場内を見て回ってみるものの、特に目的のブースがあるわけではない私は、どこで話を聞いたらいいのか見当もつかず、ただ圧倒されるばかり。そこで、会場の入口付近にいくつかある「移住初心者相談ブース」で、おすすめブースを紹介してもらうことにしました。
私からスタッフさんに伝えた内容は以下の通り。
- 都内在住、20代独身女性。職場も都内。
- 移住について関心はあるものの、そこまで本気で考えているわけではない。
- 移住するなら海のある場所に憧れがある。
かなりざっくりとした相談内容にもかかわらず、親身になって考えてくれるスタッフさん。いきなり自治体ごとのブースに行くのではなく、県としてブースを出しているところもあるので、まずはそこで話を聞いてみるのもおすすめとのことでした。
しかし、せっかくこれだけたくさんの地方自治体・団体が出展しているのだから、今まで知らなかった場所との出会いがあるといいな、と思っていた私のために3つの自治体を紹介してくださいました。
ちなみに、有楽町の東京交通会館の中にあるふるさと回帰支援センターでは、移住についてざっくり聞ける「はじめて相談」を受け付けているとのこと。私のように「移住っていいな」と考え始めたばかりの人向けに、相談員の方が地域探しを手伝ってくれるそうです(事前予約をしていくのがおすすめ)。
ここからは、それぞれのブースを回った感想をお伝えしていきます。
岡山県玉野市
玉野市は岡山県の南端に位置する港湾都市です。初めて聞く地名にドキドキしつつ、ブースの方に声をかけると、とても温かく迎えてくれました。
食が魅力だという玉野市。港湾都市らしく新鮮なお魚が地元のスーパーで手に入ったり、海が見える絶景のカフェがあったり。実際に玉野市に住んでいるという方の実感のこもった生活の様子も聞けました。
また、移住後の生活を考えるうえで外せないのが雇用の問題。玉野市のブースには、雇用にまつわる資料も豊富に用意されていました。そのなかでも印象的だったのは、造船所で働く女性たちのインタビューがまとめられた冊子。単なる情報掲載に終始せず、実際に働くイメージを膨らませることができるので、とても参考になります。
帰り際、「まずは旅行でいいから、遊びに来てください」と言ってくださった玉野市ブースの相談員さんたち。瀬戸内の島々と沿岸部で春・夏・秋に開催される「瀬戸内国際芸術祭」は、ぜひ足を運んでみたい、私の旅先候補になりました。
長崎県五島市
長崎県五島列島の南西部に位置する五島市は、観光地としても人気のスポット。ブースには常に相談者が来ており、その人気の高さが伺えます。
直近5年間で約1200人が移住したという五島市(※Uターン含む)。しかも、そのうちの70%が30代までの若者世代で、移住者の定着率は8割超え。人気があるから良いというわけではないけれど、これらの数値が与える安心感は絶大です。
また、五島市には田舎特有の閉塞感のようなものがほとんどないのだそう。都会からの移住者にとっては案外心配なポイントだと思うので、こうした情報が聞けるのも嬉しいところ。実際、ブースで話を聞かせてくれたのは五島生まれ五島育ちの方でしたが、「のんびりとした雰囲気の穏やかな方」という印象を受けました。その土地が持つ雰囲気を、ブースにいる方々から直に感じ取れるのも、このイベントの良さだと思います。
移住先としてかなり魅力的な五島市ですが、「家」については心配な点も。たくさんの人々が移ってきたことにより、家不足が問題になっているのだそうです。より良いライフスタイルを求めて移住するのですから、住む場所にこだわりたい人も多いはず。気に入った住居が見つかるまでには、時間がかかるかもしれません。
徳島県阿南市
徳島県の南東部に位置する阿南市は、自然豊かな町である一方、産業都市としても発展しています。
ブースにいた担当者は、Uターンの方が2名、Iターンの方が1名。まずは阿南市の魅力を伺おうと思っていたところ、開口一番、「阿南市は、これといって目立った特徴はないんです」と言われて拍子抜けしてしまいました。それでも、よくよく話を聞いてみると、「何が良いかと言われたら難しいんだけど、ここの暮らしが好きで帰ってきたんです」「移住して本当に良かった。最高です!」とのこと。文章では伝えきれないのですが、阿南市の居心地の良さを証明するだけの説得力が、3人の言葉に滲んでいました。
そんななか、海洋条件やロケーションを活かした「阿南SUPタウンプロジェクト」という町おこし活動が行われていることを教えてもらいました。旅行先の湖で一度だけSUPをやって以来、あの楽しさを忘れられずにいる私にとって、これはとても興味深い情報です。海でのSUPは、きっとまた格別の爽快感があるに違いありません。
もちろん、釣りやSUP以外のマリンアクティビティも楽しめます。Iターンで阿南市に移住した方は、「サーフィン好きの夫が、いつも出勤前に海でサーフィンを楽しんでいる」と話してくれました。趣味をきっかけに移住を考える人も多いと思いますが、そんな人たちにとっては理想的な移住後の生活と言えそうです。
【おまけ】日本全国ふるさとマルシェ
会場の上の階にあるロビーギャラリーでは、全国の自治体・団体が新鮮な生鮮食品や地域自慢の加工食品などを販売する「日本全国ふるさとマルシェ」が開催されていました。
マルシェでは、全国的に品薄で話題となっていたお米、今が旬のシャインマスカットをはじめ、美味しそうな食べ物がたくさん。さらに、ディズニーキャラクターの地域限定プリントが施されたTシャツや、ハンドメイドのアクセサリーもあり、見て回るだけでも楽しめます。
「ふるさと回帰フェア2024」に参加するには事前登録が必要ですが、こちらのマルシェは登録不要。通りすがりにフラッと立ち寄るのもOKです。
感想
私のように、ただ漠然と移住への憧れを持っている人に最も必要な“きっかけ”を与えてくれたイベントだと感じました。本当に移住するかどうかは別として、話を聞くことができた自治体との間に小さな縁が生まれ、「実際に足を運ぶ」という次の段階に進むためのルートができたことだけでも、有意義な時間だったのではないかと思います。
もうひとつ、正直な感想としてお伝えしておきたいのは、3ブース回るだけでも結構エネルギーを使います!ということ。ある程度は優先度をつけて、資料だけもらうという選択肢も織り交ぜつつ回るのが賢明かもしれません。
開催2日間で合計2万8,800人が来場したという今回の「ふるさと回帰フェア 2024」。これほど大規模なものは年に一度ですが、ふるさと回帰支援センターでは年間600回以上の移住セミナー、イベントを開催しています。窓口で直接相談したり電話・オンラインで問い合わせたりすることも可能なので、気になる方はウェブサイトをチェックしてみてください。